諸科学は万物をどのように「理解」しているか? 自然科学・社会科学・人文科学で異なる"理解の作法" | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

1. 諸科学は万物をどのように「理解」しているか? 自然科学・社会科学・人文科学で異なる“理解の作法”

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ICCサミット FUKUOKA 2019の大好評セッション「大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?」を全7回シリーズでお届けします。(その1)は、人間を理解する前に「そもそも、理解するとはどういうことか?」を予防医学研究者・石川善樹さんが解説します。ぜひご覧ください!

▶ICCパートナーズではコンテンツ編集チームメンバー(インターン)の募集をすることになりました。もし興味がございましたら採用ページをご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月2日〜5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

ICCサミット FUKUOKA 2019のプレミアム・スポンサーとして、Lexus International Co.様に本セッションをサポート頂きました。


【登壇者情報】
2019年2月19〜21日開催
ICCサミット FUKUOKA 2019
Session 2F
大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?
Supported by Lexus International Co.

(スピーカー)

石川 善樹
Campus for H
共同創業者

井上 浄
株式会社リバネス
代表取締役副社長 CTO

岡島 悦子
株式会社プロノバ
代表取締役社長

北川 拓也
楽天株式会社
常務執行役員 テクノロジーディビジョン CDO (Chief Data Officer)

(モデレーター)

村上 臣
リンクトイン・ジャパン株式会社
日本代表

「大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?」の配信済み記事一覧

本編

村上 臣氏(以下、村上) 皆様、マニアックなセッションにようこそおいでくださいました!


村上 臣
リンクトイン・ジャパン株式会社
日本代表

大学在学中に仲間とともに有限会社「電脳隊」を設立。その後統合したピー・アイ・エムとヤフーの合併に伴い、2000年8月にヤフーに入社。一度退職した後、2012年4月からヤフーの執行役員兼CMOとして、モバイル事業の企画戦略を担当。2017年11月にLinkedInの日本代表に就任。複数のスタートアップの戦略・技術顧問を務めている。

題して「人間を理解するとは何か?」、会場が満員ですごい熱気ですね!

司会の方がさらっと「大人の教養シリーズ」と言っていましたが、今回が初めてのセッションですよね?

石川 善樹氏(以下、石川) 初めてです!


石川 善樹
株式会社Campus for H
共同創業者

1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。「人がよりよく生きるとは何か」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。 専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学など。2017年7月、子ども向け理系絵本『たす』〈白泉社〉が刊行。また近日『思想としての予防医学』が刊行予定。

岡島 悦子氏(以下、岡島) もしかしたら、1回で終わるかもしれない(笑)。


岡島 悦子
株式会社プロノバ
代表取締役社長

経営チーム開発コンサルタント、経営人材の目利き、リーダー育成のプロ。年間200名の経営トップに対し、経営課題と事業ステージに合致した「最適な経営チーム」を特定し、後継者登用・外部招聘・経営者コーチング・経営者合宿等支援サービスをハンズオンで提供。「日本に”経営のプロ”を増やす」ことをミッションに、経営のプロが育つ機会(場)を創出し続けている。
三菱商事、ハーバードMBA、マッキンゼー、グロービス経営陣を経て、2007年プロノバ設立。丸井グループ、セプテーニ・ホールディングス、リンクアンドモチベーション、ランサーズ、ヤプリ、FiNC Technologies他の社外取締役。経営共創基盤やグロービス・キャピタル・パートナーズ等、多数企業の顧問・アドバイザー、政府委員会メンバー、NPO理事等を歴任。ダボス会議運営の世界経済フォーラムから「Young Global Leaders 2007」に選出される。 主な著書に『40歳が社長になる日』(幻冬舎)等がある。

村上 前回のICCサミットで、最終日の午前中に“雑談”セッション(※)を行ったのですが、なぜか好評だったため、今回も引き続き行うことになりました。

▶編集注:ICCサミット KYOTO 2018『Fireside Chat シリーズ 最近「面白い」と思っていることを雑談!』のこと。概要はこちらのレポート記事よりご覧いただけます。

今回の「大人の教養シリーズ」は初めての試みなので、もしこのセッションの評判が振るわなければ、次からはありません。

石川 厳しいですね(泣)。

村上 もともと、本セッションの発案者は石川さんですよね?

どういう背景で実施に至ったのでしょうか。

石川 これまで、小林さん(ICCパートナーズ代表・小林雅)からは「このセッションに出てください」という依頼が多かったのですが、今回初めて「何がしたいですか?」と言ってもらえたのです。

村上 おお~、なるほど。

岡島 グレードアップしたということですね。

石川 そこで私はすかさず「人間を理解したいです!」と言いました(笑)。

井上 浄氏(以下、井上) それは、セッションの希望じゃないですよね(笑)。


井上 浄
株式会社リバネス
代表取締役副社長 CTO

博士(薬学)、薬剤師。リバネス創業メンバー。博士課程を修了後、北里大学理学部助教および講師、京都大学大学院医学研究科助教を経て、2015年より慶應義塾大学先端生命科学研究所特任准教授に就任(兼務)。2018年より熊本大学薬学部先端薬学教授および慶應義塾大学薬学部客員教授も兼任。研究開発を行いながら、大学・研究機関との共同研究事業の立ち上げや研究所設立の支援等に携わる研究者。株式会社ヒューマノーム研究所代表取締役、経済産業省 研究会委員、NEDO技術委員、株式会社メタジェン技術顧問、株式会社サイディン技術顧問、等を兼務。

村上 うん、個人的な興味だよね。

石川 で、気づいたらこのセッションができていました!!

村上 それで「大人の教養」という、いい感じのタグラインがついたのですね。

92歳の老人に学んだ「好きなことをやる」ということ

石川 それにしても、人間って面白いと思うんですよ。

この間、とあるイベントに呼ばれて話をしました。

参加者にはおじいさんやおばあさんが多かったのですが、終了後、歩くのも大変そうな92歳のおじいさんが近づいて来られました。

このイベントは毎週行われていて、その方は毎週参加されているようでした。

僕は広島生まれだと話したところ、その方も広島生まれで、「いつ東京に来たのですか?」と聞くと、88歳で東京に出て来られたということでした。

彼は、88年間住んでいた広島を出て、単身で東京に乗り込んできていたのです!

村上 ほお!

石川 理由を聞いたところ「だいぶ年を取ったので、これからは自分の好きなことをしてもいいと思ったから」だと!

岡島 88歳で!? すごいね。

石川 今は好きなこと、例えば海外旅行に行ったりしているらしいのです。

素朴な疑問として、88歳まで「好きなことをやろう」という発想はなかったのかと聞いたのです。

もう少し早く気づいてもよかったのでは? と言うと、「うーん、確かに…」という様子でした。

(一同笑)

井上 気づいてなかったんですね!

石川 そうです、彼は言われて初めて気づいたんですよね。

だから、人って面白いなと思ったのです。

それに、88歳からでもまだまだ遅くないんだと思いました!

井上 人生の先輩方はすごいですね。

村上 だからこそ、人を理解したいということですね。

石川 そうです。

村上 入れ替わりはありつつも、ICCは、回を重ねるごとにメンバーが仲良くなっていると感じます。

産業というのは人同士の関係性があって初めて成り立つものですので、やはり人と人とのつながりは大事です。

そのつながりをより良くするために「人間を理解したい」ということですね。

とは言え、仕事はできるけれども人間的にはダメだなという人もいたりして、難しいですよね。

井上 結構はっきり言いましたね(笑)。

村上 そこで議論を深めるために、石川さん作成の資料を紹介したいと思います。

そもそも「理解すること」とはどういうことか?

石川 まず、「理解すること」とは何かから始めますね。

岡島 定義しないといけないですね。

石川 これは僕の私見です。

研究者として物事を理解する時、「作法」があると思うのです。

科学は、「自然科学」「社会科学」「人文科学」と大きく3つのエリアに分かれます。

村上 そうか、今日はここにPh.D.(※)が3人もいるんですね…これは緊張しますね(笑)。

▶︎編集注:石川さんはハーバード大学公衆衛生大学院修了後に自治医科大学で、井上さんは東京薬科大学大学院薬学研究科で、北川さんはハーバード大学院物理学科で博士号の学位(Doctor of Philosophy:Ph.D.)を取得されています。

石川 自然科学では、物事を理解する時、「A=B×C」、例えば「力=質量×加速度」というふうにイコールで結ぶことが多いです。

社会科学の場合、人や社会を扱いますが、イコールにすることが難しいので「A≒B」と近似にするしかないのです。

岡島 なるほどね。

(会場から感嘆の声)

石川 あ、会場の皆さんも今日は反応がいいですね!

岡島 「面白がり集団」だから。

人間を理解するカギは「近似」にあり

石川 例えば僕の専門である予防医学で言うと、「健康≒Well-being」な状態であるとしました。

これは、健康というのは、肉体的・社会的・精神的に“Well-beingな状態”と類似形だということです。

そして、人文科学や哲学の場合「A→B」ですね。

AをBにすり替えて語ることが多いと思います。

例えば有名な哲学者が、退屈とは何か理解しようとした時、それは「事件をのぞむ気持ちがくじかれることである」としました。

それっぽくは聞こえるのですが、実際は何も言ってないですよね?(笑)

井上 問いに答えてないですよね(笑)。

(会場笑)

石川 とはいえ、それは僕らの理解が浅いともいえます。

人文科学の人は、Aという問題を考えるにはBから始めるといいのではと、ある意味「大元」の提案をしているのです。

まとめると、何かを理解しようとするときに、自然科学は「分解」、社会科学は「近似」となり、人文科学は「大元」の提案、というアプローチをしています。

村上 なるほど。

石川 「理解する」ということをこの3つに分けると、はて自分はどれをよく使っているかな? と振り返るよい機会になりますよね。

(続)

次の記事を読みたい方はこちら

続きは 2. 人間を理解するヒントは、京都の『洛中洛外図』にあり!? をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/花本 夏貴/上原 伊織/尾形 佳靖/戸田 秀成/大塚 幸

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