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電通から独立した凄腕クリエイティブディレクターたち【F17-7C #2】

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「凄腕クリエイティブディレクターと考えるブランディング戦略」【F17-7C】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その2)は、dof齋藤さん、GLIDER志伯さん、CC戸田さんに自身が手がけてきたクリエイティブなどの事例を交えて自己紹介頂きました。それぞれがなぜ電通を辞めて、独立したかといった話も大変興味深いです。是非御覧ください。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。


【登壇者情報】
2017年2月21〜23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 7C
凄腕クリエイティブディレクターと考えるブランディング戦略

(スピーカー)
小泉 文明
株式会社メルカリ
取締役(当時)

齋藤 太郎
株式会社dof
CEO/Communication Designer/Founder

志伯 健太郎
GLIDER
クリエイティブディレクター

戸田 宏一郎
CC INC.
Founder & CEO/Creative Director/Art Director

(モデレーター)
彌野 泰弘
株式会社Bloom&Co.
代表取締役

「凄腕クリエイティブディレクターが考えるブランディング戦略」の配信済み記事一覧

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【本編】

彌野 では、次にクリエイティブディレクターのお三方に自己紹介頂きます。

齋藤太郎さん、よろしくお願いします。

齋藤太郎 氏(以下、齋藤) 初めまして、株式会社dofの齋藤太郎と申します。


齋藤 太郎
株式会社dof
CEO/Communication Designer/Founder

アメリカ合衆国オハイオ州クリーブランド生まれ。
95年慶應義塾大学環境情報学部(SFC)卒。株式会社電通入社後、テレビ局、営業局を経て、05年にコミュニケーション・デザインを生業とする、株式会社dofを設立。経営戦略、事業戦略から製品・サービス開発、マーケティング戦略立案、メディアプランニング、クリエイティブの最終アウトプットに至るまで、コミュニケーションの川上から川下まで「課題解決」を主眼とした提案を得意とする。幅広い人脈を生かしてのプロデュース力、実現力にも定評があり、最近ではベンチャー企業の支援にも精力的に取り組んでいる。

◇その他の現職:
株式会社CC INC. 取締役/Founder
株式会社VOYAGE GROUP 社外取締役
新経済連盟 クリエーティブディレクター
株式会社オーシャナイズ 社外取締役
NPO法人TABLE FOR TWO グローバル戦略委員会 委員

僕は、普段はコミュニケーションデザイナーという肩書で仕事をさせて頂いています。

電通に10年間勤めた後、12年前にdofという会社を作りました。

今まではずっと、マス広告中心で大量マーケティング、大量広告、大量消費をするのが日本のマーケティングの中心だったのですが、そこにもう少しインターネットや、デジタルや、イベントや、アウトドア等、色々な形の手法というかお客さんに振り向いてもらうような手段がどんどん入って来て変わってきていました。

その時に従来のクリエイティブディレクションという領域よりももう少し広いところで解決しないとダメなのではないかという危機感を持ち、コミュニケーションデザインを手掛ける会社を12年前に作ったというのが経緯です。

コミュニケーションをデザインする(dof齋藤)

齋藤 主な仕事をご紹介しますと、例えば、サントリーの「角ハイボール」のキャンペーンが、10年目に入りました。立ち上げ時から、小雪さん、菅野美穂さん、井川遥さんと一緒に仕事をさせて頂きました。

画像提供:dof

現在では「角瓶」、「トリス」、「山崎」、「白州」、「響」、あとは2年前に出た「知多」といったサントリーさんのウイスキーブランド全般を弊社で担当させて頂いています。

弊社のクライアントには、サントリーさんや、グリコさんや、JR東日本さん等、いわゆるテレビCMをよくされるような会社さんも多く、また、3年前からは楽天の三木谷(浩史)さんが代表をされている、新経済連盟のクリエイティブディレクターもさせて頂いています。

今まではマーケティングだったり広告とは無縁だったIT系の領域のもの、例えば、メルカリというアプリもそうですが、(PC・スマホ)ゲームのテレビCMが出るようになったのは、この7、8年だと思うんですよね。

DeNAさん等が本腰を入れてテレビCMをするようになってから7、8年になりますが、それまでスマホの世界の中のもの(アプリケーション)が広告でお客さんを集めたり、自分のことを好きになってもらうといったことはなかなかなかったのですよね。

これからはコンビニで手に取るものと同じように、スマホの中に入っているものがお客さん自身に語りかけなくてはいけない時代が来ているのかなと思っていて、そういうことで僕達が今回こういう場に呼ばれたのかなと思っています。

今日はその辺のお話ができたらと思っています。

彌野 ありがとうございます。

齋藤さんは、サントリーの角ハイボールのキャンペーンを10年前からされているそうですが、20年前には、飲み屋でハイボールを頼む人はこんなにいなかったと思うんですよね。

昔はどちらかというとおじさんが飲む物で、ダサいというイメージがあったと思うのですが、今ではハイボールというカテゴリーには、プリン体が入っていなくて健康的だとか、太らないとか、そういうイメージがすごく浸透していますよね。

そういうカテゴリーを作るキャンペーンをされたのが齋藤さんのチームです。

IT業界でも、新しいカテゴリーを作ることが非常に多くなってきていますので、今日はそういったところについても何か示唆が出てくるといいなと思っています。

ありがとうございます。

志伯さん、よろしくお願いします。

日伊を拠点に数々のクリエイティブを手がける(GLIDER志伯)

志伯健太郎 氏(以下、志伯)  よろしくお願いします。志伯です。


志伯 健太郎
GLIDER
クリエイティブディレクター

1975年仙台生まれ。慶應SFC、イタリア・ローマ大学建築学科で建築デザインを学び、2000年電通入社後、クリエイティブ局配属。数々のCMや映像を手がける。72andSunny, Wieden+Kennedyを経て2011年、クリエイティブブティックGLIDERを東京と葉山に設立。国内外での受賞多数。2014ロンドンD&AD Film Advertising Crafts部門審査員。2015ミラノエキスポ日本館認定イベント「Peace Kitchen」共同設立。同年GLIDER Italy支社設立。2017年年始、ミラノより帰国。宮崎県日南市特命大使、慶応義塾大学環境情報学部(SFC)特任准教授も務める。
http://glider.co.jp/
https://vimeo.com/205180374

彌野 どんな作品を作られてきたのかなど含め、簡単に自己紹介をお願いします。

志伯 今日クリエイティブディレクターということで呼んで頂いたのですが、クリエイティブディレクターというのは弁護士のような資格ではなくて、正直名乗った者勝ちというところがありますよね。

(齋藤)太郎さんはコミュニケーションデザインとおっしゃっていましたが、僕は電通でCMプランナーという専門職を10数年して、それからアメリカのWieden+KennedyというNIKE等を手掛けている会社に移り、現在のGLIDERという会社を作って今年で6年目になります。

もう15年くらいずっとテレビCMばかり作っているのですけれども、それをベースにしながらクリエイティブディレクターという肩書を名乗って仕事をしています。

▼GLIDER志伯さんが手がけられた作品の一部がこちら(画像提供:GLIDER)▼

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▲(紹介終わり)▲

2015年にあったミラノ万博における日本館のプロジェクトなど、幾つかの作業をちょうどやっていて、ビザが出るということだったので2015年からイタリアのミラノに移住して、万博が終わってからも現地でいくつかのプロジェクトに関わり、2017年1月に家族とミラノから帰ってきました。

イタリアと日本を頻繁に行き来していて、先ほども少し小泉さんにお話しましたが、失礼ながらメルカリのこともきちんとは知りませんでした。

日本ではそういう新しいマーケットが急速に生まれているなといった感じや、ITに関して言うと、やはり日本のITのすごく整備された「ピッチ」は、僕がいたイタリアとは全く違う環境で、シリコンバレーとはまた少し違った独特の進化を遂げているなというのが外から見た印象です。

今日は未来を語るということなので、僕なりに未来を語らせて頂けたらいいかなと思っています。

よろしくお願いします。

彌野 ありがとうございます。

日本でメルカリを知らない限られた方だと思いますけれども。(笑)

志伯 知らなくはないですよ。(笑)

彌野 メルカリの認知度は文句なしの高さだと思います。一方で日本のスタートアップというのは、独自の進化を遂げていて、ガラパゴス化しているようなところもあり、グローバルスタンダードにどうやって合わせていくのかといったことがあると思います。

また、日本で流行るものと海外で流行るものというのは必ずしも一致しないので、海外の場合はユーザーインターフェースも海外用に変えていくのかといったことや、コミュニケーションを変えていくのかといった議論もあるので、今日はその辺にも少し触れていければいいなと思います。

よろしくお願いします。

戸田 よろしくお願いします。

彌野 それでは、最後に戸田さん、お願いします。

広告宣伝よりも上流の事業デザインから携わる(CC戸田)

戸田宏一郎 氏(以下、戸田) 戸田と申します。


戸田 宏一郎
CC INC.
Founder & CEO/Creative Director/Art Director

1970年佐渡島生まれ。株式会社電通に入社、CDCに在籍しコミュニケーションのアウトプットをイメージし、アートディレクションを中心にした考え方で、商品開発から企業、ブランドロゴ、CDジャケット、TVCM、ポスターなどのコミュニケーションに関わる幅広いデザインを手掛ける。2017年Creative & Consultingを事業ドメインとするクリエーティブプラットフォームCC INC.を齋藤太郎(dof)と立ち上げる。近年の主な仕事は、サントリー金麦、MY BOTTLE DRINK drop(次世代飲料開発)、仙台市地下鉄東西線WEプロジェクト、dビデオ、ホンダ企業広告、JAL、NHK紅白歌合戦ロゴ等。主な受賞歴は、朝日広告賞、毎日デザイン賞、JR東日本ポスターグランプリ、OneShow Design、D&AD等、国内外で受賞多数。JAGDA会員。

初めまして、よろしくお願いします。

僕も齋藤さん、志伯さんと並び、電通出身で、僕が一番歳がいっているけれども若いというか、去年(2016年)の年末に卒業して、会社を作ってまだ2か月(2017年2月時点)です。

電通を辞めて作った会社というのはCC INC.で、CCという名前なのでメールのやりとりの時に結構ややこしいのですが(笑)、クリエイティブの“C“とコンサルティングの“C“の頭文字です。

クリエイティブ&コンサルティングを事業ドメインにした会社作りをしたいと思い立ち上げました。

恐らく今日はこの辺の話に繋がっていくと思うのですが、我々のマーケットへの関わり方、つまり、川下、一番消費者に近い方で代理店としては付き合うということを10年来結構意識していて、そこでのチャンスや可能性を感じながら、もうちょっと上流、事業の前の段階から色々と関わることができるのではないかと思っています。

今回、僕はクリエイティブディレクターという肩書ですが、元々はアートディレクターという、デザイナーとしてクリエイティブに関わる立場で20年間電通で過ごしてきました。

今日この中で唯一のデザイナーとしての目線で、そういうクリエイティブ、更にはクリエイティブの先の話ができたらいいかなと思っています。

去年まではナショナルクライアントであるサントリーや、ホンダ、JALなどがメインクライアントで、アウトプットとしても、テレビCMや大きいキャンペーンのキービジュアルを作成して、意外と派手な場所でお付き合いすることが多かったと思います。

この10年の後半の方では、アーティスト、例えばドリカムさんのリブランディング作業をしたこともありました。

紅白歌合戦の仕事では、どうやったらもう一度国民的なフェスティバルになれるかというブランディング作業をして、ロゴマークを作ったりする中で、商品に関わるアウトプットというか宣伝の部分だけではなくて、前段階のところからモノを触ってデザインしていく作業が少しずつ増えてきましたね。

また、僕は新潟の佐渡島出身なのですが、そこの地元の仕事もし始めることで、地方、つまり広告のアウトプットがない場所の人々と関わることによって、デザインやクリエイティブの使い方にはこれほど幅があるのかということが最近実感できています。

ここで何か新しいデザインの価値、クリエイティブの価値を共有しながら、ただの広告宣伝というところではないところで使っていきたいなと思っていたところ、齋藤太郎さんに「お前、もう辞めた方がいいぞ」と言われて。(笑)

志伯さんにも「戸田さん、辞めないですか?」と言われて。(笑)

彌野 危ない話も、後で編集できるので大丈夫です。(笑)

戸田 はい(笑)、ということで、思いを形にしていく流れの中で今日ここに来ています。

齋藤 編集しなくてもいいですよ。事実なので。(笑)

戸田 逆に、こういう場で僕も勉強できればいいですし、そう言ったテーマも含めて色々とお話をしていければ面白いかなと思っています。

よろしくお願いします。

彌野 ありがとうございます。

クリエイター、デザイナーも内製した方がよいのか、それとも外部のプロフェッショナルやエキスパートを使った方がよいのかという議論も多分あると思うので、その辺も含めてお話ができればと思います。

よろしくお願いします。

(続)

続きは スタートアップのブランディングはいつから必要か? をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/Froese 祥子

【編集部コメント】

広告代理店ではできない仕事として見据えているものが、三者三様あって、大変興味深いです。dof齋藤さんはじめ、シリーズ通して「ガンガンいこうぜ」でお送りしていますので、続編もご期待ください(榎戸)

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