5. 民間企業が”ゼロイチの事業立ち上げ”を学ぶ、ボーダレス・ジャパンの新たな取り組み

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「ソーシャルグッド社会の実現に向けて(シーズン3)」、全7回シリーズの⑤は、会場にいた楽天の小林 正忠さんの質問からスタート。大企業は、ソーシャルグッドのスタートアップと何ができるのかという問いに、ボーダレス・ジャパン田口一成さんが、新たに立ち上げた仕組みを紹介します。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回300名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2022は、2022年9月5日〜9月8日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2022 プレミアム・スポンサーのSIIF(一般財団法人 社会変革推進財団)にサポート頂きました。


【登壇者情報】
2022年2月14〜17日開催
ICCサミット FUKUOKA 2022
Session 12F
ソーシャルグッド社会の実現に向けて(シーズン3)
Supported by SIIF(一般財団法人 社会変革推進財団)

(スピーカー)

出雲 充
株式会社ユーグレナ
代表取締役社長

小助川 将
Go Visions株式会社
代表取締役

田口 一成
株式会社ボーダレス・ジャパン
代表取締役社長

松田 文登
株式会社ヘラルボニー
代表取締役副社長

渡部 カンコロンゴ 清花
NPO法人WELgee
代表理事

(モデレーター)

青柳 光昌
一般財団法人社会変革推進財団
専務理事

三輪 開人
認定NPO法人 e-Education 代表 / 株式会社e-Education 代表取締役

「ソーシャルグッド社会の実現に向けて(シーズン3)」の配信済み記事一覧


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最初の記事
1. IT産業のように、ソーシャルグッドでもエコシステムを作りたい

1つ前の記事
4. ソーシャルセクターに、一番欠けている視点は何か

本編

三輪 残り時間が30分を切ったので、ぜひ会場の皆さんから質問をいただきたいと思います。

小助川さんの、次のアクションを明確にする(Part.1参照)という言葉はとてもいい言葉だなと思いました。

このセッションを聴き終えたら、会場を後にする方もいらっしゃると思いますので、明日につながるような、明日とは言わず今日から考え方、行動を変えてみようかなと思えるように、最後の30分間はラップアップをしていけたらと思います。

質問のある方は、ぜひ手を挙げていただけるとうれしいです。

(楽天・小林)正忠さん、お願いします。

大企業とソーシャルスタートアップの望ましい関係性は?

小林 正忠さん(以下、正忠) 楽天の小林 正忠と申します。

非常に有難い言葉をたくさんいただいてメモしました。

この会場にもスタートアップの方がいると思いますが、スタートアップ、特にソーシャルグッドのスタートアップが大企業側とうまく組むとしたならば、どういう組み方があるのか、特に田口さんからアドバイスをいただけたらと思います。

私がソーシャルのチームを持っているので、(WELgeeの)清花さんは、4〜5年前に難民の人たちを連れてオフィスに来てくれたりしたことがありました。

我々が大企業として何ができるのか、教えてください。

新規事業立ち上げ体験を企業の出向者に提供

田口 ありがとうございます。

僕は教えるも何も言える立場ではないのですが、大企業から出向の受け入れを始めました。

ボーダレス・ジャパンが民間企業向けに、新規事業立ち上げ人材育成プログラム「ゼロイチ出向」を提供開始(PR TIMES)

先ほど出雲さんが、「人が設計図的なものをノウハウとして蓄積して、いろいろなところへ伝えていく」とおっしゃっていましたが(Part.3参照)、僕はずっと前から「ボーダレスと何かやりたい」と、色々な企業からお話をもらってきました。

ただ、あまり接続点が見えなかったというか、実質的に意味があるのかと疑問がありました。あまり意味がないことには興味がないので、本当に意味があること、効果があることが何だろうかと考えたときに、やっぱり人の”移植”は、本当に意味があるのではないかと思います。

ソーシャルベンチャーを立ち上げる瞬間に真横に付いてもらって、一緒に社会課題に対してビジネスを作っていくとはどういうことなのかを最低半年間、できれば1年間、しっかり出向して色々なことを一緒にやってもらうという体験をして、その中でボーダレスグループの社長会(※) にも聴講に入ってもらったりを経験した上で、会社に戻ってもらいます。

▶編集注:ボーダレス・ジャパンでは、月1回新会社プラン承認などを行う社長会が開催される。ボーダレス・ジャパンのとる共同体経営は、「恩送りのエコシステム」に詳しい。

そうすると、具体的にどういうリソースが大企業にあるのか、僕らは外から見て分からないけれども、その視点を持った人間がソーシャルベンチャーの立ち上がり方を見た上で社内を見渡すと宝だらけだと思うし、そういう人材を増やしていくことが結果的に大企業を生かすことになります。

大企業のトップから、ソーシャルビジネスをやりたいがどうしたらいいかという相談があるのですが、実際に新規事業の検討に入ると、「市場規模はどれくらいあるの? 最低100億円ぐらいないと僕ら(大企業)がやっても意味がないでしょ?」という審議から結局始まります。

そこの解離をどうできるかという点においては、人の視点を変えていくという意味があるし、僕らソーシャルベンチャーにとっても、大企業にいる優秀な人たちが自分ごととして一緒に入ってきてやってくれることには意味があります。

当然、半年~1年一緒にやった仲間であれば、お互いのリソースを使って何かできないかなと絶対に考えるはずなので、人のつながりが結果的に事業的つながりになることのほうが僕は将来的な価値がすごく強いのかなと思ったので、人の交流を始めたいということで、ちょうど本日(2022年2月17日)リリースしました。

大企業とのテスト的に始まった事例もあって、それがうまくいっているのも含めて、正式リリースします。

青柳 すごく良いことをやられていますね。

田口 ありがとうございます。

青柳 全く同じことを考えていました。できれば出向するのは若い社員のほうがいいですよね。

大企業なりの色々な文化に染まってしまう前に、ソーシャルベンチャーでの一番大変な時期を体感して企業に戻っていくと、ベンチャーにとっては当然助かるのですが、大企業の中でも新しい事業を起こせることにもなってくると思います。

ちょっと年数が経っている人が来ると、変化しないとまでは言いませんが、なかなか大変な事例も見ていたりするので、若いミレニアルぐらいの世代の社員が来られるのが一番柔軟性もあって、学びも高まるのではないかと思いました。

すごく良い取り組みで、いいなと思いました。

田口 ボーダレスはいつも実験しようと決めています。

つまり、起業家も、以前からずっと色々なタイプの起業家をあえて受け入れてみて、色々なサポートのやり方をあえて試してみて、このパターンはだめだとか、こういうタイプの起業家を入れるとこうなってしまうんだという実験をやっています。

今回も同じで、大企業の方から色々な人をまずは受け入れてみて、どうなるか。

こういうタイプの人たちに向いていると分かったら、ボーダレスの中だけでやっても数十社に限られるので、渡部(カンコロンゴ 清花)さんやソーシャルベンチャーの方たちを広く大企業の方につなぐときに、こういう人がこういうプログラムで入って来ると双方にとっていいよねというモデルが作っていけたら、すごくインパクトが出てくると思います。

そのときにぜひ、大企業のリソースをお願いします。

僕らからするととんでもない、もうレベルが違いますから(笑)。

正忠 ありがとうございます。

ということは、スタートアップも、大企業側から人材を送り込んでもらうようなものを提案していったらいいという、逆のアドバイスでもありますよね。

田口 そうですよね。小助川さん、どうでしょう?

大企業のリソースの使い方を徹底的に考えよう

小助川 起業家やスタートアップのほうも大企業のリソースをどう使うかというスキームや設計をやっていって、その人たちも巻き込んでより大きな力でやらないと、社会課題はどんどん解決していかないと個人的には思っています。

後でお話ししようと思っていたのですが、実は1月から始めている仕組みがあります。

色々な企業の方が副業で100人くらい集まっているのですが、例えば、Amazonでエンジニアをやっていてフォートナイト(オンラインゲーム)がすごく好きとか、色々な企業で働いている人たちのさまざまな得意不得意、趣味などを開示して、子どもたちが1on1する人を選ぶ仕組みを作りました。

これを海外では「リバースメンタリング」(※)といって、最近、若者や子どもから色々な学びを得ることがかなり増えてきています。

▶編集注:リバースメンタリングとは?導入するメリットや企業事例を紹介 | オンライン研修・人材育成 – Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

私の場合は逆に、企業にはたくさんノウハウや良い経験、趣味を持っている人がいるので、それを子どもたちに還元していきます。

それはある意味でリバースメンタリングや研修にもなり、無償で導入できるようなものを作っています。

ICCの会場でも10社ぐらいの経営者、人事部長に向かって壁打ちをずっと続けていました。

そのぐらい、起業家側もどう大企業のリソースを使うのかを徹底的に考えることが大事かなと思っていますので、ぜひご提案させてください(笑)。

正忠 ありがとうございます。

三輪 では、他に質問のある方、手を挙げていただけますでしょうか?

いらっしゃらないようですので、私からの質問です。

世代交代の話ですが、どうしたらほんの少しでも早い未来に実装できるかなとずっと気になっています。

今のように人の交流や、人の”移植”、移動、交流があれば、世代交代が進んでいくものなのか、根本的にまだ時間が追いついていなくて、第1世代から第2世代、第3世代が、ITを除くソーシャルスタートアップの皆さんでは、まだ結果的に起こっていないと見られているのでしょうか?

出雲さんが見ている世代交代の時間軸が、特にソーシャルの文脈においてどう見えているのかを、もう少し深く伺えればと思いました。

自分のフィールドをしっかり見極めて

出雲 タイムフレームは、産業によって考え分けないといけません。

産業によって考え分けないといけないというのは、どういう成長曲線を描けるビジネス、サービスをしているのかを、常に意識しないといけないということです。

1つが「エクスポネンシャル(exponential)」、いわゆる指数関数的に成長していくビジネスです。

もう1つがちょっとずつ、ちょっとずつ改善して、少しずつ良くなっていく、「インクリメンタル(incremental )」というのですが、ちょっとずつ良くなっていくビジネスです。

自分がやっているビジネスがどちらなのかを間違えると、惑わされるのです。

ソーシャルセクターにも両方あって、例えば今日も、おもちゃをサブスクで貸してくれる(トイサブ!)や、フードロスのアプリ(TABETE)に登録しているレスキュー隊員が何十万人いるというプレゼンがあったじゃないですか。

おもちゃのサブスクで、物を大切にする玩具産業への構造改革に挑む「トラーナ」(ICC KYOTO 2021)
廃棄予定の食品をレスキューする「TABETE」から、適量生産・消費する社会を目指す「コークッキング」(ICC FUKUOKA 2022)

一方で農業は、そんなにぐっと広がりません。

これは本当に誤解している人が多くて、エクスポネンシャルなビジネスはバイオテクノロジーとインフォメーションテクノロジーにしか起きないんですね。

例えば、半導体は同じ面積当たりの実装する半導体の量が1年で2倍に増えますから、10年で1,024倍に増えるんです。2の10乗は1,024でしょう?

でも例えば、農家さんがどんなに頑張っても、同じ畑でリンゴの収穫量が10年で1,024倍に増えます? 絶対に増えないですよね。

経営者がITのカンファレンスに出て、そもそもフィールドが全然違うのに、「この会社は10年で1,000倍とかすごいことを言ってるぞ。自分は何が間違っているのかな」「あっちはすごいカッコイイな、自分は何が間違っているんだろう」と考えても意味が無いので、どういうフィールドなのかをまずしっかり見極めることが大前提です。

その上で、ソーシャルビジネスや、時間がかかる、インクリメンタルな、ちょっとずつ変えていかなければいけない場合には、改善の打ち手やトライアルの回数を、とにかく増やすことが最も大事です。

その中からうまくいきそうなものに、肥料と少ないリソースを集中するのです。

まさに田口さんが、大企業と人材交流の話をして、そういうやり方で拡張するとおっしゃられていましたが、これがスタートアップ、アントレプレナーにとって一番いいやり方なのです。

自分がどのフィールドなのかをしっかり見極めることと、自分がどういうときに普段以上の力が出せるのか、頑張れるのか、もうちょっと自分のビジネス、キャラクターや性格というものも、こういう機会にスタートアップの方には特に見ていただけるといいのではないかと思います。

三輪 ありがとうございます。会場からご質問があるようです。お願いします。

(続)

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続きは 6. ソーシャルセクターへの投資は何がポイントとなるか? をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美

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