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1. 大手外資IT出身者が率いるスタートアップ4社の事業とその挑戦

ICC KYOTO 2024のセッション「元SAP・Oracle・Salesforce・BOX等、大手外資IT企業出身者が挑むスタートアップのエンタープライズセールスの立ち上げ」、全4回の①は、大手外資IT企業出身者のチームスピリット 道下 和良さん、Sansan富岡 圭さん、ジョーシス 高山 清光さん、booost  technologies大我 猛さんが、それぞれの経歴と自社サービスを紹介します。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2025は、2025年9月1日〜9月4日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションのオフィシャルサポーターは チームスピリットです。


【登壇者情報】
2024年9月2〜5日開催
ICC KYOTO 2024
Session 4E
元SAP・Oracle・Salesforce・BOX等、大手外資IT企業出身者が挑むスタートアップのエンタープライズセールスの立ち上げ
Sponsored by チームスピリット

(スピーカー)

大我 猛
booost  technologies株式会社
取締役COO (最高執行責任者)

高山 清光
ジョーシス株式会社
日本統括上級副社長CRO

富岡 圭
Sansan株式会社
共同創業者/取締役 COO

(モデレーター)
道下 和良
株式会社チームスピリット
代表取締役CEO

「元SAP・Oracle・Salesforce・BOX等、大手外資IT企業出身者が挑むスタートアップのエンタープライズセールスの立ち上げ」の配信済み記事一覧


大手外資IT企業出身者が集結!


道下 和良さん(以下、道下) 皆さん、こんにちは。


道下和良
株式会社チームスピリット
代表取締役CEO

株式会社チームスピリット 代表取締役CEO。1997年4月 日本オラクル株式会社 入社、エンタープライズ営業・営業部長を経てCRM/HCM事業本部長。2013年8月 株式会社セールスフォース・ドットコム(現 株式会社セールスフォース・ジャパン) 入社、執行役員を経て2016年8月 同社 常務執行役員として製品営業部門を統括。2019年6月 WalkMe日本法人 カントリーマネージャー兼代表取締役社長 就任。2022年7月 LINE株式会社(現LINEヤフー株式会社) AIカンパニー 入社、カンパニーエグゼクティブCCO 就任、2023年5月 ワークスモバイルジャパン株式会社(現 LINE WORKS株式会社)との経営統合をへて 執行役員 営業統括 就任。2024年12月に現職に着任

セッションテーマが「元SAP・Oracle・Salesforce・BOX等」ということで、我々の出自が既に書かれております。

登壇されているのは大手の外資IT企業出身で、スタートアップのエンタープライズセールスの立ち上げにトライしている、あるいは立ち上げの先駆者の方々です。

アーリーフェーズから、エンタープライズセールスの立ち上げにトライする会社も増えているのではないかと思います。

今回は会場も大きくないため、皆さんと一緒に考えていけたらと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それぞれ、どういうバックグラウンドがあって今に至っているのか、自己紹介を含めてお伝えします。

その前に、本日議論したいことの全体像です。

「狙い・戦略」については、そもそもなぜエンタープライズをターゲットにしているのか。

会社ごとに理由があると思います。

というのもエンタープライズは、一言で言うと、複雑だったり、時間がかかったりしますよね。

なぜ、難易度の高いものにわざわざ取り組むのかについては、 色々な考えがあると思います。

次に、「戦い方」ですが、私はSalesforceで働いていましたが、マーケティング、インサイドセールス、カスタマーサクセスの分業制、いわゆる「The Model」の方法をとっていました。

「The Model」(ザ・モデル)とは?概念と実践をSalesforceが分かりやすく解説(セールスフォース)

そのモデルでうまくいくこともあれば、そうではない部分も多々ありますよね。

どうやって顧客の懐に入るのか、仲良くなるのか、事業を拡大していくのか。

それが実行できる組織や人が大事だと思うので、「採用・育成」「評価・報酬」「文化」について、意見交換できればと考えています。

私も悩んでいますので、皆さんにお聞きして、学びたいと思っています。

お一方ずつ、自己紹介とどういうビジネスをしているのかについて、簡単にお願いいたします。

Oracle、Salesforce出身のチームスピリット 道下さん

道下 自ら、トップバッターを務めさせていただきます。

道下と申します。

2023年12月、創業者からバトンを受け取ってチームスピリットの代表に着任し、9カ月が経ったところです。

Oracle、Salesforce、イスラエルで設立されたWalkMe、LINEのAIカンパニー、LINE WORKSを経て、今に至っています。

30年弱のキャリアの中で、エンタープライズと呼ばれるお客様への関わりが非常に多かったです。 

チームスピリットは、勤怠、工数、経費などの業務アプリケーション領域をSaaSとして提供しています。

スライド右下に、セグメント別のARRとライセンス数を記載しています。

52万ライセンスを使っていただいている中、エンタープライズは22万を占め、ARR37億円のうち、35%強の13億円がエンタープライズによるものです。

戦略として、エンタープライズを伸ばすことを頑張っています。

これまでSalesforceと近い関係で仕事をしていましたが、エンタープライズを攻めるために、SAPなどとのアライアンスも強化しています。

では、富岡さん、よろしくお願いします。

Oracleに新卒入社後、Sansanを起業した富岡さん

富岡 圭さん(以下、富岡) よろしくお願いします。


富岡 圭
Sansan株式会社
共同創業者/取締役 COO

日本オラクル株式会社に入社し、上海やバンコクを拠点にグレーターチャイナ(中国、香港、台湾)、東南アジア、インドのマーケット開拓を担当。2007年にSansan株式会社を共同創業し、営業DXサービス「Sansan」の事業を指揮する。現在はCOOとしてSansanをはじめ、BtoB SaaS事業を統括。2023年から、Sansan Global Pte. Ltd.のCEOに就任。

道下さんのきちんとしたスライドから、一番シンプルなスライドに切り替わりました。

(編集注:ここで、会場ではQRコードの入ったスライドが投影されました)

スマホからこのQRコードにアクセスしていただくと、私と名刺交換ができます(笑)。

道下 これ(Sansanデジタル名刺)はすごいですよね。

富岡 席が一番後ろの方は、コードが読み取りにくいかもしれませんが、僕の名刺というだけなので、あまり無理なさらず(笑)。

僕は新卒でOracleに入社して8年ほど働いた後、仲間とSansanを立ち上げて、今18期目となります。

まず、今回のテーマに外資IT出身者とありますが、この中で僕は圧倒的にキャリアが短いので、登壇者としてあまりふさわしくないのではと思っており、参加者の皆さん側に立って、色々な話を聞きたいと考えています。

先ほど道下さんが説明されている時、皆さん、メモを取られていました。

今回のセッションはテーマがすごく絞られているので、そのテーマに大変興味のある方がいらっしゃったのだろうなと思い、プレッシャーを感じていますが、学びにつながるディスカッションが皆さんとできればと思っています。

名刺管理をはじめとするDXサービスを提供

富岡 Sansanは、名刺から始まった営業DXサービスです。

そして、4年ほど前に始めた、インボイス管理サービスのBill One、直近では、契約データベースのContract Oneを始めました。

あと、グループ会社として、アンケートやフォームのクラウドサービスを提供するAsk Oneがあります。

個人向けでは、Eightという名刺アプリを提供しています。

先ほど皆さん側に立つと言いましたが、登壇者側にいるとめちゃくちゃやりにくいです。

道下さんも大我さんも、僕が新卒でOracleに入社した際の先輩です。

Oracleは外資ですが、上下関係が結構厳しいので(笑)。

(会場笑)

末席で頑張りたいと思っていますので、よろしくお願いします!

道下 よろしくお願いします。

富岡さんの名刺ですが、取締役COOの下に、「個人情報保護士」と入っていますよね。

個人情報保護士認定試験(全日本情報学習振興協会)

富岡 はい。

道下 なぜ、これをわざわざ入れているのでしょう?

エンタープライズは情報セキュリテイが厳しいので、彼らへのアピールかなと思ったのですが…。

富岡 考えが鋭いですね。

Sansanは立ち上げ時、会社名は怪しいし、そもそも電話にも出てもらえない状態でした。

ですので、僕らが個人情報のプロであることを伝えるため、名刺に入れるようにしました。

ちなみにSansanでは、この資格を取らないと昇級はありません。

取るのがめちゃくちゃ難しい資格ではありませんが、きちんと勉強しないと取れない資格です。

それくらい徹底しています。

エンタープライズ向け戦略というほど大袈裟な話ではありませんが、営業をするにあたって、道を切り開くためにとったアクションでしたね。

道下 ディテールへのこだわりは大事ですよね。

富岡 ありがとうございます。

道下 ありがとうございます。では高山さん、よろしくお願いします。

Box Japan出身、B2B SaaS立ち上げに精通するジョーシス 高山さん

高山 清光さん(以下、高山) 高山です、こんにちは。


高山 清光
ジョーシス株式会社
日本統括上級副社長

日本ユニシス勤務後、外資企業日本進出時に1人目の社員、営業として参画し日本市場開拓を多数経験。現在、スタートアップの社外取締役やアドバイザーを15社担当、また一般社団法人日本デジタルアダプション協会の代表理事としてソフトウェアを使いこなす活動に従事。

登壇者の皆さんは大きい会社で働かれています。

私は、1社目は日本ユニシス(現BIPROGY株式会社)でしたが、その後、30歳手前くらいからは基本的に、名もなき会社の立ち上げばかり行ってきました。

2005年にはまだSaaSという言葉もなかったのですが、ほぼB2B SaaSの立ち上げだけをしてきた人生です。

パートナーとのCo-sellに取り組んでおり、その集大成が、100%パートナーモデルのBox Japanです。

Box Japanは設立から11年が経っていますが、1製品で、国内で0だった売上が約400億円規模にまでなっており、成功モデルだと思います。

その経験から、色々な会社のアドバイザーをしていました。

ジョーシスは2022年2月設立ですが、その頃から毎週、CEOでファウンダーの松本(恭攝さん)の壁打ち相手として70回ほど会話をしており、気づいたら入社していました(笑)。

ずっと外資で働いていたので、Boxのように伸びる日本発SaaSを作りたいとずっと思っていたのです。

すごく良い機会だったので、入社しました。

このセッションはジョーシスのCROとして参加していますが、他の会社(Pendo.io Japan)や一般社団法人(日本デジタルアダプション協会)で色々な職務を兼任しており、色々なところに興味があります(笑)。

今日は、エンタープライズと、with パートナーについて話せればと思います。

よろしくお願いいたします。

従業員が利用するSaaSとデバイスを一元管理

高山 ジョーシスは、ラクスルのグループ会社として始まりましたが、今はラクスルの血はほとんど入っていません。

Day1からグローバルを見据えて始まっており、海外にいる社員のほうが多くて、日本が本社であるとはあまり思っていません。

600社くらいのお客様がいますが、松本の期待が高く、T2D3(※) の倍以上で、再来年は百数十億円を目指しています。

▶編集注:T2D3とは、ARR(年間経常収益)を毎年3倍(Triple)×2回、2倍(Double)×3回に成長させることで、5年で72倍の売上を目指すこと。スタートアップ企業に求められる成長のスピードとし、米VCのNeeraj Agrawalが提唱。

ジョーシスは去年(2023年)、日本で一番資金調達をした会社です。

CEOである松本の信用もありますが、非常にホットなマーケットを攻めているのではないかと考えています。

増え続けるSaaSや従業員が利用するデバイスを一括で管理できないと、コスト面での非効率やセキュリティの穴が発生します。

そこで、従業員が利用するSaaSとデバイスを管理するSaaSを提供しています。

これを中心に、PCのキッティングや廃棄、サポートデスク代行などITオペレーション業務も提供しており、そのサービスの売上は、全体売上の20%以上にまでなっています。


SaaSというよりも、BPaaS(Business Process as a Service)ですね。

日本で働くジョーシス社員の半分は、そのサービスに従事しているという構成になっています。

道下 2021年のローンチでいきなりトヨタやHondaと契約をされていますが、そういうことは、なかなかないですよね。

高山 当時はエンタープライズ向けには提供していませんでした。

スライドに記載した各社ロゴの下に注釈がついていますが、本体というよりもグループ会社を攻めていましたね。

道下 でもそれは、エンタープライズに入り込むための方法の一つですよね。

高山 そうですね。

道下 ありがとうございます。引き続き、大我さん、よろしくお願いします。

元SAPジャパン常務執行役員、booost  technologies大我さん

大我 猛さん(以下、大我) 大我です、よろしくお願いします。

私は、外資ITで25年、スタートアップでは2年働いてきました


大我 猛
booost technologies株式会社
取締役 COO (最高執行責任者)

サステナビリティテックのスタートアップであるbooost technologies株式会社の取締役 COO (最高執行責任者)としてサステナブルな未来の実現に向けて取り組んでいる。元SAPジャパン常務執⾏役員チーフ・トランスフォーメーション・オフィサー。 1997年、日本オラクルに入社。ITコンサルティング業務を経て、経営企画を担当。その後、コンサルティングファームに参画し、M&Aによる企業統合コンサルティングに従事。 2008年に世界最大級のB2Bソフトウェア企業であるSAPに入社。チーフ・カスタマー・オフィサー、デジタルエコシステム統括本部長などを歴任して、2020年に常務執行役員 チーフ・トランスフォーメーション・オフィサーに就任。 2023年1月、booost technologiesの取締役 COOに就任。 経済同友会メンバー。一般社団法人 グラミン日本 アドバイザリーボードも務める。

スタートアップ業界では、新参者でございます。

大学卒業後にOracleに新卒入社し、そこで10年働きました。

その後、IBMをはさんで、SAPで15年働いたというキャリアです。

多分、ここにいるパネリストの皆さんのほとんどは、営業の仕事をメインでされてきたと思いますが、私の場合、色々な役割を担ってきました。

最初はOracleにITコンサルとして入って、経営企画を担当し、IBMでは戦略コンサルを担当し、SAPではエンタープライズセールスの投資対効果を謳うようなバリューエンジニアリングというチームに入り、プリセールス、営業、アライアンスの仕事をしました。

今日は、外資の色々なファンクションの情報を皆さんに共有できればと思っています。

「Sustainability ERP」を提唱

大我 booost  technologiesで提供している製品は「Sustainability ERP」と名乗っており、新しいカテゴリを作ろうとしています。

サステナビリティERPとは(booost  technologies)

私はOracleやSAPで、ずっとERP、つまり「Enterprise Resource Planning」に携わってきました。

ERPは、いわゆる「企業の基幹システム」です。

ERPがメインで財務情報を扱うのに対し、Sustainability ERPは非財務情報を扱います。

「ESG(Environmental, Social, and Governance)」と言われていますが、環境や人的資本などのデータ全般を管理するプラットフォームであり、これを今、立ち上げようとしています。

用語解説 ESG(環境・社会・ガバナンス)(NRI)

よろしくお願いします。

道下 ありがとうございます。

大我さんとはOracleの同期なのですが、SAPの大我さんというイメージです。

大我 そうですよね。Oracle時代は、同期とはいえ、飲み会でしか一緒になったことがないようなイメージですね(笑)。

高山 余談ですが、1997年頃の就職活動には、インターネットはなかったですよね。

道下 なかったですね。

高山 その当時に外資に入るのは、ちょっと変わった人だと先週、話していたのですよね。何で入ったのだろうと思っています。

道下 当時は小室 哲哉が華原 朋美のプロデュースを始めた時期で、小室を逆に読んだORUMOK RECORDSというレーベルがありました。

ORUMOK RECORDS(Wikipedia)

Oracleがイベントで華原 朋美を起用したのですが、Oracleに入社すると言うと、周りの人から「小室 哲哉の会社に入社するんだね」と言われましたね。

高山 ……それで(笑)?

道下 それくらい、Oracleは知られていなかったという話です(笑)。

(続)

編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成

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