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特別プログラム「自分を見つめ直すZENリトリート」の舞台、京都妙心寺・退蔵院を拝観しました!【ICC KYOTO 2020 下見レポート】

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8月31日から開催予定のICCサミット KYOTO 2020。今回は、スモールグループでの見学やワークショップなどを数多く用意しています。初日に妙心寺の春光院と退蔵院で開催される特別プログラム「自分を見つめ直すZENリトリート」もその一つです。本レポートでは、6月下旬にその下見を兼ねて退蔵院の松山大耕さんのもとを訪問した際の模様をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。


次回のICCサミット KYOTO 2020では、メイン会場となるウェスティン都ホテル京都を離れて開催される複数の特別プログラムが企画されています。

▶参照:ICCサミット KYOTO 2020 プログラム(Googleドキュメントにアクセスします)

そのうちの一つが、8月31日(DAY0)の夕方に妙心寺で開催される「自分を見つめ直すZENリトリート」です。6月下旬、ICCパートナーズ一行はその舞台となる妙心寺の退蔵院を訪問し、同院が誇る美しい庭園の特別拝観と精進料理を体験してきました。本レポートでは、その模様をお届けします。

「自分を見つめ直すZENリトリート」とは?

「自分を見つめ直すZENリトリート」は、 春光院での「坐禅・マインドフルネス体験」と、退蔵院での「精進料理付き特別拝観」がセットになった特別プログラムです。

京都市右京区花園に所在する妙心寺は、広大な敷地内に数十の塔頭寺院が並ぶ臨済宗妙心寺派の大本山。春光院や退蔵院は、それら塔頭寺院の一つです。

ICCサミットと両院はこれまでもご縁があり、春光院副住職の川上(全龍)隆史さんが指導する早朝の坐禅体験は、毎年9月に開催されるICC KYOTO恒例の人気プログラムとなっています。最近では、ICC KYOTO 2019の大好評セッション「人間を理解するとは何か?(シーズン2)」にもご登壇いただきました。

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退蔵院副住職の松山大耕さんには、4年前のICC KYOTO 2016「トップ・リーダーの行動・思考パターンは何が違うのか?」に登壇者いただきました。松山さんの生い立ちや大学卒業後の修行生活、ローマ教皇への謁見やダボス会議出席などのエピソードを伺ったインタビュー記事も素晴らしい内容です。

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そんな川上さんと松山さんをホストとして両院を舞台に開催されるのが、今回の特別プログラム「自分を見つめ直すZENリトリート」です。

新型コロナウイルスで世の中は一体どうなってしまうのか? これまでの生活はいつ戻ってくるのか? 落ち着かない日々が続きますが、都会の喧騒から離れて心を静め、己を見つめ直すための時間を皆様に提供できればという思いから、当プログラムは企画されました。

応永11年創建。600余年の歴史をもつ妙心寺 退蔵院

「精進料理付き特別拝観」の舞台となる退蔵院は、妙心寺内で一般公開されている数少ない寺院の一つで、如拙が描いた国宝「瓢鮎図(ひょうねんず)」で有名です。

国宝『瓢鮎図』(如拙作)

小川を泳ぐナマズの横に、両手で瓢箪をもった男が佇みます。「小さな瓢箪で大きなナマズをいかに捕えるか」という禅問答を描いたもので、その上部には31人の禅僧による賛(回答)が並びます。

退蔵院の方丈(本堂)で見ることができます

画僧・如拙の筆であることが確実な日本最古の水墨画とされ、大変貴重な作品です。そのため実はこちらで拝見できるものは模本で、原本は京都国立博物館に寄託されているとのこと。

退蔵院の2つの庭園「元信の庭」と「余香苑」を拝観

特別プログラム当日、春光院での坐禅体験を終え退蔵院に移動した参加者は、妙心寺御用達「阿じろ」の精進料理を体験し、美しくライトアップされた日本庭園を堪能します。

同じ時間帯には高台寺の五重塔を臨むTHE SODOH HIGASHIYAMA KYOTOでカンファレンスの前夜祭とも言えるオープニング・パーティが開催される予定ですが、その裏で静かに催されるのが「自分を見つめ直すZENリトリート」です。

6月下旬のこの日、私たちが退蔵院を訪れたのは夕方6時頃。まだ明るい庭園は、夜になると一体どんな姿に変わるのでしょうか。その答えは本レポートの最後で。まずは、日中の庭園の様子をお届けしたいと思います。

史跡名勝・枯山水庭園「元信の庭」

本堂から眺めるこちらは、史跡名勝「元信の庭」。その名の通り狩野元信が作庭した枯山水庭園です。後方に植えられた常緑樹に、一年を通して変わらない“不変の美”を求めたとされます。

次に一同が向かったのは、池泉回遊式庭園「余香苑(よこうえん)」です。余香苑に通じる門を通る際、ふと目線を上げると、ここにも瓢箪とナマズが。

互い違いに並ぶ瓢箪と、その上を泳ぐ2匹のナマズ

池泉回遊式庭園「余香苑(よこうえん)」の入り口

門をくぐった先で私たちを迎えてくれたのは、立派なしだれ桜でした。こちらは平安神宮の孫桜にあたる紅しだれ桜だそうで、春には見事な花を咲かせます。2013年春には、JR東海のCMキャンペーン「そうだ 京都、行こう。」にも使用されました。

紅しだれ桜の左手に眺めるのは「陽の庭」と呼ばれる枯山水の石庭。その反対側には、敷砂の色が異なる「陰の庭」が配置されます。

明るい色の敷砂を用いた「陽の庭」

重みある色の敷砂を用いた「陰の庭」

6月下旬の京都。アジサイやサツキが綺麗でした

緑豊かなお庭を散策しながら、あずまやを抜け、庭園奥の藤棚の下にたどり着いた一同。振り返ると、そこには“ひょうたん池”を中心に広がる見事な景色が広がっていました。

退蔵院の池泉回遊式庭園「余香苑」

こちらの庭園は、造園家・中根金作氏の設計によるもので、昭和38(1963)年に着工し、3年もの時間を費やして造園されたそうです。

訪れたのが夕暮れ前だったため、つい先程まで緑々しかった木々がその彩りを変える瞬間でした。入り口近くの枯山水庭園とは全く違う景色に、思わず息をのむ一同。夜間にはどのように見えるのか、それは後ほどのお楽しみ。

特別プログラムのホスト、退蔵院 松山大耕さんのご紹介

ここで改めて、本日私たちを温かくお迎えくださった退蔵院の松山大耕さんをご紹介します。

退蔵院 副住職 松山 大耕さん

1978年、お寺の長男として生まれた松山さんは、京都のカトリック系の中高一貫校を卒業後、東京大学へ進学し大学院では農学の研究に従事しました。その後、妙心寺派の埼玉県平林寺での修行生活を経て、2007年より現職をお務めになっています。

冒頭で紹介したインタビュー記事にある、3年半の修行を終え、修行先の埼玉から京都まで中山道を歩いて帰った際の心温まるエピソードは必見です。

退蔵院 松山大耕氏の「有難い」の意味を知る修行時代(ICC KYOTO 2016 特別インタビュー)

宗教の在り方と平和のメッセージを世界に向けて発信した2014年のTEDxKyotoのプレゼンテーション「Reasons for religion ― a quest for inner peace」も、ぜひ観ていただきたい内容です。

2011年には日本の禅宗を代表して前ローマ教皇に謁見、2014年にはダボス会議に出席するなど宗教の垣根を超えて世界を舞台に活動される松山さんは、2018年からは米国スタンフォード大学の客員講師も務めていらっしゃいます。

私たちは今回、妙心寺御用達「阿じろ」の精進料理をいただきながら、そんな松山さんのお話を伺う貴重な機会をいただきました。ここからは、その模様を阿じろ謹製「夏御膳」のお写真とともにお届けします。

妙心寺御用達「阿じろ」の精進料理とともに、禅を知る

お食事は、庭園奥にあるこちらのお茶席「大休庵」でいただきました。

余談ですが、この日南禅寺界隈が誇る日本庭園「對龍山荘」「無鄰菴」の見学から同行いただいたのぞみの藤田功博さん(写真右奥)と松山さんは、高校バレーボール部の先輩後輩の間柄だそうです(松山さんが先輩)。そうしたご縁もあり、当日のプログラムはのぞみ社の運営協力で行われます。

話を戻します。いよいよ「阿じろ」の精進料理とご対面です。朱のお膳に、涼しげな八寸が並びます。

食前酒には梅酒が振る舞われました

アボカドとキュウリの辛子酢味噌和え

八寸。ホオズキの中は、ヤマモモとトウモロコシのかき揚げ

からし豆腐の揚げ出し

こちらは赤緑のパプリカと穂紫蘇で彩られた揚げ出し豆腐。丸い豆腐は「からし豆腐」と呼ばれるもので、文字通り中に和がらしが入っており、豆腐を割ってお出汁に溶きながらいただきます。からし豆腐は一般に岐阜の郷土料理とされていますが、京都が発祥の地という一説もあるそうです。

生湯葉とじゅん菜の小吸い物

じゅん菜のお吸い物には、ゆずの皮が一欠片。精進料理では、一品一品にこのように野菜などの欠片がついています。お皿やお椀をぬぐって最後まであまさず食べるための工夫だそうです。

――精進料理とは、魚や肉を一切使わずに調理された食事のこと。「精進」の言葉には仏道修行に専念するという意味があり、禅にとって料理することは大切な修行のひとつです。(「阿じろ」WEBサイトより)

ここで、松山さんが客員講師として教鞭をとるスタンフォード大学でのプログラムの話に。

スタンフォード大学の学部生向けプログラムBing Overseas Studies Program(BOSP)は、世界10都市の中から1都市を選び、現地のビジネスを通じてGlobal citizenshipを学ぶプログラムです。このプログラムの中で、松山さんは“BOSP Kyoto”のホストとして、「禅」をテーマにしたプログラムを担当されています。

しかし昨今の新型コロナウイルスの影響で、大学の授業はすべてオンライン化されています。さてどうしたものかということで、今はオンラインで精進料理に関するワークショップ型授業を実施しているのだそうです。

ご飯、けんちん汁、きんぴらを、学生が暮らす現地の食材を使って作ってもらう。なぜけんちん汁? と思うのですが、具となる野菜を茹でるために米の研ぎ汁を用いることで、食材を余さずに使うという精進料理に込められた禅の精神を体験する狙いがあります。

根菜を用いるきんぴらでは、野菜の皮も細かく切って使います。「自分なりの精進料理を作ってもらう」ことで、オンラインを通じて禅や精進料理の考え方を教えているのだそうです。

▶参照:精進料理レシピ(「阿じろ」WEBサイトより)

夏御膳の続きを見ていきましょう。

ミョウガと針海苔が添えられたお蕎麦

白味噌と赤味噌の丸茄子田楽

お蕎麦の上に白く乗るものは“とろろ”かなと思ったのですが、これは“汲み上げ湯葉”でした。汲み上げ湯葉とは、豆乳を煮立たせた際に出来る皮膜(湯葉)を、非常にごく薄い状態で汲み上げたものをいいます。とろっとした食感が独特です。

丸茄子田楽の上には、こんにゃくと紅葉麩、木の芽が添えられています。お味噌はかなりしっかりとしたお味でした。

続いて、香の物とともにご飯とお味噌汁を頂戴します。

白味噌汁と蓮の葉ご飯

大きな朱の椀で運ばれたのは、折りたたまれた蓮の葉。留め木をはずすと、丸く整えられたご飯が姿を表します。

冬瓜と絹さやの白味噌汁

白味噌汁は、ひかえめな塩味の中にほのかな甘さを感じるお味。最後には、水物としてメロンとピオーネもいただきました。

大変美味しゅうございました

以上で「阿じろ」の精進料理体験は終了です。精進料理が初体験だった筆者は、精進料理は「あっさり薄味」「少量」「質素」なものというイメージを抱いていました。しかし今回いただいた阿じろの精進料理はしっかりとした濃い口の味付けで、ボリュームも満点でした。

満腹の旨を伝える一同に、「肉や油を使っていないので、すぐにお腹が空くと思いますよ」と松山さん。その言葉に半信半疑でしたが、この晩、ホテルの部屋であれだけお腹いっぱいだったのが嘘のようにお腹が空き、翌朝食べようと思っていたパンを食べてしまったのは秘密です。

夜の退蔵院。ライトアップされたお庭をひと足お先に…

精進料理に舌鼓を打った私たちは、最後にライトアップされた庭園を見学させていただきました。あれこれ語るのは無粋かなと思い、ここは写真のみお届けでしたいと思います。

特別プログラム当日は8月31日。きっと、また違う彩りを見せてくれることと思います。「自分を見つめ直すZENリトリート」にご参加予定の皆さま、ぜひご期待くださいませ。

おまけ:ミニ枯山水で「My Zen Garden」も作れます

今回の京都出張を通して感じたのは、今まで見たこともないような街中の人の少なさでした。新型コロナウイルスによりインバウンド観光客はもちろん、国内観光客も激減し、京都の観光業は大きな打撃を受けています。

退蔵院への客足も遠のいてしまったようですが、この機会に“池の水ぜんぶ抜く”よろしく、石庭の砂利を全部洗ったのだそうです。そうして生まれたのがこちらの「ミニ枯山水」です。

砂利を洗った際に出てきた細かい砂の上に自由に小石を置き、小さな砂かき棒で砂紋を描くことができます。シリコンバレーの投資家からも「ぜひ欲しい」の声があり、退蔵院からこちらのセットをお送りする予定だそうです。

こうしたちょっとした遊び心が、ハードルが高いと感じがちな「禅」をふと身近に感じさせてくれます。当日はどんなお話を伺えるのでしょうか? その模様は、また改めてレポートでお届けしたいと思います!

松山さん、当日はどうぞよろしくお願いいたします!

(終)

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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/浅郷 浩子/戸田 秀成

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