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2. 流動性の高い組織やオンボーディングに「Notion」が向く理由

ICC FUKUOKA 2024のセッション「社内情報を制する!会社の成長のための「Notion」活用術~経営者たちがナレッジ活用のWHY/HOW/SO WHATを語ります~」、全6回の②は、ナレッジ管理・共有について議論がスタート。組織のサイズや構造の変化が多いスタートアップにとって、Notionでは何が便利なのか、YOUTRUST岩崎 由夏さん、UPSIDER宮城 徹さん、LayerX松本 勇気さんが実例をもとに説明します。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2024は、2024年9月2日〜 9月5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは Notion です。


【登壇者情報】
2024年2月19〜22日開催
ICC FUKUOKA 2024
Session 8D 
社内情報を制する!会社の成長のための「Notion」活用術~経営者たちがナレッジ活用のWHY/HOW/SO WHATを語ります~
Sponsored by Notion

(スピーカー)
岩崎 由夏
YOUTRUST
代表取締役CEO

宮城 徹
UPSIDER
代表取締役

西 勝清
Notion Labs Japan合同会社
ゼネラルマネジャー アジア太平洋地域担当

松本 勇気
LayerX
代表取締役CTO

(モデレーター)
村上 臣

「社内情報を制する!会社の成長のための「Notion」活用術~経営者たちがナレッジ活用のWHY/HOW/SO WHATを語ります~」の配信済み記事一覧


ナレッジ共有における3つの課題

村上 「ナレッジ管理」という言葉がありますが、意味は広いですよね。

Eメールやカレンダーもナレッジと言えばナレッジですし、今はチャットツールがあってオンラインミーティングができる会議システムがあり、それに付随するメモや議事録ツールがあって、スライドも作って…と、あらゆる種類のナレッジがあり、それぞれにプロダクトがあります。

登壇者のお三方には事前にアンケートを取らせていただき、ナレッジ管理について話したことをまとめてみました。

特にスタートアップに関しては、組織のサイズや構造がどんどん変わります。

理想としては、どんなステージでもメンバーが働きやすく、自走できて、どんどんコラボレーションをして、欲しい情報はすぐに見つかるという状態だと思います。

でも実際には、大きな課題が3つあります。

まず、「属人化」。

スタートアップあるあるかもしれませんが、誰かしか分からない、その人が休んでいたらどうするのという状態です。

そして、「サイロ化」。

組織が50人、100人くらいになると、忙しくて目先の目標を追いかけていると、事業部やセクションを越えて情報が流通しにくくなります。

それがきっかけでコミュニケーションが取られなくなり、横の人が何をしているのか本当に分からなくなりますので、コミュニケーションを起点としたコラボレーションが起こりません。

そして、「情報が見つからない」という問題は初期の頃からあると思います。

例えば、「あのテンプレートが見つからないから、また一から作るか」というケースや、人が辞めて引き継ぎがうまくいかず、辞めた人が持っていた情報が見つからないというケースなどですね。

岩崎さん、現実的にそのような状況はこれまでありましたか?

引き継ぎらしいものがなくてもNotionで事足りる

岩崎 そうですね。スタートアップは一定人材の流動性も高いので、もちろん一部退職者も出るのですが、その際、引き継ぎがあるようでないということがあっても、あまり困らないことも多いです。

気がつけば、どういうルールに基づいて何の仕事をしていたかという情報が全てNotionに残っていたので、誰か特定の人しか知らない、これはどうなっているの、みたいな問題は起こらなかったのです。

ずっと同じ人が働き続けるわけではないので、スタートアップには絶対に、そういうタイミングがありますよね。

Notionのおかげで耐えられた時期がありました。

村上 Notionの導入前は、ナレッジ管理はしていましたか?

岩崎 いえ、結構初期から導入していました!

村上 そうなんですね。

岩崎 文化作りやノウハウを重視していたので、本当に初期から使わせてもらっていましたね。

村上 なるほど。

宮城さん、いかがでしょう?

オンボーディングにかかる時間を短縮

宮城 徹さん(以下、宮城) 僕は2018年にUPSIDERを創業しましたが、2019年から使い始めたので、相当早くから使っているユーザーだと思います。


宮城 徹
株式会社UPSIDER
代表取締役

東京大学を卒業後、2014年にマッキンゼー・アンド・カンパニーに新卒で入社。東京支社・ロンドン支社にて、銀行オープンAPI等のデジタル戦略策定、手数料体系や店舗配置の最適化等、大手金融機関の全社変革プロジェクトに携わる。同領域への課題意識と知見・経験をもとに、共同代表取締役の水野と、2018年に株式会社UPSIDERを共同創業。

村上 皆さん、早いですね。

宮城 検索すると、過去の情報にもヒットします。

組織には新陳代謝がありますが、上手な引き継ぎができないということも避けられますし、最近、入ってきた人たちのオンボーディングが早いと感じています。

少し前に新しいCFOが入社したのですが、過去のファイナンス、プロダクトロードマップ、セールスに関する議論内容は基本的にNotionに溜まっているので、自分で必要なものを検索して、どんどんキャッチアップできます。

オンボーディングは成長企業にとってすごく重要です。

その人がいつ活躍できる状態になるかで、成長カーブが変わるので、情報をNotionに集約しているのは良い状況だと思いますね。

村上 ここにあるよとだけ伝えておけば、自然とオンボーディングにかかる時間が短くなったということでしょうか?

宮城 そうですね、そう伝えることもありますし、そこまできれいに整っていないこともあります。

整えていると、きれいすぎて使いづらいという心理が働くので、生活感のある方が…(笑)。

村上 ミニマリストの部屋には、気安く物を置けないみたいな?

宮城 そうです。

生活感がある方が、ふと思いついたアイデアを残せたり、簡単な、中途半端なメモを残したりしやすいと思います。

そういうメモにこそナレッジがあると思うので。

整理整頓はしてほしいですが、結果的にされていません。

ですので、ここにあるよと伝えますが、自分で検索したり辿っていけたりするのが良いのかなと思っています。

村上 それは、めちゃくちゃ分かりますね。

初期の頃、個人の情報をノートにして、カテゴライズし、ネストにして、すごくきれいに箱を作ったのですが、それで満足して使わなくなりました(笑)。

岩崎 すごく分かります。

前職では、フォルダが階層になってきれいに管理されているチームに所属していました。

荒らしてはいけないと感じたのもそうですが、階層になっているので検索がしにくく、ここかなと検索はするのですが、本当に網羅的にチェックできているのかどうか分かりませんでした。

ですから雑に検索すると、タブがたくさん開き、見て、探しているものがなかったという状況になりました。

村上 今一番使っているのは、ブログのネタを溜めるためのWebクリッパーです。

Notion (ノーション) Webクリッパー:Chrome、Safari(Notion)

Webクリッパー(Notionヘルプセンター)

気になったものは全てそこに放り込み、後でビューを調整するようにしていますが、その使い方が今の自分には一番フィットしています。

PCからでもスマホからでも操作できますし、記事は画像も含めて保存できるので、後からギャラリービューで見ることもできます。

とりあえず1箇所に溜めておけば、そこを見れば何とかなります。

重要な書類は1つのフォルダに入れておく、という感覚ですかね。

松本さん、Notion使いとして、いかがですか?

情報の整理やパフォーマンス向上のために専任担当を置く

松本 僕がNotionを使い始めたのは、2020年くらいです。

LayerXに戻ったのが2021年なので、その頃にNotionを無理やり導入したのです。

村上 無理やり(笑)。

松本 当時、異常な速度で会社が成長すると予測していたので、情報の整理が追いつかなくなると思っていました。

LayerXはもともと透明性を重視していました。

例えば、Slackのパブリック率が未だに90%ほどで、プライベートチャンネルやDMは特別な理由がない限りは使いませんし、経営会議の議事録もほとんど公開しています。

人事関連以外は、基本的に全て公開しています。

情報の透明性とメンバーの自走が、チームのスピードを加速させる(Notion)

検索はGoogleドライブでもできるのですが、ものすごい勢いで人が増えており、実態としてこの1年で約2倍の規模になっています。

村上 1年で約2倍ですか!?

松本 1年前は百数十名だったのが、今は250名を超えています。

そうすると、異常な数の情報が生まれるのです。

透明性は、ただ公開されているだけだと透明でなくなってくるのです。

つまり、太平洋の中から特定の魚を探すようなものになるのです。

村上 そうか、大きすぎるとそうなるのですね。

松本 はい。

透明性を要素分解すると、構造があること、公開されていることと、整理されていること、たどり着きやすいことだと思っています。

整理されていて、リズムとは発信タイミングのことですが、構造やリズムがあって、その後は適切な人にプッシュされていて、それで初めて透明だと言えると思います。

構造を作るにあたり、Notionはすごく優秀です。

村上さんがおっしゃった通り、大きなデータベースにとりあえず議事録などを詰め込み、後からフィルタリングをして使うという方法を我々も使っています。

村上 でも、それだけのスピードで組織が大きくなるとチームも変わっていくので、それに合わせて定義なども変えていくのは、かなり難しいですよね。

松本 理想の働き方=パフォーマンスの高い働き方である、能力×リソースのアクセシビリティ×情報のアクセシビリティでパフォーマンスが決まる、と福島(良典CEO)がよく言っています。

情報の整理や全体のパフォーマンス向上のために、専任担当を置いています。

各カテゴリに、イネーブリングチームがあり、彼らは、開発者やビジネス側が動きやすいように仕事をします。

例えば、社内Wikiを整理したり、オンボーディング用のパッケージを作ったりしています。

社内Wikiの作り方(Notion)

みんなが情報を入れていくとカオスになるので、整理のための専任責任者を置いているのです。

村上 その専任者は、各部署にいるのでしょうか?

松本 バクラクというSaaSの開発側とビジネス側、それぞれにいます。

我々は専任者のことを「大臣」と呼ぶのですが、Notion大臣のような人というわけではなく、広くイネーブリング活動を行う人たちで、彼らがNotionの整理も担当しているということです。

内容が流れがちなチャットツールから情報をストックするには?

村上 僕は、全員にもう一度聞きたいことがあります。

ツールは分散していて、何らかの形で使い分けをしていると思いますし、特にチャットは、色々なツールが導入されていて、日々お使いだと思います。

チャットでは重要な内容が流れがちですが、どうストック情報に変えているのか、変えるタイミングや方法について、 共有できるものがあれば、できる範囲でお願いしたいです。

ナレッジ管理について、チャットと他ツールの使い分けについて、いかがでしょうか。

岩崎 本当にオーソドックスな使い方をしています。

流していいものはSlack、議事録やノウハウ、引継書など流してはいけないものは全てNotionに保存し、リンクを貼ってもらっています。

書類の本文プラスその書類へのリンクが、Slackで共有されるようになっています。

村上 内容自体も見られるように、コピペで良いのでSlackに、でも保存元はNotionに集約するということですね。

岩崎 そうです。

ですから、今後入社する人はNotionからアクセス可能ですし、今いる人はSlackを見れば良いという状況です。

そういう管理にしてほしいと、口酸っぱく伝えていますね。

村上 ありがとうございます。

宮城さん、いかがでしょうか。

宮城 基本同じでして、込み入った情報はチャットではなくNotionに保存するという文化になっています。

我々の場合、ニューヨークとロンドンにもメンバーがいて複数のタイムゾーンがあり、また、福岡や長野で働いている人もいます。

ですので、オフィスに来ないと見られない、聞けない情報がある、または同じタイムゾーンでなければ知れない情報があるというような状況は禁止だと、入社時に伝えています。

いくらSlackが便利だとしても、Slackは情報が流れていってしまいます。

今Slackにポストしたとしても、ニューヨークの朝になると、メッセージが90件くらい溜まっている状況になります。

村上 そうですね。

宮城 その際、それぞれのメッセージがすごく長いと、消化するのが辛くなります。

ですので、少しでも見やすくし、また、流れていくべきではない情報は別のところに保存しておくことが非常に重要です。

我々の場合、まだ200人ほどの規模なので、この方針を明文化する必要はまだないですが、コアメンバーはこのやり方で情報共有をしているので、文化として浸透しています。

村上 ありがとうございます。松本さん、いかがでしょうか。

フロー情報のまま保存して後からストックに変換できる

松本 あまり変わらないですね。

言語化する文化があるので、Notionにまとめるようにしています。

ただ社内では、フロー、つまり流れてもいい情報かストックすべき情報なのかは意識してほしいと伝えています。

先ほど大きなデータベースを作るという話がありましたが、僕は、データベースとは、とりあえず保存しておく、流れてもいいフロー情報だと思います。

Notionを使っていてめちゃくちゃ便利だと思うのが、流れてしまうフロー情報でも、フィルターをかけてビューを作り、ストックに変換することができる機能です。

チームの情報共有で大切なのは?〜フロー情報とストック情報の概念とツールの使い分〜(Notion)

とりあえず保存する、後からビューで整理するという機能は、色々な場面で使えます。

事業部でデータベースを1個とか、なるべくデータベース自体は大きめに設計し、フロー情報はフロー情報のまま入れてもらい、後から整理できるようにしています。

それが完璧かと言われると、情報が多すぎて、最近は追いきれていない情報も出てきていると感じていますので、Notion AIを活用できればなと思っています。

村上 試行錯誤しつつも、現状を共有いただきました。

ありがとうございます。

次のトピックに移りましょう。

(続)

編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美

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