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上野動物園の猿から学ぶ組織作りの本質【F17-5B #3】

ICCカンファレンス FUKUOKA 2017 Session 5B

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「最高の成果を生み出すチーム作りの方法論を徹底議論」【F17-5B】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!12回シリーズ(その3)は、予防医学研究者の石川さんに、動物の最も原始的な組織作りの方法についてお話いただきました。石川さんが上野動物園の猿を観察して気付いたこととは? ぜひ御覧ください。

ICCカンファレンス FUKUOKA 2017のプラチナ・スポンサーとして、Motivation Cloud (Link and Motivation Inc.) 様に本セッションをサポート頂きました。

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2018は2018年9月3日〜6日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

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「最高の成果を生み出すチーム作りの方法論を徹底議論」の配信済み記事一覧

岡島 さて石川さん、ここまで聞かれて、新たな論点を。

石川善樹 氏(以下、石川) そうですね、ちょっと変化球を投げてもいいですか?

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石川 善樹
株式会社Campus for H
共同創業者
 
予防医学研究者、博士(医学)
 
1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。「人がより良く生きるとは何か」をテーマとして、企業や大学と共同研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学など。講演や、雑誌、テレビへの出演も多数。NHK「NEWS WEB」第3期ネットナビゲーター。著書に『仕事はうかつに始めるな―働く人のための集中力マネジメント講座―』、『疲れない脳をつくる生活習慣』(プレジデント社)、『ノーリバウンドダイエット』(法研社)、『最後のダイエット』、『友だちの数で寿命はきまる』(ともにマガジンハウス社)、『健康学習のすすめ』(日本ヘルスサイエンスセンター)がある。

岡島 どうぞ、どうぞ。

石川 僕は研究者なのですが、組織とは何かというお話を聞いていてふと思い出したのは、一昨日、上野動物園に行った時のことです。

中竹 すごい変化球が来そうですね、これ。

動物の最も原始的な組織作りの方法とは?

石川 子供が2歳で、象さんが大好きなんですね。

象さんを見に行くと、「象さん、象さん!」と言って喜んでいました。

その後で猿山を見に行ったんですよ。

組織ですよ。

猿くらいになるともう組織ですよね。

中竹 完璧に組織ですよ。

石川 猿というのは、組織を作るために何をしているのだろうかと。

見ていると、毛繕いをしているんですね。

川邊 そうですね。

石川 実は、人間に限らず動物の最も原始的な組織作りの方法が、「毛繕い」なんですよ。

お互いに触ると、脳内にエンドルフィンが分泌されて、心地よいと感じるんですね。ですから、組織を作りたいのであれば、触ればいいのではないかなと。

川邊 なるほど(笑)。

(会場 笑)

岡島 セクハラとか、そういう感じではないのでしょう?

川邊 人間で言うと、噂話ですよね。

石川 そうです。

川邊 グルーミングの代わりに、雑談や噂話を。

岡島 だからタバコ部屋なんかはすごい。

Yahoo! JAPANの雑談が増えるオフィス「LODGE」

川邊 Yahoo! JAPANも、今回、なるべく雑談が増えるようなオフィスに変えました。

石川 どうですか?

川邊 雑談が増えていますね。

石川 まさに狙い通り(笑)。

岡島 しかも、外の人達も結構入って来てコワーキングスペースのような感じですか?

川邊 そうです。

異なる人たちが交流して新しい組み合わせを作れるように、というオープンイノベーションを意図してコワーキングスペースを作りましたが、オフィス自体はもっとメタなところで、グルーミングができるようにと。

参考資料:ヤフー「 LODGE」

ICCカンファレンス FUKUOKA 2017 Session 5B出所: ヤフー「 LODGE」より引用

石川 グルーミングができるように。

川邊 グルーミングをしないと、確かに全くチームワークが生まれないですから。

石川 おっしゃる通りかなと思います。

岡島 ですから、ベンチャーには合宿などをされているところが多いですよね。

オフサイト合宿や運動会などをされているところもありますが、やはりそうやって会ったり雑談をしたり。

石川 あると思うんですよね。

人はどんな会話をしているのだろうという研究があるのですけれども、一日のほとんどを、噂話をして過ごしているんですよね。

川邊 そうなんですよ。

石川 誰がどうでどうしたっていう。

それは壮大なグルーミングですよね。

毛繕いの裏にある組織作りの本質

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石川 ただ、僕は猿山を見ていて、毛繕いに騙されちゃいかんなと思ったんですよ。

川邊 ほう。

石川 というのは、これはあくまでも現象ですから。

組織作りの本質は、やはり脳内でエンドルフィンを出すことですよ。

そうしたら繋がるのですけれども。エンドルフィンを出す良い方法が、笑うとか、酒とか、ダンスとか歌なんですね。

だから、アフリカとかアマゾンの原住民は、行くと歓迎のダンスと歌を歌ってくれるじゃないですか。

あれは多分、やらないと訪れた人を殺してしまうからなんですよ。

川邊 お前は仲間じゃないって。

石川 それを抑えるために、あの人達は無理やり歌と踊りをして繋がりを作っているんですね。

川邊 なるほど。

岡島 Fight or Dance? みたいな。

石川 まさにFight or Danceです。

だから、お酒を飲んで歌って踊って笑えば、組織のベースはできるんじゃないかなと。

安渕 そういうトレーニングが実際にありましたよ。

石川 ありましたか!

安渕 チームで、チームの歌と踊りを作れというのが、マネジメントトレーニングで本当にあるんですよ。

誰もきちんと踊れないのだけれども、ラップのような歌をチームの歌だとか言って、多国籍のメンバーで作るんですよ。

岡島 それはGEのトレーニングメソッドですか?

安渕 そうです、

川邊 GEの人達がそれを大真面目にやるのですか?

安渕 大真面目にやるのです。

やるからには勝たなくてはならないから、皆、力が入って。

川邊 勝つ負けるなんですか?

安渕 勝つ負けるなんです。

川邊 最高の成果とは何かという。(笑)

安渕 どれが一番ウケるかということですけれどもね、要するに。

だから、審査員はチームワークなどを見ている訳ですよ。

皆がきちんと参加しているかとかね。

川邊 めちゃくちゃ本質的なことを上野動物園で。

石川 上野動物園でそれを見ていて。

10万人を越える組織を率いるには「ただ祈る」

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石川 ただ、もう一つ、やはりサルと人間は違うなと思ったんですよ(笑)。

岡島 それでは意味がないですね。

石川 何かが根本的に違うと思ったんですよ。

何が違うかと言った時に、やはり群れのサイズが圧倒的に違うんですね。

猿というのは、明確にランキングがある社会です。

これは猿の研究者に聞いたのですが、もちろん男性の猿だけではなくて、女性の猿にもランキングがあるらしいですね。

岡島 そうなんですね。

石川 ランキングが下がるほどストレスが溜まって、数えていくと、上位から10番目くらいのメス猿からは、ストレスが溜まりすぎて生殖が完全にストップするらしいんですよ。

そうすると、違う群れに移るんだそうです。

猿というのは比較的狭い、小さな群れのサイズしか作れないのですが、人間は1,000人、数万人、十数万人みたいなのができるじゃないですか。

この十数万人をどうやってまとめるのだろうかって、僕は調べたことがあるんです。

(会場 笑)

川邊 色々と調べますね。

石川 というのは、人間の脳の限界を明らかに超えているんですよ。

十数万人も。

川邊 普通は150人ですからね。

石川 多分、こういうことを日本人で戦後経験した一人が、松下幸之助さんです。

松下幸之助さんは、「商売心得帖」という本を書いて、素晴らしい本なのですが、その本の中で、まだ人数が少ないうちは、自分が背中を見せて引っ張れると。

(参考資料:商売心得帖/経営心得帖 (PHPビジネス新書 松下幸之助ライブラリー

ただ、社員が10万人を超えると、もうそれも難しいと。

川邊 明らかに難しいでしょうね。

石川 10万人を超えて社員をまとめるためには、松下幸之助は何が大事だと思ったかというと、彼はこう言っていたんですよ。

「10万人を超えると、私ができることは、ただ祈ることです」と(笑)。

(会場 笑)

川邊 なるほど(笑)。

岡島 でも文化ですよね。

石川 どうか上手くいってくださいと祈ることだけです(笑)。

岡島 宗教の、一番上の人のような感じだったのではないですか?

石川 でも宗教や物語というのは、人間が発明した素晴らしいもので、先ほど安渕さんがおっしゃった目的や意味のようなものですよね。

物語や宗教というが共有できていると、やはりすごく団結力の高い組織なんだろうなと思います。

岡島 だから、きっとさっき川邊さんがおっしゃっていたように、この数字はどんな意味なのかといった話ですよね。

石川 そうです。

(続)

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/Froese 祥子

続きは 勝利を強調しないコーチがオリンピックで勝てるワケ をご覧ください。

 

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【編集部コメント】

続編(その4)では、日本ラグビーフットボール協会の中竹さんに、長期的に勝ち続けるチーム作りの仕組みについてお話いただきました。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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