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「『新しい働き方』におけるWell-beingとは?」全6回シリーズの(その4)は、スポーツにおけるチームワークのために、チームビルディングを行う、中竹さんの話からスタート。それを受けて、コロナ禍でリモート化が進む、じげん平尾さんとビビッドガーデン秋元さんが、オフィスでの働き方、チームのあり方の変化を語ります。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2021は、2021年9月6日〜9月9日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2021 ゴールド・スポンサーのフロンティアコンサルティングにサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2021年2月15〜18日開催
ICCサミット FUKUOKA 2021
Session 6E
「新しい働き方」におけるWell-beingとは?
Sponsored by フロンティアコンサルティング
(スピーカー)
秋元 里奈
株式会社ビビッドガーデン
代表取締役社長
石川 善樹
公益財団法人Well-being for Planet Earth
代表理事
中竹 竜二
(公財)日本ラグビーフットボール協会 理事 /
株式会社チームボックス 代表取締役
平尾 丈
株式会社じげん
代表取締役社長執行役員CEO
(モデレーター)
森山 和彦
株式会社CRAZY
代表取締役社長
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最初の記事
1.リモートワークが進む職場で、経営者はWell-beingをいかに考えるべきか?
1つ前の記事
3.元マンU監督に学ぶ、チーム内に「信頼」を生む行動
中竹 いま(石川)善樹さんからFCバルセロナの話がありましたが、2年前でしたっけ? 一緒にバルセロナに行ったのは。
ちょうど明日、『ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方』という本を出版するのですが、その本のきっかけとなった『FCバルセロナ 常勝の組織学』の監訳にあたり、インタビューが必要となってバルセロナに行きました。
バルセロナでは、選手や関係者だけではなく街の人に聞いても「FCバルセロナはMore than a Clubだ」と言います。
FCバルセロナは彼らのアイデンティティであり、まさにチームと地域が一体化していると感じました。
ラグビー日本代表の躍進に見る「チームビルディング」
中竹 「チームワーク」という言葉については、私自身も「チームワークを高めるにはどうすればいいですか?」とよく聞かれます。
たいていまず「そもそも“チームビルディング”をされていますか?」と聞き返します。
勘違いされていることが多いですが、「チームワーク」と「チームビルディング」は概念が全く違います。
いくら良い選手がいても、チームビルディングがされていないとワークせず空回りするだけです。
2019年のラグビーW杯で日本代表が「ONE TEAM(ワンチーム)」を掲げ成果をあげたのは、極論すると4年間「チームワーク」にはほとんど手をつけずに、ひたすら「チームビルディング」に取り組んだからです。
チームビルディングのためには徹底的にコミュニケーションをとる必要がありますが、ほんの少しずつしかビルドされないので、すごくじれったいものです。
戦略や戦術を話すというよりか、カフェで時間を過ごす、一緒に食事をする、みんなでボードゲームをするなどして、とにかく雑談をします。
私も監督をしていたので分かりますが、大会が近づくと戦略・戦術ミーティングをしたいし、トレーニングをしたいし、トリートメントをしたいのが通常で、それらを5分刻みでスケジュールしていきます。
しかしはそれらを全部やめて、「とにかく楽しもう、俺たちは家族だ」とコミュニケーションを重視したのです。
私は評価する側なので、大丈夫かなと不安でしたが、結果的にはそれが良かったのだと痛感しました。
感情的なつながりを大事にしたことが成果につながったので、先ほどの善樹さんのプレゼン(Part3参照)そのものだと思いました。
森山 チームワークとチームビルディングの違いでいうと、チームビルディングは「感情」のつながりということですね。
中竹 そうですね、そしてチームワークは「機能」、石川さんの言葉を借りると「機能体」のほうですね(Part2参照)。
森山 平尾さん、今の話を受けていかがですか?
何のために会社が存在しているのか?
平尾 勉強になりますね。
やはり自分も、コロナ禍によって経営者として考える時間が増えました。
その中で、先ほど話した「オフィスと会社が一体化してしまっている」ということに加えて、チームワークやWell-beingという切り口で言うと、「何のために会社は存在しているのか?」と考えました。
まだ結論は出ていませんが、極論としては「会社はなくてもいいのでは?」という考えが浮かんできます。
今は個人の時代だし、会社がなくても活躍している人は増えているし、YouTuberが人気職業ランキング1位だし、「会社経営者って何だろう?」「自分が好きだったアントレプレナーって一体何だったんだろう?」と。
今回のICCサミットで色々なセッションを聴講して感じるのは、色々なことがコロナが起点となって変わってきているということです。
ESGやSDGsをテーマにみんなが世の中を良くしていこうとしている中で、これまでは会社という存在でレバレッジをかけられていたものが、どうも難しくなってきているように感じます。
人の遠心性が働く時代でコロナで社員も不安になっているところに、これまでひたすら強かった経営者がLOVOTを買ったので(Part1参照)、「丈さん、寂しくてペットを飼い始めたんですか?」となりました(笑) 。
(一同笑)
そんなふうに社会全体の考え方が変わって来ている中で、「会社がなかったら困ることって何だろう?」という視点から、Well-beingを考えてみようと思いました。
森山 これまで話されてきた、チーム作りの重心についてはどう考えましたか?
じげん、ビビッドガーデンの「チームの重心」は?
平尾 私たち(じげん)は「次元を超える事業家集団」と名乗っているくらいなので、チームのバランスとしては先ほどの(石川)善樹さんのスライドでいうと、もともとはパターン3(信仰)です。
「平尾丈ファンクラブ、圧倒的な唯一無二」みないなところからスタートしていますので(笑)。
森山 そういうイメージはありました(笑)。
平尾 それがいいのか悪いのかは分かりませんが(笑)。
でも、上場してからは「信用」のフレームワークのパターン1になったかもしれません。
ダイバーシティに取り組んだり、ジョブディスクリプションを決めたりしないといけないし、「平尾が言っているからOK」ではなく、ガバナンスを効かせる必要も出てきます。
結果として、共同体の側面が相対的に弱くなっている気がします。
過去を見ると、「信用」と「信仰」を行ったり来たりしつつ、色々な経験を経て「信頼」が生み出されてきたように思います。
いきなり「信頼」が生まれて広がっていくことはないので、だからこそ、そこに投資していくべきだと感じました。
森山 ありがとうございます。
秋元さんの会社は今急激に成長中だと思いますが、いかがでしょうか?
秋元 私たち(ビビッドガーデン)のフェーズはパターン3(信仰)に近いかと思います。
社員数20名の規模で、私が掲げたビジョンに共感した人が入ってくれています。
ただ、私がDeNA出身なこともあり、ソルジャー的な働き方というか、思考は独立してほしいという思いがあるので、宗教っぽくはしたくはありません。
だから、自分たちはどこに当てはまるかなと考えながら聞いていました。
今はパターン3に近いけれど、平尾さんがおっしゃったようにパターン1(信用)に寄りつつ2(信頼)を目指す感じかなと思っています。
中竹さんも太鼓判!ビビッドガーデンのチームビルディング
秋元 私たちの事業はコロナ禍ですごく伸びて、(2020年)2月末から5月の3カ月間で流通額が35倍になりました。
▶農産品オンライン直販のビビッドガーデン、6億円調達(日本経済新聞 2020年8月6日)
そこで一気に人を増やしたのですが、緊急事態宣言下で社内のほとんどが新入社員という状態になり、かつ初めてのテレビCMをやるということで社内はバタバタしていました。
どうすればチームビルディングができるかと模索しながら走っていて、今もその状態です。
行っていることは3つあって、ぜひフィードバックをいただきたいと思っています。
1つ目が「Win Session」で、金曜日の夜にお互いを褒め合うようにしています。
OKRで高い目標を設定すると未達の状態が続いてメンバーのモチベーションが下がりがちなので、お互いに褒め合う場を作っています。
2つ目が、Discord(音声・テキストチャットツール)を使った雑談の場です。
リモートワークになるとミーティングばかりで雑談が減ってしまうので、Discordでつながり、雑談が生まれるきっかけ作りを行っています。
そして3つ目ですが、ビビッドガーデンには私を見て入社してくる人が多いので、私が彼らを見ていることを伝える必要があると思っています。
そこで、Slackの勤怠チャンネルに届く「勤務開始します」「退勤します」のメッセージ全てに、絵文字で返信するようにしています。
特に、アルバイトや業務委託の方のように私と直接業務で接する機会の少ない人にも「いつもありがとう」の感謝を伝えるきっかけになると思って続けています。
今回のテーマに近いかなと思い実体験をシェアしましたが、これはパターン2になるための手段として有効でしょうか?
石川 中竹さん、どうでしょう?
中竹 いや、完璧ですよ。
石川 完璧ですか!
中竹 完璧です。 なぜその3つをやろうと思ったのでしょうか?
秋元 試行錯誤の結果、その3つに集約されました。
色々やってみたのですが、定着しなかったものもあったので、半年くらい経って3つが残った感じです。
中竹 おそらく、その3つも今後変容していくと思います。
金曜日の夜に褒め合うということですが、「褒めるとは何なのか」が大事です。
今日本では流行っていますが、私は褒めるという行為は基本的には良くないと思っています。
なぜなら、褒めるとは上から下への縦のコミュニケーションだからです。
それが「称え合う」や「共有する」に変わっていくと、よりフラットなパターン2に近づくと思います。
そして善樹さんの得意分野でもある「雑談」ですが、人の本性はオンではなくオフ状態の時に出ます。
スポーツでも、「on the field」と「off the field」のコミュニケーションのうち、グランド外で行う後者が大事だとされています。
優秀なコーチは今「off the field」をチェックしていて、そのマネジメントをすることで結果的に「on the field」の状態も良くなるという研究結果が出ています。
ですから、Discordに入って雑談をするのはとても良いと思います。
勤怠管理のコメントも良いですが、そのフェーズを超えたときに「忙しくて見られていないです」ということも正直に言える関係がパターン2だと思います。
人間完璧ではないので、見ていないこともお互い許し合えるコミュニケーションが取れると、パターン2になるのではないでしょうか。
リモートワークで減った雑談を「聞く」機会
石川 コロナ禍で一番聞いたのは、雑談を「する」機会が減ったというよりも、雑談を「聞く」機会が減ったということです。
ですから、雑談を「聞く」ことでチームになっていくのではないでしょうか。
自分が発言をしていなくても、相手の雑談を聞くだけでその人がどんな人かが分かります。
オフィスにいると自然に起こりますが、デジタルの世界では雑談を聞くのはすごく難しいですよね。
また、他人の仕事の様子を見て学ぶこともあります。
例えば、電話のかけ方を注意された人を見て、他の人は「あの電話のかけ方はダメなんだな」と学びます。
リアルにはリアルの良さがあり、その最たるものが雑談を聞くことではないでしょうか。
トイレの雑談で何かを把握するとか、テレビドラマでよくそういうシーンがありますよね(笑)。
秋元 ちょっと怖いパターンですね(笑)。
リモートワークで生じる感情のぶつかり合い
秋元 Discordだとその部屋に入る必要はありますが、入ってミュートにしていても他の人の雑談は聞こえますよね。
それでも、となりの部署の話が聞けないという課題があります。
私たちの会社では、生産者サポートと消費者サポートのチームが別になっています。
例えば、消費者の方から「ある生産者の商品が悪かった」とご意見が来た際、消費者サポートは消費者側に、生産者サポートは生産者側に寄り添いがちで、議論になることもあります。
ワンフロアで仕事をしていれば相手の仕事の大変さや温度も分かりますが、リモートワークだとお互いがどう働いているかが見えないために、最初の頃はその議論が本気のバトルになってしまうこともありました。
石川 なるほどね。
森山 それぞれが自分の役目を担っているにしても、その背景が分からないとお互いを信頼するのは難しいですよね。
秋元 そうですね。
新卒社員の方を抱える企業だと、企業文化など共有しているものがそもそも少ないので、より大変ではないかと思います。
(続)
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続きは 5. 「勝ち」の定義は、試合の勝利ではない。常勝チームに学ぶWell-Beingのあり方 をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/尾形 佳靖/浅郷 浩子/大塚 幸/戸田 秀成
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