7.大企業とスタートアップの足並みが揃わないときはどうする? – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

7.大企業とスタートアップの足並みが揃わないときはどうする?

Pocket

平日 毎朝7時に公式LINE@で新着記事を配信しています。友達申請はこちらから!
ICCの動画コンテンツも充実! Youtubeチャネルの登録はこちらから!

「オープン・イノベーションを実現する取り組みを徹底議論」【K17-3E】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!8回シリーズ(その7)は、参加者からの質問です。大企業とスタートアップの取り組みで起こる足並みのズレを解消するために大切なこととは? 現場を熟知する登壇者からの回答をぜひご覧ください。

▶ICCパートナーズではオペレーション・ディレクター及びコンテンツ編集チームメンバー(正社員&インターン)との募集をすることになりました。もし興味がございましたら採用ページをご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2018は2018年9月3日〜6日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2017年9月5日・6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017
Session 3E
オープン・イノベーションを実現する取り組みを徹底議論

(スピーカー)

西條 晋一
株式会社WiL ※登壇当時
共同創業者ジェネラルパートナー

斎藤 祐馬
デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社
事業統括本部長

角 勝
株式会社フィラメント
代表取締役CEO

中嶋 淳
アーキタイプ株式会社
代表取締役

(モデレーター)
西村 勇哉
NPO法人ミラツク
代表理事

「オープン・イノベーションを実現する取り組みを徹底議論」の配信済み記事一覧

連載を最初から読みたい方はこちら

最初の記事
【新】オープン・イノベーションを実現する取り組みを徹底議論【K17-3E #1】

1つ前の記事
協業案件の優先順位と撤退判断はどう決める?【K17-3E #6】

本編

西村 では会場の皆さんから質問を15分間お受けします。

手を挙げていただければマイクを持っていきます。

お名前と質問と回答者の希望があれば言っていただければと思います。

大企業とスタートアップの思惑のズレにどのように対処する?

質問者1 日本IBM(当時)の大山です。


大山 健司
IBM BlueHub ※当時
Lead 事業開発担当

1998年にアクセンチュア入社、主に大手製造業における業務改革などを担当。新規事業企画やBPO事業、IT人材紹介事業を手がけるベンチャー企業の経営を経て、2006年SMBC日興證券(M&A部門)にて国内/海外のM&Aアドバイザリーに従事。米国(ニューヨーク)駐在やIPO関連コンサルティング等も手がける。2012年より日本IBMの事業戦略コンサルティング部門に赴任。2016年より、テクノロジー提供によるスタートアップの事業立上げ支援と、大手企業とスタートアップのオープン・イノベーションを促進するIBM BlueHubのリーダーに就任。現在、第3期目となるインキュベーション・プログラムや数々の大手企業とスタートアップの協業プログラム等を企画/推進中。事業戦略策定、新規事業企画/開発等の実績多数。

あえておうかがいしたくて手を挙げました。

弊社でもIBM BlueHub内で、オープン・イノベーションプログラムという取り組みをしているのですが、日々難しいなと考えているのは、大企業とスタートアップの足並みが揃わないことです。

同じ船になかなか乗れません。

例えば、大手企業側は「アイディアが欲しいから、スタートアップの皆さんとコネクションを持っているのだ」と言う人もいます。

一方スタートアップ側は「今のプロダクト、サービスを大企業のチャネルを使って売れれば良いんだ」と言います。

全然合いませんよね?

皆さん色々ご経験されていると思いますので、どのように対処されているのかおうかがいしたいです。

西村 上手くいくコツですね。

いかがですか?

中嶋 スタートアップのステージによりますよね。

アーリーステージのスタートアップが欲しいのは売上です。

コアのプロダクトや、事業が回り、そのなかで色々なアイディアが生まれているけれども、自社だけではアイディアを実現する余力がない。

投資家から「周辺をやっている場合じゃない」と言われる状況のスタートアップと(アクセラレーション)プログラムは、例えばディズニーのアクセラレーションプログラムに例えれば、すぐ決まりそうなプロダクトがある、すぐ業務提携できる、すぐ映画に登場できる、すぐにキャラクターとして売れそうというレイターステージ先と組むというパターンではないかと思います。

つまり、お互いが何を求めているのかと、ステージのマッチングだと思うんです。

逆にお聞きしますが、アイディアを求める場合、アイディアという知財のシェアをIBMさんはどうされているのですか?

仮に僕がスタートアップをIBMさんにご紹介した所、とても良いアイディアが生まれたとして、それを実行しようという時、そのアイディアはどちらのものになりますか?

アイディアはスタートアップ/大手どちらのもの?

質問者1 弊社も昨年(2016年)から取り組み始めましたが、日本のオープン・イノベーションはまだまだ黎明期だと思います。

成功例も少ないですし、まだその段階まで進んだフェーズの大手とスタートアップの組み合わせはまだありませんが、「アイディアがどちらのものか早い段階で決めておいてください」とお伝えしています。

大手企業側のリソース、例えばデータや、持っている技術を使って、スタートアップがアプリケーションを開発したとします。

そのアプリの知財はどちらにあるのかを早い段階で決めておいて下さいということです。

往往にしてそこはスタートアップにもたせた方が絶対良いと思いますが、そこは両者の取り決めを早くして下さいと伝えています。

中嶋 そうしますと、どちらになりますか?

個別(で判断)なのですか?

質問者1 最初はやはりスタートアップのことが多いですね。

(写真左から2番目)アーキタイプ株式会社 代表取締役 中嶋 淳氏

中嶋 そうですよね。

調整に時間がかかるプログラムであれば、僕たち投資家の立場では「行かなくて良いよ」と言ってしまうと思います。

ある意味、事業者側も割り切りが必要だと思います。

色々なプログラムが出てきている中で、僕ならそう言ってしまいますがどうですか?

 そうだと思います。

アイディアベースで持ってこられても、おそらくほとんどの企業が乗れないのではないかと思うんです。

なぜなら、すごく良いアイディアだったとしても、誰がその意思決定するのかという所で、詰まることが多いからです。

アイディアを売るよりも、スタートアップがサービスを作ってしまい、それを商材として活かす方が絶対に良いと思います。

大企業が、カバレッジの広い事業展開をしているのであれば、何らかにかこつけて売れるはずです。

売るために、どの部署にハンドオーバーすれば良いのかという所はもめる要素があるので、そこで大企業のトップのカバーが必要なのかなと思います。

トップの判断として「これを売る」というコミットがあり、どの事業部に持って行っても話がつくのであればおそらく大丈夫だと思います。

大企業側の本気のコミットが鍵となる

質問者1 オープン・イノベーションということなので、「ベンチャーのサービスを大企業のチャネルを通じて売るだけであればイノベーションではないのではないか」という意見もあると思います。

 全くその通りですが、たとえイノベーションではなかったとしても、何らかのビジネスが生まれれば、それは一つの成功なんです。

それを必死に作りにいくということが大事だと思います。

西村 斎藤さんはいかがですか?

ベンチャーと大企業の間で取り組みされていますので、うまくいかないハレーションが起こらないようにどうされていますか?

斎藤 スタートアップからすると欲しい例がはっきりしていると思います。

お金だったり、売上だったり。

大企業側からすると、そこがすごくあいまいなケースが多いので、「何を提供できるのか?」はっきりさせなければ始まらないということが常にあります。

よく起きてしまうことですが、「自分の会社のための提案を作って下さい」とスタートアップに依頼する。

スタートアップは力を尽くして作り、結果的に選考に選ばれたけれど、彼らにとっては大してレア度がないということばかりです。

大企業側のコミットと言いますか「そこまでスタートアップのために優遇するんだ」という位の本気度がなければ、そもそも目線が合いませんよね。

スタートアップは基本的に、お金を集め、無くなるまでに立ち上げないと潰れてしまうという世界で生きています。

一方、大企業は失敗しないことが大事なのでゆっくり取り組みした方が良いわけです。

そこがまず合いません。

これはスタートアップ側に合わせなければ、目線が絶対に合わないと思いますね。

中嶋 私がお手伝いする案件は、始めの段階で「期間の最後に必ず業務提携をする」という契約をします。

「必ずリリース出して下さい。それが条件です。」と提示し、それに向けて両者でどのように検討するかということです。

仮にあまりお金がなかったとしても、「大手企業と業務提携しました」という事例はスタートアップ側からすると嬉しいことです。

リリースを出すまでにも、社内では「広報をどうすのるか」というように決めなければならないことが沢山あります。

それを逆算し、どのようにすればうまくいくのか考えることも重要です。

ゴールから、一つひとつ決めていくということに取り組んでいます。

斎藤 どんなベンチャーが来たとしても、「何件は実行する」とコミットすることが大事だと思います。

それがあれば、ベンチャーとしても、選ばれればここまで行けるということがはっきりします。

それがあいまいだとすごくやる気を失いますよね。

西村 面白い話ですね。

(続)

次の記事を読みたい方はこちら

続きは 【終】コーポレートベンチャーキャピタルに意味はあるのか? をご覧ください。

▶ICCパートナーズではオペレーション・ディレクター及びコンテンツ編集チームメンバー(正社員&インターン)との募集をすることになりました。もし興味がございましたら採用ページをご覧ください。

平日 毎朝7時に公式LINE@で新着記事を配信しています。友達申請はこちらから!
ICCの動画コンテンツも充実! ICCのYoutubeチャネルの登録はこちらから!

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/立花 美幸/浅郷 浩子

【編集部コメント】

立場が違えば求めるものは違って当然かもしれませんが、オープン・イノベーションの場合は大企業側がスタートアップの目線に合わせてコミットすることが肝というお話でした。パトロンと芸術家のような関係なのですね。(浅郷)

続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

更新情報はFacebookページのフォローをお願い致します。

Pocket

ICCパートナーズ

ICCパートナーズ

ICCパートナーズ(ICC Partners Inc.)は産業を共に創る経営者・経営幹部のためのコミュニティ型カンファレンス「Industry Co-Creation サミット/ICCサミット」の企画・運営および新規事業創出・アライアンスなどのアドバイザー業務を行っています。