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5.J.Y.Parkは、個々に合わせて導くシチュエーショナル・リーダーシップを高いレベルで実践している

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「Nizi Projectから学ぶ採用と人材育成の仕組みとは?」全8回シリーズの(その5)は、登壇者たちが話したいテーマを発表。「J.Y. Parkは指導者としてトレーニングを受けているのでは」と言うリンクアンドモチベーション田中 允樹さんが、その理由を語ります。背景もスキルも異なるメンバーを見極め、フィードバックするにはどのような姿勢が必要なのか?レベルの高い指導を分解していきます。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2021は、2021年9月6日〜9月9日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2021 ダイヤモンド・スポンサーのノバセル にサポート頂きました。


【登壇者情報】
2021年2月15〜18日開催
ICC FUKUOKA 2021
Session 12E
Nizi Projectから学ぶ採用と人材育成の仕組みとは?
Supported by ノバセル

(ホスト)

青田 努
NiziU研究家

(ゲスト)

岡島 悦子
株式会社プロノバ
代表取締役社長

田中 允樹
株式会社リンクアンドモチベーション
MCVカンパニー カンパニー長

玉川 憲
株式会社ソラコム
代表取締役社長

【一挙公開】Nizi Projectから学ぶ採用と人材育成


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最初の記事
1.「NiziU研究家」青田 努さんがモデレートする、話題のプロジェクトから学ぶ採用と人材育成の仕組み

1つ前の記事
4.ソラコム玉川さんが子どもたちにも見せた、J.Y.Parkの「真実・誠実・謙虚」の講義

本編

青田 今日は話したいテーマを3人から事前に1~2つずついただいています。

例えば、「J.Y. Parkの人材戦略の明確さ」「なぜJ.Y. Parkの言葉は刺さるのか?」「チームが求める理想のポジションと実際に採用できるタレントをどう融合させるかのトレードオフ」などです。

この中から選んで話していったり、そこからの脱線は大歓迎ということで進めていきましょう。

まずどこからいきましょう? 1つ似通っているのが、「J.Y. Parkのフィードバックの秀逸さ」と「なぜJ.Y. Parkの言葉は刺さるのか?」です。

ここは通ずる部分があるのではないかと思います。

これは田中さんと岡島さんからでしたか? 思うところをお話いただけますか。

秀逸なシチュエーショナル・リーダーシップ

田中 J.Y. Parkさんはおそらくですが、アーティストとして成長するプロセスの中で、指導者としても何かトレーニングを絶対受けていらっしゃると思うんです。

青田さんが書かれていたような、承認の仕方のコーチングのスキルもそうですが、フィードバックが確実に秀逸です。

シチュエーショナル・リーダーシップ(※)という考え方があります。

▶編集注:一人ひとりの成熟度(能力やモチベーション)に合わせて、上司の対応を変えること。

要は、上司から見てその子がある仕事に対してやれると思うかやれないと思うか、そして本人自身がやれると思うかやれないと思うかの2軸でマトリックスを組みます。

本人もできると思っていてこちら側もできるなと思ったら「任せる」のですが、本人もできないと思ってこちら側もできないと思ったら「教える」。

これは「任せる」と「教える」ですが、一番秀逸な時は、本人とこちら側の認識がずれた時です。

私はその子ができると思っているけれども、本人はできないと思っている。

その時は「励ます」、いわゆるエンパワーメントです。

本人ができると勘違いしていて、私ができないと思っている時は「正す」です。

Nizi Projectでは、「教える」「任せる」「励ます」「正す」をかなり秀逸にその子、その子に合わせて使いこなしていることが、何よりも彼が言葉というものよりも力強いフィードバックを生むことができている理由かなと思っています。

すごく難しいのですが、これを具体的に使い分けている人を、僕は初めて目の当たりにしましたね。

青田 RIOが序盤で、歌手はダンサーに見えたらいけないというフィードバックをもらっていましたが、RIOとしては「できている」という認識だったんですよね。

田中 そうですよね。

青田 でもJ.Y. Parkさんからすると、歌手とダンサーは違うんだぞという、あれは分かりやすいシーンですね。

ポジティブなことから話して相手の聞く姿勢を作る

玉川 J.Y. Parkさんが口癖で「にもかかわらず」とよく言いますよね。

(一同笑)

何か言って、「これは褒めているのかな? けなしているのかな?」と(笑)。

岡島 全部聞かないと、ポジティブなのかネガティブなのか分からないという。

青田 でもだいたいポジティブが先に来ているんですよね。

岡島 そうそう。フィードバックの基本であるポジティブ・ネガティブ・インタレストみたいになっているんですよね。

青田 先にポジティブなことを言って、最初に聞く姿勢を作って、その後に「とはいえ」と、改善点などをちゃんと伝えるという組み立て方も刺さる要因の一つですね。

具体的なレベル感を示すフィードバック

岡島 今のシチュエーショナル・リーダーシップの話と近いのですが、なかなかやっぱりあの年代の女の子たちは、先ほど私が言ったように(Part4参照)自信が無いのです。

だからこんなに評価されているのに、ずっとみんな「自信が無い、自信が無い」と言っている感じですよね。

その時に、あなたはこういうところで戦っても大丈夫と、かなり具体的なレベル感をしっかりと示すのです。

それから、Nizi ProjectのPart 2では12人ですが、12人の子をかなり粒度高くして見ています。

しかもその子たちに、グローバル・オーディションから日本合宿までのNizi ProjectのPart 1でJ Y.Parkさん自身がどんなフィードバックをしたかもしっかり頭に入っていて、その受け答えがどんなものだったかもしっかり頭に入っています。

全部見た上で判断して、でもここはちょっとだれてきているから、この高いレベルのことを目指してほしいというフィードバックをするなど、プロファイリングがかなりしっかりできています。

しかも打たれ強いかそうでないかもしっかり見ていて、その上で、AYAKAちゃんとかには結構きついことを言っているのだけれども、あなたに期待しているレベルだったら今満足です、みたいな期待値と満足感をかなり具体的に示すことができているのは素晴らしいと思います。

フィードバックされた人もイメージが湧くというか、言葉の選び方がすごくビビッドだと思っていて、本人たちにもスッと入りやすいのだろうなと思います。

やはりフィードバックが秀逸だと思いますね。だから、愛があるなと思うんですよ。

玉川 本当に愛があるなと思いますね。

岡島 Part 2の途中で脱落した人に対してもそうだし、デビューメンバー発表後、真っ先に選ばれなかった人に声をかけたシーンもそうだと思うのですが、愛があるからかなり粒々に見ていて、でも今回のグループのコンセプトに合わなかっただけ、みたいなことも言ってあげられるし、フィードバックの基本だなと思いますね。

見極めているのは「原石の質」

玉川 J.Y. Parkさんは、地域予選の時に日本全国を飛び回って、しかも応募者が全然違うレベルだったじゃないですか。

それこそAYAKAとかMAYUKAと、MAKOとかMIIHI、すごく違いがあるんだけど(※) …。

▶編集注:デビューメンバーのMAKO、MIIHI、RIMAはJYPエンターテイメント所属の練習生。

岡島 JYPエンターテイメントの練習生だった子たちとそうじゃない子ですよね。

玉川 それぞれのプロファイルに合わせてフィードバックしているし、なおかつ次の回、その次の回の成長曲線まで計算してフィードバックしているのがすごいなと思います。単純にすごい。

青田 ただ最初は原石の質を見ていたんでしょうね。

磨くことは後からできるけれど原石の質は上がらないので、その時点ではそこまで磨かれていなかったAYAKAでも、ちゃんとまず原石の質として見ていたということですよね。

Unlearnする能力が重要

岡島 そうですね。スターになる原石発掘の目利きみたいなことともちょっと関係しますが、「素直さ」「ナチュラルさ」をすごく言っていますよね。

私は人材紹介をする時やヘッドハンティングをする時に、必ず見ているのはどのぐらい今までのことを「Unlearn(アンラーン)」できるかということで、変化適応能力はすごく重要なことです。

Unlearnできる人は「リンモチなら…」「リンモチでは…」とか前職での環境条件をベースにした話はしません。

「なら」「では」とか言うなよと思うんですが、素直さはすごく重要でかつ学習能力も重要です。

今回の場合は学習能力だけではなくて、それを体現する力が地域予選の時から見えているんだろうなと思いますね。

だって、普通はAYAKAちゃんとか選ばないでしょう?

田中 あれはびっくりしましたよね。

岡島 というか、あのテニス講座(※) は何?みたいな。

▶編集注:スター性テストでのAYAKAの「少し変わったテニス講座」のパフォーマンス。

(一同笑)

玉川 タイプだった。

田中 スジ(※) に似ているというのはありましたね。

▶編集注:元JYPエンターテインメント所属。2017年に解散したガールズグループMiss Aのメンバー。

青田 スターだからスター性は大事ですよね。

田中 言葉のチョイスがいいですよね。

「スター性」というものを表現する時に、「実力で判断したら不合格にするのが当然だけど、家に帰っても新井さん(AYAKA)が頭から離れないと思います」というあの言葉で伝わりますよね。

玉川 何かをやってもらった時に、やる前よりもやった後のほうが好きになっているという言い方をしていました。あれもすごいなと。

青田 人材要件の定義、言語化が秀逸なんですよね。

岡島 でも別のインタビューとかを見たら、子どもが遅くにできて子育てをするようになったら、TWICEを育てていた『SIXTEEN』の時とは自分の人材育成方法が変わったみたいなことをどこかで読みました。

玉川 グロースマインドセットの有名な本(『マインドセット「やればできる! 」の研究』)があると思いますが、自分の子どもがコンテストに出て通らなかった時に、ほとんどの親が「○○ちゃん、よくできていたよ。今回はだめだったけれども次は通る」というのが日本の親の慰め方ですが、それは一番だめらしいです。

結局もう1回同じコンテストに出てもたぶん受からないので、努力が足りなかったというのをきちっと言えないというの、が日本の親の一番良くないところだと書いてありました。

「2カ月の間練習しないで遊んでいた人みたいです」

岡島 フィードバックで一番シビれたのは、「2カ月の間練習しないで遊んでいた人みたいです」でした。

青田 東京合宿の頃にNINAが言われていましたね。

岡島 NINAやアカリが言われていて、「これは結構つらいぞ」と思いました。

玉川 結構きついフィードバックですね。

田中 具体的なんですよね。

ダンスがこれこれこういう動きをするということは、たぶんトレーニングをしていなかったんじゃないかという、具体的な事象から類推する練習量の仮説、その精度がものすごく高いですよね。

ぐうの音も出ないというか、そこを逃さず言う感じはありますよね。

岡島 J.Y. Parkさんは1971年生まれで、その年で毎日絶対音感的なトレーニングをして、毎日運動も語学学習もして、経営者もアーティストもしていること、自分が実践しているからこその強さがあります。

「あなたさぼってたでしょ?」と言われたら、「いや、自分なりにはトレーニングしてるよ」と思うけれど、J.Y. Parkさんからしたら「僕のような年長者がもっと努力し続けているんだよ」とたぶん思っています。

青田 30年間ずっと音階のスケールトレーニングをやっていますしね。

玉川 ダンスもキレキレですからね。

田中 一流の基準をご自身が知っているんですよね。

青田 これだけで終わるのもなんですから、次のテーマにいきましょう。

「チームが求める理想のポジションと実施に採用できるタレントをどう融合させるかのトレードオフ」という質問は、玉川さんでしたか?

(続)

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続きは 6.J.Y. Parkは、NiziUのメンバーの人数をなぜ最後まで明かさなかったのか をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林弘美/戸田 秀成

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