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6. 人間の会話で地球環境が悪くなる!? 無駄な質問をしてはいけない理由

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ICC FUKUOKA 2023のセッション「解説・雑談シリーズ  テクノロジーはどこまで進化するのか?(シーズン7) 」、全8回の⑥は、モデレーターの西脇 資哲さんがメンバー全員がバーチャルのK-POPグループや、AIのグラビア写真集の話題を紹介。リアルとバーチャルが混在していくなかで、エンドレスに続く開発や学習の課題についても話し合います。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは エッグフォワード です。


【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 9G
解説・雑談シリーズ 「テクノロジーはどこまで進化するのか?」(シーズン7)
Supported by エッグフォワード

▶「解説・雑談シリーズ  テクノロジーはどこまで進化するのか?(シーズン7)」の配信済み記事一覧


韓国の3Dアーティストがすごい

西脇 砂金さんにお聞きしたいです。

韓国はめちゃくちゃアバターを使うじゃないですか。

何かアバターについての動向はありますか? 

ちなみに私の持っているメタバース空間の統計データでは、メタバース空間の女性アバターの7割はリアルでは男性です。

どうですか、アバターでの抵抗感とか。

砂金 どうでしょう? 抵抗感は全くないし、アバターという言葉が結構色々な意味合いを持っています。

SNOWのAIアバターって、フィルターとしての要素が強いと思うんですよね。

生成はしているんだけれども、自分をちょっといい感じに見せたいという欲求に応えてくれるフィルタリング装置をあえて生成系で作っているのが、SNOWのAIアバターだったりします。

アバターという言葉が、色々なものをミスリーディングするんじゃないかなと思います。

一方で、韓国がすごいなと思っているのは、アーティストを3Dで、ちゃんと精巧なものを作っていて。

メンバー全員バーチャル!K-POPグループ「MAVE:(メイブ)」を深掘り(COSMOPOLITAN)

北川 見ました。

西脇 デビューして、お金を稼いでいますよね。

砂金 一般の人を3Dアバターにしても多分採算がとれないし、コンテンツ、エンタメとしても微妙ですが、いわゆる日本で言う芸能人7人グループの、そのうち2人だけがアバターというか、AIでしたみたいなことを、韓国はそのうちやってくると思います。

西脇 もうありますよ、そのアバター。

砂金 韓国はその技術がすごいですよね。

(パソコンに向かう西脇さんへ)何か探そうとしています?

西脇 韓国のアーティストを追いかけて…、追いかけてるんじゃない。

(一同笑)

尾原 今本心で言いましたよね?

村上 本音が漏れましたね。

砂金 西脇さんの推しをここで。

メンバー全員がバーチャルのK-POPグループ

西脇 右側の11人は、2021年に韓国でデビューした、バーチャルヒューマンのK-POPグループ(ETERN!TY)です。

2022年に、AI作曲家による曲をリリースしました。

曲もダンスもAIなので、全部AIです。

韓国発のバーチャルガールズグループETERN!TYが日本で本格始動 2022年5月19日(音楽ナタリー)

日本は2018年に、上のスライド真ん中ぐらいのレベルですね。これは顔を生成するものです。

【データグリッド】アイドル自動生成AI(YouTube)

ガワから曲、音楽まで全部やってというのは、韓国が一番進んでいますね。

砂金さんが言ったように、男性5人のグループのうち4人は人間で、1人がAI。最初のデビューのときは明かされなくて分からない。それで人気を出して。

新人ボーイズグループ“SUPERKIND(スーパーカインド)”がデビュー!“AI”メンバーを含む、5人のプロフィールをチェック♪(VENESIS)

砂金 どれがAIか、みんなで見破ろう。

西脇 みたいな感じのブームが起きているようですね。

北川 曲もAIなんですね、いいですね。

尾原 実際には中国だと、作曲と作詞は人間がやっているけれど、AIボイスで歌った曲をテンセント・ミュージックに1,000曲流したら、1つが5,000万円ぐらい稼ぐ音楽になりましたみたいなのが出たりしています。

Generative AIはたくさんのパターンを作れますから、その中で壮大なABテストの結果、ワンオブミリオンの、むちゃくちゃヒットを生むみたいなところもあります。

西脇 無限にそういうのが増えますよね。

砂金 ABテストをやるというのは一般論で言っているとそうなんですが、最後に儲かるのはテンセントだけみたいな感じがあるじゃないですか。

“最後に正解データを持っている人は誰ですか問題”があって、構造を分かった上で、先行投資しても正解データを取りに行こうとする人たちは、多分非常に有利な感じになると思います。

ただ、AI的に言うとゼロショットで、一発目から素敵な音楽や素敵な文学作品を作ろうみたいなことに、試行回数0回でとにかく良い答えを出そうとするアプローチだと、いいものはできないような気がします。

尾原 そうですよね。

むしろ試行回数が無茶苦茶ループできる場を持った人のほうがワンオブミリオンな、お金になる歪みみたいなものとか、憧れを生む異常値みたいなものを手に入れる可能性はありますからね。

AIのグラビア写真集が登場

西脇 ではここでGenerative AIの話を整理しましょう。

いよいよこんなものが発売されました。AIのグラビア写真集です。

AIが作った「女性のグラビア写真集」を出版。毎日7000円の印税収入に(日刊SPA)

尾原 (笑)。

西脇 何がいいかと言うと、無限に出版できることです。

しかもあなた用の写真集というパーソナライズができます。

モデルのコストはゼロ。

こういう時代になったんだなあ、本当に。

尾原 ユーザーにちゃんとパーミッションを取れば、どのページを何秒閲覧したかとか、そういうフィードバックデータから作り直せますよね。

村上 こうなってくると、データは誰のもの?とか、生成されたコンテンツは誰のものなんだという問題が、やっぱり出てきてしまいますよね。

西脇 Getty Imagesが、今訴えていますよね。

サッカー選手の写真をそのままStable Diffusionが無断利用しているんじゃないかと裁判をやっています。

画像生成AI「Stable Diffusion」をGetty Imagesが著作権侵害で提訴、これで2回目の法的手続き(Gigazine)

北川 今、OnlyFansという海外のストリーミングサービスの売上が年間5,000億ですか?。

投げ銭サービスなんですが、残念ながらもともとクリエイター用のPocochaみたいな感じでやっていたはずなんですが、海外は残念ながら完全にエロに振れてしまって、それが収入源になってはいます。

もしかしたら全部AIでやったら相当儲かりますよね。

すみません、儲かる話をしてしまって。そういうセッションじゃなかった。

村上 でもまあ、応用にはなっています。

(一同笑)

無駄な質問は地球環境を悪くする

砂金 いや、気軽に言っていますけど、こういうモデルを作るのに無限の電気代とGPUが必要なので、そうなっていないと継続性がないんです。

初期のモデルを一発作って終わりではなくて、強化学習、追加学習をしなくてはいけない。

西脇 そうなんです。

ChatGPTもMicrosoftのBingもAzureで動いていますけれども、要は地球環境に良くないんですよ。

たとえば、本当にくだらない質問を書く人がいるんですよ。

そのために、データセンターのCPUはめっちゃ回るんですよ。

「おならは臭いですか?」とか、こんな質問をする人が世界中にいて、分かっているのに、そういうことを聞く人もいるんです。

そういう質問で世界中のコンピュータが回りまくる現象が起きています。

今までそんな人間の会話で、地球環境を悪くしてきたことはなかったですよね。

でも、そんなことで地球環境を汚していくので、サステナビリティ上問題になっているのです。

だめでしょう? これは本当に。

皆さん、そんなことを聞かないでください、本当に。

そういう検索は本当にめちゃくちゃ多いんですよ。

村上 1回何ドルとか、かかっているわけですからね。

方向性はいかにコンパクトにするか

砂金 超大規模スーパーコンピュータで動いています、Azureで動いていますみたいな話を皆さん想像すると思いますが、北川さんのご意見もお伺いしたいですが、ここから先いかにコンパクトにするかという方向に向かうかなと思っています。

我々も事業として使うときに、最大パラメータ数のモデルを使うと、これは絶対赤字です、どこまでいっても黒字にならないですみたいな試算があります。

これを、経験を生かしてコンパクトなモデルでファインチューニングにして、広告のキャッチコピーだけをクオリティ高く作れるモデルで、コンパクトだけれど1,750億パラメータとほぼ同等性能みたいなものを、ちゃんと作っていかないといけません。

その先は、学習用も推論用もそうですが、“チップセットを作れるかどうか問題”で、MicrosoftもGoogleもAppleも作れそうな気がするんですよ。

AIモデルがあって、「ChatGPTであたったぜ」と言って、今は汎用のNVIDIAさんのGPUとかでやっていると思いますが、「これ専用のチップセットを作ったら勝ちじゃない?」と、多分皆さん思っていると思います。

人工知能(AI)チップセット市場ーテクノロジー別(機械学習、自然言語処理、コンピュータービジョンなど)、ハードウェア別、エンドユーザー産業別、地域別ー世界的な予測2030年(PR TIMES) 

尾原 ちょっと北川さんにご意見を伺う前に、今の感覚で言うと、だいたい今Googleなどのいわゆる検索エンジンは、回すのに1回0.03円ぐらいかかると言われています。

それに対して、今のChatGPTは1回0.3円ぐらいかかると言われています。

西脇 その通りです。

北川 へえ、知らなかった。10倍。

尾原 そこを超えていますよね。

西脇 環境も汚しているという。

北川 今の砂金さんの話は、Appleが作ったM1チップみたいな感じで、システム・オン・チップ(SoC)というんですか? ハードウェアにある意味、行列計算の……

尾原 そうですね。

西脇 SoCにするか、あるいはもっと違うモデルになるかもしれません。

砂金 モデルをコンパクトにするというのと、さらにそれを専用のハードウェアで、スマートフォン上で動くぐらいなものにできたとすると、結構世の中はいろいろ変わってきます。

(続)

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成

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