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「事業の柱となる新規事業をいかに生み出すか?」【F17-9B】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!8回シリーズ(その7)は、会場からの質問を受け付け、新規事業立ち上げ責任者への権限委譲や撤退の基準をどう設定するか議論しました。メルカリ山田進太郎氏のソウゾウ社へのマネジメントについても熱く語られました。是非御覧ください。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。
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【登壇者情報】
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 9B
「事業の柱となる新規事業をいかに生み出すか?」
(スピーカー)
宇佐美 進典
株式会社VOYAGE GROUP
代表取締役社長兼CEO
川鍋 一朗
日本交通株式会社 代表取締役会長/
JapanTaxi株式会社 代表取締役社長
松本 龍祐
株式会社ソウゾウ
代表取締役社長
(モデレーター)
井上 真吾
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン
プリンシパル
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本編
井上 それでは、会場から質問を聞いてみようと思います。
質問者1 株式会社マイネットの嶺井と申します。
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嶺井 政人
株式会社マイネット
取締役 副社長
1984年生。早稲田大学在学中にマーケティングソリューションを提供する「株式会社セールスサポート」を創業し、軌道に乗せた後、株式会社ネオマーケティングへ売却。2009年4月モルガン・スタンレー証券に入社し、投資銀行業務、クレジットリスク管理業務に従事しテクノロジー業界の資金調達や格付業務を担当。2013年3月マイネットにCFOとして転進。ファイナンスやマーケティング分野を中心に事業の成長に尽力し、2015年12月同社の東証マザーズへの上場を実現する。2016年3月同社取締役副社長に就任。2017年2月、戦略子会社である株式会社ネクストマーケティングを設立し代表取締役社長に就任。次世代のマーケティングソリューションの創出に取り組んでいる。
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私も新規事業に取り掛かっている中で色々悩みがあるのですが、立ち上げの責任者に対して、どれだけ投資や採用・配置に権限を与えているかということと、撤退の基準は何か、宇佐美さんと松本さんに伺いたいです。
立ち上げの責任者にどれだけ権限を与えるか
宇佐美 僕らの中では権限委譲を進めています。
元々PL責任だった部分をBSも含めて事業部サイドに渡していこうとするのに合わせて、採用権限も各事業部でできるようにしていこうとしています。
ただメルカリと同じように、本体採用した後の出向ということで、人事制度は同じプラットフォームに載せています。
事業責任者が勝手にやっていいわけではなくて、役員が付いて、その範囲の中でOKという形にしています。
ですので、私はもう採用面接はしませんし、採用人数に関しても、四半期に1度の予算のところで採用計画を見て、これぐらい採用するんだと知るぐらいの感じです。
質問者1 予算に関しては、事業責任者が計画を作って事前に担当役員に承認を求めるということですか?
宇佐美 そうですね、今当社の場合は、各事業部の予算に関しても僕は見ていなくて、役員の予算を見ています。
役員と事業責任者の間でどういう握りをしているのかは各役員に任せています。
2つ目の質問の撤退基準ですが、初期の時点ではサービスを始めてからの累積損失が3,000万円というのを1つの目安としてやっていましたが、5年前、10年前と比べてビジネスの難易度が上がっているので、今は事業ごとにスタート時点で撤退基準を決めて、それを責任者と経営陣が握るというふうにしています。
撤退基準をどう設定するか?
質問者1 それは累積損失で決めていますか?
宇佐美 事業の特性によりますが、最初の時点で売上を追わないビジネスの方がいいという場合は、KPIベースの指標を置く場合もありますし、一方で最初からKPIを売上指標や受注に置いた方が良いものであればそうします。
松本 VOYAGE GROUPと比べて規模と歴史が違うので制度的なものはほとんどないです。
ケースでお話しすると、私が山田進太郎(メルカリ代表)にコミットしているところと、新しいサービスが私に来ているという両方があるのですが、まず採用に関してはメルカリの採用基準というのはこちらで握った上でいくらでも採用していいというやり方です。
その採用基準を達成するのが難しい状態なので、アッパーがあるわけではないです。
撤退基準に関しては、最初のタイミングで大枠の事業計画は作っていて、基本的にKPIベースの事業計画は握っています。
主にどちらかというと、私と山田進太郎もそうですし、他のメンバーもそうですけど、だいたい週次で一対一のミーティングをやっていて、結構細かくコミュニケーションしているんですね。
そこで数字の足切りというよりも、これいけるのいけないの?とか、たとえば山田進太郎に今この仕様・施策がこうあって、これがいけたらこうで、とバッドシナリオは共有していて、そこで最終的に合議で決めるという雰囲気ですね。
質問者1 ウィークリーでアップデートしながら進めているということなんですね。
松本 そうです。
メルカリ山田氏とソウゾウ松本氏の1 on 1
井上 そのウィークリーミーティングは主にどんな話題になるんですか?
松本 たとえば僕と山田進太郎の場合は、新規サービスとしてこれをやることに決めましたという話をして、なぜ決めたのかという話をして、終わりです。
すでにローンチしているメルカリ アッテ等はシートとしてはKPIがありますが、どちらかというと山田進太郎はプロダクトの人間なので、仕様・施策があたったかというのを時々2人で画面を見ながら話すこともあります。
プロデューサーとして相談に乗ってもらっているというのもありますし、会社としてのKPIの進捗状況の共有をしている感じですね。
井上 モニタリング以外にも、その場で次はこういうことをやろうよという議論も?
松本 そうですね。
基本的には大きい意思決定は山田進太郎と共有はしているんですけど、うまく権限委譲してもらっています。
現場では私がすべてをやっている感じが上手く見えていて、山田進太郎はあくまで僕とだけ話をして決めるという雰囲気ができています。
報告だけではなくて、相談も山田進太郎にしているという感じです。
川鍋 山田進太郎さんは松本さんを飛ばして他のメンバーに話しかけたり様子を聞いたりすることはしないんですか?
松本 ないですね。
ただ、Slackは全部オープンなので、山田進太郎がこんなアプリあったよとかユーザー目線でこれってどうなの?みたいな話をする事はありますけど、彼も気を付けていて、たとえばこのボタンが良いとか良くないとかに話をはさんでくることは、ソウゾウ社ではないですし、最近はメルカリでもほとんどないですね。
一対一でやるように心掛けていると思います。
井上 そこからの伝達というのは松本さんに任せている?
松本 そうですね。
井上 敢えてそうしている?
松本 元々ディテールに細かいので、頑張って口を出さないように努めているんだと思います。
川鍋 (口出ししないようにするのは)辛いんですよね。
機密情報以外はオープンに公開する
川鍋 Slackはフルオープンというお話がありましたが、プライベートなチャンネルを作ってはいけないということなんですか?
松本 基本的にはM&Aや会計関連、人事関連のもの以外はオープンです。
川鍋 プライベートなチャンネルを作ってはいけない?
松本 そうですね、作らないようにしている。
川鍋 それはすごいですね。
松本 ドキュメントはほとんどGoogle Appsで管理しているんですが、機密情報以外はオープンで皆アクセスできます。
川鍋 アクセスできるという安心感と信頼感なんでしょうね。
松本 そうですね。
井上 ソウゾウからはメルカリの資料が全部見えるが、メルカリ側はあまり口を出さないように一部見られないものもあると以前伺ったんですが、情報の逆流がある?
松本 一応全部見られるようにはなっているんですが、わざわざ興味を持ってディレクトリを掘り下げるかという話で、積極的にソウゾウのデータをわざわざ見せていない。
ソウゾウができたタイミングで、メルカリの全体の場で私がこういうことをやりますと話をした後、山田進太郎から、今回はこういう説明をしたけど、今後は基本的に情報共有はしません、山田進太郎と私(松本さん)で進めますという話をしました。
口を出そうとする雰囲気は全くなくて、何かやってるなみたいな感じですね。
井上 宇佐美さんはどれぐらい口を出されるんですか?
宇佐美 僕もほぼ口を出さないようにしていますが、ここ最近は役員以外の事業責任者やマネージャーとランチに行って話をするようにしています。
上の人が直接指示をして、いざやると直接の上司になんでそんなことやっているのかと言われるような、通常のレポートラインを阻害するような事が起きると組織が混乱する。
それは避けていて、どちらかと言うと、今何が起きているかとか具体的な事象や問題、課題を聞くようにしています。
通常のレポートラインで上がってくる時は、具体的な事象が抽象化されて粒度が上がってくるので、それは良い面もありながら熱量が伝わってこないので、具体的な話を聞くことで補完する必要があると思っています。
井上 あまり手を入れずにきちんと任せるというのは、新規事業を育てるための1つのポイントかもしれないですね。
宇佐美 そういう意味では、事業部内事業は重要だと思っています。
実際はそこからすごく大きなサービスが生まれるか?というとデータ的には生まれにくいんですけど、一方で、これがあることで事業の中でフロンティアができるんですよね。
メインストリームとなっているところは時間が経つとどんどん安定してオペレーショナルな業務になってくるので、面白くなりにくい。
フロンティアな部分が自分たちの中にあるとモチベーションも湧きやすくなるので、スカンクワーク的な部分は特に役員会を通さずに各役員で勝手にやっていいよというふうにしています。
井上 経験を積むという意味でも有効だと。
宇佐美 そこに対して数字がどうなっているのとかあまり細かく言い出すと、それさえも隠すようになるので、あまり細かく言い過ぎないようにはしています。
井上 ありがとうございます。もう1問、質問をどうぞ。
(続)
続きは 【終】新規事業はピザ2枚がいき渡るぐらいの人数で始めよう をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸
【編集部コメント】
撤退基準や権限委譲など、経営者同士リアリティあるQ&Aとなりました。ICCカンファレンスにリアル参加することの醍醐味かと思います!(榎戸)
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