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20代をどう生きるか? ICCサミット KYOTO 2019、運営スタッフ・キックオフの特別セッションでトップリーダーたちが語った「僕らの20代」

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ICC サミットKYOTO 2019に向けて7月10日、運営チームスタッフのキックオフ・イベントが、ICCパートナーズのオフィスで行われました。関東を中心に、各地から集まったスタッフは90人。当日会場設営や運営を担当するスタッフに向けて、特別パネル・ディスカッションと登壇者の方々との懇親会を開催しました。その模様をお伝えします。ぜひご覧ください。



【登壇者情報】
7月10日(水)
ICCサミット KYOTO 2019 スタッフキックオフ イベント
ICCパートナーズ 新オフィス

「自分の人生をどう生きるのか?」(シーズン3)

(スピーカー)
麻野 耕司
株式会社リンクアンドモチベーション 取締役/オープンワーク株式会社(旧株式会社ヴォーカーズ)取締役副社長

井手 直行
株式会社ヤッホーブルーイング
代表取締役社長

小林 正忠
楽天株式会社
チーフ・ピープル・オフィサー

永田 暁彦
株式会社ユーグレナ 取締役副社長COO
リアルテックファンド 代表

西澤 亮一
株式会社ネオキャリア
代表取締役

(モデレーター)
小林 雅
ICCパートナーズ株式会社
代表取締役

「自分の人生だと思って、一緒に創り上げよう!」

リンクアンドモチベーション麻野 耕司さん、ヤッホーブルーイング井手 直行さん、楽天の小林 正忠さん、ユーグレナ永田 暁彦さん、ネオキャリア西澤 亮一さんという、人気・実力ともに兼ね備えるトップリーダーの方々が、ボランティアスタッフのためだけに「自分の人生をどう生きるのか」をテーマに語ってくださる75分。

豪華すぎるラインアップを企画したICC小林が、登壇者たちの到着前にその背景をスタッフに語りました。

ICC小林「今日は、みんなのためにスペシャルゲストが5人来てくれます。どなたも忙しい方ばかりなので、都合がつかない方もいるだろうと思ってお声がけしたのですが、なんと全員、来てくださることになりました。第一線で活躍する、かっこいい大人の5人です。

今回は、ボランティアで参加してくれる運営チームスタッフは115人となり、顔と名前がなかなか一致しないと思います。僕も、今はとても頼りにしている宍戸くんというスタッフを、3回目の参加でも覚えられず、別の名前で呼んだりと失礼なことをしました(笑)。

でも、ここで仲間をぜひ見つけてください。もうすでに、見つかった人はいますか?」

会場の3分の1ほどから手が挙がりました。年齢、性別、出身地や所属が異なる、同じ顔ぶれは二度とないチームですが、「ともに学び、ともに産業を創る」のスローガンのもと、チームとしてのパフォーマンスを最大限にするために、そして一期一会の価値を最大化すべく、こういった本番前イベントがいくつも予定されています。

18時からの会場準備には、授業や職場の関係で間に合わないスタッフも多数いるのですが、それでも50人ぐらいはいたでしょうか。一言自己紹介タイムは、経験者スタッフがちょっとしたネタを挟みながら盛り上げていきます。

まだまだ“はじめましてフェーズ”の運営チームですが、次第に盛り上がってきました。ICC小林がそれを引き取って続けます。

「運営にあたって、僕が怒るポイントがあります。それは、一生懸命やっていないことです。カタパルトなどはとくに、登壇者の人生がかかっています。だから自分の人生だと思ってやってほしいです。

あともう1つ大事なことは、救ってくれる仲間と一緒に創り上げようということです。がんばっていきましょう!」

その後、完成したばかりの前回のICCサミットのドキュメンタリー映像などの上映がありました。前回参加したスタッフ、今回初参加のスタッフともに見入っています。

一方、ラウンジスペースのほうでは、一人、また一人と今夜のパネルディスカッションに参加いただく方々が到着してきた模様です。

登壇者の5人プラスICC小林で、記念撮影を行い、すでに話が弾んでいる様子です。スタッフが待つイベントスペースでは、ドキュメンタリー映像が終了しました。拍手で登壇者をお迎えして、パネルディスカッションの始まりです。

登壇者たちの20代を振り返る

20代のころの自分を振り返るところからディスカッションはスタート。活躍している姿しか知らない私たちにとっては、意外なエピソードが満載でした。

リンクアンドモチベーション 取締役/オープンワーク 取締役副社長 麻野 耕司さん

麻野さん「人に生き方を語れるような立派な人間ではなく、僕はめちゃくちゃ鈍臭い人間なのです。

会社に入社する前から、他の人ができても自分にはできないことが多かったです。

リンクアンドモチベーションの最終面接では、当時の社長の小笹 (芳央さん) に『僕は論理的に考えるのが苦手で、正直に言うと、今日も何をしゃべっているのか自分でもよく分かりませんでした』と言いました。

『ただ、一生懸命頑張りたいという情熱だけはあります!』と言うと、『自分で理解しているんだね。うちの会社には一流が揃っている。コンサルタントは論理的に考えることが求められるので、入社したら、君はとても苦労すると思う。それでも頑張れますか?』と言われました。

『はい、頑張れます!』と言うと、じゃあ握手をしようと手を差し出されたのですが、ギリギリのところで、手を引っ込めて『本当に頑張れる?』と言われて(笑)。本当に、評価は及第点ギリギリでした。

今の社長である坂下(英樹さん)が、社長面接の前の役員面接の担当だったのですが、後日『君を良い評価で社長面接に進めたら、後から小笹さんに叱られた』と言われました。言わなくてもいいですよね(笑)」

ヤッホーブルーイング 代表取締役社長 井手 直行さん

井手さん「僕は高専卒で20歳で会社に入りました。

エンジニアを5年経験して転職して、転職後は半年くらいで退職し、自分探しの旅をするためにバイクで半年間、日本放浪をしました。

お金がなくなってきたので仕事をしなきゃと思うものの、やりたい仕事がなかったので、パチンコで生計を立てていました。

旅をして、何がしたいかは見えなかったのですが、人と自然が好きだということに気がつきました。

振り返ると、20代の頃の意味のないような時間も大事な経験で、今の自分の人格を形成する転職や旅を経験する期間だったと思います。

やりたいと思ったらすぐ始めて、でも違うなと思ったらすぐやめての繰り返しでした。まとめると、やりたいことをしていた20代でしたね」

挙手を募ったところ、この日の運営チームスタッフは大学生から20代が7割。すでに自分のやりたいことを見つけている人もいれば、それを探していたり、何者でもない自分にもがいている世代です。尊敬する経営者の方々を身近に感じるようなエピソードが、次々と明らかになっていきました。

自信も、やりたいことも見つからなかった20代

楽天 チーフ・ピープル・オフィサー小林 正忠さん

セイチュウさん「20代を振り返ると、行き当たりばったりだったなと思います。

自分は本能を信じていて、何を頼まれてもやると決めています。

何にでも手を出すので、破綻する部分は出てきてしまうのですが、『やりたい』というエネルギーさえあれば、周りが助けてくれることが多かったです。仲間に助けられている人生だなと思います。

やりたいと言ってエネルギーをぶつけると、世の中、切り開いていける感じですね。

22歳の時、大学院に進むか働き始めるか、二つの選択肢がありました。

しかし大学院に進学するにしても、社会に出て問題意識を持ってからの方がいいと思い、まずは社会に出ること(大企業に就職すること)にしました。

2年半後、三木谷(浩史さん、楽天 代表取締役会長兼社長 最高執行役員)のコンサルティング会社を、企画と営業面で手伝うことになりました。

それで会社を作ることになり、25歳の時に6人で楽天を作りました。その際、僕はあまりコミットしていませんでした。

なぜなら、自分自身の会社をやろうと思っていましたし、創業メンバー6人中、僕以外はハーバード大や京大などの修士号を持っていて、僕だけが学士号でした。

実際に自分が一番頭が悪いと感じていましたし、営業の結果も出ないしで、最初にクビになるのは自分だと思っていました。上場する前くらいまでずっとそう思っていましたね。

幸い3年ほどで上場ができて、28歳で結婚し、29歳で父親になりました。そんな20代でしたね」

ユーグレナ 取締役副社長COO /リアルテックファンド 代表 永田 暁彦さん

永田さん「僕は今36歳なので、この中では参加者の皆さんに一番年が近いです。29歳の時に会社が上場しています。

でも、20歳の時には僕は大学一年生でした。入学した日に履修届を出さず、休学をしたので、一年生を3回経験しているのです。

(一同驚く)

僕は能力というよりもコミュニケーションに難がありまして、大学の入学式の日に、パニックになってしまったのです。

しかしこのままだと人生いけないと思い、勉強だけすれば資格がもらえる、会計士になろうと思っていました。

そんな僕に、社会と初めて接する機会をくれたのが、楽天でした」

セイチュウさん「おお!」

永田さん「2005年に知り合いに誘われて、コンテスト型の、楽天のインターンシップに参加したのです。

既存事業やダメになったプロジェクトを立て直すのがテーマで、僕は優勝しました。初めて、自分に対して相対評価をしたのがその時だったのです。

僕は就職活動もしていないし、ゼミにも入っていないし、友達もいなかったので、相対的な自分の立ち位置が分かっていなかったわけです。

その頃、投資ファンドに誘われて入社し、最初の投資先がユーグレナでした。

23歳のときに初めて出雲(充さん、ユーグレナ代表取締役社長)に出会った時は苦手でした。引きこもりの自分とは真逆な感じでビジョンが強くてキラキラしていて(笑)。

でも、僕は、いわゆる経営者コミュニティのようなものにも入れず、それらを担当していた出雲に対して、ありがたいと思っていました。

僕は20代の間、本当に、やりたいことがなかったのです。欲がありませんでした。

だけど自分にできるものがあるかなと、何かに引っ張られて生きていたのが20代だったと思います。30代になってそれが大きく変わりましたが」

ネオキャリア 代表取締役 西澤 亮一さん

西澤さん「尊敬ができる先輩と仕事がしたいと思い、70~80社回った結果、そういう人には出会えなかったので起業しました。それが22歳の時です。

父親は経営者をしてから町長も務めていたので、『経営者と政治家は厳しいからやめておけ』と言われていました。

ですから社長ではなく役員として、責任が軽めで自由のあるポジションで始めたのがスタートです。

しかし4千万の赤字を出して会社がつぶれかけ、債務を引き渡され、また、株を購入するために30歳で2億円の借金を背負うことになりました。

それから紆余曲折あり、今は数千人規模の会社になりましたから、何とかなるということです。

僕は『随所作主』という言葉が好きです。

これはつまり、置かれた場所で花を咲かせるということですね。

やりたいことがなかったので、やりたいことをしたというよりも、期待や求められることに全力で応え続けていたと思います。その結果、今があるということです。

凡人でも積み上げていけば、何とかなると思います」

社内異動の希望が全て通らなかった20代

麻野さん「20代は、社内異動の希望が全て通らず、希望していない部署に配属され続けていました(笑)。

でも、小笹に『モチベーションを高くもって働く』ことを約束していたので、一生懸命やりました。

当時、リンクアンドモチベーションは採用に関して、リクルートや外資コンサルと戦わなければいけなかったのです。

選んでもらうための武器は、ビジョンを語ることだけだったので、ビジョンを語るスキルを身につけました。

リンクアンドモチベーションをソニーやホンダのような会社にしたい、ソニーやホンダは技術を持って物質的に世の中を豊かにしたけれど、リンクアンドモチベーションはモチベーションエンジニアリングという技術によって、精神的な豊かさを提供する……。

これが、ビジョンです。

最初は採用のためにそう話していました。

しかし、何度も語っているうちに、そのビジョンが自分のものになっていきました。

それで、人事の仕事を極めて人事責任者になりたいと希望をしていたら、社長室に異動になってIR担当になったのです。

でもその時まさにリーマンショックが起きて、毎日機関投資家を訪問していましたが、結局、全く株価を上げられませんでした。

数字や株価も興味がなかったのですが、小笹と約束していたことを守ろうと思ったので、どうすれば株価が上がるかを考え続け、戦略を考えるようになったのです。

2013年から始まった投資事業や2016年からのモチベーションクラウドは、実は2010年の時点で、株価を上げる戦略として既に考えていたことです。

その後、リンクアンドモチベーションの管理責任者になりたいと異動希望を出したら、全社業績があまりにも悪いという理由で、営業の現場に異動になりました。それが30歳くらいの時で、営業経験はありませんでした。

ゼロの状態から、中小企業向けの、組織人事コンサルティングの営業を始めました。

その際、数字や組織を創るスキルを身につけましたね。

20代はやりたいことができなかったですが、ビジョンや戦略、数字や組織の創り方を学べたと思います。

ですから会社に対して、30代はやりたいことをやらせてほしいと提案するようになり、結果的に、インキュベーキョンという投資事業やモチベーションクラウドなど、希望の事業を任せてもらえるようになったのです。

20代で目の前に置かれたものに対し、モチベーションを高く保って働いたことが、30代でやりたいことを回収できている今につながった感じですね」

セイチュウさん「麻野さんの話を聞いて……僕の場合、僕自身ではなく三木谷の意思によって僕の人生が決まっていっているって、思い出しました。

(一同笑)

28歳の時に上場して、結婚したと先ほど話しましたが、その後、大阪支社立ち上げの話が出ました。

僕は生まれも育ちも東京で、関西には全く縁がありませんでしたが、ひとり西日本営業部を立ち上げました。

それが終わると東京に戻り、マーケティング部署を立ち上げるということで、楽天ポイント倶楽部というロイヤルティプログラムを仲間と立ち上げました。

僕は英語が話せないのですが、海外事業準備室も立ち上げ、毎月中国に出張していました。

挙げ句の果てには、経営会議の会議中にメッセンジャーで『Can you move to the United States to fix buy.com in three months?』と、移住してアメリカ本社の立ち上げを任されたのです。

ただ、全力投球すること、目の前のミッションに対し、どうすれば達成できるかというHOWを考えるのが楽しかったのでよかったですが、かなり大きく人生が変わってますよね。

今も、他の人にはできないかもしれないけれど、自分ならできるかも?と思って様々なことを楽しみながら取り組んでいますが、それは、根底で「全力でぶつかれば、どんどん道が広がっていく」と信じているからだと思います。

企画と営業の経験しかなかった25歳の僕が、28歳で営業本部長としてマネジメントも経験させてもらうなど、様々な挑戦的な機会をもらった結果、麻野さんのおっしゃっていた『ビジョンを語る』経験を私も多く体験しました。

語ることで自身もさらに信じるようになり、信じるとまた口から出して語るようになる…信じる力が、自分の中でより強くなっていく感覚です。

そして何よりも大事なのは、自分が信じているものについて語ると、信じる人がついてきてくれて、より大きな結果を出せるようになるということだと思います」

大きな変化が訪れた30代

ICC小林「では運営チームスタッフから、質問をお願いします」

石橋さん「永田さん、30代でガラッと変わったというその変化について教えてください。僕自身、27歳で独立してVCファンドを経営しているので、30代をどう過ごすかを考えています」

ICC小林「皆さん、30代から大きく変わったのではないかと思うので、みなさんに30代についてお話しいただきましょうか」

永田さん「30代の最大の変化は会社が上場したことです。僕はあまり裕福ではない家庭で育ったので、家族のために稼がなくてはいけないという思いがありました。

上場した際、両親に家を買ったのですが、その時に初めて経済的な制限から解放されたと感じたのです。

僕自身が生きていくためには何でもできるけれど、家さえあれば、最悪、月に5,000円しかなくても両親は何とか生きていけると思うからです。

ですから、永田家をその状態にできたことで、精神的自由を得ました。

ユーグレナの社長の出雲は、いつも『バングラデシュを変える』『ミドリムシが世界を変える』と言っていて、内側から燃えるものを持っていることが羨ましいと思っていました。

それを堂々と叫べることについても、すごいなと思っていました。僕自身は違ったからです。

何かに熱中していたり、何かを解決しようとしていたりする人はすごく魅力的です。

僕にはそれが見つからなかったのですが、見つからないならいっそ決めてしまおうと考え方を転換しました。

そうすれば僕の人生は幸せになるのではないかという仮説を持ったので、決めたのです。

何かを決めて、それを叫んでいると、どんどん責任が重くなってきます。

その方向に走りたいと決めたら、責任を自ら重くすることにこだわっていますね。

それは僕が弱い人間だからで、これは、弱い人間が走り続けるための方法論だと思います」

西澤さん「僕が30歳の時に、リーマン・ショック(※)が起こりました。2億円の借金を抱えた翌月に起こったのです(笑)。

▶編集注:2008年9月、アメリカ第4位の投資銀行リーマン・ブラザーズが経営破綻したことで起きた金融危機。世界同時に株価が暴落するなど、世界の市場が混乱し、景気が悪化した。アメリカと輸出産業で密接な関係がある日本経済への影響も大きかった。

リーマン・ショックで、人材業界は、マーケット全体が前月対比で70%くらいに落ちました。僕の場合は、その前後で会社の成長が止まっていたのです。

2009年から2010年にかけては、売上が20億円、社員は100人でした。

今は売上が500億円で社員数は3,000人ですから、この9年で大きなカーブを描きました。

伸び悩んでいた際、1ヵ月、会社を休んで、自分の作りたい会社、好きなこと、嫌いなこと、どんな人に働いてほしいかなど、ミッションやバリューに関するアイデアを400ページくらいに書き留めました。

その400ページの内容を全社員に向けて発信したのが、ちょうど30歳の時です。

その後、2011年の震災があって、『日本を良くしたい』という思いが強くなりました。

変わったのは、器ですね。

20代はコツコツ目の前のお客様に向き合っていましたが、それだと限界がきて、違うところを見るようになったのが30代だったのかなと思います」

なぜ起業せず、オーナーのもとで働くのか

ここで西澤さんから、セイチュウさん、永田さんへ「なぜオーナーのもとで働くのか」という質問が投げかけられました。確かに、ご自身で起業しても不思議ではない方々です。

セイチュウさん「三木谷さんに惚れているか? いえ、彼と僕は全然合いません(笑)。三木谷はビジネスが大好きで、僕は人が大好きです。また、それぞれのHOWは全然違います。

ただ、お互い、たどり着きたいゴールが同じなのです。

311の震災時、東京がパニックになる可能性があったので、三木谷から『自分は東京に残るが、お前は関西に渡って、第二楽天の準備をしてほしい』と言われました。

自分たちのビジョンである『世の中を元気にする』ことをどう実現するかを、彼はその時でも考えていたのです。

彼は本当に、ブレないです。だからこそ僕も、23年間、ブレないでいられるのです」

永田さん「僕は自己評価が高くなく、出雲がいるから今のユーグレナがあると思っています。

出雲も、同じことを僕に対して思っています。

つまり、二人とも経営者としては一人前ではなく、お互いに寄りかかりながら、二人三脚で動いています。

スーパーマンがいてそこにぶら下がっているというよりは、弱い人間同士が肩を組んでいるわけです。

出雲は名前が充なので、みっちゃんと呼んでいるくらいです(笑)」

麻野さん「僕の場合は、年も20歳違いますし、小笹は父親のような感じですね。

素晴らしい経営者ですし、何もできない大学生だった僕を育ててもらったと思っています。

今は、彼から学んだことで仕事をしています。

ですから、恩返ししないといけない、この人を幸せにできなかったら経営者として成功したとは言えないと思っています」

セイチュウさんや永田さん、麻野さんの回答は、仕事の面白さ、やりがい以上に、心の根っこにある、プリミティブな感情によるものだとわかります。彼らのエネルギーの源泉が、極めて人間的なものであるところに、強く共感したスタッフも多かったのではないでしょうか。

一方、創業メンバーである井手さんや、西澤さんは、今に至るまでにさまざまなことがあったに違いないのですが、ひょうひょうとしています。ヤッホーブルーイングの創業者である「星野リゾート」代表の星野佳路さんとの、周囲が肝を冷やした大ゲンカ後に社長を任されたのエピソードも披露されました。

スタッフから次の質問です。

花本さん「もし20代に戻れるならば、何をしたいですか?」

仕事に関しては、全く同じでいいと返答する登壇者が多いなか、異色の回答をしたのはセイチュウさん。

セイチュウさん「やりきったと思ってはいるものの、唯一やれていないこととすれば、女性として生きる20代ですね(笑)。

僕には子どもが5人いて、毎年子どもが増える30代だったのです。アメリカにいた時は2週間に一度、シンガポールでも毎週末、日本に帰ってきていました。

家族と妻が大好きなのです。今日もここに来る前に、スタバで妻とお茶をしていました。

それで、20代にできなかったことといえば、僕は妊娠できなかったのです。

3人目ができた時、次こそは自分が妊娠や授乳を経験したいと思ったのですが……(笑)。

どういう景色なんだろうと興味があるのです」

井手さん「もはや20代に戻るのではなく、生まれ変わる必要がありますよね(笑)!」

(会場笑)

他人との比較は無意味。二兎を追うと、三兎も四兎も現れる

西澤さん「『人生どう生きるのか?』というテーマとは全然違うこと話してますよね(笑)。結局は経営の話になりましたよね(笑)。

深掘りしたい点はたくさんありました。

事業や経営が好きで、常に考えているからこそ、色々なことがアウトプットされて良いセッションだったと思います」

永田さん「僕はラッキーなことに、引きこもったり大学に行かなかったりしたことで、自分と同世代の人を相対的に比較しない時代が長かったのです。

そしてその時代が、今の自分を作っていると思います。

今日、皆さんの話を聞いて『すごいな、尊敬するな』と思いつつも、自分の人生と比較しても意味はなくて、エッセンスだけを吸収することが大事だと思っています。

会社を作った年齢も、上場するしないも、いろいろな選択肢があるので、何が良くて悪いかの基準はありません。

ですから、自分の理想と照らして、比較軸を設定するのが大切だと思います。

今日も、自分は自分でいいんだと思えました。

幸せになる方法はそこにあるのではないかと考えているので、ぜひそう考えてみてください」

セイチュウさん「ネクストの井上(高志)さんや石川善樹さんと一緒に、well-beingについて考える機会がありました。

どうすれば人は幸せになれるのかと考えた時、僕の結論は『比較をしない』です。

人と自分を比較することをやめれば、人は幸せになれると思っています。

比較して、『自分はまだまだだ』『あの人には勝っている』と思った時点で不幸な人間を作っていることになると思うのです。

僕はもう、髪の毛だけではなく、比較することは捨て去っています。

(会場笑)

なぜそう思えるようになったかというと、意外とやりたいと思ったことは全部やってきた感覚があるからかなと思います。

『二兎を追う者は一兎をも得ず』と大人は教えるけれど、47年生きてきた僕が思うのは、二兎を追うと、三兎も四兎も現れるということです。

これを、中高生への講演で話します。

賢い人は『選択と集中』と教えるのですが、やりたいことは全部やればいいと思います。

あと、僕は、自分で歴史を作れる、自分を信じていれば道が開けるという意味の『自我作古』という言葉が好きです。

そんな人生を歩んできたし、これからも歩めらたらいいなと思います」

人との出会い、仲間との絆

井手さん「皆さん、いろいろな経験や苦労をされていて、それが今の皆さんを形作っているのだなと実感しました。ですから、いろいろな経験をするのが大事だと改めて思いました。

僕の場合、最初は興味があることに首を突っ込んでいただけですが、何年も経ってから、このビールビジネスの良さが分かり、そしてそれが天職だと思えてから、改めて勉強して、今ようやく経営ができるようになりました。

興味のあることを追求していけば、幸せになると思います。

自分が幸せだと、会社のスタッフも幸せになり、その結果、うちの会社のビールのファンも、取引先も幸せになります。

それから、チャンスは平等に訪れると思います。しかし、それをつかめるかどうかが大事です。

僕の前に星野というチャンスが来て、それをつかんだので、結果的に自分の人生のキーマンになりました。

セイチュウさんを含めた、楽天との出会いも、ビジネス成長をサポートしてくれました。

それらのチャンスをつかむかどうかで人生が変わると思います、ですからチャンスを見極める目を養い、臆せずに挑戦してみてください」

麻野さん「人生について考えたことはなかったのですが、皆さんの話を聞きながら考えていて、イメージがわきました。

20代で人生を見つけ、30代で人生を作ってきたと思っています。

そしてこれからの40代は、人生を味わいたいと思いました。

皆さんの話から出てくる場面はどれも、特に、仲間との話は味わい深いですよね。

楽天の株価が上がったことよりも、三木谷さんとセイチュウさんの絆の話の方が心に残ったので、自分はそういう人生が好きなのだと思います。

仲間との絆を味わう40代にしたいですね。

僕は世界を変えたいと言っていますが、社員が世界を変えたいと本当に思っているのか不安になることがあります。

顧客が喜んでくれて、仲間と仲良くできたら、それでいいのではないかと思うことがあるのです。

社員旅行に行った際、社員が僕にサプライズでムービーを作ってくれました。

そこには、『麻野さん、心配しないでください。麻野さんと同じように、僕たちも世界を変えたいと思っています。』とあって、それを見て僕は涙が止まらなかったのです。

そういう仲間との絆が僕にとっての人生の幸せですから、それをもっと味わいたいと思いました」

「自分の人生をどう生きるか」もシーズン3。スタッフのキックオフという場で、登壇者のみなさんには、井手さんは同じテーマの再登壇にもかかわらず、本番サミットさながらのお話をしていただきました。みなさんの熱いメッセージに、よりよい場、よりよい仲間を創ろうという気持ちが盛り上がったのではないかと思います。

ディスカッションが終わったあとは、よなよなエールで乾杯し、時間の許す限り登壇者の方々を囲んでお話をさせていただきました。

新旧スタッフ、ICC サミットKYOTO 2019へ向けて、力を合わせて頑張っていきたいと思います!

留学から一時帰国中の旧ICC社員でありベテランスタッフ、榎戸さんも駆けつけてくれました!

ベテランスタッフの場外アドリブセッションも!?

登壇者の方々がお帰りになると、ラウンジスペースで語り始めたり……

元気いっぱい!

AIESECメンバーが今回は数多く参加してくれる予定です

これから9月まで、お盆休みを除いてほぼ週1ペースで、このようなイベントを重ねて、本番までのオペレーションの改善や、チームワークを磨いていきたいと思います。以上、現場から浅郷がお伝えしました。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

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