モノづくりで社会を変え、豊かな世界の実現を目指すCRAFTED カタパルト初開催!【ICC FUKUOKA 2019レポート#8】 | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

モノづくりで社会を変え、豊かな世界の実現を目指すCRAFTED カタパルト初開催!【ICC FUKUOKA 2019レポート#8】

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2月18日~21日の4日間にわたって開催されたICC サミット FUKUOKA 2019。その開催レポートを連続シリーズでお届けします。今回は、初開催のCRAFTED カタパルトをレポートします。豊かなライフスタイルの実現に向けて、モノづくりの事業を展開する企業9社によるピッチコンテスト&その審査員とプレゼンターがディスカッションするCRAFTED ラウンドテーブルと、2コマ続けて熱い討論となりました。ぜひご覧ください。

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月2日〜5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをご覧ください。


CRAFTED カタパルトが生まれた背景

今回初開催のCRAFTED カタパルトは、豊かなライフスタイルの実現に向けて、衣食住に関わっているサービスを展開するスタートアップが優勝を競う。今までのICCサミットのカタパルトでは、デジタル系やリアルテック系が多かった。しかし最近、モノづくり系で話題となる企業が生まれてきており、そこにもっと注目してもらいたいと生まれたカタパルトだ。

第一回目の今回は、過去に登壇したなかから選りすぐりの7名と、新しいアイデアと手法をもって既存の業界で挑戦する2名が集結し、自分たちの作り上げる事業とそれにかける想いを伝える。スポンサードはLEXUSだ。

前回のICC サミットKYOTO 2018よりLEXUSとコラボレーションさせていただいているが、その”CRAFTED”という精神と、登壇を予定する9名は、まさに共鳴するような企業ばかりだった。企画の意図を伝え、新設するカタパルトの名前を”CRAFTED カタパルト”としたいと、私たちはLEXUS側に提案した。

NOTHING IS CRAFTED LIKE A LEXUS

前回のコラボレーションの後、工場見学をし、LEXUSがどんなに”CRAFTED”という言葉を大切にしているかは理解していたため、もしかすると難しいかもしれないと想定していた。しかしICC小林によると、快諾をいただけたそうだ。

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壇上では、今回のカタパルトの主旨が、Lexus International レクサスブランドマネジメント部 Jマーケティング室 室長 沖野 和雄さんから、キーノートスピーチで語られていた。

“CRAFTED”には2つの要素がある

Lexus International レクサスブランドマネジメント部 Jマーケティング室 室長 沖野 和雄さん

「まず”CRAFTED”の概念を、かなりLEXUS目線で説明させていただきますので、ご了承ください。

じつは”CRAFTED”という言葉は、創業以来から流れる哲学を言語化したもので、一言で言いますと、お客様のために、徹底的に考え抜き、作り込むという姿勢です。

このことは一見、モノづくりのことだけを語っているように感じられますが、私たちはLEXUSは”CRAFTED”を構成する要素を2つに定義しています。

それは、“クラフトマンシップ”と、“ソートフルネス”です。“クラフトマンシップ”は職人技と訳されますが、まさに卓越した技術や能力に裏打ちされた、精緻な作り込みを意味します。

“ソートフルネス”は直訳すると思慮深さや、心遣いという意味ですが、あらゆる事に気を配り、考え抜くという心のあり方です。我々日本人が歴史的に持っている、相手が何を望んで、その人に気がつかないことを気づいたりする美意識を表しています。

磨き上げられたボディには絨毯の柄まで映り込む

考え抜き作り込むという行為は、プロダクト、LEXUSというブランドがもたらすサービスや体験、生産現場、販売現場、それに携わるスタッフや技術者、職人の所作、おもてなしに至るまで、すべてに通ずる哲学です。

たとえばLEXUSは塗装にこだわっています。詳細はICCさんの九州工場のレポートをご覧いただきたいのですが、塗料を何十にも塗り重ねます。職人が手作業で鏡面仕上げの塗装、微細な凹凸をなくすような作業をしていて、まさに鏡のように映り込むような塗装にしています。

徹底的に作りこむ1つの例ではありますが、なぜそれにこだわるかというと、単に車を美しく見せるためだけではありません。

朝、LEXUSに乗り込もうとしたときに、その塗装面に映る客様の顔がゆがまないように、お客様が今日一日素敵な日を送れるよう、最初の一歩が素敵なものになるように、そういう気持ちで取り組んでいます。

まさにお客様のライフスタイル、生活を考え抜いた先にたどりついたのが鏡面仕上げです。<中略>

テクノロジーが日進月歩の時代に、そこまでしないでも、と思うかもしれません。ラグジュアリーブランドだからできるのでは、と思われるかもしれません。しかし”CRAFTED”の思想とは、決してテクノロジーや効率を無視した職人礼賛ではありません。単にお金や時間を費やすことでもないと思います。

“CRAFTED”の本質とは、常に誰かのことを思い、考えることを止めないこと。
自分自身の技術や能力を高めることを止めないことにほかなりません。

つまり人間がもつ創造性、クリエイティビティを探求することであり、むしろこれからの時代、どようような技術においても、人生においてもさらに価値を増していくものだと私たちは考えております。

みなさんも精緻に考え抜かれたたサービスやプロダクトに接したときに、感動し、心が動く、心が強く揺さぶられる、そんな体験があるのではと思います。

それらからにじみ出てくる、繊細な心遣い、日本的な美意識は、必ず受け手に伝播し、私たちの感性やクリエイティビティを刺激してくれると信じています。そんな経験を積み重ねていくことが、私たちのライフスタイルを豊かにしてくれるのではと思います。

今回、”CRAFTED”というテーマでカタパルトを開催できることを、本当に楽しみにしています。
ぜひみなさんの、時代を切り開くアイデアを聞かせていただければと思います。

それでは新しいカタパルトを始めたいと思います」

優勝はMinimalの山下貴嗣さん

そこから始まった9人のプレゼンテーションは、“クラフトマンシップ”と、誰かのことを強く想う“ソートフルネス”にあふれ、過去から現在、未来へストーリーを紡ぎながら、豊かな世界を目指し、社会を巡っていくような素晴らしいものばかりだった。

優勝したMinimalの山下貴嗣さんのプレゼンには、そのエッセンスが凝縮されていた。

バレンタインという一年で一番の繁忙期の直後、初めてのピッチコンテスト参加ながら、植民地貿易的な不条理が残るカカオの生産地と手を取り合い、オリジナリティあふれるチョコレートをこだわりぬいて創り、社会的意義とビジネス両面でのインパクトを目指すというストーリーは、誰もが共感し、応援したくなるものだった。

カカオ豆と砂糖だけで異なる味を表現!日本から「引き算のチョコレート」を発信するMinimalを訪問

準優勝のライフスタイルアクセント(ファクトリエ) 山田 敏夫さんの、日本の技術を結集した「ずっときれいなコットンパンツ」「永久交換保証ソックス」のサステナビリティと知財というコンビネーション、3位のGRA岩佐 大輝さんが伝えるイチゴ栽培の「匠の技」形式知化とその伝授など、いいものを届けるという理念が社会へ広がり、支持されるようなアイデアをもつ企業が印象的だった。

同じ文脈では、生産者への“感謝”をつなぐ新ブランド「FALKLAND to TOKYO」をプレゼンしたFABRIC TOKYOの森 雄一郎さんも僅差であったと思われるし、ユーザーペインに寄り添い、解決法を提案するCLASの久保 裕丈さん、Spartyの深山 陽介さんは、無駄のないサービスが実現するより豊かな生活を訴えた。

先日完全栄養のパンを発表したベースフードの橋本 舜さんは、主食のイノベーションがひいては世界の健康問題を解決することを訴え、seakの栗田 紘さんは農業への新規参入のハードルを下げることで、農業人口減少問題の解決を図る。「豊かな生活のために欠けているもの」の着眼点は異なるが、人を想い、社会を想う視野の広さはずば抜けている。

山下さんと並び、今回ICCサミット初登場のBnA田澤 悠さんは、プレゼンでも新鮮な風を吹き込んだ。AIや自動化が進む世の中ではクリエイティビティの価値が増すことに着目し、それを生み出すアーティストに注目が集まる社会の実現を訴えた。手段は滞在型アート施設。詳しくはぜひ、動画でご確認いただきたい。

審査員たちの反応は

審査員として集まったのは、こちらもまたモノづくりに関わる方々ばかりだ。

コエドブルワリー 朝霧さん「こちら側におりますけれども、私もモノづくりを担っている、クラフトビールを作っている者として、感動しました」

ネバーセイネバー 磐井さん「知り合いが多いので、なるべく忖度しないで行こうと思います(笑)。みなさんすごくて、本当に勉強になりました。コラボや僕らの強みを活かして一緒にできることがあると思ったので、いろいろお話したいです」

Takram 渡邉さん「ベースフードがに心に残りました。おいしい、体にいい、かんたんがすべて含まれているのは、とても価値が高くパーソナルな部分を含めて心を動かされたのと、Minimal山下さんの逆フェアトレード現象というところから、いかに実際に農家の人に教えをもらったかというエピソードは、僕もうるっときました」

資さん 佐藤さん「本当に感動しました。僕もモノづくりに関わっていますが、モノづくりって、想いですよね。それがとても大事だと思います。素晴らしかったと思います」

エイトブランディングデザイン 西澤さん「僕はメーカーづきあいが多いのですが、創意工夫をこえて、今までの商業を変えていく、新しい流れが見えたと思います。

知り合いが多いので採点しにくかったのですが、好みで決めました。最初から最後までいかに一貫するかというところに興味を持って採点しました」

JR九州 小池さん「(JR博多シティの)ワンフロアを皆さんのフロアにしようかうと思ったくらい、すごく面白かったです。我々がやっている商業施設や空間は、いまどんどん価値観が変わっていて我々も悩んでいます。

商品をお預かりしている場の我々が、そのストーリーを消費者に、いかに正しくまじめに伝えられるかというのを問われている気がしました」

LEXUS 沖野さん「みなさんの”CRAFTED”な気持ちがびしびしと伝わって、本当に感動しました。LEXUSが支えるというおこがましいことを言いましたが、逆に元気をいただきました。戦っているみなさんを、LEXUSでいやしてほしいですし、寄り添っていきたいと思います。ありがとうございました」

「次は自分もチャレンジしたい」

入賞者たちへの授賞式が終わり、そこで終わらないのが、CRAFTEDカタパルトだ。審査員もモノづくりに関わる人たちだと前述したが、審査員も登壇者も一緒になって、5つのテーブルに分かれて、ディスカッションをする「CRAFTEDラウンドテーブル」が、休憩ののちに行われた。

審査員をつとめたLUCY ALTER DESIGNの青柳 智士さんは、まだ興奮冷めやらぬ面持ちだ。

「面白くて興奮しています。日本のクラフテッド系のスタートアップの熱量、ビジネスのスケーラビリティなど、どれを見ても面白かったです。枯れない熱量というか、自社のプロダクトへの想いを強く反映されていて、私自身も忘れないようにしたいと思いました。

優勝の決定打は、単純に美味しかったのもあるけれども(※審査員席にはMinimalのチョコレートが提供されていた)、全体の完成度だと思いました。ほかにもたくさん、いろいろな企業があると思いますし、僕自身もやっていますので、次は僕もチャレンジしたいと思いました。

みなさんの言葉が刺さっていますが、僕が扱っているお茶(煎茶道東京)もまさにそうで、“逆フェアトレード”という言葉を使った山下さんの印象が強いです。カカオに対する意識や、生産工程への課題感が個人的に刺さりました。

煎茶堂東京は「シングルオリジン」で日本茶をアップデートする

生産者と消費者の間のところもお茶とカカオは似ています。私たちはメイド・イン・ジャパンとして、同じようなモノづくりのスタンスとして、山下さんを先輩として、追いかけていきたいなと思いました」

7つのテーブルでディスカッション開始

すでに登壇者たちと審査員たちの懇親が始まっていたが、休憩時間が終わり、ICC小林の説明で、ラウンドテーブル出席者は5つのテーブルに分かれて着席した。どこのテーブルからか「ずっとお会いしたかったんです!」という歓声も聞こえる。

ICC小林「いままでカタパルトはプレゼンだけでしたが、もっと知り合いたいという声がありましたので、今回ラウンドテーブルとしう企画を思いつきました。ここにはワインやお酒、うどん、パンケーキなど、さまざまなモノづくりに関わる面白い方々がいます。

作るものについては違うけれども、ブランドづくりに関しては共通していると思います。

進め方としては、前半の35分は我が社のクラフテッドとは、ブランディングとはということを話し合ってください。最初は自己紹介とか、自分たちのブランディングとはというのを相互に質問したり、議論をしてください」

カタパルトでの緊張感が収まり、話そうというモードが入った参加者たち。自己紹介をしつつ、自社のモノづくりについて語る言葉は当然のように熱い。

最初は静かだったドリンク&食べ物関連テーブル。優勝したばかりの山下さんが、獺祭の旭酒造櫻井 一宏さんの「おいしいの基準は僕か父親しかいない。ローカルにも合わせない」という言葉に「それを聞くと震えますね……本当にやりたいのはそっちかも」と衝撃を受けている。

LEXUS沖野さんが「日本人はモノづくりが大好きで、無駄なくらい作り込む。そういうのがDNAに染み込んでいるんだよね」と言うと、クラシコム青木さんは「外国にもクラフトはあるけれど、産業のレベル、会社のレベルではないんですよね」と同意。LEXUSの生産工場では、受付の人まで”CRAFTED”の意識が行き渡っているそうだ。

さて、35分経過。各テーブルからの、どんなことを話し合ったか発表の時間だ。

スペック、体験、あふれる想い

ヤッホーブルーイング 井手 直行さん、資さん 佐藤 崇史さん、エイトブランディングデザイン 西澤 明洋さん、ベースフード 橋本 舜さん、IPPEI Holdings 村岡 浩司さんのチーム

ベースフード 橋本さん 「九州パンケーキでは九州の素材を使うこと、ベースフードだったら健康など、それぞれのブランドで大前提が違っています。

今までは同じ方向性を向いてナンバーワンを目指していたが、今はオンリーワン、それぞれが違っていることを目指している。機能×デザイン×ストーリーになっていて、そういう時代になっているのではという話になりました」

LUCY ALTER DESIGN 青栁さん、GRA 岩佐 大輝さん、seak 栗田 紘さん、グライダーアソシエイツ 山口 翔さん、Takram渡邉 康太郎さんのグループ

渡邉さん「作っているものはコモディティなのかハイエンドなのかで語り始めたら、その軸自体が崩壊し始めているのではという話になりました。

スペックを争うものや機能があるものと、ストーリーを伝えていくもののどちらかではなくて、両立していないと意味がない。

獺祭も車もこれに当たります。安全が必要で、トップスピードの馬力があり、数字と生産者の顔が見えなければいけない。機能と意味をつなぐものがサイエンスであり、ストーリーであると。どっちかではないという話になりました」

クラス 久保 裕丈さん、エトヴォス 田岡 敬さん、Sparty 深山 陽介さん、FABRIC TOKYO 森 雄一郎さん、Bloom&Co. 彌野 泰弘さん、インサイトフォース山口 義宏さんのグループ

森さん「(インサイトフォースの山口さんのような)素晴らしいコンサルタントがついていたので、非常に助かるテーブルでした。

面白かったのは成長カーブの話で、生活者に根付いたブランドやサービスでいきなり上がるカーブを狙うと、リピートにならず定着にしないということです。リターンレートが低い状態だと事業のリスクが高まります。定着するブランドサービスとはという話になりました。続きを山口さんどうぞ」

山口さん「いい体験が作れないと、リターンレートは上がりません。リターンレートが上がらないうちに、PR広告などで下手に資金調達してしまうと、リスクが高まります。売れて拡大した気になってもただの流行であれば、固定票が積み上がっていないと、流行は1、2年で去ってしまいます。

いかにサザンオールスターズになるか、という話です。口コミだけでファンが積み上がるようでないと、”CRAFTED”なブランドを作れないと思います」

電通 各務 亮さん、JR九州 小池さん、博報堂ケトル 嶋 浩一郎さん、BnA 田澤 悠さん、CC INC.戸田 宏一郎さん、オートクチュール京都 村山 和正さんのグループ

嶋さん「単純に生活を便利にしていくだけでは、だめだなという話になりました。JR九州さんで、無人駅に人を呼ぶというプロジェクトをやっているらしいのですが、行かなければいけないという体験を作るにはどうしたらいいのかという話をしました。

GRA岩佐さんの、農業の技術を学校にして、ナレッジを他の人にどんどん提供していくという話を聞いて、個人的にもすごくヒントになりました。僕は東京で21世紀に町の本屋が実装できるかという挑戦をしています。

下北沢で本屋1軒ではしょうがない、広がっていかなくては意味がないのではと言われて悩んでいるという話をして、郷土の芸能を守るためにプロジェクトを進めているけれども仲間をどうやって集めてるか、自分たちの始めたことをどうやって進めていくかという議論にもなりました。いろんなやり方があります」

協同商事/コエドブルワリー 朝霧 重治さん、フィラディス 石田 大八朗さん、dof 齋藤 太郎さん、旭酒造 櫻井さん、日本たばこ 筒井 岳彦さん、Minimal 山下 貴嗣さんのグループ

齋藤さん「チョコ、ビール、たばこ、ワイン、日本酒というメンバーがいて、結果的に、なんだかんだいって、『おいしい』が大事だという話になりました。インパクトをもって受け入れられるものもたまにはあってもいいじゃないと。

面白かったのは、たばことか何億人というものに提供しているものは、人の反応で決められているということ。獺祭も、人の意見ではなく櫻井さんと櫻井パパがOKと言わないと出荷できない。究極のプロダクトアウトというのが面白かったし、僕のやっているウィスキーの世界にも通じるものがあります」

お客さんの声を聞かないというのに、「本当に?」という声が飛ぶ。

齋藤さん「人に聞くと、知らない味は『好きでない』になるらしいです。徐々に啓蒙することが必要とか、いろいろな裏話が聞けて面白かったです」

佐竹食品 梅原 一嘉さん、HIZZLE 留目 真伸さん、サツドラホールディングス 富山 浩樹さん、JR西日本 舟本 恵さん、Sparty 深山 陽介さんのグループ

富山さん「小売と製造さんがいて、シャンプーのBtoCであるSpartyさんは敵なのではないかという話に最初なりました(笑)。

小売はモノづくりという場を持っていて、お客さんの非計画購買が起きています。一方Spartyさんは、入り口ではリアルな場は必要で、そこをどう一緒にやっていくかという話になりました。

リアル側は、BtoCは敵なのではと思ってしまう傾向がある。一方、Eコマース側としてはリアルな場がほしかったりします。ここはいい体験を作れるかというのが重要ではないかと思います。

パーソナライズされていて選べますよといわれても、人って選べないものです。その点、Spartyは選ぶ理由が、すごく設計されていてとても素晴らしいと思います。

最終的に、梅原さんが深山さんに、出汁のパーソナライズしてほしいという話に脱線しました(笑)」

梅原さん「シャンプーができるなら、出汁もできるんじゃないかと、我が社のオリジナルの出汁をつくっていただけないかと。

ICC小林「重鎮揃いのテーブルで、深山さんどうしますか」

深山さん「あ〜、そうですね、出汁は、いや……ちょっと考え中です」(一同笑)

クラシコム 青木 耕平さん、ネバーセイネバー 磐井 友幸さん、三星グループ 岩田 真吾さん、Lexus International 沖野 和雄さん、ライフスタイルアクセント山田 敏夫さんのグループ

磐井さん「今は手作りではなくて、機械を使うのも当たり前じゃないですか。機械も”CRAFTED”だよねという話になりました。

ブランドのストーリーを通じて、お客さんに感動を与える、その架け橋になっているところに結局、”CRAFTED”という言葉が存在するのではないかと思います。

”CRAFTED”とは、それが染み出しちゃうモノづくり。だまってても染み出ちゃう、ぐらいの。」

こんな感じで各テーブルの議論は大変盛り上がったのだが、ここでICC小林の強制シャッフル発動。各テーブル1〜2名が入れ替わった。また新たに自己紹介が始まるが、すでに場は温まっており、すぐに議論へ入っていった。

議論のまとめ

ICC小林「はーい、終了の時間になりました! 続きは今晩の懇親会でも、東京でも続けていただければ。全体的なCRAFTEDカタパルトからの感想を各テーブルからお願いします。九州代表の資さんうどん、佐藤さんから」

佐藤さん「想いが伝わってきて、感動しました。自分たちもストーリーがちゃんと伝えられているかな?と振り返って、もっと伝えていかなければと思いました。後半のディスカッションもそれぞれの立場で、違う業界からどう写ったかがわかって、すごくいい機会でした」

ICC小林「では、東北を代表して岩佐さん!」

岩佐さん「”CRAFTED”とは、きっちりとフレームワークに整理されないものであり、ふわっとしたなかに、その答えがあるのではないかという話になりました。どうしても我々は、ばしっと整理整頓しがちですが、もわっとした感覚も大事かと。それがわかったいいきっかけになりました」

ICC小林「九州、東北と来たら……次はバチェラーです!」

久保さん「地域関係ないじゃないですか(笑)。議論を続けて、モノづくりの品質やデザイン、表面的な価値は飽和状態になっているのではという話が出ました。

メイド・イン・ジャパンが価値のある時代もありましたが、それは作る側の価値であって、別にユーザーにとっては中国で作っていようとそんなに品質が変わらないところに来ています。

品質やデザインが飽和状態の今は、モノづくりで差別化していくバリューチェーン、サプライチェーンとか、全体感のあるデザインをしなければいけないのではという話になりました。

一次産業、二次産業という話が出ていますが、モノづくりは、レガシーな業界が対象になりがちです。そういったところのイノベーションは、一体どういったところが残っているのだろうという話になったところで、時間になりました」

ICC小林「田澤さん、地元どこ? 神戸? では神戸代表で」

田澤さん「ヤッホーブルーイングの工場見学が、非常に評判がいいと聞きました。使い手に作り手の想いを伝えると、そこでブランドに対する満足感が高まります。

こういうことは利益が上がるものではないけれど、続けていくことによって、消費者にとってブランドについてにじみ出る思いが伝わるよね、という話になりました」

ICC小林「いきなり青柳さん。感想を」

青柳さん「このテーブルは『お客様の言うことは聞かない』というオーラが出ていました(笑)。

次回は僕は自分たちも煎茶道東京として登壇したい、プレゼンしたいと思うくらい皆さんの熱量が強くて面白かったです。

僕もデザイン会社をやりながらお茶をやっていますが、作り手同士が、新しい知見を拡げてくれる場や機会がなくて、今回は、嬉しい出会いがありました」

ICC小林「優勝した山下さん」

山下さん「みなさんとお話しできて、とても刺激になりましたし、僕なんかよりこだわりをもって作っている方々がこんなにいると、身が引き締まりました。

ブランドは、プロダクトとサービスがあり、その背景には人がいて、その人たちが想いを語ることでこんなに感動するんだなと話して思ったので、自分自身もっと触れて、ものを作り、伝えていきたいと思います」

ICC小林「最後はやはり、LEXUS沖野さん!」

沖野さん「みなさん今日はどうもありがとうございました。”CRAFTED”という言葉がこれだけ熱量を引き出せるというのを改めて感じまして、いい言葉だなと我ながら思いました(笑)。

知見や想いを交換できて、また新たな”CRAFTED”カンパニーが生まれるといいなと思いますし、我々はそれに寄り添っていきたいと思います。今日はどうもありがとうございました!」

長い長い2コマに渡るセッションを終えて、充実した表情を見せる参加者たち。最後は会場内に展示されているLEXUSと記念撮影をして終了した。

「ワークショップで話して、理解し合える」

CRAFTED カタパルトが、こんなにも盛況に終わったのは、2つ理由がある。

1つ目は、本当に質の高い登壇者が集まってくださったこと。彼らのモノづくりへの想いや表現力が
優れており、相手を、社会を思いやる心が強いからこそ、その伝達が容易だった。プレゼンを見た人たちは彼らの事業、描く世界に没入し、どれもが実現することを願わずにはいられなかった。

2つ目は、LEXUSの沖野さんが言っていたとおり、私たち日本人はモノづくりが好きというところにあるのではないだろうか。それに熱中し常に考えていて、細部までこだわり、想いを込める。だからこそ、一つ一つに語ることのできるストーリーがあって、聞き手さえいれば(あるいはいなくても)どれだけでも語れる。

そんな人たちがラウンドテーブルには集結した。終了直後の初参加、田澤さんの言葉である。

田澤さん「めちゃめちゃ楽しかったです! ICCサミットはIT関連の方が多くて、正直アウェー感があったのです。でもワークショップ(ラウンドテーブル)で、近いところでやっている方々と話ができて、議論が盛り上がりました。

あまりピッチコンテストなど立つことがないので、プレゼンではとても緊張していました。歩きながら、時間を計りながら練習をしていたのですが、本番では早口になりすぎて、時間が余ってしまいました(笑)。

それにしても楽しかったです。あともう少し時間があれば、事業アイデアが出そうでした。最後にシャッフルで移動されてきた、ヤッホーブルーイングの井手さんも異業種でしたが、BtoCで体験を売っているというところでは共通していて、盛り上がりました。

ネットワーキングなどは僕はあまりしないので、こういうワークショップで話して、理解しあえるのがよかったです」

ICCサミットには、異業種ではあっても「ともに学び、ともに産業を創る」という理念に共感してくださる方々が参加しているが、意外と「人見知りする」「話しかけられない」という、シャイな方が多い。自分の事業になると、あれだけ熱く語れる人たちであってもだ。文脈を重んじ、しっかり語りたいという方も多いだろう。

今回数多く用意したワークショップでは、その課題を幾分解決していたように思う。このCRAFTED カタパルトに然り、同じようにモノづくりに携わりながらも接点がなかった方々を、同じプレゼンを聞いて、1つのテーブルにつくという機会を持つことで、つないでいく場を設けることができた。

9名の登壇者たちは、いずれも心の込もった素晴らしい事業を展開しているが、日本全国には、こんな”クラフトマンシップ”と”ソートフルネス”にあふれた方々がたくさんいるに違いない。次回の開催が早くも楽しみであるし、リアルテックに続いて、ジャンル、テーマ別という設定が、カタパルトの可能性を広げる試みでもあった。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

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