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5.100年生きるということは、本当に幸せなのか?

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「人生100年時代の幸せな生き方とは?」7回シリーズ(その5)では、長生きすることは本当に幸せなのか、という逆説的な議論が白熱します。長寿地域での「歳を取ること」への意外な価値観とは? 是非御覧ください。

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ICCサミット FUKUOKA 2018のダイヤモンド・スポンサーとして、Motivation Cloud (Link and Motivation Inc.) 様に本セッションをサポート頂きました。

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2018は2018年9月3日〜6日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2018年2月20-22日開催
ICCサミット FUKUOKA 2018
Session 7F
人生100年時代の幸せな生き方とは?
Supported by Motivation Cloud (Link and Motivation Inc.)

(スピーカー)

石川 善樹
Campus for H
共同創業者 / 医学博士

井上 浄
株式会社リバネス
取締役副社長CTO

川上(全龍)隆史
宗教法人 春光院
副住職

川邊 健太郎
ヤフー株式会社
代表取締役社長 社長執行役員 CEO

(モデレーター)

南 章行
株式会社ココナラ
代表取締役社長

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最初の記事
1.経営者×研究者×宗教家で「幸せ」を語り尽くす!

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4.「人生100年時代」に起こる価値観の変化

本編


石川 人生100年時代の幸せを考える上では、幸せの先輩たちから学ぶことは重要だと思っています。

先ほど川邊さんがおっしゃった、ギャラップ社の5つの基準でアメリカ50州を幸せ順に並べると、第一位がハワイ州です。

川邊 それは何となく想像がつきます。

石川 暖かかったら、ハッピーだろうということですね。

第2位が意外で、アラスカ州なんです。

ハワイとアラスカ。

グローバルで見ると、残念ながらブータンは入っていません。

川邊 調査対象に入っていないのですか?

石川 入っていません。

150ヵ国で見ると、日本は50位前後ですね。

そしてあの基準に照らしてハッピーな人、つまり満足な人は、日本では約19%と言われています。

 19%はいるのですね。

石川 いるのです。

 意外といるのですね。

石川 ただ、トップ3というのがあって、

川邊 世界のトップ3ですか?

石川 そうです。

このトップ3は、4位以下を引き離したトップ3なんですよ。

川邊 ダントツのトップ3。

石川 ダントツです、8割越えです。

 8割!?

石川 国民の8割を超える人間が幸せです。

井上 相当ですよね。

石川 やはりそこから学ぶことが多いと思うのですが。

川邊 その3ヵ国はどこなのですか?

石川 第3位はデンマーク。

第2位はコスタリカ。

川邊 中米。

石川 中米ですね。

第1位は王者パナマです!

Campus for H 共同創業者 / 医学博士 石川 善樹 氏

(会場笑)

川邊 王者なのを知らなかったですが、パナマですか。

石川 パナマはここ2年連続一位なのですが、一体パナマで何が起きているでしょうか。

川邊 知りたいですね。

石川 コスタリカとデンマークについては、昔から、どうもあいつらはハッピーらしいぞという噂はありました。

特にデンマークなんて、40年連続ヨーロッパチャンピオンです。

川邊 もう圧倒的ですね。

「幸せのロールモデル」があり、同質性が高い国の幸福度が高い

石川 この寒い国デンマークと、暖かい国コスタリカには、共通点があります。

それはなぜというと、外から移り住んだ人は分かるのですが、毎日やることが多いからです。

川邊 どういうことですか?

石川 例えばデンマークは、半年くらい雪に包まれます。

(井上さんが)いらっしゃる山形と似ていますよね。

井上 今(2月)も十分大変ですよ(笑)

石川 家の中にいると鬱になるじゃないですか。

そこで彼らが考えたのが、やることを作ろうということで、毎日イベントがあります。

そのイベントをこなしていると、基本的にはハッピーだよねということで、幸せな生き方・満足する生き方が何なのかというはっきりとしたロールモデルがあるのです。

デンマークでもコスタリカでも。

かたや日本のように自由な国では、ロールモデルがありませんね。

川邊 ないですね。

それもロールモデルですからね。

石川 自由な国は、意外と生きづらく、幸福度が低いんです。

やはりロールモデルがある方がいいということです。

川邊 やはり、自由だと不安が多いですよね。

井上 逆に、デンマークで、満足していない人の意見を聞きたいですよね。

そのレールに乗るのが嫌だということなのでしょうね。

石川 その人達は、単純にレールに乗っていない人達なんですよね。

川邊 乗れていない?

石川 乗れていなくて、家の中で鬱々としているという人達ですね。

パナマは何なのでしょうかね。

それが、分からないんですよ。

だから我々はパナマに行かなければならないのです。

井上 また行くのですか?

(登壇者笑)

川邊 ブータンツアーに続いて。

次回のICCサミットでパナマ文書を持ってきてください(笑)

石川 ブータンとデンマークに共通しているのが、性に対して非常におおらかであることです。

ブータンは基本的に多夫多妻制の国です。

川邊 どうですか、川上さん。

川上 デンマークや、コスタリカや、パナマなどでしょう。

社会主義的なところというのは強いのでしょうか。

そういうのって、かなりあるのではないでしょうかね?

石川 それはあると思いますね。

特にデンマークは単一民族で、社会主義というか、外国人をかなり排除している国です。

川上 多様性がない国というのはまとまり易いところがあったり、隣人との距離感もすごく近くなるということもあったりします。

そこで幸せって何だろうという話になってくると、「いいことばかりをやっていっても、結局幸せにならないよね」という世界になってくるのではないかと思います。

石川 特に、「ポスト・ヘルス時代」を考えると…

川邊 すぐに訪れますからね。

長寿地域では「歳を取ること」に価値がある

石川 世界には、長寿地域というのがあるんですよ。

イタリアのサルディーニャ(Sardegna)や、沖縄などの長寿地域の共通の特徴は、「歳をとることに価値が置かれている」ということなのです。

僕ら日本人は80歳の人を見た時に「お若く見えますね。60歳かと思いました」なんていうことを平気で言のですが、若さに価値が置かれていない長寿地域でそんなこと言うと、失礼にあたります。

井上 歳をとっていることに価値があるのですね。

石川 だから80歳の人に「えっ?!90歳かと思いました!」と言うと、「あらそう?」みたいなことになるのですが。

(登壇者・会場笑)

歳をとるほど価値がでることの証に、沖縄には6段階の敬語があるんですよ。

これは石垣島でまだ実際に残っている風習なのですが、色々な意味で(人生を)一周したと言われる98歳になると、最上級の6段階目の敬語を使われて、誕生日に担がれて島を一周できるみたいです。

皆それを目指して、「98歳までは!」みたいになります(笑)

井上 なるほど。

石川 ですから、そういう、歳をとるからこそ解禁される何かを社会として作っていくことが、多分、重要なのでしょうね。

井上 ビンテージ社会ですね。

石川 そういえば、仏教界はどうですか?

結構、年功序列なのですか?

長生きすることは幸せなのか?

川上 かなり年功序列なのですが、今 石川さんがおっしゃっていたこととは全く違うことを考えていました。

「ポスト・ヘルス時代」というのは本当に幸せなのだろうかなとずっと考えていて、病気になることって不幸せなのかということも考えていました。

宗教法人春光院 副住職 川上(全龍)隆史 氏

病気になる人や、100年以上生きられない人も当然います。

統計的に100年以上生きる人が増えるだけであって、例えば30歳で死ぬ人もいるし、どんなに健康が改善されたって、交通事故で亡くなる人もいますし、何だかんだで早死にする人もいます。

昨年、ステージ4の末期癌の方々と、マインドフルネスや瞑想のセッションをやったのですが、彼らは皆幸せでした。

中には40歳くらいでステージ4の人もおられました。

ただ健康になって100年とか120年とか生きるような時代になった時に、それが本当に幸せなのかなと思ったり、逆に短い寿命が短いほうが幸せなのかもしれないとも思ったりもしました。

石川 QOL(Quality of Life)研究では、健康な人よりも病人の方がQOLが高いという矛盾が昔からあります。

登壇者一同 ほう。

石川 病気の方がQOLは高いという報告があります。

川上 スタンフォードのロンジビティセンター(Stanford Center on Longevity)でもそうですよね。

80歳のお年寄りの方が、20歳の若者よりも幸せだというのがあって、それはどういうことかというと、80歳の人だともう先が見えているから、ないものねだりをしません。

今あるものを大切にします。

「今ここ」、目の前にあることに感謝をする。

でも、若い世代の場合は、まだ先が長いので、これをやったら新しいものが得られるのではないかという欲も出てきます。

そう考えた時、100年生きるということは、本当に幸せなのかなと思いました。

(続)

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続きは 6.インターネットによる「寂しさ」の再生産 をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/戸田 秀成/浅郷 浩子/尾形 佳靖/本田 隼輝/Froese 祥子

【編集部コメント】

「幸せのロールモデル」がある国・ない国という話がありましたが、今の日本にはどんなロールモデルがあれば、僕らは幸せなのかな?と思いました。一方で、生き方の多様性こそが幸せの源泉のような気がします。(尾形)

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