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「人間を理解するとは何か?(シーズン2)」全9回シリーズの(その3)は、京都の石清水八幡宮などに見られる珍しいおみくじを石川善樹さんが紹介します。それらの神社では、大吉でもなく凶でもない“ある運勢”こそが最良なのだとか。その運勢とは? ぜひご覧ください!
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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2020は、2020年2月17日〜20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット KYOTO 2019 プラチナ・スポンサーのリンクトイン・ジャパンにサポートいただきました。
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【登壇者情報】
2019年9月3〜5日
ICCサミット KYOTO 2019
Session 2B
大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン2) (90分拡大版)
Supported by リンクトイン・ジャパン
(スピーカー)
石川 善樹
株式会社Campus for H
共同創業者
井上 浄
株式会社リバネス
代表取締役副社長 CTO
川上(全龍)隆史
春光院
副住職
北川 拓也
楽天株式会社
常務執行役員CDO(チーフデータオフィサー)グローバルデータ統括部 ディレクター
(モデレーター)
村上 臣
リンクトイン・ジャパン株式会社
日本代表
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最初の記事
1. 今回も学び炸裂!「大人の教養シリーズ」第2弾、まずは前回のおさらいから
1つ前の記事
2. 言語のグローバル化が「人間の理解」を加速する〜マインドフルネスの概念を例に
本編
石川 科学というのは普遍性やグローバル性を探究するもので、おそらく今日も色々な話が出るでしょう。
自然現象に比べて人間現象の面白いところは、「サティ」というローカルなものがグローバルになりうるという、このローカル性が面白いと思うんですね。
そこで、例えばどんなものがあるかという例を、今日は2つ持ってきました。
「昨日」=「明日」? リンガラ語の世界観
株式会社Campus for H 共同創業者 石川 善樹さん
石川 1つが、最近僕が見たブログで、「東大を0日で休学した僕が、リンガラ語を覚えながらコンゴ川を下り、アフリカでベンチャーキャピタルを立ち上げるまで」というものです。
村上 ああ、ありましたね。
石川 出だしが面白いんです。「リンガラ語」というコンゴで使われている言葉があるのですが、
“リンガラ語で明日は「ロビ」、昨日も「ロビ」、そして明後日と一昨日は「ロビロビ」”
とあります。明日と昨日は一緒で、今日という1日を乗り切ることが全てだと。
すごくないですか!?
井上 すごいなあ。
村上 すごいですねえ。
石川 もし世界中が「今日」という概念しか持っていなかったら、どれだけ世界が変わるのか。
北川 ちなみに「今日」はなんて言うんですかね?
石川 それ調べたんだけど、分かんなかった(笑)。
(会場笑)
村上 まあ、“そのとき”に集中しているからね。
石川 それで結構大事だなと思うのが、重い慢性疾患を持った人の時間感覚がまさにこういう感じなんですよ。
「今日」しかないんですよ。昨日も明日も苦しい、だから今日しかないというふうになります。
時間間隔が過去から未来に向かうのが北川さんも解説してくれた「青春」ですが、歳を取ってくるとやはり「ロビロビ」のような感じになってきます。
僕はこれを、すごい面白い概念だなと思いました。
村上 なるほど。
「平穏無事が最善なり」石清水八幡宮のおみくじ
石川 もう1つ、今日ぜひ皆さんに覚えて帰ってもらいたい言葉があります。
ここ京都にちなんでいますが、皆さん、京都の石清水(いわしみず)八幡宮をご存じでしょうか?
日本には約8万の神社がありますが、石清水八幡宮にはその中でも珍しい「おみくじ」があります。
村上 ありますね。
石川 これがまた面白いんですよ。
日本人は、人生というものを昔から振り子になぞらえることが多いです。
普通おみくじは「大吉」がトップですが、その反面大吉はこれから運気が下がるという証なので、実はあまり良いものではないとされます。
そしてご存知のとおり、振り子の反対側には「凶」や「大凶」があります。
これは、これから運気が上がりますという印でもあります。
僕らはこれらを引いて「大吉だ」「凶だ」と一喜一憂していますが、甘いです。
村上 甘いと。
北川 そんなに簡単じゃないと。
石川 そう。石清水八幡宮にある、そこでしか引けないおみくじとは何か?
それは「平(たいら)」というものなんですよ。
一同 おおー。
石川 「平穏無事が最善なり」と。
この「平」というのは面白くて、大吉と凶があってこその「平」なんですよ。
皆さん、平成という字を思い出してください。
いま世の中は「令和」に注目していますが、僕はあえて「平成」に注目してほしいと思っています。
まさに平成という時代は「平」になった年なのではないでしょうか。
北川 GDPとかね。
村上 経済もそうですよね。
井上 令和が荒れるっていうことですね?
石川 いいですか? この「平(たいら)」の概念を覚えることです。
僕らはどうしても大吉や右肩上がりを良しとしますが、実は「平」が最善ではないでしょうか?
確かな経営、持続可能な経営につながるキーワードが「平」ではないかと思うわけです。
石清水八幡宮に行ってみてください。
今日だけは、おみくじを引いて「平」が出るまで引いてOKとします(笑)
村上 誰?(笑)
石川 今日はこの「平」が入った図を、ぜひ皆さんに覚えて帰っていただきたいなと思います。
人間とは「動的平衡」である
北川 物理的には、これは動的平衡ですよね?
僕の博士論文のテーマははまさに「量子物理学における動的平衡におけるトポロジー相」でした。
石川 分からない単語が、もう3つも出てきました。
(会場笑)
北川 この「動的平衡」は実は新しくて、物理学のほとんどの研究は「静的平衡」でできているんですよ。
石川 ピターっとしているということですね。
北川 ピターっと変わらないと。だから超電導物質にしろ半導体物質にしろ、世の中に出てきた科学発明のほとんどは「静的平衡」で説明されます。
一方の「動的平衡」は今まで数学的に扱うことが難しかったので、すごい発見が埋まっている分野です。
だから、僕も博士号を取るときに「動的平衡」でかなり色々な研究ができました。
僕は、経営も同じじゃないと思っています。
よく組織論の話をするときに、機能別に組織をつくるか、それとも事業別に組織をつくるかという話がありますよね。
うちの会社でもよくその議論になって、「いやいや、中央に寄せたほうが効率が上がる」とか「事業性にしたほうがアカウンタビリティが上がるからいい」だとか意見が出ます。
でも実際に起こるのは、それらが振り子のように行ったり来たりすることです。
一度事業性に振ってみたり、今度は機能性に振ってみたりと行ったり来たりして「動的平衡」を保っている状態が、実は企業としては非常に安定するのです。
石川 今日はもう結論が出たんじゃないですか、人間とは何か!?
北川 結論が出ちゃいましたね。
井上 「人間とは動的平衡である」ですね。
村上 そして「平が一番」ということですね。
でもせっかくなので、「Mindfulness」の話に戻りましょうか(笑)。
石川 「サティ」ですね。
(続)
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続きは 4. 禅における“円相”が西洋人に理解されづらい理由 をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/小林 弘美/戸田 秀成
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