スマホ動画ビジネスをプロデュースする人材をいかに育成するか?【K16-3B #6】 – INDUSTRY CO-CREATION

スマホ動画ビジネスをプロデュースする人材をいかに育成するか?【K16-3B #6】

LINEで送る
Pocket

「急成長する動画ビジネスの最新事情」【K16-3B】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!8 回シリーズ(その6)は、動画元年と言われる現状で、各経営者が感じる誤算や課題についてお話し頂きました。是非御覧ください。

ICCカンファンレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級の招待制カンファレンスです。次回ICCカンファレンス FUKUOKA 2017は2017年2月21〜23日 福岡市での開催を予定しております。

登壇者情報
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016「ICC SUMMIT」
Session 3B 「急成長する動画ビジネスの最新事情」
 
(スピーカー)
上坂 優太
株式会社Viibar
代表取締役
 
小池 政秀
株式会社サイバーエージェント
常務取締役
 
高松 雄康
株式会社オープンエイト
代表取締役社長 兼 CEO
 
吉田 大成
株式会社エブリー
代表取締役
 
(モデレーター)
前田 裕二
SHOWROOM株式会社
代表取締役社長

その1はこちらをご覧ください:急成長するスマホ動画ビジネス-エブリー吉田氏が語る分散型メディアの挑戦【K16-3B #1】
その2はこちらをご覧ください:Abema TV は新たな視聴習慣を作れるのか?(サイバーエージェントの挑戦)【K16-3B #2】
その3はこちらをご覧ください:高品質×リーズナブルな動画制作によってデジタル動画市場を切り拓く(Viibarの挑戦)【K16-3B #3】
その4はこちらをご覧ください:スマホ動画メディアでライフスタイル雑誌の世界観を実現(オープンエイトの挑戦)【K16-3B #4】
その5はこちらをご覧ください:スマホ動画メディアは収益化できるのか?【K16-3B #5】


前田 有難うございます。多様な意見があって面白いと思うのですが、逆にネガティブな側面で課題について色々お伺いしたいと思います。

もともときらびやかな仮説が合ったけれども、盛大に失敗しましたであったり、ここがやっぱり動画は難しいといった部分があれば、お伺いしたいです。

スマホ動画メディア運営の失敗談・課題

吉田 いっぱいありすぎます(笑)。人材がいないというのが1番きついですね。

前田 それは制作側でしょうか?

吉田 制作側ですね。今までのコンテンツの作り方も変わってきていますし、スマホで見るように映像を最適化させることを考えると、もともと映像業界にいらした方も、大きい画面で見せるコンテンツ作りだったのを小さい画面でどう見せるコンテンツにするかという点もありますし、ネット業界から来た方も動画をいじったことがない方もいらっしゃるので、まずはスマホ向けの動画作りに馴染んでもらわないといけないですね。

これから動画コンテンツが増えていく中で、そういう人材をどれだけ作っていけるかがすごく大事なのと、動画制作イコールすごく大変であまりかっこよくないというイメージがあるので、もう少しかっこいいイメージになるといいなとは思っています。

前田 そういう意味で言うと、上坂さんのところみたいに、動画のクリエイターが、格好いい動画を作られ、格好いいブランドを支援するのはいいですよね。

吉田 そうですね。すごく格好いいというイメージが大事な気がしますね(笑)。

前田 吉田さんの会社の中でも、動画制作のクリエイターの人材採用は課題として大きいのでしょうか?

吉田 そうですね。先ほど1スライドだけ入れましたけど、僕らはまだ社員はそんなに多くなくて、約7割は大学生の方で、20歳前後です。

そういう方々ですと、まず面接を受けに来て頂いて、動画編集をしたことあるかと質問すると、普通に皆さんやったことがあります。パソコンでも、スマホでもありますし、僕らよりも機材に詳しいです。

世代によって全く異なると思っていまして、そういう若い方々の方が、動画に対して感度が高いという気がしています。

前田 有難うございます。小池さんはどうでしょうか?

30番組24時間で会社が不夜城に

小池 そうですね。僕らも始めるに当たって、作れる人がいない中で、30番組24時間やるぞという話で、みんな仰天してどうしようという感じでした。

実際最初は、テレビ朝日のプロの方々に教えてもらいながらやりつつ、コンテンツとして生放送が面白いことを発見して生放送になった背景もありますが、編集の負荷を減らすために生放送中心にしました。

そうはいっても、うちの会社も不夜城になってきていて、勤務体系を変えないと倒れる人も出てくるので、慣れるまでが大変でしたね。想定よりも2-3倍の負荷が運営側にかかるのが大変でした。

前田 それは慣れていくしかないということなのでしょうか?

小池 そうですね。人は慣れていきますね。あとは組織も最適化していったり、人数も当初よりも倍くらいにしていったりしていますね。

前田 課題は人材ということなんですね。上坂さんはどうですか?

中小企業が動画を活用するには未だ時間がかかる

上坂 当初の仮説と1番大きく違ったところは、中小企業さんが動画を本格的に活用するのは、まだ結構先で、当初の仮説よりは進みが遅いなという感覚を持っています。

我々が市場に参入したときは、いわゆる誰でも動画を手軽に活用できるというビジョンで進めてきたのですが、リテラシーや単価、成果に課題があり、動画をこれまであまり使っていなかった企業様が動画を活用されるのは、もう少し先だなという感覚があります。

我々もターゲットについては、ピボットをかけ、ある程度動画のリテラシーがあるお客様にまずはフォーカスしていこうと切り替えた背景があるので、そこは当初の仮説と大きく違ったポイントですね。

前田 なるほどです。ちなみにビジネスの中で、受託プロジェクト的にやっているものと、プラットフォ−ムとしてオーガニックに自走しているものの比率はどういう感じなのでしょうか?

上坂 そうですね。今ですと、プロデューサーが入るパターンのものが半分くらいで、半分くらいが、先ほどお見せしたシステム含めたマッチングになります。

件数は半々ですが、マッチングでの単価は小さい一方、徐々に大きな会社さんのデジタルマーケティングの予算が大きくなってきている感覚があるので、金額比率にすると今後変わってくる気がしています。

前田 プラットフォーム型とプロジェクト型で、お客様の特徴が違ったりするのでしょうか?

上坂 そうですね。いわゆる我々がプロマネ(プロジェクトマネジメント)をするパターンで言うと、基本的には大きな企業様の成果を求められるマーケティングであり、動画は手段でしかなく、そこに態度変容、購買意向のリフト、実際のアクションなどというKPIに対して我々が価値提供するパターンです。

プラットフォームを使って直接やっていただくものについては、基本的には納品物をご提供します。

例えば、採用でこういう用途で使いますので、こういう仕様のものを作って下さいという依頼に対しては、企画が必須というより、スピーディに納品することが特徴だと思っています。その場合は、コストが1番大きなインセンティブです。

前田 大まかに整理すると、プロジェクト型に関しては、ダイレクトに成果を求めるお客さんが多くて、一方では、プラットフォーム型は、直接的な成果というよりもブランド認知につながればいいというお客さんが多いというイメージでしょうか?

上坂 プロジェクトマネジメント型の方が、ダイレクトの成果というだけではなくて、ブランド認知の成果も求められます。

プラットフォームで依頼していただくくものについては、どちらかと言うと、コンテンツそのものの見た目のクオリティーが高く納品されれば、基本的にご満足いただけるお客さんが多い傾向と思います。

前田 おそらくスモールビジネスでは、まだまだキャッシュ(現預金)に余裕がない状態でかなり成果を求めていってしまうというのが、先ほどのギャップというか難しさを生んでいるのかもしれないと思っています。

逆にその成果がはっきり伝わる仕組みがあれば、割とスモールやミドルビジネスの方々もどんどんそこに参加してくるのではないかという感覚があります。

上坂 そうですね。成果はROIなので、やはり動画は他のネット広告と比較して製造コストが高くので、なかなかペイしない領域だと思っています。

中小企業様の課題解決で言うと、基本多くの人が動かない状態で、クリエイティブ提供をどう創っていくか、というところに解があるのかなと思っています。今後、我々もその辺りを解決していきたいなと思っています。

前田 いかにコストを極小化していって、ROIを上げるかということですね。なるほどです。有難うございました。

広告主がPC動画広告を捨て切れていない

高松さん、もし何か失敗例や課題がありましたら、お願いします。

高松 毎日あります。1番大きなギャップは、世の中がまだまだ動画広告と言うと、PC動画広告を捨てきれていないというのを感じます。

ユーザーは間違いなくスマートフォンアクセスに動いていて、ユーザーもそこに存在しているのですが、広告主、もしくは広告予算というのは、まだまだPCを中心に動いています。

僕としては、スマートフォンに絞って事業をやっているので、PCからスマホへの移行がもう少し時間がかかるというのは毎日課題感を持っています。

もう1つは、メディアで言うと、皆さんと一緒で人の話はもちろんあるのですが、この半年以上でメディアの体制を作るのにかなり時間をかけてきて、ハイクオリティーで大量生産をするために、きっちりとマニュアルを作って、制作ラインを作ってきました。

特にロケでやるものだと、みんなが勝手なことをやると労働集約的になって、コストが上がってきます。うちの場合は、ロケでやるものでも1本当たり月2万円くらいでやっています。

そういう制作ラインを作っていくときに、みんなの仕事を少し絞りすぎたために、ユーザーインサイトやユーザー主導の動画を作れなくなってきている課題感が見えてきているので、いま立て直しを図っています。それを毎日感じています。

ユーザーを見つつPDCAを回せる人材育成体制が急務

プロダクトアウトで自分たちのやりたいことをひたすらルールを決めてやっていく分には、ハイクオリティー、大量生産するのは簡単なのですが、ユーザーの反応を見ながら変えていくようにみんなを教育していって作っていくのは、非常に難しいと感じています。

前田 それは御社の中にノウハウを溜めて、教育するシステムを作っていくことで解決しようとしているということですか?

高松 そうかもしれないです。いま外部のアドバイザーにも参加してもらいながら、研究しているところです。かなりきっちりと制作ラインを作って来てしまったので、なかなか苦労しています。

その代わり、大量生産も出来るクオリティーも高いと言われるような動画を作れるようにはなっているのですが、それが面白いかと言われると、難しいところです。

吉田さんのところもそうだと思うのですが、ユーザーインサイトを見てPDCA回しながら回収していく作業は難しいですよね。

吉田 難しいですね。

高松 人うんぬんよりも、そういう教育体制を作るのが難しいです。

動画メディアも1本で大きく勝てないので、大量生産が必要です。

キュレーションメディアの戦いと同様です。だからと言って、クオリティーは下げられないので、その課題感はすごく大きいですね。

(続)

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/藤田 温乃

続きは スマホ動画広告はテレビCMを置き換えることはできるのか? を配信予定です。

【編集部コメント】

続編(その7)では、スマホ動画ビジネスの市場拡大はマスメディア広告のリプレイスを意味するのか?という問いを中心に、特にTVとスマホ動画ビジネスとの関係性を議論しました。是非ご期待ください。感想はぜひNewsPicksでコメントを頂けると大変うれしいです。

更新情報はFacebookページのフォローをお願い致します。

LINEで送る
Pocket

ICCパートナーズ

ICCパートナーズ

ICCパートナーズ(ICC Partners Inc.)は産業を共に創る経営者・経営幹部のためのコミュニティ型カンフ ァレンス「Industry Co-Creation(ICC) カンファレンス」の企画・運営および新規事業創出・アライアンスなどのアドバイザー業務を行っています。