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創業の地・銀座、都内最大のワンフロア面積で実現した、社員の“エンゲージメント”を高めるリンクアンドモチベーションのオフィス戦略

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ICC KYOTO 2018初日のセッション「それぞれのオフィス論から考える『なぜ今の時代にオフィスが必要なのか?』」に登壇する企業のオフィスを紹介するシリーズ、第四回目は、銀座で都内最大のワンフロア面積のオフィスを構えるリンクアンドモチベーションです。ぜひご覧ください。

▶この記事は ICCサミット KYOTO 2018でフロンティアコンサルティングがスポンサーするセッション「それぞれのオフィス論から考える『なぜ今の時代にオフィスが必要なのか?』」に登壇する企業のオフィスを紹介するシリーズです。
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本編


今回オフィス見学をご快諾いただいたのは、2017年5月から東京「GINZA SIX」にオフィスを構えるリンクアンドモチベーション。ICCサミットでも「モチベーションクラウド」でお馴染みの、組織開発や人材育成に強みをもつコンサルティング企業だ。

同社が入居するGINZA SIXは、2017年4月に松坂屋銀座店の跡地にオープンした複合商業施設。メインエントランスが面する中央通りから一本横道に入った場所に、オフィスエントランスが姿を現した。

GINZA SIXのオフィスエントランス外観

東京メトロ・銀座駅とも直結している

7階の総合受付でセキュリティーカードを受け取り、エレベーターで12階へ上がると、“リンクアンドモチベーション”カラーの真っ赤な壁がお迎えしてくれた。

広々とした受付スペースは、ウッドデッキ調のフロアに白とグレーが配色された落ち着いた雰囲気。受付の反対側(写真右手前)の壁には、無数のブロックの貼り付けられたオブジェがそびえ立つ。

受付スペースにそびえるモダンアート風のオブジェ

近づいてみると…

近づいてみると、その正体は銀座の街並みを上空から描いたジオラマだった。2000年の創業以来18年にわたって銀座に本社を置くリンクアンドモチベーション。写真中央より少し左の“TOUCH”と書かれている場所が現在入居するGINZA SIXで、写真右側に小さな文字が見えるビルが移転前のオフィスビル、そしてGINZA SIXの向かい側のビルが、同社の創業の地だそうだ。(ちなみに“TOUCH”に触れると、ジオラマの右側に案内映像が流れる)

港町をイメージしたオフィス「LINK PORT GINZA」

ここGINZA SIXオフィスのコンセプトは「LINK PORT GINZA」。港町をイメージしたオフィスデザインの理由を、当ツアーをコーディネートいただいた組織開発デザイン室マーケティンググループ・マネージャーの山中麻衣さんに伺った。

山中さん「事業も人材も多様化してきたリンクアンドモチベーショングループでは、2013年から「統合拠点構想」を掲げ、推進してきました。主要7都市においては、様々な法人が一緒に働きシナジーを生み出す「統合拠点」を設立していこうといった構想です。そして、その統合拠点全体を束ねる、オフィスの世界観を「SAILING(航海)」としました。ここには“リンクアンドモチベーショングループは、これまでも、これからも、航海し続けていく”という覚悟を込めています。

地方都市である、札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、福岡の統合拠点コンセプトを「SHIP(船)」、そして、各SHIPが集まる最終地点として、東京は「PORT(港町)」にしています。そのため、この東京統合拠点については、「LINK PORT GINZA」という名前になっており、「統合拠点構想」の集大成のオフィスに位置づけられています」

木目調の床は桟橋、左に映る絨毯はさざ波、そして壁に街並みを模しているとのこと

オフィス内の随所に見られる、港町を感じさせる案内板

ここで、山中さんからクイズが出題された。

山中さん「このオフィスは何坪だと思いますか?ヒントは、六本木ヒルズが1,300坪です」

正解は、六本木ヒルズを大きく上回る「1,860坪」。なんと東京都内のワンフロアの面積としては一番大きなオフィスだそうだ。山中さんと共にご案内いただいた同社取締役の麻野耕司さんは次のように語る。

麻野さん「新しいオフィスへの移転を検討する際、これだけは絶対に譲れないというコンセプトがありました。それは『創業の地である、銀座でワンフロア』というものです。前のオフィスは3〜8階の6フロアに分かれていました。そこで2014年に『松坂屋跡地にこんな施設ができるらしい』という情報が入った瞬間、それこそ『GINZA SIX』という名前がまだ存在していないタイミングで、真っ先に手を上げたのが僕たちです」

なんでも、会長の小笹芳央氏が「この機会を逃したら“銀座でワンフロア”を一生逃してしまう」と、家賃も聞かずに入居を決めたとのこと。その決断から、果たしてどのようなオフィスが生まれたのだろうか。社員の皆様が業務にあたる執務スペースに伺う前に、リンクアンドモチベーションの思想が散りばめられた「LIGHT HOUSE(灯台)」というスペースにご案内いただくこととした。

IoTシステムで管理された、ユニークな名前の会議室

LIGHT HOUSEへ向かう通路の左右にはたくさんの会議室が並ぶ。

「LIGHT HOUSE(灯台)」へと向かう通路

一見、普通の会議室のようだがちょっとした工夫があるそうだ。これらの会議室はIoT管理され、例えば15時に予約した会議室が15時10分までに使用されていないと、その予約は自動的にキャンセルされ、他の人が使えるように設計されている。

多くの企業でありがちな、「会議室を予約したまま使わない人がいるせいで、稼働率が低いのに会議室が不足している」という状況を、ペナルティーやルールではなく「仕組み」で解決しているのだ。

ちなみに左側の会議室にはAmundsen(アムンセン)、Bering(ベーリング)といった冒険家の名前が、右側の会議室にはAngelfish(エンゼルフィッシュ)、Bass(バス)といった海洋生物の名前がABC順につけられている。ここにも「LINK PORT GINZA」のコンセプトが反映されている。

各会議室のドアには、ちょっとした解説つき

会社の思想を社内外に伝える「LIGHT HOUSE (灯台)」

そしてこちらが、「LIGHT HOUSE(灯台)」と呼ばれるスペース。リンクアンドモチベーションが社会に発信してきた「メッセージ」にふれられるスペースだ。

山中さん「灯台は、光を発し船にその位置を知らせます。ここでは灯台の光を私たちが社会に発信するメッセージに例えました。私たちがこれまで発信してきたメッセージや、その背景にある思想、リンクアンドモチベーショングループの今に触れていていただく、そんなスペースになっています」

書棚には「リーダー」「チーム」「モチベーション」といったキーワードの書籍が並ぶ。そしてスペースの反対側には、リンクアンドモチベーションのヒストリーを学べるコンテンツが展示されている。歴代の社内報映像を閲覧できるほか、年表と共に設置されたタブレットでは、同社の「ヒストリー・クイズ」を体験することができる。

歴代の社内報映像を上映中

リンクアンドモチベーションの創業の歴史

コミュニケーションを活性化する「MARKET (市場)」

LIGHT HOUSEでリンクアンドモチベーションの思想に触れた一行はいよいよ「TOWN」と呼ばれる執務スペースへと突入した。ついに都内一広いフロアを見られる!と思ったが、まず出迎えてくれたのはカラフルに彩られた「MARKET(市場)」と呼ばれる共有スペースだ。

山中さん「MARKETは、社員同士のコミュニケーション活性化を意図したスペースです。分社化により離れがちになってしまうグループ会社の社員が一堂に会して話をしたり、誕生日会をしたり、色々なイベントに使われています」

麻野さん「普段は、お昼にスターフェスティバルさんの「シャショクル」に来てもらってお弁当を販売しています。1,000円のお弁当を会社が半額負担して500円で食べられるようになっていて、8割近い社員がこちらでお弁当を購入しています。こういった大きなビルは、昼時に外に出るだけでも大変ですからね」

読者の中にも、混雑するエレベーターの順番を待ち、外に出てお店を探して行列に並び、昼休みの残り時間を気にしながら急いで食べる…という毎日を過ごされている方も多いのではないだろうか。お財布にも優しい社食サービスへの社員の人気も頷ける。

ビタミンカラーのオブジェは、見ているだけで楽しい気持ちに

ちょっとした休憩や雑談によさそうなハイテーブル

ついに都内No.1の面積を誇るフロアがお目見え!

MARKETを抜け、いよいよ都内で一番の広さ(1,860坪)を体感できる執務スペース「TOWN」に到着した。向こう側の端がかろうじて見えるオフィスに、筆者は思わず「広っ!」と呟いてしまった。

映っているのは広大な執務スペースのごく一部。窓に沿ってぐるっと「コ」の字型に広がっている

麻野さん「座席は、各法人のエリアの設定したうえで、自由に席を選べるデザインアドレスを導入しています。そのため席はある程度は固定化されますが、『明日からこう変えよう』と言って変えられる機動性は残した形で配置しています。ちなみに一番奥が『リンクアンドモチベーション』の一画になっています」

山中さん「実は、机の高さが少しずつ異なっているのにお気づきですか? 目線の高さが変えることで、社員同士がコミュニケーションを取りやすい雰囲気を生む工夫をしているんです」

「機動性」と「コミュニケーション」。お二方の言葉から「LINK PORT GINZA」に込められたオフィス機能がだんだんと見えてきた。

無駄な印刷物を「ルール」と「仕組み」でなくす

広大なオフィスをぐんぐんと進むと、「FACTORY」と書かれたスペースが飛び込んできた。

囲みで見えづらくなっているが、中には数台のプリンター(複合機)が並ぶ。しかしオフィスの人数の割にあまり稼働していないように見える。そもそも人がいない。筆者がこれまで勤めた出版社ではありえない静かさだ。

「実は、このプリンタースペースは非常にこだわっている部分なんです」と山中さんが解説してくれた。

山中さん「お恥ずかしい限りですが、前のオフィスではそこら中に書類が散らばっている状態でした。それでは効率的な仕事はできませんし、機密情報などの扱いも年々厳しくなっています。そこでこのオフィスでは、ここ『FACTORY』に来て個人のセキュリティカードを通さないとコピーも印刷もできないようになっています。その面倒くささもあり、また一定時間が過ぎると会議室の予約同様キャンセルになるシステムなので、無駄な印刷を劇的に減らすことができました」

また、個人の荷物や書類は1人ずつ割り当てられた鍵付きロッカーで管理し、退社するときには机を綺麗にして帰るというのがルールになっているとのこと。書類を管理する場所を決め、鍵もかけ、それ以外では一切書類を置かない。そんな「ルール」と「仕組み」をうまく組み合わせているのが印象的だ。

ランチも会議も体操もできる多目的スペース「PARK」

「FACTORY」に隣接した、グリーンのラグにカラフルなクッションが置かれたこの場所は、オフィスに2箇所ある「PARK」と呼ばれるスペースだ。

麻野さん「ここPARKは、ランチを食べたりミーティングしたりする、コミュニケーション用のスペースです。毎週月曜日はモチベーションクラウドのプロダクトチーム10名くらいが集まって、僕がこんな感じで座って話してミーティングをしています」

チームミーティング時のスタイルを再現する麻野さん

麻野さん「あとは、出資先のFiNCから週2回トレーナーの方に来ていただいて、みんなで体操をするということもやっています」

ランチが食べられて、ミーティングができて、体操もできるスペースを、一体なんと表現したらよいのだろうかと思ったが、それがまさに「PARK(公園)」なのだと膝を打った。

「LINK PORT GINZA」フロアマップ。右下と左上にある半円が「PARK」スペース

最大160名収容の研修ルームを擁する「CAMPUS」

WEST、SOUTH、EASTと“コの字”に広がる執務スペース「TOWN」を進んで最後にたどりついたのは、「CAMPUS」と呼ばれるスペース。文字通り、大学のキャンパスをイメージした“学びの場”だ。

最大160名を収容可能な研修ルーム

右側に見える縦長の箱は「電話ボックス」風のスタンディング・デスクスペース

各部屋には「Classroom A」のような名前がついていて、ここでは社内研修やお客様向けの研修のほか、「モチベーションクラウド」導入企業の成功事例が学べるカンファレンス(月1回開催)など、さまざまなイベントに使用されている。

オフィス戦略で変化する“社員のエンゲージメント”

広大なオフィスをぐるっと一周ご案内いただき、一行はスタート地点に戻ってきた。2017年5月にここGINZA SIXに移転して1年強。社内はどのように変わったのだろうか? 麻野さん、山中さんにズバリ伺った。

麻野さん「今回の移転に伴い、オフィスの機能性という点で特に重要視したのは『オープンなコミュニケーション』と『フレキシビリティ』です。弊社は部門編成もよく変わるので、ワークプレイスの変化を通じて、社員の働き方にコミュニケーションとフレキシビリティが生まれることを狙いました。

僕たちの製品であるモチベーションクラウドのコンセプトに、『エンゲージメント』というものがあります。企業と社員が相互に理解しあい、相思相愛になることで、企業への愛着、仕事への情熱、商品への愛情が高まり、パフォーマンスが高まる、という考え方です。そしてそのエンゲージメントにはコミュニケーションが非常に影響していて、それには当然、ワークプレイスが影響している。僕たちのオフィスは、その1つ1つがエンゲージメントが高まるように考えて設計されています。

山中さん「弊社はM&Aが多いので、ジョインいただいた会社のオフィスが点在していると思想を共有したり互いに共感するということが非常に難しく、社員のエンゲージメントスコアは低くなりがちでした。しかし今回ワンフロアのオフィスに移転して、お互いにどんな考え方をしているのかが理解しやくすくなり、結果としてエンゲージメントスコアも高まりました。正直、ワンフロアに集まるだけで社員のコミュニケーションがこんなにも変わるんだなと驚いています」

麻野さん「実はオフィス移転後の今年1月から、僕は現場からちょっと離れた立場になりなりました。席を離して僕が見えなくなりみんなが自立するようになった一方で、離れたことで半年前の部門のエンゲージメントスコアは全社最低を叩き出したことがあります。組織サーベイの結果、「組織の方針や戦略が分からない」みたいな結果が出たんです。それを乗り越えて今のチームがあるわけですが、オフィス戦略と組織戦略の密接さを改めて感じた瞬間でした」

▶参考:モチベーションクラウドの「エンゲージメントスコア」については、以下の記事もご参照ください。
「ベストモチベーションカンパニーの経営者が語る組織づくりの秘訣とは?」(ICC KYOTO 2017)

すべての組織は「オフィス」で変わる?

最後に、「WEST TOWN」の一画に立てかけられた“Motivation Cloud Wall”と書かれた巨大なプレートをご紹介したい。これは、モチベーションクラウド導入企業の方々に、事業に込めた「想い」を書いてもらうプレートだ。

麻野さん「今後はモチベーションクラウドのデータを見ながら、割と変えやすい『人事的施策』ではなく、『オフィス施策』によってエンゲージメントを高めていく、という使い方をしていきたいと考えています。実際に、オフィス移転の前後でエンゲージメント・スコアを定量して、新しいオフィスにおける組織を診断するというパートナー企業さんも複数いらっしゃいます」

※※※

リンクアンドモチベーションが提供するモチベーションクラウドのキャッチコピーは、「すべての組織が、これで変わる。」というもの。組織戦略とオフィス戦略は密接な関係だ、と語る麻野さんの目には、この「LINK PORT GINZA」で実践したオフィス戦略の先にある、日本の組織の未来が見えているような気がした。

【リンクアンドモチベーション オフィスデータ】

所在地 東京都中央区銀座6-10-1GINZA SIX 12F
オフィスフロア平米数 約6,100 ㎡(1,860坪)
設立 2000年3月
従業員数 (単独) 314人、(連結) 1,468人(2018 年8 月1 日現在)
事業内容 モチベーションエンジニアリングによる企業変革コンサルティング
モチベーションマネジメント事業(育成・風土・制度支援)
エントリーマネジメント事業(採用支援)
インキュベーション事業(投資・組織人事支援)

(終)

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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/浅郷 浩子

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