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ICCサミット KYOTO 2021のセッション「テクノロジーはどこまで進化するのか?」(シーズン4) は、ディープテックに精通する4人のスピーカーが集合! 全9回シリーズ(その4)は、気になるテックトレンドを、各自発表していきます。日本マイクロソフト西脇さんは「ストリーミング」、ギリア清水さんは「Audio First」。その何が彼らを面白がらせているのか? ぜひご覧ください。
CCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2022は、2022年9月5日〜9月8日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット KYOTO 2021 プレミアム・スポンサーのベクトル にサポート頂きました。
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【登壇者情報】
ICCサミット KYOTO 2021
Session 9C
「テクノロジーはどこまで進化するのか?」(シーズン4)
Supported by ベクトル
(スピーカー)
北川 拓也
楽天株式会社
常務執行役員CDO(チーフデータオフィサー)グローバルデータ統括部 ディレクター
※登壇当時
清水 亮
ギリア株式会社
代表取締役社長兼CEO
※登壇当時
丸 幸弘
株式会社リバネス
代表取締役 グループCEO
鷲谷 聡之
株式会社ACSL
代表取締役社長 兼 COO
(モデレーター)
西脇 資哲
日本マイクロソフト株式会社
コーポレート戦略統括本部 業務執行役員 エバンジェリスト
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▶「テクノロジーはどこまで進化するのか?」(シーズン4) の配信済み記事一覧
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最初の記事
1. テクノロジーの雑談シーズン4、まずは気になるスマホアプリの話題からスタート
1つ前の記事
3. 北川 拓也が自分の時間を濃くするために使うアプリとは?
本編
西脇 さあ、では本題のテクノロジーの話にいきましょう。
「テクノロジーはどこまで進化するのか?」がテーマですから、スピーカーの皆さんが関心のある、登壇者同士や会場の皆さんとも話したいテクノロジーを、スケッチブックに書いてください。
今日これから、どんなテクノロジーについて話したり、議論したいのか書き込んでいただいて、皆さんで一斉に出したいと思います。
会場の皆さんも、これから出されるテクノロジーのキーワードに関して、スマートフォンでぜひ反応なさってください。
その内容に関して、いろいろ議論していきたいと思います。
西脇さんが注目するのは「ストリーミング」
西脇 皆さんが書いている間に、私からお話ししますと、マイクロソフトの西脇が気にしている最近のテクノロジーは、「ストリーミング」です。
▶ダウンロードとストリーミングの違いってなに?入浴にたとえると?(ノジマ)
「昔からあるじゃん」という話ですが、マイクロソフト的にはWindowsがストリーミングで提供されます。ゲームもそうですね。
▶マイクロソフト、Windows 365 を発表 — 新カテゴリーのコンピューティングの幕開け 2021年7月15日(マイクロソフト)
あらゆるものがこれからストリーミングで提供されるようになってくるので、儲かる人が今までとちょっと変わってくることが、すごく業界の中では起きていますよね。
昔はデバイスメーカーが儲かっていたりしましたが、これからは何でしょうね…、どこが儲かるのかちょっと分からないですね。
ネットワーク業者が儲かるのかもしれないし、中間業者がもっと増えるのかもしれませんし、ストリーミングの大元が儲かるのかもしれませんが、技術がこっちに来ているなということで、私は新しいサービスを提供している人に会うときには、「それ、ストリーミングできないの?」「ストリーミングできるんじゃないの?」という聞き方を常にしています。
ICCサミットもオンラインでストリーミングでやってくれれば一番いいというのはあるのですが、人と会う場所ですから、それも重要かもしれません。
私の話はこれぐらいにして、清水さん、お願いします。
清水さんが気になるトレンド「Audio First」
清水 最近気になっているのは、「Audio First」です。
僕は骨伝導ヘッドセットが気に入っていますが、外すと無くすんですよ。
1回無くしているので、ずっと着けていたほうがいいです。
西脇 そうですよね。
清水 これは、意外とずっと着けていられます。
自転車に乗っていると、(スマートフォンの)画面が見られないんですよ。
一応、GARMIN(ガーミン)がスカウター(※) みたいなもの(Varia Vision)を売っているんですが、いざ着けると邪魔なんですよね。
▶編集注:ソニーの有機EL「スカウター」、まずはスポーツ分野から攻める(日経XTECH)
ヘッドセットを着けたまま走っている友達と、LINEやViberとか…、つなぎっぱなしにしてしゃべっていると、ずっと一緒にいる感じがしたりします。
あとはClubhouseもそうだし、Audible(オーディブル)もそうだし、これから「Audio First」なんじゃないかと。
AR(拡張現実)というと、みんなよく視覚的なものをやろうとするじゃないですか。
でも目だと疲れるので、僕も大きいウェアラブルデバイスを持っているけれど、あまりずっとやれないなと思います。
この骨伝導ヘッドセットだと1日着けてもそこまで疲れないので、ちょっと知識が必要なときにピッとスイッチを入れています。
西脇 (CommentScreenを見て)「便利」というコメントが来ていますね。
清水 そう。呼び出して、「あれって、どうなってるんだっけ?」みたいなことを聞けるAIを、今自分で作って自分で使っている感じです。
インターネットを「音」にしたい
北川 音声のほうが扱いやすいコンセプトとかは、あるんですか?
清水 例えば、Siriとかでまだできていないというか、やるつもりがないかもしれないけれど、「今何時?」と聞いたら、「11時58分」とかと言うじゃないですか。
「ほぼ12時」って言ってほしいじゃないですか。
北川 ああ。
清水 「正午です」でいいじゃないですか。
2分の差を誰が気にするんだみたいな話だったり、視覚を埋めることによって損していることがすごくあるので、最近の僕の研究テーマはAIやGPT-3を使って、インターネットを音にできないかなということです。
西脇 ああ、ネットを絵にしている人はたまにいますけどね。
清水 でも音にしたいな、みたいな。
しかも音だと3次元的なものが視覚的な情報を使わなくても…、つまり目って前しか見えないけれど、音は後ろも聴こえるじゃないですか?
ソニーの360 Reality Audio(サンロクマル リアリティ オーディオ)みたいな全方位から音が聴こえるものなら、(前方を指し)あっちにヤフーがあって、(後方を指し)こっちに楽天があって、後ろを向くと、楽天の音がするみたいな、なんかそういう(笑)。
「これがほしい」と言ったら、「ヤフーだと100円安いよ」とか、「楽天だと明日届くよ」とか、そういうのが同時に聞こえて、なんとなくこっちにしようかなみたいな。
お祭りの出店の呼び込みもそうじゃないですか。
西脇 音って空間なんですよね。
清水 そうそう。
西脇 だから空間をイメージしやすいので、そういう意味でも、音で表現すると、あっちのほう、こっちのほうとおっしゃったけれど、そういう形になりやすい。
清水 そうです。
エンタメだけではなくて、そういう実用的なことに音が使えないかなと、最近よく走りながら考えます。
西脇 ちなみに、ここにヤフーがあって、ここに楽天があると、何か生活が変わりますか?
清水 いや、なんかそっち側に歩いていくとか、そっち側に向くとかね(笑)。
音で脳波をコントロールする実験も行われている
北川 会場にいる馬場さん(CyberneX 馬場 基文さん)がやっていますが、音から直接脳波をコントロールできるような、そういう実験も最近出ていますよね。
(耳の下辺りを触りながら)わりとここの部位が、ある脳部位に近いから、迷走神経がこの辺に集まっているので、その辺を刺激すると割と雑に脳波をいじれるみたいな、そういう技術があります。
西脇 外部から音を与えることによって、ということですか?
北川 そうです。
僕らは五感から情報を得て、結局、脳が解釈しているわけじゃないですか。
それを直接やろうと言ったのが、イーロン・マスクのNeuralinkですが、その中間ぐらいの話があって、今まで持っている五感を使って、うまいことシグナルを入れてやれば、もうちょっと脳波のいじり方が違うと。
▶イーロン・マスク氏のNeuralinkデバイスを装着したサルが脳でピンポンゲームをプレイ 2021年4月09日(TechCrunch Japan)
普通に音を入れるのではなくて、もうちょっと脳波が反応しやすい入れ方があることを見つけて、それをやることによってリラックスさせてあげるとか、確かアメリカでは、それがメディカルデバイスぐらいになっているんです。
▶How Neuralink is Shaping the Medical Device Industry in 2022(MANTELL ASSOCIATES)
西脇 音は比較的反応しやすいですし、防ぎづらいと一般的に言われますよね。
目は閉じたり、背けたりすればいいし。
清水 音は寝ていても使えますからね。
あと、ナビゲーションも、「あっちだよ」という距離や方向は、絶対音のほうがはっきり分かるので、「トンカツ食べたいな」と言ったら、ポンポンポンと音がして、こっち側とあっち側にトンカツ屋がある。
しかも音色の高さで僕がどのくらい好きそうか知らせてくれて、「あっちの店はテンション高い音がするから、あっちに行こう」とかできたら、面白いなと思っているんです。
西脇 スピーチ等のテクニックもある感じですね。
なるほど、「Audio First」ですか。
ちなみにそれを着けていると、良くないところがありますか?
清水 良くないところは、こめかみが疲れてくることぐらいですかね。
西脇 それだけ?
清水 それだけです、本当に。
西脇 でも充電しないといけないですよね。
清水 でも16時間もつんですよ。だから、全然困らないです。
骨伝導ヘッドセットは今後どのくらい進化するのか
西脇 骨伝導で今着けていらっしゃるそれが、さらにどのくらい進化すると思いますか?
清水 いや、もっと進化すると思いますよ。
西脇 めちゃくちゃあいまいな答えですね。
(一同笑)
鷲谷 それは音の伝え方が進化するのでしょうか?
つまり鼓膜から骨という別の媒体に変わっていくんですか? それとも、処理をしていく方向ですか?
清水 そうですね、デバイスのほうが進化していきます。
今着けているのが、見えちゃうじゃないですか。
西脇 見えますね、確かに。
清水 おそらく見えていると、「あいつ、変なの着けてる」ってなってしまうからダメなんです、世の中って。
昔、頑張ってヘッドマウントディスプレイをずっと着けている大学の先生とかいましたが、どんなに頑張ってもカッコ良くならないから、それをだんだん見えないようにしていくとか。
北川 補聴器みたいな使い方もできるんですか?
清水 これですか? これはできないですが、たぶんこれからできるんじゃないですか。
西脇 さっき鷲谷さんがおっしゃったように、音は耳に振動として入れるか、骨を揺らすかしか脳に与えられないんですかね。
清水 今のところ、そうじゃないですかね。
西脇 そこにもうちょっとブレイクスルーがあるのかなという気がすごくして、そうすると、その装着という問題が無くなるんじゃないかなと。
清水 この世代のAfterShokz(アフターショックス)は、本当に今までの骨伝導とは全然レベルが違うくらいちゃんと聴こえるんですね。
だから、今まで骨伝導で音楽を聴くのは無理だ、できるけどやってもしょうがなかったんだけれど、今全然音楽を聴いていてもバレないじゃないですか、極論(笑)。
骨伝導ヘッドセットの使い心地は?
西脇 会場に骨伝導のヘッドセットを着けている方、いらっしゃいますか? よく着けているという方。
あ、いらっしゃいますね、マイクをお渡しするので、感想を教えてください。
北川 手を挙げてめっちゃ後悔していましたよ、たぶんあの方。
(会場笑)
「うわっ、当てられるの!?」みたいな。
西脇 本当に清水さんが言っていることがそうなのか、同じ体験をしている方の意見を聞きたいです。
骨伝導で、何を聴いていらっしゃいますか?
会場の方 僕はオンラインミーティングのときに使っています。
西脇 メリットとデメリットを教えてください。
嘉穂無線ホールディングス 柳瀬 隆志さん(以下、柳瀬) やはりイヤフォンを耳にずっと着けていると、こもったような感じになりますし、なんか違和感がありますが、骨伝導はちょっとここがしびれてむずがゆい感じはしますけれど、それ以外はすごく快適にしゃべれます。
北川 音の入り方はどうなんですか? 自分の声は向こうにどう聞こえるのでしょう?
柳瀬 相手の聞こえ方は分からないですが、あまり何も言われないので、違和感はないと思います。非常に快適ですね。
西脇 この先こうなったほうがいいなというデバイスに対する期待はありますか? さっき言った、大きさとか。
柳瀬 そうですね、やはりマイクが飛び出ているのは、ちょっと気になるので。
北川 (清水さんを見て)マイクが飛び出ているんですか?
あっ、本当だ。
清水 飛び出ているバージョンと、飛び出ていないバージョンがありますが、今使っているこれのほうが電池のもちがいいし、あとノイズキャンセリングがすごいんですよ。
だから、自転車で走りながら会議に出ていてもバレないんです。これは全然ノイズが入らないんです。
西脇 重宝していますか?
柳瀬 すごく。会社とかで使うと特にそうですね。
家だと周りに誰もいないので気にならないのですが、会社だと周りに人がいるので。
西脇 なるほど。ありがとうございました。
私は骨伝導ヘッドセットを使ったことがないのですが、(耳の付近に手を当てながら)ここ以外の骨でも大丈夫なんですか? 頭蓋骨につながっていないとダメ?
清水 基本的には、やっぱり鼓膜の近くにないと、じゃないですかね?
あっ、(耳の少し後方に手を当てながら)こっち側につけるのは、もしかしたらあるかもしれませんけど。
西脇 (額に手を当てながら)こことかだと、意味がないですか?
清水 やり方によっては、まあ聞こえるんじゃないですか?
西脇 なるほど。そうすると面白いなと思ったのは、イヤフォンは耳にしか入れられないけれど、骨伝導だったら、ここにも、ここにも、ここにもと、何カ所も音を入れられるわけですよね。
清水 そうです。
西脇 人間の処理能力さえ上がれば、すごい発想だなと思ったんですよね。
北川 感覚器って、口の周りに集まっているっていうじゃないですか。
▶疑問氷解 なぜ目や鼻、口や耳などの大事なものが全て頭についているのですか。2018/5/22(毎日小学生新聞)
口に着けて、振動させたら見えるようになるとかならないですかね?
清水 今ソニーCSLなどの研究で、僕も暦本 純一先生の研究室に所属しているのですが、(喉元を指しながら)ここにエコーを着けて、しゃべらずに Alexaを動かすという研究をやっています。
西脇 へえ!
清水 エコーを当てて、口腔の動きを取って、口腔の動きの画像から音声に変換するニューラルネットワークを書いて、Alexaを動かす「SottoVoce」という研究があったりとか、意外とAudio First、聞くほうとしゃべるほうの両方の研究が今進んでいる感じです。
▶口パクの「Alexa, play music」で音楽流す ソニーコンピュータサイエンス研究所がデモ公開 2018年10月24日(ITmedia NEWS)
西脇 Audio Firstの話を聞きましたが、丸さん聞いてます? さっきから。
一言もAudio Firstの話に口をはさまなかったけど、何かあったんですか? オーディオで。
丸 いや、骨伝導、何年か前…、10年前ぐらいかな、いろいろやっていて。
ああ、あったな、もう当たり前になったなって、今咀嚼していたんです。
(一同笑)
北川 興味ないってことですね(笑)。
西脇 全く興味ないですね。驚くほど興味なかったので、びっくりしました。
丸 うーん、あんまりコミュニケーションに興味ないし(笑)。
パソコンを持っていないので、あんまりそういうやりとりとかは、ちょっと分からないですね。
北川 じゃあ、丸さんが興味あるものにいきましょう。
丸 僕の番?
西脇 次は鷲谷さん、お願いします。
北川 飛ばすんだ(笑)。
(続)
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続きは 5. 天気予測、ドローンだけではない「ドップラーライダー」の可能性 をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成
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