「勝ち」の定義は、試合の勝利ではない。常勝チームに学ぶWell-Beingのあり方 | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

5. 「勝ち」の定義は、試合の勝利ではない。常勝チームに学ぶWell-Beingのあり方

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「『新しい働き方』におけるWell-beingとは?」全6回シリーズの(その5)は、企業の社会における存在意義が変わりつつあり、コロナ禍のいま、企業とにとっての勝利や、Well-beingである働き方の実現は、どうしたらできるのかについて議論が進みます。結果が求められる勝負の世界で、FCバルセロナやオールブラックスといったチームは、勝利を目的としていないのに、なぜ”常勝チーム”たりえるのか? その理由をぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2021は、2021年9月6日〜9月9日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2021 ゴールド・スポンサーのフロンティアコンサルティングにサポート頂きました。


【登壇者情報】
2021年2月15〜18日開催
ICCサミット FUKUOKA 2021
Session 6E
「新しい働き方」におけるWell-beingとは?

Sponsored by フロンティアコンサルティング

(スピーカー)

秋元 里奈
株式会社ビビッドガーデン
代表取締役社長

石川 善樹
公益財団法人Well-being for Planet Earth
代表理事

中竹 竜二
(公財)日本ラグビーフットボール協会 理事 /
株式会社チームボックス 代表取締役

平尾 丈
株式会社じげん
代表取締役社長執行役員CEO

(モデレーター)

森山 和彦
株式会社CRAZY
代表取締役社長

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最初の記事
1.リモートワークが進む職場で、経営者はWell-beingをいかに考えるべきか?

1つ前の記事
4. 中竹竜二さんも太鼓判!「食べチョク」のチームビルディング

企業は、誰のWell-beingを気にするべきなのか?

石川 (平尾)丈さんが言っていた「会社って要るのかな」という考えについてですが(Part4参照)、上場すると会社のメンバーが増えますよね。

地域社会への責任なども加わりますし、株主やアナリストともきちんとコミュニケーションを取らなければいけなくなり、従業員のみならずたくさんのステークホルダーが加わるかと思います。

平尾 はい、株主のWell-being、従業員のWell-being、顧客のWell-being、会社のWell-being、そして社会のWell-beingがあり、どの方向を向いて経営すべきかどんどん難しくなってきます。

石川 誰のWell-beingを気にするべきか、ということですよね。

最近は“脱炭素”など、地球環境のWell-beingも考えなくてはいけません。

これは、どうすればいいんでしょうか!?

森山 どうするのでしょうか(笑)?

平尾 どうしましょうか(笑)。

ただ、先ほども言った「会社不要論」を考えることは経営者の方にお勧めしたいですね。

これからのWell-beingを考える際には、そこからのアンチテーゼが必要ではないかと思います。

「株主資本主義」から「ステークホルダー資本主義」へ

石川 過去30年間の日本の上場企業を見ると、生み出された付加価値の多くが配当や自社株買いなどで株主に還元されてきました。

あまりに株主偏重で、経営陣や従業員の給料もほとんど増えず、将来のことを考えれば最も大事なはずのR&D(研究開発)への投資にもまわせていませんでした。

今、こうした株主資本主義への偏重が色々な企業で反省対象になっています。

そこで、全てのステークホルダーと共に生きていく、いわば「ステークホルダー資本主義(※) 」を去年明確に掲げたのが、トヨタです。

【完全図解】誰もが主役。「ステークホルダー資本主義」とは何だ(NewsPicks)

社長の豊田 章男さんが、2020年11月の決算発表でトヨタの新しいミッションを発表しました。

トヨタの新しいミッションは、全てのステークホルダーと共に「幸せの量産」をすることですと言ったのです。

▶編集注:トヨタ自動車の豊田社長は、2021年3月期 第2四半期決算説明会で、「私たちは、『幸せを量産する』という使命のもと、有事の時こそ、自分以外の誰かのために、世の中のために、未来のために、仕事をしてまいりたいと思います。私たちが本当に『幸せ』を『量産』できているのか。ステークホルダーの皆様方には、厳しくも、あたたかい目でご指導とご支援をいただければ幸いです」と発言。(決算説明会 第Ⅱ部(社長メッセージ)スピーチより)

「あれ? 車の量産の会社じゃないの?」と思いました(笑)。

中竹 そこまで振り切ったんですね。

石川 思いきり振り切ったのです。

その発表後、上場企業の経営者の方々がこぞって「豊田 章男さんがこう言っていたよね」と話しているのを聞いて、トヨタが発する言葉の日本企業への影響力を実感しました。

でも、全てのステークホルダーのWell-beingをうまく調和させる経営は、めちゃくちゃ難しいですよね。

平尾 難しいですね(笑)。

石川 「自分たちは一体何やっているんだろう」と会社不要論が出てしまうのも頷けます。

平尾 なぜ会社が存在しているかを考えた上で、私は今「従業員がなぜ入社してきてくれたのか」のファクトをゼロベースで集めています。

入社した動機は給料なのか、肩書きなのか、ミッションなのか、私が好きだからなのか。

それぞれについて、もしそれがなかったらどうなるのかと考えています。

石川 分かりやすい勝利の形が「増収増益」だった時代から「みんなのことを考える」時代になっています。

すごく難しい時代ですよね。

企業という閉塞空間で「無条件の信頼」を築くには?

森山 難しいですよね。

「信用」とは英語では「credit」です。銀行の審査もクレジットですよね。

やるかやらないか、できているかできていないか、持っているか持っていないかという条件付きです。

でも「信頼」は英語で「trust」であり、無条件ですよね。

例えば「友達のことを好きなのは何で?」と聞かれても、答えは「友達だから」であり、無条件です。

しかし企業というのは、条件の塊のようなものです。

その事実が、企業やチームが無条件の信頼関係でつながることを難しくしているように思います。

企業という閉塞環境において、人々はどうやったら「無条件の信頼」を築けるのでしょうか?

これが大きな問いであり、そこにWell-beingの大事なポイントがあるわけですよね。

このコロナ禍において、どうすれば人々はチームに「信頼」を寄せるのか、チームのことを好きになるのだろうかと考えながら、皆さんの話を聞いていました。

自分たちにとっての「勝利」を自ら定義する

石川 これはまさに「One for all, all for one」ですよね。

中竹 そうですね。その「for」の部分の目的に立ち返らないといけません。

何のために、何が目的でallやoneのために行動するか、ということです。

善樹さんのスライドにあった「WHY」の部分ですね。

明日出版される本のタイトルでもある「ウィニングカルチャー」という言葉がありますが、この言葉をパッと聞くと、試合で勝利を収める“常勝するカルチャー”を想像させるかもしれません。

『ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方』(ダイヤモンド社)

しかしFCバルセロナオールブラックスも、ウィニングを試合での勝利とは定義していないのです。

一般的に「勝利」と言えば、会社だと売上増加や上場、スポーツだと優勝かもしれません。

自分たちにとっての勝ちの定義を自分で定める、これが本質的なウィニングカルチャーです。

世の中における勝ちではなく、我々にとっての勝ちは何か、それをどう達成するか、なぜ勝たなければならないのか、これらをずっと問いかけているのです。

石川 なるほどね。

中竹 例えばオールブラックスの場合、彼らの勝ちは「マオリ族の誇りを永久に」という国への誇りがベースです。

彼らには「自分たちが見ることのない木をいかに植えるか」という精神が宿っています。

ですから、目の前の試合に勝つよりも、100年後もこの文化を人々に受け継いでいくことが自分たちにとっての勝ちだ、という原点があるわけです。

FCバルセロナの場合は、全員が「サッカークラブ以上の存在(More than a club)になることが、我々の勝ちである」ということを共有しています。

だからこそ、一つひとつの勝利に揺さぶられることはなく「今年は勝ったけれど、来年は勝つかどうかわからない。ここからもう一度頑張ろう」となるわけです。

勝利を確認するための「問いかけ」

石川 その話を聞く限り、オールブラックスもFCバルセロナも、一番大事なステークホルダーは、まだ生まれてもいない将来世代だと捉えていませんか?

中竹 まさにオールブラックスは「君たちは、まだ生まれていない、我々が見ることのない子どもたちに何かを与えられたか」という問いかけを行います。

石川 なるほど。

中竹 これ、怖くないですか(笑)?

普段練習をしていて、キックがうまくいかない時にふと、先ほどの問いかけをされるわけです。

そうすると、背筋が伸びますよね。

石川 「先ほどの君のキックは、100年後の子どもの笑顔につながっているのか」と(笑)。

中竹 そんな感じです(笑)。

森山 ちなみにその状況は、先ほどの「信用」「信頼」「信仰」で言うと、「信仰」に当たるのでしょうか?

中竹 そう言われると信仰ですね。

石川 ただ、信仰は「これをすべし」であるのに対して、オールブラックスの場合は「問いかけ」です。

森山 なるほど。

石川 問いかけは色々な意見を許しますので、そういう意味では「信仰」よりも「信頼」に近いと思います。

森山 なるほど、なるほど。

「好き嫌い」はチーム作りの要素になりえるか?

平尾 一つ伺いたいのですが、「好きか嫌いか」というのは先ほどの善樹さんのフレームワークから外れてしまうのでしょうか?

僕は、偉い人に会社の顧問などをお願いする際に、皆さん引く手あまたなのでどう優先順位を決めているのか気になっていました。

そこで岡島 悦子さんにうちの社外顧問として入っていただいた際に「報酬ですか?」と聞きました。

(中竹さんが、岡島さんが会場にいることを平尾さんに知らせる)

平尾 あっ、客席にいらっしゃいますね。この話をしてもいいですか?

岡島 悦子さん(以下、岡島) 変なやばい話ではじゃないですよね(笑)?


岡島 悦子
株式会社プロノバ 代表取締役社長
株式会社ユーグレナ 取締役CHRO

経営チーム強化コンサルタント、ヘッドハンター、リーダー育成のプロ。年間200名超の経営者のリーダーシップ開発を行う。三菱商事、ハーバードMBA、マッキンゼー、グロービス・グループを経て、2007年プロノバ設立。丸井グループ、セプテーニ・ホールディングス、マネーフォワード、ランサーズ、ヤプリにて社外取締役。20年12月より、ユーグレナの取締役CHRO(非常勤)に就任。世界経済フォーラムから「Young Global Leaders 2007」に選出。著書に『40歳が社長になる日』(幻冬舎)他。

平尾 違います、すごく素敵な話です!

そのとき岡島さんは、最終的にはやはり好き嫌いだとおっしゃいました。

この話、やばくないですよね?

岡島 大丈夫です!

平尾 僕はこの「好きか嫌いか」というのがチーム作りにおける強烈なフレームワークだと思ったのです。

先ほど言った会社不要論、会社のアンチテーゼを考えた際、自分は今、会社以外のフレームワークからヒントをもらおうとしています。

例えばオンラインサロンやライブプラットフォームは、雇用関係ではない形でファンがついています。

雇用は、給料と等価交換で仕事が決まります。

お金を払って雇用する関係においては、そこにエンプロイアビリティ(雇用され得る能力)や思い出や信頼などがついて、会社というコミュニティができています。

一方で、オンラインサロンなどの例では運営する側がメンバーにお金をもらいながら働いてもらう構造が生まれています。

今後、進化できていない古い共同体経営がDXを進めて成長しようとする時に、そうした「好きかどうか」も大事なフレームだと思いました。

石川 確かにそうですね。

「信頼」というのは、基本的に好きのほうが多い状態だと思います。

でも人間だから、嫌いな時もあると思うのです。

例えば親子関係も、好きな時もあれば嫌いな時もありますよね。

「それでもあんたを支える」というのが、「信頼」だと思います。

逆に「教祖様好き好き、嫌いなやつはあっち行って」というのが「信仰」に近い状況です。

岡島さんも、基本的に好きだから社外顧問を受けられたのだと思いますが、たとえ嫌いになったとしても、「しょうがないわね、あんたを支えるわよ」となるのではないでしょうか。

(続)

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続きは 6. 「新しい働き方」の時代は、Well-beingが組織の進化の鍵となる【終】 をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/尾形 佳靖/浅郷 浩子/大塚 幸/戸田 秀成

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