【組織の症状③】経営者は自らの「独走」に気づけない(麻野×岡島)【K17-9D #4】 – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

【組織の症状③】経営者は自らの「独走」に気づけない(麻野×岡島)【K17-9D #4】

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「組織の50人・100人の壁」【K17-9D】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その4)は、会社のNo.1とNo.2の関係や、オフィスの作り方やさん付け運動などによる組織文化作りについて議論しました。ぜひ御覧ください。

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【登壇者情報】
2017年9月5・6日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017
Session 9D
組織の50人・100人の壁
Supported by Motivation Cloud(Link and Motivation Inc.)

(スピーカー)

麻野 耕司
株式会社リンクアンドモチベーション
執行役員

岡島 悦子
株式会社プロノバ
代表取締役社長

(ナビゲーター)

井上 真吾
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン
プリンシパル

「「組織がぶちあたる50人・100人の壁」の配信済み記事一覧

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最初の記事
【新】組織がぶちあたる50人・100人の壁【F17-9D #1】

1つ前の記事
【組織の症状②】トップとナンバー2との距離がどんどん開く(麻野×岡島)【K17-9D #3】

本編

岡島 ありがちなのは、経営トップとナンバー2との間がどんどん開いていくことですよね。

井上 経営トップ独走病。依存もダメだけれども独走もダメだと。

麻野 最初の頃は力量や視界にもそれほど差がないので、ある程度は阿吽の呼吸でできるけれど、差が開いていくと、お互いに何を期待するかということをフェーズ毎に再定義しなければなりませんよね。

そうでないと、「あれ?社長は今までこういうことは俺に相談してくれていたのに、最近は全く相談してくれなくなったな」とか、「今までこう言っていたら分かっていたのに、こいつ全然分かっていないな」といった齟齬が出てくるので、経営チームの中での役割分担をフェーズ毎にしっかり確認しなければなりません。

症状③:“経営トップ独走病”

麻野 (役割分担がきちんとできておらず上手くいっていない経営陣がある)一方で、役割分担を明確にしてスムーズにいった会社もあります。

僕の支援先のある会社は、元々3人の取締役がいて、副社長は社長の大学時代のサークルの先輩だったんですよね。

お互い補い合いながらなのですが、やはり会社のフェーズも変わっていくので、経営は社長と社外取締役でやり、他のメンバーは執行に集中して欲しいという方針に変えました。

それまでは方針があまりはっきりしていなかったのでお互いにコンフリクト(軋轢)も結構あったのですが、降格ではなくステージの変化による役割の変更ということで、取締役が2人外れることになりました。 取締役もクレバーな方々だったので、体制変更は非常にスムーズに進みました。むしろ、お互いのストレスが少なくなった印象です。

岡島 ですから、私がよくアドバイスするのは、ここで執行役員制度を作りましょうということです。

役員からの降格ではなくて、役員と執行役員の役割を分ける試みを始めましょうということですよね。

社外取締役も入れて、社内役員は社長だけでというのは一番美しい世界だとは思いますけれども、なかなかそうはなりません。

降格したと見えないように、ナンバー2が執行役員をしようという形になるケースが、一番収まりのよい作り方でしょうね。

No.1とNo.2の役割分担に普遍解はない

井上 まさにお伺いしたかったのが、先ほどもありました、CEOと2番手の役割分担についてです。

原則もあるとは思いますが、恐らく、業態やCEOのキャラクターによっても結構なバラエティがあって、同じようにはいかないというところはありますよね?

岡島 そもそもの人間関係もあるし、それぞれのスキルセットの明確さもあります。

それから、アメリカと違い、どこの会社もスタートアップは割とシリアル系ではなくて初めてやるという人達が多い現状では、ジョブディスクリプションをあまり明確にしないまま始まってしまっているケースが多いので、そういった過去の経緯ともすごく関係がありますね。

井上 どうしようもない場合は、このタイミングでそのポジションの人を外から採ってくるといったこともあり得るのですか?

岡島 ありますよね。

社外取締役や顧問として入ってもらい、役員にソフトランディングしてもらうケースはすごく多いですね。相性もあるとは思いますけれども。

ただ、その場合でも、上が少しヘビーすぎるというケースもありますよね。

ですから、実は、この手の話には普遍解というのがあまりなく、固有解なのです。

それぞれの経営者のキャラクターやステージやビジネスモデルとも関係があり、それぞれのケースを見ていかなければならない性質のものなので、あまりスパッとした答えが申し上げられなくて申し訳ないのですが。

麻野 いずれにしても、今日いらっしゃっているベンチャー企業様は、恐らく50人・100人の壁を越えていこうというタイミングだと思います。

「代表取締役社長の役割とは何か?」

「取締役の役割とは何か?」

「執行役員の役割とは何か?」

という問いに対して、社長だけではなく取締役も執行役も皆が同じように答えられるようになると、この「経営トップ独走症」もなくなってきて、経営トップが走るにしても、あの人に走ってもらうからという中で皆が進められるようになるのでしょうね。

岡島 私は色々な会社の指名委員会などに入っているのですが、「最後は誰が決めるのか」ということがすごく重要で、その時に「代表」という肩書が色々な方についていると、何か事件があった時に全員で辞めなければならなくなったりします。

つまり、解雇したら誰もいなくなってしまったというようなことになるのですが、このあたりの作り込みも、皆さん意外にご存知ないということもありますよね。

井上 経営トップに関して「依存病」「独走病」の2つが続きました。

経営トップ自らが気づいたら、こういう風にされればよいというお話だったと思うのですが、そもそも、どうしたら気づいてもらえるのでしょうか?

トップ自らが「依存病」や「独走病」に気づくには

岡島 私がお手伝いしているケースでは、「自分はどこまでできているの?」「今あるべき姿はどこなの?」といったことに関して外の目を入れるよう、コーチングさせて頂いています。

社外取締役がその役割を担ってもよいと思うのですが、そういった形の物差しを持つことによって客観評価ができるようになります。

井上 客観的な意見を取り入れる仕組みですね。

岡島 そうですね。

麻野 それは、モチベーションクラウドと理解してもよろしいですか?

ありがとうございます。

(会場特にリアクションなし)

岡島 今、ちょっと反応が薄かったですね(笑)

麻野 そうですね。ここは笑うところです(笑)

(会場笑)

岡島 大丈夫?

麻野 はい、大丈夫です。頑張ります。

でも、「組織が大事だ」とか、「客観的なアドバイスをもらうことが大切」だなんて、大きな痛手を負うまではなかなか分からないですよね。

出資先でもあり、私がサポートしている会社に「ラクスル」さんや「フロムスクラッチ」さんがあります。それぞれ100人くらいなのですけれども、モチベーションクラウドでも結構いいスコアが出ているんです。

両社に共通していることは、すごく早いタイミングで、組織の壁にぶつかって苦労した経験をしてることなのです。

「組織が事業の成長についていけなかった」ラクスルが経験した組織の”成長痛”

「フロムスクラッチ」は40億円以上の資金調達していますけれども、社員が15人くらいの時に、社員の約半数が退職するということがありました。今ではその反省を活かして、社員数が100人を超えながら、モチベーションクラウドの組織偏差値が70を超える組織を創り上げられています。

岡島 やはり人が辞めるのが一番大きいですよね。

麻野 そうですよね。

岡島 しかも、例えばですが、一人が辞めてメルカリに行き、その後チームごと行ってしまいましたといったケースがよくあるじゃないですか。

そこが一番痛手な感じがしますが、でも本当は、その前に何らかの兆しはあるんですよね。

だから、もちろん立て直しはできる訳なのですけれども、そこまで行ってしまうとゲームオーバーというか。

オフィスはワンフロアにせよ

岡島 組織の人数の話に戻ると、危ないなと思うのは、事業部が2つになるとか、階が2フロアになるとか、下手するとビルが2つになってしまうとか、そういう風になって情報の非対称のようなものが出てくることなんですよね。

そうなると、社長のことも見えなくなってしまうし、わらわらと脱走組が出てくるし、後から入って来た奴らは美味しい思いをしているのではないかとか、4階は美味しい思いをしているらしい、あっちにはタバコ部屋があるといった風になってきます(笑)

麻野 すごく具体的ですね。(笑)

岡島 フロアが綺麗だとか、そういう情報の非対称が出てきて集団脱走のようなことが少し出てくると、社長も「あ、まずい」と感じますよね。

その時は既に“Point of No Return(手遅れ)”なのですが。

麻野 そうですね。

その小さい失敗からいかに学習できるかというのことが大切だと思います。

岡島 リンクアンドモチベーションでもオフィス設計をされておられますが、やはりワンフロアであることがすごく重要です。

後に出てくる「タコツボ病」ともすごく関係があるのですが、相手の様子がよく分かって、「エンジニアはこうだよね」「事業開発はこうだよね」などと言わないで済むワンフロアはすごくお勧めですね。

麻野 なるほど。

組織のステージに合わせてオフィス戦略を作るということもすごく大事だと思っています。

僕達は今年(2017年)5月のゴールデンウィーク明けにGINZA SIXに移転しました。

グループ会社がたくさんできて、本体もカンパニー制になって権限移譲してと、分化を進めることでシナジーが薄らいでいたのでワンフロアのオフィスにギュッと寄せました。

岡島 「遠心力」と「求心力」ですよね。

麻野 一方で、例えば「サイバーエージェント」では意図的に「遠心力」をきかせていて、渋谷の1か所に集めるのではなく、渋谷のビルに分散することで、それぞれの部署のリーダーシップを育まれているようです。

岡島 あとはイノベーションのジレンマに陥らないように、大きい部門が全部食っていくようなことにならないように分化させるというような、「遠心力」と「求心力」の上手い使い分けがありますよね。

麻野 この50人・100人のフェーズだと、岡島さんがおっしゃるように極力ワンフロアにするのがよいですよね。

「コロプラ」でも、2フロアにまたがったらそこをぶち抜いたりして、相当なこだわりでワンフロアにしていた記憶があります。

岡島 実は、グロービスでも、原状復帰がすごく大変なのですが、オフィス内に中階段を作るということをずっとやってきていています。

1フロアをちょっとエレベーターで上り下りするのは、結構億劫なんですよね。

ですから、タバコ部屋みたいな効果を出すという意味もあって、中階段をずっと作り続けていますね。

麻野 なるほど。

「さん付け運動」で文化を作ろう

岡島 ワンフロアにすることや、「さん付け運動」というのは、文化を作るという点からお勧めしています。

「さん付け運動」がないと、ステージが上がるにつれて、どこかの時点で古くからいる人が降格されるといったことがどんどん出てきたときに困るんですよね。

「部長」ではなくて「部長代理」と呼びかえなければならなくなったり、若手のことを「○○君」と呼んでいたのに、その人の方が偉くなってしまったりしたらすごく大変ですよね。

ベイン・アンド・カンパニーでは全て「さん付け」だと思うのですが。

井上 ファーストネームも多いですけれどもね。

岡島 そうですよね。

プロフェッショナルファームでは、私達より若い上司が沢山いるので「さん付け」です。

「さん付け運動」は色々な企業で勧めてもらっています。

そうでないと、チャレンジャブルに上に上げられません。

この人は少し足りないかなと思っても上げる、みたいなこともできなくなってしまうので。

井上 前のセッションでは、「よなよなエール」の「ヤッホーブルーイング」さんが、全員にニックネームをつけておられるという話がありました。

社長は平仮名で「てんちょう」というニックネームだそうですが、そういうことをやっていくことで効果はあるのでしょうか。

岡島 呼び方と距離感には相関があるので、やはり文化を作るという意味ではとても大事ですよね。

井上 こうしてお聞きすると、やはり組織論というのは深いですね。

オフィスのレイアウトや設計も戦略的に考えるべきだし、人の呼び方も考えるべきだというのは、大変な気づきです。

ありがとうございます。

では、次のテーマにいきましょうか。

(続)

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/Froese 祥子

【編集部コメント】

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