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ICC FUKUOKA 2023のセッション「愛されるブランドが実践する、ロイヤル顧客を起点とした事業戦略とは?」、全5回の最終回は一休で実践している戦略を語り、GO中島さん、ヤッホー井手さんが今日の学びを最後にまとめます。大きな企業に挑むときに、小さなプレイヤーだからこそ採れる「ロイヤル戦略」とは?最後までぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターは コーラム です。
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【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 7C
愛されるブランドが実践する、ロイヤル顧客を起点とした事業戦略とは?
Supported by コーラム
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▶「愛されるブランドが実践する、ロイヤル顧客を起点とした事業戦略とは?」の配信済み記事一覧
ロイヤリティ・プログラムの基本的な考え方
榊 もう一つお伝えしたいのは、なぜユーザーのランクについて10万円、30万円で線を引いているかについてです。
これからロイヤリティ・プログラムを導入しようとしている方にとっては、大事な点かと思います。
全体売上に対して、年間利用額が5万円以下のお客様による売上、10万円以下のお客様による売上と分析してみると、7~8万円のところに1つの山があったのです。
半年に1度旅館に行く人の年間利用額は平均8万円くらいで、そこにピークがあったということです。
経営者としては、ピークは10万円を超えたところにあってほしいわけです。
10万円のところに線を引けば、8万円のところにあった山が10万円のラインを少し超えたのです。
中島 実際にそう動くのですね。
榊 そうです。
また、夏休みなどに家族で旅行に行く人の年間利用額は30万円弱です。
そこにあるピークを、30万円を超えたところに移すため、30万円のところに線を引きました。
これが、ロイヤリティ・プログラムの基本的な考え方だと思います。
中島 どのくらいの期間でリセットしていますか?
榊 半年に1回です。
中島 半年に1回が良かろうと思ったのは…。
榊 我々は、年に2回くらいは使っていただきたいと考えているからです。
中島 なるほど。
榊 これは有名な話ですが、伊勢丹エムアイカードも年間利用額で線引きをされていますが、あれも見事にピークを動かしています。
あと、NTTドコモの昔のパケットし放題プランもそうですね。
パケット代を払うプランだと5,000円で止まる場合、6,000円で使い放題にするということです。
これがロイヤリティ・プログラムの考え方です。
小父内 くすぐるというか、もう一歩先に行かせるわけですね。
榊 はい、この線引きはすごく気をつけて決めましたね。
小父内 ちなみに一休は、「20:80の(パレートの)法則」については…。
榊 あの通りになっています。
小父内 ダイヤモンド会員に集約されているということですよね。
中島 サブスクのようなものを導入しようという意見は、社内では出てこないのでしょうか?
榊 ありますが、そこまで強くないかもしれないですね。
小父内 ロイヤルカスタマーとしては、そこは求めていないと思います。
中島 なるほど。
小父内 あまり興味がないですね。
中島 GOだとどうですか?
小父内 GOだと使いたいです(笑)、月額で……。
井手 GOのお客様と、我々や一休のお客様は、価格への考え方や姿勢が少し違うのかもしれないですね。
小父内 違うのでしょうね。GOの場合、日々の利便性を求めています。
中島 なるほど。
井手 利便性なので、幅広い方が使っている感じですよね。
小父内 もし長距離の通勤で毎日タクシーを使うとしたら、話が変わるかもしれません。
それだと価格も全然違いますし、定額で使いたいと思います。
ラグジュアリー感が欲しいと思うかもしれません。
でも一休の場合、月に1回の旅なら、それを最上の旅にしたいと思います。
また、一休のサイトを見ているときに、僕も、面白いなあと思いながら旅をしています。
詳細な情報が知りたければ、その旅館のサイトに行っていますね。それで十分だと思っています。
一休を使うのは、気分が上がるかどうかですね。
よなよなエールを飲みながらです。
井手 ありがとうございます(笑)。
検索結果のプログラムを自分で書く
榊 最後にもう一つ、気をつけている点の「パーソナライズ」についてです。
このスライドは、AさんからEさんまで、それぞれに表示される検索結果です。
検索条件はみんな同じですが、表示される宿の順番が著しく変わるようにしています。
その人の閲覧履歴や宿泊履歴によって変わりますし、検索条件が1名か2名かなどによっても変わります。
裏には複数のアルゴリズムが走ってABテストを行っており、お客様に対して、どちらのアルゴリズムが好きか聞いている感じです。
例えば、1名で検索している人は、出張での利用者が多いです。
出張の場合、どれだけラグジュアリー志向の人でも、寝るだけなので狭い部屋で良いとなるのです。
そうすると、ランキングの表示も、販売室数の順番にすると、結構フィットします。
でも2名以上での検索となると、ラグジュアリーを求めるので、ランキングの表示は売上順に変更します。
結果、ラグジュアリーな宿が並びます。
どちらが好まれるかについて、裏側ではかなりテストをして検証しています。
中島 年齢も、要素になるのでしょうか?
榊 いいえ、デモグラ情報(デモグラフィックデータ)は一切、加味していません。
▶デモグラフィックデータとは(マクロミル)
小父内 あくまで事実に基づいているわけですね。
榊 意外と地味なアウトプットかもしれませんが、パーソナライズをするモデルとしないモデルでは、売上が数%変わってきます。
売上が数%違うと、我々の場合、取扱額は数千億円の規模になります。
このプログラムは、僕が自分で書いています。
「わざわざ自分が書く意味があるのか」「誰かに作ってもらえればいいのでは?」と言われますが、1,000億円の取扱額が3%上がれば30億円になり、手数料が10%なので、3億円の売上になるのです。
それを説明し、「3億円の売上になるなら、このプログラムを書きますよね?」と返答しています。
ヘビーユーザーに対しては、パーソナライズは効果があります。
小父内 僕にはめちゃくちゃ効いていると思います、気づいていませんでしたが(笑)。
榊 お客様からすると、スイッチングコストが高くなるので、JTBのサイトに比べて、並びがちょっと違うと思ってもらえればいいかなと考えて取り組んでいます。
▶スイッチングコストとは(マクロミル)
以上です。
小父内 ありがとうございます。
今度から、それを想定してサイトを見てみようと思います(笑)。
今のロイヤル顧客を見つめ、未来のロイヤル顧客を呼ぶ
小父内 あっという間でしたが、残り5分となりましたので、まとめに入っていこうと思います。
今日のテーマはロイヤル顧客を軸とした事業戦略なので、最後にお一人ずつ、簡単にまとめていただければと思います。
中島さんから、お願いします。
中島 すごく勉強になりました。
皆さんに有益な情報を共有しなくてはいけなかったのですが、やはり「ロイヤル顧客を起点とする」というのが深いとお思いました。
どう起点にするのか、どういうポリシーを持つのか、それをプロダクトに活かす方法、組織の運営方法など、本当に深いと感じたのが1つです。
あと、井手さんの冒頭のお話で、ロイヤル顧客を育てるというか、最初はロイヤル顧客がいなかったけれど、イベントによってどんどん新たに生まれていますよね(Part.2参照)。
今のロイヤル顧客だけを見るのではなく、母数を増やすような、斜め上の施策があるのだなとすごく考えさせられました。
小父内 今だけではなく、紡ぐということですね。
中島 そうです。
Unmet、まだ出会えていない顧客がいるのだなとも感じたので、色々なことに取り組んでみようと思えたセッションでした。
ありがとうございました。
小父内 データが見たくなりますよね。
中島 なりますね。
井手 ロイヤル顧客、我々で言うところの「熱狂度」の高い方は、長く買い続けてくれるし、購入金額も高いということがデータから分かっています。
現時点でデータ化されているので、それに確信を持っています。
ただ、データ化されていない場合、躊躇してしまう気持ちもありますよね。
多くの方にとっては、最初から大きな費用をかけて色々な活動ができないと思います。
ですから、小さく始めて、データを少しずつ集めて広げていく、そうすると結果的に、新規顧客獲得のための費用はかけず、ロイヤリティの高い方を長く育てられることになる、ということが分かってくると思います。
それを信じて取り組むのが大事だと思います。
あと、イベントでアンケートを取ると、3分の1くらいの方は誰かからの紹介で参加しています。
全体の3分の1のお客様は、毎回、誰かが「出た方がいいよ」と口コミをしていて、誰かが連れてきているということです。
彼らの満足度も非常に高いので、ロイヤリティの高い方は、購入金額や購入期間だけではなく、口コミで人を連れてくるのです。
我々は広告もあまり出稿していないので、それが一つの大きな顧客獲得方法になっており、事業戦略の核としています。
セッションタイトル通りのことを行っているなと改めて思いました、ありがとうございます。
小父内 ありがとうございます。類は友を呼ぶ、ということですよね。
よなよなエールが好きだという方が呼んでくる方は、さらによなよなエールが好きになる、その輪がどんどん広がっていく…、僕らが提供しているコミュニティも、まさに同じだと思います。
井手 本当にそう思います。
小父内 ありがとうございます。では榊さん、お願いします。
小さな会社こそ、ロイヤル顧客戦略を
榊 ICCの場にロイヤル顧客戦略がフィットするだろうと思っています。
どうしても、既存の大きなプレイヤーに小規模の会社が挑むシーンがありますよね。
ヤッホーブルーイングも一休もそうですが、小さな力で大きな人と伍して戦うシーンにおいて、年間100万円以上を使うユーザーや熱狂度の高いユーザーに対して、JTBやキリンビールといった大企業は我々ほど注力していません。
なぜなら、それはすごく小さい市場で、彼らの戦略は違うからです。
その領域で頑張ると、普通にビールが好きな人たちを獲得できなくなってしまいます。
年間100万円以上を使うユーザーを一休は狙えても、JTBには狙えません。
ですから、この戦い方は、小さな会社が後発で市場に入って戦う時にすごく向いていると思います。
今日、我々の話が参考になったなら良かったなと思っております。
ありがとうございました。
小父内 めちゃくちゃ勉強になりました、ありがとうございます。
今日はデータの話がたくさん出てきましたが、ヘビーユーザー層にヒアリングをしてインサイトを得るのが第一歩だということでした。
我々「COORUM(コーラム)」は、その領域に特化したロイヤル顧客プラットフォームです。
コミュニティ運営からロイヤル顧客のデータ分析まで、ワンストップで行えるので、興味のある方は検索いただくか、お声がけください。
登壇者の皆様、本日はありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美