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「急成長する動画ビジネスの最新事情」【K16-3B】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!8 回シリーズ(その7)は、スマホ動画ビジネスの市場拡大はマスメディア広告のリプレイスを意味するのか?という問いを中心に、特にTVとスマホ動画ビジネスとの関係性を議論しました。是非御覧ください。
ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
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【登壇者情報】
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016「ICC SUMMIT」
Session 3B 「急成長する動画ビジネスの最新事情」
(スピーカー)
上坂 優太
株式会社Viibar
代表取締役
小池 政秀
株式会社サイバーエージェント
常務取締役
高松 雄康
株式会社オープンエイト
代表取締役社長 兼 CEO
吉田 大成
株式会社エブリー
代表取締役
(モデレーター)
前田 裕二
SHOWROOM株式会社
代表取締役社長
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「急成長する動画ビジネスの最新事情」配信済み記事一覧
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最初の記事
急成長するスマホ動画ビジネス-エブリー吉田氏が語る分散型メディアの挑戦【K16-3B #1】
1つ前の記事
スマホ動画ビジネスをプロデュースする人材をいかに育成するか?【K16-3B #6】
本編
前田 有難うございます。マネタイズのところにもう一度話を戻させてもらいます。
エンゲージメントというキーワードが出たかと思いますが、よくマスメディアの方とお話していて思うことがあります。
幅と深さの議論で言うと、視聴率といった幅に関してマネタイズする仕組みは伝統的に存在します。
例えばですが、クイズ番組で家族みんなで回答しながら見ているというコンテンツと、なんとなく家族がスマホを片手にただ流れているだけのテレビコンテンツでは、もしかしたら価値が違うかもしれないのに、基本的には広告価値が一緒になっているわけです。
ユーザーのエンゲージメントをマネタイズするという観点で、こんな方法があるということであったり、こんな未来があるのではないかというお考えやアイデアがあればお伺いしたいです。
コンテンツにマッチする広告主を集めるか? 広く遍く集めるか?
高松 僕はどちらかと言うと、コンテンツマッチで、いかにユーザーの態度変容に深く関与するコンテンツに対して、同様の広告を張り巡らせるという手法が1番今後の未来像としてベストだと思っています。
Abema TVは逆をいっていますよね。完全にブロードリーチ型で、広告の仕組みも広く遍くとっていこうというやり方をしていますよね。
(編集注:広告を出稿する方針として、特定のユーザー層が集めるメディアに配信するターゲットリーチとターゲティングをあまりせず、広く配信するブロードリーチという考え方があります。ここでは、広告掲載側として、コンテンツにマッチする広告主を中心に獲得していくか、もしくはより広く広告主を獲得していくかという議論です)
あれは今後ニーズとしては、見込みがあるのでしょうか?
小池 そうですね。先ほど前田さんがおっしゃったように、質は色々あると思うのですが、広告のスキップ率は、1〜2割くらいでした。僕らは当初4割くらい行くかなと思っていたのですが、結構低かったです。
あとは時間帯ごとに、この顧客はこのチャンネルでこの時間帯だと、広告を飛ばされにくいというのが、大分データで見えてきています。
高松さんがおっしゃるように、コンテンツに近い広告の方が、反応が出やすいというのはあるのですが、(有名な)「おむつとビール」(注)のように、意外にこのコンテンツにこのチャンネルで合うんだというのは、結構出てきたりしているので、それでパッケージを組んでいます。
(編集注: 「おむつを買った人はビールを買う傾向がある」という米国におけるマーケットバスケット分析の事例。1990年代半ばから2000年代初めにかけてメディアや講演などでよく語られ、データマイニングという言葉と概念を一躍有名にした。引用元 「情報マネジメント用語辞典」)
そうすると、広さと深さを実現出来る広告がやれるのかなというのを、クライアントさんとセットでいま探しているという段階です。
高松 それは、将来的にプログラマティックなのでしょうか?
小池 プランニングするときだけ、プログラマティックにして、基本的には、最初から設定した万人が同じものを見るという広告です。
例えば、ある番組を見ているときに流れるCMは、誰が見ても同じCMが流れているという形にはする方針はずらさないと思います。
それをベースに、どう価値を証明するかというのは試行錯誤しています。
結局、先ほど高松さんがおっしゃったように、うちが100万人にリーチ出来ていて、それをフリークエンシーに置き換えて、認知率がどれくらいにいったら、その後3割くらい訪問してくれるという実証データが出来てくれば、広告主に対して価値も表現しやすくなってくると思っています。
それを探しにいっているのが、いまの段階ですね。今はとにかく規模と勢いなので、引き合いは頂いているのですが、この間に形にして実証しないといけないと思っています。そのデータを溜めながら進めている感じです。
マスメディアの市場をスマホ動画が奪うのか?
前田 なるほどです。
先ほどマスメディアというお話を申し上げたのに関連して、答えにくい質問かもしれないのですが、、基本的にマスメディアがとっていた市場を皆さんのサービスがリプレイスしにいくのか、あるいは、マスメディアはマスメディアとして少なくともしばらくは利権があり続ける状態は維持出来ると思うので、それと連動して、シナジーを生んでいきたいと思っているのか、マスメディアとの関係性で思われることがあれば教えて頂きたいです。
小池 僕のところは、結構テレビ局さんとやらせて頂いているのでやりやすいのですが、テレビ自体は、一緒にやらせて頂いてすごく感じるのは、すごく強くてコンテンツも面白いということです。
しばらくは、テレビ局が強いままかなと思ってはいるのですが、やれることは、例えば、テレビである番組をやっているときの裏番組や、直後の時間からうちでやるなど、コンテンツ連動も出来ます。
あるいは、テレビでL字、逆LでCMをやっているときに、うちのプランニングとしてCMをこういう風にやればより認知度が上がるなど、広告の絡みも出来るので、可能性はすごくあると思っています。
共存というか掛け算は出来ると考えています。
新聞も試してみたのですが、新聞は全国で1,000万リーチをやらせて頂いて、1発5億円かかったのですが、3週間分の週末の番組表を雑誌みたいに各家庭に届けました。
テレビと同じように番組表を見て頂いて、それが視聴習慣につながるかなと思っていて、そのように色んな形で、視聴習慣を作るのにつなげていければいいかなと思っています。
上坂 テレビ自体がプログラマティックになるというか、デジタルのバイイングに変わるタイミングが近い将来必ず来ると我々は考えています。小池さんに質問なのですが、そのタイミングでデジタルの領域でどんなインパクトがあるのかということについて、どう見立てていらっしゃいますか?
小池 僕の見立てでは、実はシステム的には全て出来るようにしているのですが、そちらにしたところで、すごく効果が上がるのかというのは、まだ見立てが立っていません。
しばらくはコンテンツに合った広告を誰が見ても同じものを出していきながら、最大化してパッケージをプランニングしながら、裏でデータを溜めてプログラマティックになったときに最大の効果を発揮出来るように準備していこうかなというのが現時点です。
テレビ広告の出稿は簡単にはデジタル化されない
高松 僕は代理店出身者なのでコメントすると、そんな簡単にプログラマティックな時代は来ないと思っています。
テレビスポットの世界は、本当に根深いので、普通では入れないです。本当に人間関係だけで成り立っていて、有限枠で空き枠が出ることがありません。
プログラマティックな世界は空き枠が出て初めて成立するので、その余剰枠をコントロールする必要がない世界のものと、余剰枠を常にコントロールしないといけない無限枠のインターネットはやはり相反するなと思っています。
もしあるとすれば、テレビ局さん自体が、Abema TVさんもそうだし、TVer(ティーバー)もそうですし、今度発表されるタイムシフトのいわゆる録画視聴に関する視聴率なども、その辺の組み合わせでどんどん共存関係が生まれると思っています。
いわゆる今の動いているテレビスポットの予算をウェブ業界で取っていこうというのは、もうないかなと思っています。
上坂 例えば、プレミアム枠はそうだと思うのですが、例えば、苦戦している地方局の、勝手に売れていくような美味しい枠ではないところから、部分的に始まることはないのでしょうか?
高松 僕はないと思います。知れば知るほどないと思います。
僕たちもTBSさんと組んでいるのですが、地方に行けば行くほど、キー局とのスポットCMにしてもタイムCMにしても連携を非常に意識していますし、地方こそもっと地場の関係性がとても重要で、そんなのをネットで勝手に変えられたら困るという人がたくさんいます。政治の世界です。
そういうところに、なかなかインターネット業界が仕組みだけで突破出来るかと言うと、難しいです。僕らもやりますし、皆さんもやりますけど、時間はかかるとは思います。
前田 吉田さんは何かコメントありますか?すごくニコニコされながら聴いていらっしゃいましたが…(笑)。
テレビとスマホ動画メディアは共存共栄
吉田 なかなか難しいなとは思っていますね。
僕らも広告やりながら、店頭で売れましたという効果は、後から聞いて測りながら、広告の価格と見合うかを見てもらったりはしていますが、例えば、店頭に並ぶ品物はテレビCMをやるから棚をとれますという方が大きいです。
効果というよりかは、そこが切り離されてしまっているので、そこが全部一気通貫にならないと、難しいと思います。
高松 そもそも例えばソーシャルゲームの人たちが、テレビに広告出しますよね。
前田 最近でこそ、Youtuberが出ていますよね。
高松 テレビはやっぱりアクチュアルな動きが大きいですよね。
その一段上に行くには、動画メディアはC Channelとかもそうだと思いますが、テレビに出稿するということだと思います。
MERYとかキュレーションメディアも結局テレビに出稿していますから、それぐらいテレビの存在は大きいですね。
前田 たしかにアンプリファイアー、拡張機として、テレビが強く存在し続ける構造はしばらく変わらないのかなという気はしますよね。
高松 なので、小池さんがおっしゃったように、やっぱり基本的に共存共栄ですよね。
インターネット予算はまだ1兆円ある中で、その雑誌広告や新聞、紙もののリプレイスも終わっても、広告予算が5兆6千億円ある中で、その内の4兆円はまだリプレイス出来ていないので、それはテレビだけの話ではないかなと思います。
前田 たしかに、得意なところというのは、メディアによって違ってくるので、お互いの得意分野を活かして掛け算でシナジーを生んでいけたらいいのかなという感じですね。
有難うございました。
(続)
編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/藤田 温乃
続きは 【最終回】「Abema TVの黒字化はいつですか?」gumi國光氏が鋭く切り込む をご覧ください。
https://industry-co-creation.com/industry-trend/7178
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【編集部コメント】
続編(その8)では、会場からの質問を受け付け、各登壇企業のEXITやサービスの黒字化といった経営のブレークスルーをどう考えているか?について議論しました。是非ご期待ください。感想はぜひNewsPicksでコメントを頂けると大変うれしいです。
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