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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2024は、2024年2月19日〜 2月22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターは エッグフォワード です。
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【登壇者情報】
2023年9月4〜7日開催
ICC KYOTO 2023
Session 10D
リジェネラティブ社会への変革の取り組み(シーズン2)
Supported by エッグフォワード
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▶「リジェネラティブ社会への変革の取り組み(シーズン2)」の配信済み記事一覧
ライフサイクル全体を見据えるサーキュラー型建築
福島 僕らSanuはVUILDと同様に建築がテーマで、セカンドホームを建てています。
リジェネラティブ、サーキュラーなどという言い方をしますが、商品の原材料選びから、建築をし、ハチドリ電力の電気を使って実際に運用し、解体するまでのライフサイクルの時間軸を伸ばしながら、それぞれのステップでできることを行っています。
その努力を見える化するため、スライドの右側に書いているように、ライフサイクルアセスメントをしています。
従来の在来建築に比べて、CO2排出量がどれだけ少ないかをきちんとカウントしています。
めちゃくちゃお金のかかる事業なので、2030年や2040年になると、皆さんカーボンを買いたくなるような時代になると思います。
不動産アセットのポートフォリオの一つに、カーボンマイナスな建築物や運用物を入れるだろうという流れに合わせて、こういう取り組みを行っています。
例えばデンマークでは2023年から、新築の建築を作る際、平米あたりのカーボンフットプリントが一定値以下でなければ建てられなくなっています。
そういう時代にもなってきているので、このライフサイクルアセスメントを手がけている理由です。
これは、僕たちが作っている建築の配置図面です。
ドローンなど色々な手法で、敷地内の木について、樹種、サイズ、健康状態などを把握しています。
文献調査をしながら新たに移植する木や、建築中は一旦抜いて建築後に別の場所に配置するために戻す木もあり、なるべく木を傷めないように開発をしています。
この図面の中央に、うねった道があります。
通常の宅地開発だと、横に6m幅のコンクリート道路を引くのですが、土の山になっている構造そのもの、つまり自然の形状をそのまま利用し、地形に合わせた開発をしています。
また、建築に使った分、木を植えています。
つい最近、ビル・ゲイツさんが、サンフランシスコで間伐した木を地中に埋めることでCO2を出さないようにするテックカンパニーに投資したようです。
▶ビル・ゲイツも認めたCO2封じ込め企業、コダマ・システムズの挑戦(Forbes JAPAN)
木もCO2をめちゃくちゃ吸いますので、例えばアメリカでは山火事が起こると、CO2が大量に放出されてしまいます。
その木を切って地中に埋めるというのは、なかなか逆転の発想だなとは思いますが…いずれにせよ、日本で樹齢50年ほどの木が増えています。
そういう、おじいちゃんおばあちゃんの木は当然CO2を吸わないので、適切な間伐を行って若い木を植えるということです。
日本では、人間だけではなく森も高齢化しているので、若年層を増やしていく活動しています。
山崎 ありがとうございます。
田口 SANUの建築は、水の流れを邪魔しないところがすごいですよね。
福島 基礎の部分ですかね。
田口 基礎の設計を見て、僕はびっくりしました。
福島 高床式にしているので、風の道と水の道を止めないように、杭を打って空中に浮かせたような建築にしているのは、特徴の一つだと思います。
「リジェネラティブ社会の実現に向けて」これから何をする?
山崎 ありがとうございます。
ということで、終了時間があっという間に来てしまいました。
僕はやはり、皆さんのケースが非常に面白かったと思います。
色々なヒントがあったと思いますので、セッションテーマへの回答として、「リジェネラティブ社会の実現に向けて」これから何をするのかについて、最後に一言ずついただいて終えたいと思います。
福島さんから、お願いします。
福島 我々の事業そのものがリジェネラティブです。
冒頭にも申した通り、人を自然の中に連れて行くことがすごく重要だと考えていますので、事業の拡がりを以て人間が自然に触れる機会を増やせればと思っています。
もう一つ取り組もうと思っているテーマは、そろそろカーボンの議論はカーボンだけではダメだということです。
カーボンだけの話をしているのは、地球儀の反対側だけ見ているようなものなので、もう半分の生物の話もしなければいけないです。
開発における生物多様性の指標化も可能になっています。
イギリスだと、公共事業を行った後に生物多様性が10%以上増えない場合は、事業自体が行えません。
世界は、カーボンの先の課題に既に取り組んでいるように思います。
僕らは、「リジェネラティブ企業です」と言うのはおこがましいので、「リジェネラルティブ企業を目指している」「そういう考え方を取り込みながら日々、努力している」状態です。
ですから、今後もそういう活動を続けていきたいと思っています。
永田 社会をどう変えるかという最終着地点を考えた時、やはり単独では無理で、社会を動かさなくてはいけません。
社会は、理想だけでは動いてくれないので、これをすれば儲かる、株価が上がるというところに紐付けることで、外部に影響を与えて働きかけることにこだわりを持って事業を行っています。
80億分の1,000人ではなく、80億分の1億、10億人という規模の話にする必要があるので、それをこれから突き詰めたいと思っています。
だけど、根本のところを見失わないことを、これからも大切にしたいなと思っています。
ありがとうございます。
田口 リジェネラティブは本当に、目指すものという感じですね。
我々のオフィスにはゴミ箱がなく、ゴミは必ず持ち帰らなければいけないことにしています。
そうすることで、自分が1日どれだけのゴミを出しているのかが分かると、意識が変わると思います。
そういう類のことはたくさん行ってきましたが、リジェネラティブとなると、もう根本から変えなければいけないと感じます。
そのお題に向かって、愚直に取り組んでいこうと思います。
僕は、言っていることとやっていることが同じという言行一致を一番大切にしています。
そして、方向性として、リジェネラティブという高い目標を掲げようという感じです。
世の中を変えていくために事業を続け、伸ばしていく
秋吉 ICCサミットには初めて参加したので……。
山崎 本当に、初めての登壇らしいです。
秋吉 スタートアップ系イベントは初めてかもしれないです。
愛のないVCという話(Part.5参照)がありましたが…こういう場に来ると、「そんなの儲かるの?」とマウントとられたら嫌だなと思いながら今回参加しました。
そもそも僕も、反体制派としてスタートアップをしようと思っていました。
今回参加して、同じ気持ちの人たちとお話ができて嬉しかったと思う一方、やるべきことは愚直に今の事業を行うこだなと。
そのためには、死なないことが重要です。
僕たちは、死にかけたら必要な分の資金調達を毎年ちょくちょく行っていますが、それにも結構限界があると感じています。
今期は単年度で黒字化を達成し、ちょうど先月デットファイナンスで2億の融資を受けることもできました。
我々の場合、ファイナンスの資本施策として、愛のある個人投資家、特にエグジット起業家30人が株主です。
世の中を変えていくために並走してくださる、愛と理解のある起業家や事業会社とコラボレーションをして、かろうじて食いつないできています。
ただ、本当はもっと振り切りたい気持ちがあります。
同志のような長期保有株主がいらっしゃるというユーグレナの話(Part.2参照)は、夢があるなと思いました。
ソフトウェア企業のように、短期的に大きく伸びないかもしれないですし、5年や10年というファンドサイズではクローズできないかもしれないですが、長期的にはインパクトを与えられる事業を行っている自信があります。
ですから今、VCによる大きな調達ではない方法で食いつないで伸ばしていくことに挑戦しており、このまま続けたいと思っています。
山崎 ありがとうございます、素晴らしい。
食いつなぐことは大事ですよね。
食いつないでさえいれば、応援してくれる人がいる時代になったなと、つまり見えないところに目を向けてくれる人が増えたなと思います。
会場の皆さんも、このセッションに参加されたということは、リジェネラティブ社会の実現の裏側にある難しさに興味を持ってくださっている方々だと思うので、このセッションの後にあるCo-Creation Nightではお互いつながってほしいです。
こういうテーマに興味を持つ人にはめちゃくちゃ面白い人が多いと僕は思っているので、ぜひつながってもらえたらと思います。
今日は面白かったですね。
僕にとってはすごく刺激になりました、ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成