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これぞ究極の食体験プログラム! フード &ドリンク アワードの展示を全紹介【ICC FUKUOKA 2022レポート】

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2月14日~17日の4日間にわたって開催されたICCサミット FUKUOKA 2022。その開催レポートを連続シリーズでお届けします。今回は、パワーアップしたアワード・プログラム、「フード &ドリンク アワード」の体験プログラムの模様を、展示企業の意気込みとともにお伝えします。ぜひご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2022は、2022年9月5日〜9月8日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


フード &ドリンク アワード キックオフ!

賑わうフード&ドリンクの会場

ICCサミットのメイン会場の一角に、今回から本格的に誕生したお祭りのようなアワード会場。前日キックオフが行われた「デザイン&イノベーション アワード」に続いて、2月16日の朝には、「フード&ドリンク アワード」のキックオフが行われた。

マクアケ 坊垣 佳奈さん「個人的にはフード&ドリンク、めちゃくちゃ期待していまして、朝ごはんも食べずに準備をしてきております(笑)。

コロナ禍もあってか、食べ物、飲み物の領域のお問合せがすごく増えています。いろんな業界変化が各所でコロナの影響を含め起きている中で、フード&ドリンクの領域は、売り方も含めて、より変化を迫られているジャンルではないかと思っています。

ある意味それがチャンスでもあって、村岡さんとはKYUSHU ISLANDという形で、この九州の土地の美味しいものを発掘いただいて、Makuakeで九州のブランドとして発信することをご一緒していますが、新しいブランディングを手がけていくところも含めて、すごくチャンスが来ているのかなと思っています。

食べ物、飲み物は、説明を聞く、ストーリーを聞くと味が変わるなといつも思います。ちゃんと作り手さんの顔が見えて、どういう想いで、どうこだわって作られたかが分かると、本当に味が変わって感じられます。今日はそういう体験を楽しみにして参りました」

一平ホールディングス村岡 浩司さん「僕ももちろん朝ごはんを抜いてきました! 夜も遅くにうどんとかラーメンも食べずに、今日に備えてます。ICCに参加して比較的長い人間としては、こうして食の分野で1つの大きなカテゴリーができるというのは、ものすごくうれしいなと思っています。

坊垣さんが今おっしゃったように、食の世界はコロナで大変な状況もありますけれども、僕は持ち場が九州なので、みんなで新しい売り方とか場の提供みたいなことをやっています。

みなさんの意気込みスピーチを聞いていたら、2点以外どうやって付ければいいのか分からないです(笑)。会場で実際に体験をさせていただいて、皆さんと一緒に、ICCですから、Co-creationですから、横のつながりを持って、これから食の世界が発展できるように、皆さんと一緒に楽しんでいこうと思います」

アグベル丸山 桂佑さん「今回僕もぜひというお言葉を小林さんからいただいたんですが、2月の畑にぶどうが無いんです(笑)。なので、次回はしっかり出て、僕も頑張りたいと思っています。

僕は生産者として皆様のものづくりに対するこだわりや、想いをお伺いできればなと思っています。農業の『モノ』の部分はもちろんなんですけど、その『コト』の部分、想いだったり体験だったり、その作り手の人たちと直接お話しできるというのを、僕自身も今日勉強させていただきたいなと思っています」

審査員一同、体験プログラム会場へ

キックオフが終了すると、19名の審査員たちはアワード会場へ移動した。感染症予防対策として、入り口ではビニールの手袋が配布され、それを着用しての体験プログラムだ。デザイン&イノベーション アワード同様、ここからは各エントリー企業の1分スピーチの内容も合わせて、ガイドツアーの模様をお伝えする。

くしまアオイファーム – ひなたスイートの焼き芋

荒川 恭平さんくしまアオイファームの荒川と申します。宮崎県串間市にてサツマイモの生産・加工販売を一貫して行っています。現在全国的に被害が広がっているサツマイモ基腐病、それによってサツマイモ農家が深刻な状況になっています。今回ご提供させていただくのは『ひなたスイート』という、サツマイモ基腐病に強い抵抗性を持つ品種です。

サツマイモの農家の未来を守り、産地の危機の消滅を守るために、ひなたスイートをぜひ皆様にお知りおきいただきたいと思っております。陰から日向へと願いを込めたひなたスイート、ぜひご賞味ください」

ひなたスイートの焼き芋は、近年砂糖を入れたように甘い安納芋などとは違って素朴な甘さとしっとり感、きれいな黄色が美しいさつまいも。甘すぎないために、他の料理への用途も幅広いという。なにより感染すると土壌消毒まで必要になる基腐病に強いのは、全国のさつまいも農家を救う品種である。

奈良迫 洋介さん「安納芋や紅はるかなど、茨城とかだとまだセーフなんですけど、南九州はほぼ壊滅的な打撃を受けていて、僕らも例外ではないのですが、そこで強い可能性のある品種を作ろうと案内しています。言い出しっぺの僕らも作らないといけないなと、40ヘクタールある畑をすべてひなたスイートにしました」

地中に育ついもはスマート農業化が遅れている分野で、市場規模も3億。投資は、目に見える施設が建つトマトやイチゴ、レタスなどが多いという。それでもさつまいもは、コンビニで焼き芋が定番化するなど、追い風が吹いているジャンルでもある。

「僕らはこれをなりわいとして、産地としてはもう50年続いているので、なくてはならないものにしていきたい。そういった点では、幅広く手に取っていただける機会が増えるコンビニでの取り扱いは大歓迎です」

ムシロジックホールディングス – 豆乳パティシエのおからクリーミーコロッケ

鵜野 友紀子さんムシロジックホールディングスの鵜野 友紀子と申します。私は京都で豆乳スイーツのお店『むしやしない』というお店を16年やっており、世界で唯一の豆乳のパティシエとして活動しております。12年前に、実は、アレルギーの男の子との出会いで、23種類のアレルギー対応のケーキを作り、京都から全国配送しています。

今回のアワードの商品の開発のきっかけは、私の息子は6歳なんですけれども、息子の5歳の友達が便秘だったんです。調べたところ、小学生の約6人に1人が便秘、なおかつ3人に1人が便秘気味だということを知りました。

これは本当に社会問題だなと思って、その解決のために作ったのが、食物繊維豊富なおからを使ったクリームコロッケです。これを全国の学校給食に、統一献立としてアレルギーのある子もアレルギーの無い子も1つのものを食べるというような社会の実現のために、今回出品させていただきました」

審査員たちにも大人気だったこのコロッケ、クリーミーといっても乳製品を使っておらず、食物繊維たっぷりで、なおかつ年間3万トン廃棄されるおからのフードロスを解決するもの。鵜野さんは、ふだんはアレルゲンフリーのスイーツを作るパティシエにも関わらず、理念の実現のために作り上げたものだ。

homeal – 「ポルチーニと若鶏のフリカッセ」など4種類の幼児食

鬼海 翔さんhomealの鬼海です。私たちは幼児食というプロダクトをご提供しています。私がhomealを作ることになったきっかけは、子どもの乳児湿疹。アトピーのような症状で、食物アレルギーで顔が真っ赤に腫れ上がって、心が今でも思い出すと本当に苦しいほどです。

そんなときに私たちが一生懸命作った最初のプロダクト、キーマカレーとフリカッセ、この2つを皆さんにぜひ食べていただきたいと思って、ご用意しております。一生懸命作っていますので、ぜひ後ほどブースのほうでお会いさせてください」

一口で食べられるスプーン型の容器で、試食を提供したhomeal。一口でもわかる本格的な味は、幼児食のイメージを覆す大人も堪能できるもので、なおかつアレルギーを持つ子どもに配慮したレシピをプロが作っている。

冷凍食のためストックもでき、親子の一緒にいられる時間を増やし、同じ食事を楽しめる体験を増やす。別日には異なるメニュー「ビーツ入り 牛肉と7種野菜のボルシチ風シチュー」と、「もち麦入鶏肉と6種野菜の和風スープ」が提供されていた。

金楠水産 – 4種のディップソースとゆでだこ

樟 陽介さん金楠水産の樟です。兵庫県明石から最高に美味しいたこを背負って、福岡にやって参りました。前回はゆでだこだけだったのですが、今回はそれに合わせた新作のディップソースもご用意しました。皆様のたこ人生の改革を今日行いたいと思いますので、ぜひお立ち寄りください」

樟さん「みなさん買ったときに、わさび醤油で食べると思うのですが、それだけでは勿体ないという我々からの提案です。まず、改良した海苔ワサビはいかがでしょう? あおさのりにわさびオイル、白だしを入れたソースです。

新作のソース、花椒辣油はいかがでしょう? 中華にたこって使わないですよね? なぜ使わないんだという、我々からの怒りの提案です」

食べた人たちから、口々に「美味い!」という声が上がった。「ご出身はどちらですか? それならばこのディップがおすすめです。なぜなら…」樟さんのたこ愛にあふれた解説はエンドレスで続いていく。

山西牧場 – 乾塩ベーコン

倉持 信宏さん「茨城県で養豚を営んでいる山西牧場の倉持です。今回で3回目の参加となります。『飲める脂』と呼ばれるほどさっぱりとした脂の豚肉を生産しているというのを毎回お伝えしているのですが、今回はベーコンをご用意しました。

世の中にある多くのベーコンは現在『加水』といって、調味液を注射して肉を大きくして、より速く浸透させるための作り方をしています。今回ご用意した、乾いた塩と書いて『乾塩ベーコン』というのは、昔ながらの製法で塩をバラ肉にすり込んで寝かせる作り方をしています。

これをすると、水分が抜けていくんですね。つまり、収量は減る。そして外側からしか味が入らないから時間がかかる。現在では少なくなってしまった作り方なんですが、本物のベーコンと言えるものです。ぜひ味わっていただいて、ご評価いただけたらうれしいです」

倉持さん「香りと鼻にぬけるパンチ、食べ終わったあとに、口の中に嫌な匂いを残さず、味だけが残る。塩コショウも何もしていません。ぜひ食べてみませんか?」

一切れいただくと、それはベーコンというよりむしろ肉。一見白い脂が多くて躊躇するほどだったのに、それもしっかりと肉の味がして、ベーコンとは思えない。塩加減のほどよいポークステーキを食べているようだ。

倉持さん「塩をつけて、水分を抜きながら燻製をしています。ほんのりとした香りで、ものすごくスモーキーというわけではない。ご飯にも合うんですよ」

大切に育てた豚を余すことなく使い切ることを目指し、育てた豚のプラセンタを使用した化粧品や、豚革のカバンも合わせて展示した。

倉持さん「豚革は通気性もあって、靴のライニングなどにも使われています。しなやかで柔らかくて、通気性があって強い。僕もカバンを普段ガンガン使っています。

海外のスーパーだと豚肉は皮がついたまま売っていますが、日本はそれを剥いで売られています。その皮が日本で使われているのはたったの5%で、あとは海外への輸出。せっかくのジャパンメイドなのに、目を向けられていない。もっといろんなことができる可能性が秘められていると思うんですよね」

十勝しんむら牧場 – 牛乳、ミルクジャム、2年間放牧した豚肉のステーキ

新村 浩隆さん「北海道で牧場と乳製品の製造販売、そしてカフェと、最近はサウナをやっています、しんむら牧場の新村と申します。コンセプトは『食べる人が健康になる、そして環境をきちんと守りながら持続性のある会社を作る』です。会社の経営理念は『食べる人のための農業を実践し、次世代に継承し続ける企業』という経営理念でやっております。

牛を健康に。そのために放牧飼育に切り換えて、輸入穀物を極力与えない、そして化石燃料を使わないようにするために、牛にできることは牛にさせて、そこから採れた牛乳を飲むお客様が健康になる。そういう食品作りをやっています。牛乳はさっぱりとしています。ミルクジャムというものもあります。

8年前から今度は豚を飼い始めまして、山の中、東京ドーム2個半のところに自然放牧で自然繁殖、そして投薬を一切使わない豚を育てていて、今回ステーキとして出しているのは、2年間ゆっくりと飼育をしたものです。

僕たちは農業が医者になるべきだと思っています。食べる人が食で健康になり、病院に行かなくてもいい、そういう時代を創り、そして最終目標は、農業から世界平和、これを目標にしんむら牧場はやっています。ぜひこの後、牛乳と豚肉を食べてください」

終始人気だったこちらのブース、試食を終えたDodiciの大河内 愛加さんは「ミルクジャムが美味しかったので、後で買おうと思います」と笑顔。

またICCサミット会場のバリスタブースにて、ラテに使用する牛乳をご提供いただいた。スタートアップ・カタパルトで優勝したTYPICA提供のコーヒー豆とのコラボが人気となり、今回ブースでは過去最高の杯数を記録した。

展示終了後には、運営スタッフ用に余った牛乳を提供いただいたため、美味しい牛乳を飲みたいとスタッフが朝から殺到、最終日の運営を影から支えてくださった。

メップル – 完全栄養のウェルネスプロテイン「KOREDAKE」

鈴木 友樹さん株式会社メップルの鈴木と申します。完全栄養かつ植物性のウェルネスプロテイン『KOREDAKE』を展開しています。美味しいプロテインを飲んでもらいたい、そんな想いで工場選びは100以上、原材料は世界中から厳選、そして味の試作は100以上繰り返しました。そうした試行錯誤を経て生まれたのが、KOREDAKEです。

もっとウェルネスを身近なものにしたい。そこで今回開発したのが、新商品のシェイクパックです。日本初のシェイカーなしで美味しく飲めるプロテインです。ぜひシェイクパックを体験していただき、味わっていただきたいと思っております」

ピーチ、ミルクティー、アーモンド味に、季節限定カカオ味の合計4種類が並んだブース。パステルカラーの袋はチャックがついており、これに水や牛乳を入れて、チャックを閉めてシェイクすれば出来上がり。水の量を計る必要がなく、袋にここまで入れるという線が入っているのが便利だ。

ICCで完全栄養食といえばこの人、ベースフードの橋本 舜さんが早速見学にやってきた。マクアケの坊垣さんも可愛いパッケージに興味津々だ。

橋本さん「僕も完全栄養のものを作っているので(パスタ、パン、クッキー)、気になります!」

栄養バランスの取れたものを手軽でおいしく摂取できるとあり、KOREDAKEは今回、運営スタッフの朝食としても導入された。1袋でたった172kcalなのにたんぱく質は21.9gで、炭水化物は17.6g、食物繊維は9.6gと驚きの成分。しかも腹持ちがよく、3日間にわたりスタッフのパフォーマンスを支えてくれた。

キャビア王国 – 平家キャビア

鈴木 宏明さん「皆さん、特別な日には何を食べますか? 特別な日には、平家キャビア。株式会社キャビア王国の国王、鈴木 宏明と申します。私のキャビアは世界で一番人を幸せにすると自負しております。今日は皆さん、僕のキャビアを食べて幸せになって帰っていただければと思います。ブースでお待ちしております」

「いろいろな生産者の方々、製造されている方々がいらっしゃって、その方々と一緒に出展することによって、昨日だけでももうすでにいろんな商品、これコラボしたら面白いよねとか、この商品に乗せてみようと実際にやってみたりして、すごく楽しくやらせてもらってます」

と語る鈴木さん。クラフテッド・カタパルトのプレゼンでも語られたように、宮崎県椎葉村の山間で育てられている「平家キャビア」は、高級レストランにも納められている国産のキャビア。写真のスプーン1さじで約1,000円ほど。

こういうようなイベントの会場で普段お目にかかれるものではないこと、作り手に会う機会は極めて少ないためか、話を聴き込む審査員たちが多かった印象だ。

Muscle Deli – カスタムミールデリバリーブランド「YOUR MEAL」

西川 真梨子さん「リリースしたばかりの新しい「YOUR MEAL」というカスタムミールデリバリーブランドをご紹介します。皆さんの中に、最近太ったなとか、疲れやすくなったな、お通じが良くなくなったなみたいなことを思っている人はいませんか? その悩みは体の中から食事で改善できるかもしれません。

YOUR MEALは独自の食事診断をきっかけに、あなたに合った食事を分析します。そして、そのお食事を1食完結型の冷凍のお弁当という状態で皆さんにお届けします。ブースではウェブサイトからの食事診断をしていただくか、管理栄養士が常駐しているので、普段の食事についてお話ししてみてください。

たくさんの食事の中から、あなたに合ったお食事をセレクトして、食事プランのシートと一緒にお渡しします。あなたのために選んだ、あなたのための栄養で、美味しいお食事。ぜひその体験をお試しください」

ブースにいる管理栄養士さんにどんな声が寄せられているのか伺った。

「若い女性だと、ダイエットよりも肌荒れや、疲れが取れないといったお声があって、そういった悩みに合ったお食事をご提案させていただいています」

やせたい、筋肉を増やしたい、栄養バランスのとれた食事をしたい、糖質オフ。そんな希望や知識があっても、コンビニで買ったり自炊するとワンパターンになりがち。それを助けてくれる冷凍お弁当のメニューは親子丼からボンゴレビアンコ、ガパオライス、魚の煮付けなどバラエティに富んでおり、70種類もあるという。

Muscle Deli 須藤 大輔さん「オフィスの健康的な食事に課題感を持っている企業が多くて、福利厚生の一環として検討したいというところと、後日お話をすることになりました」

減量目的であろうといつものメニューが食べられるよう、量を変えるなどバランスを変えているのは、ギルトフリーで食を楽しんでもらうためだそうだ。しかも冷凍食品のため、長期保存ができてフードロスも出ない。現在はtoC向けのサービスだそうだが、社食の新時代来たる、かもしれない。

貫井園 – 原木栽培のしいたけのアヒージョ

貫井 香織さん「埼玉県の入間市でお茶としいたけを栽培している貫井園の貫井 香織と申します。両親と私と3人で農業をしておりまして、たくさんの企業が出ていらっしゃいますが、企業規模の小ささではナンバーワンなんじゃないかなと思いました。

お客様にどう届けていくかというところにこだわりを持っておりまして、外苑前のRestaurant Florilège(フロリレージュ) であったり、京都の瓢亭さんであったり、美味しいと言われるようなレストランさんに出荷をしていたりとか、パリでお茶を販売したりしています。

今回、原木栽培のしいたけをアヒージョにしておりまして、今が旬の美味しい時期なので、プリプリのしいたけを食べていただけたらと思います。私はワインが好きすぎて、お茶の木を抜いて、ぶどうの木から育てていまして、今年ようやく初めてのスパークリングワインをリリースします。ワイン好きの方がいたら、ワインの話もできたらうれしいです」

「しいたけは大きさではなくて、厚みを見てください。大きくするのは簡単で、厚みを出すのが難しいんです。温度と湿度のバランスが重要で、両方が高いと直径は大きくなるのですが、厚みにはなりません」

貫井さんにしいたけトリビアをうかがっていると、審査員の村岡さんが通りかかり、アヒージョを試食した。

村岡さん「肉厚で、食感がきめ細かくてクリーミーな感じになるというのは、僕もあまり体験したことがなくて、本当においしい」

貫井さん「歯ごたえと香りは2月の今が一番おいしいんです。桜が散るぐらいまでが一番おいしいので、このタイミングで良かったです」

村岡さん「しいたけって年中スーパーにはあって、旬をあまり意識しない食べ物になっちゃっているもんね。めちゃくちゃおいしかったです!」

GRA – ミガキイチゴの3つの甘酸っぱい体験

橋元 洋平さん「宮城県山元町から参りました、株式会社GRAの橋元と申します。山元町は、2011年の東日本大震災で壊滅的な被害を受けて、いちごも甚大な被害を受けました。町の復興のためにGRAは、いちご農家を立ち上げ、研究、生産、スイーツまで10年間、いちごの一点突破でやって参りました。

本日は、皆さんに3つの甘酸っぱさを体験していただきたいと思っております。1つはフレッシュな生いちごのみずみずしさを、次に非加熱のソースを芳醇な香りで楽しんでいただく。3つ目が、加熱したジャムで完熟したいちごの濃厚さを味わっていただきたいです。この3つの楽しみ方で、思う存分味わっていただきたいと思います。

いちごを通じて、甘酸っぱい体験を、我々GRAグループとして、今後も挑戦し続けて参りたいと思いますので、今日もどうぞよろしくお願いします」

他の展示企業からも、参加者からも、唯一無二のデザートポジションで大人気だったGRAのブース。美食家のJR西日本 舟本 恵さんが足を止めた。

舟本さん「生のイチゴがおいしいのは当然なんだけど、この非加熱のソースは新しい!新たなジャンルを開拓できると思います。牛乳と混ぜたり、ヨーグルトにかけたり、使い方は消費者次第で、消費者が使い方を作っていくような。コミュニティが生まれそうですよね」

ヤッホーブルーイングの森田 正文さんが注目したのも、非加熱のソース。作った狙いを言い当てて、さすがに食に携わる人のアンテナは鋭い。

森田さん「うちのおじいちゃんが持っていた、いちごをつぶすスプーンを使ってつぶして砂糖をまぶして牛乳をかけて食べていたのを思い出しました」

GRAの皆さんと旧知の村岡さんがやってきて談笑するなか、ベースフードの橋本さんも通りかかった。

橋本さん「このブース、いい場所にありますよね! 豚肉、ジビエ、豚肉と食べてきて、ちょうど甘酸っぱい気分になりたいところでした。クリスマスか奥さんの誕生日だったかな? 買ってプレゼントしたことがあります。近くのスーパーでも売っているのを見ました。

おいしいなあ。どれも別物の美味しさですね。今日はどんないい日なんだ?って感じです(笑)」

GRAの竹本さんは、今回の出展で刺激を受けたことを語ってくださった。

竹本さん「他の出展の皆さんも、いかに先につなげるかということや、消費者側の目線でどう価値を伝えていったらいいかを考えていて、扱うものは違っても同じような悩みがあることを話せました。一緒にワークショップやコラボをして新しい価値を作ろうという話もあって、力をもらえました。

自社だけで考えられることは少ないですし、Co-creationというコンセプト、皆さんの挑戦しているパワーやアイデアを一緒に共創しながら消費者に豊かなものを伝えていけたらいいなと思います」

佐嘉平川屋 – 温泉湯豆腐

平川 大計さん「佐賀県の、佐嘉平川屋という豆腐屋をしております、平川と申します。皆さん、佐賀県の嬉野温泉というところの名物『温泉湯豆腐』をご存じでしょうか? 嬉野の旅館の朝食で必ず出てくるものなんですけれども、今日はそれを持ってきております。

温泉の水で湯豆腐にするとお豆腐が溶けて、トロトロになるというもので、なかなか他では食べられないものです。うちはお店があるのですが、土日祝日は2時間待たされるという、そういうものですので、ぜひ食べに来てください」

湯豆腐といえば京都。京都出身ののぞみの藤田 功博さんが試食に訪れた。

藤田さん「豆の味が本当にしっかりしていますね。温泉湯豆腐というネーミングでやっているのが、嬉野温泉ですか?」

平川さん「はい。溶かして食べるというのが嬉野が初めてで、『美味しんぼ』とかにも載ってたりして、そこから一挙に広がっていって。とはいえみんな所詮湯豆腐って思っているから、なかなか一部のマニアにしか広がっていかないというジレンマがあったんです。どうしてもおかずの1つにしかならなかった。

ある意味、温泉湯豆腐はその概念を覆していて、はじめは嬉野の旅館の朝食の一品だったんですが、我々はそれを変えて、最初に温泉湯豆腐で溶けた豆腐を食べ、その後にお野菜とか入れて鍋や豚しゃぶにしたりして、最後に雑炊、という形になると、完全に豆腐だけでクローズできるんですよね。

そういう食べ方を嬉野のお店で作るようになってから、だんだんそれがスタンダードになってきて、ちょっと違う食べ方というか、新しい文化を創ってる感はありますよね」

SANKO MARKETING FOODS – 鯛めし、煮魚など

分家 羽美さん株式会SANKO MARKETING FOODSの分家と申します。当社は居酒屋 金の蔵や、東京チカラめしといった外食チェーンを運営している会社です。実は2年前に沼津の漁協の方とご縁をいただきまして、水産業にチャレンジをしています。

つい先だってまで居酒屋で生ビールを運んでいた社員が船舶免許を取り、自分たちで漁に出て、競りにも参加をしてというような本格的な水産業へのチャレンジで、沼津に加工場を設けておりまして、そこでも社員が毎日お魚を切り身にしたりですとか、加工業もやっております。

そんな私たちの頑張りが認められて、実は先日漁協から漁船をプレゼントされるというところにまでいたりまして、今日はそこで出た真鯛の端材を使って作った鯛めしの素を鯛めしにして、ご用意しています。ぜひ一度足を運んでいただければと思います」

大きな大漁旗と網が目を引いたSANKO MARKETING FOODSのブース。外食産業ながらそれは飾りではなくて、本当に漁業に携わっているというのが驚きで、サイトを見てもいかに水産事業に注力しているかがわかる。その場で鯛めしを炊きあげて、調理済みの魚とともに審査員たちに振る舞っていた。

イノP / 農家ハンター – 九州ジビエのスモークハム、ソーセージ

宮川 将人さん「私たちは『地域と畑は自分たちで守る』と言って、若手農家で鳥獣対策の活動をしています。いろんな語りたいストーリーはありますけれども、今日はフード&ドリンクアワードということで、味で勝負をしたいと思っています。

私たちのジビエが美味しい理由は3つあります。1つは狩猟に新しいテクノロジーを持ち込んだこと、そしてイノシシは私たちの農産物をめちゃくちゃ食べまくっていること、そして3つ目は皆さんにブースでお話をしたいなと思っています。

2021年、Makuakeさんを通じて『九州ジビエ』という名前を冠させていただきました。私たちの農産物を食べて、丸々育ったイノシシが九州、そして世界で戦えるような商品になるために、今日賞を獲らせていただきたいと思っています。ぜひ皆さん、ご試食いただければと思います」

クラフテッド・カタパルトやソーシャルグッド・カタパルトや、前回の初開催時にも参加いただいたイノP / 農家ハンターの宮川さん。最初のスピーチでは賞がほしいと宣言し、ご夫婦でブースに立って、自慢のジビエを思う存分アピールした。

「ずっとブースで説明して、喋り続けていますけれども、全然疲れないです。他のブースの方とも話していたんですけれども『よくある配りまくるだけのイベントみたいな感じかな』って初めは思っていたのに、全く違います! みなさん食べるだけじゃなくて、熱心に質問してくださるんです。

僕らも一生懸命作っているものなので、それについて聞いていただけるのがうれしくて、たくさん話したいんです!」

みやじ豚と山西牧場に挟まれた、肉・肉・肉のエリアで、3つ目の美味しい理由をしっかり伝えられたようである。

みやじ豚 – 湘南みやじ豚のローストポーク

宮治 勇輔さん「神奈川県の藤沢市より参りました農家の4代目、みやじ豚の宮治と申します。先代の親父の代は、どう流通して、誰が食べているのか分からず、僕の代で『湘南みやじ豚』という形でブランド化を図りまして、D2Cの仕組みを作って、毎月バーベキューイベントを開催して、口コミで少しずつ、少しずつ、お客さんを増やして参りました。

みやじ豚は、とにかくきれいなストレスフリーな環境で育てる。餌はトウモロコシを使わずに麦、イモ、米をブレンドした餌で育てております。結果、成分分析をかけたら、飛躍的に美味しさが伸びました。今日はローストポークなんですけど、あえてのバラ肉で勝負したいと思っております。

脂の軽さと香り高さを味わってください。僕はICC初参加のクラフテッド・カタパルトで2位、そして前回のマルシェアワード2位ということで、今回小林さんからは審査員で打診を受けていたのですが、お断りをして今回こちらで出展をさせていただきました。悲願の1位を狙いたいと思います」

アワード会場入口に最も近い場所のブースで、ほぼすべての審査員の足を止めていたといってもいい宮治さん。キックオフでも意気込みを語っていたとおり、悲願の1位を目指して、丹精込めたみやじ豚のプライドを胸に、本気の攻勢をかけている。あえてのバラ肉での勝負に自信を感じる。

誰が、というまでもない。誰もが口を揃えて「本当に美味い」としか言わなかった。おそらくここで食べた皆さんは、会場で宮治さんを見かけるたびに、美味しいローストポークの味を思い出さずにはいられなかったのではないだろうか。

◆   ◆   ◆   ◆   ◆

美味しさに自信しかないプロダクトと作り手の想いに、真剣に(と胃袋で)向かい合った審査員たち。朝食抜きで審査に臨んだ方が多かったようだが、会場を一周するとすっかり満腹になってしまったようである。

「どこに投票するか決め難い」と投票カードを前に頭を抱えてしまったのは、JR九州の小池 洋輝さんだけではないだろう。Minimalに続いて、「フード&ドリンクアワード」でグランプリを獲得するのはどの企業か? この日の最後のセッションでそれが明らかになる。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成

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