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経営者自らセールスバトル! ICC KYOTO 2022で初開催「カタパルトX」

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9月5日~8日の4日間にわたって開催されたICCサミット KYOTO 2022。その開催レポートを連続シリーズでお届けします。今回はICCサミットでもおなじみのB2B企業8社が、カタパルトの舞台で競った新企画「カタパルトX  B2Bソリューション特集」の模様をお伝えします。普段は審査員席にいるような登壇者たちは、一体どんなプレゼンをしたのか? ぜひご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回300名以上が登壇し、総勢1,000名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2023は、2023年2月13日〜2月16日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。


新企画「カタパルトX」とは

スタートアップ・カタパルトの熱も冷めやらないなか、メイン会場では次のカタパルトの準備が始まっていた。今回初開催となる「カタパルトX」が30分間の休憩を挟んですぐに行われる。

その登壇者の顔ぶれが凄い。会場にブースを構えて、セッションのスポンサーをするような企業ばかりである。メディアなどで見慣れた顔が並ぶためか、新しいカタパルトに期待するためか、開催予告とライブ中継を伝える記事は、どのカタパルトよりもPVが多かった。

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【9/6 11:45〜ライブ中継予定】新企画 カタパルト Xに集う気鋭の経営者8名をご紹介!(ICC KYOTO 2022) いよいよ来週に迫った ICCサミット KYOTO 2022。9月6日には、新企画「カタパルト X  B2Bソリューション特集」が開催されます。ICCサミットでもおなじみの8社が各7分間の事業プレゼンテーションを行い、第一線で活躍する審査員19名が「投資したい」「応援したい」「購入したい」などの観点から最注目のサービス、企業を選出します。本記事では、今回初開催となる「カタパルト X」に登壇する気鋭の経営者8名を一挙にご紹介いたします!

そんな企業の方々がなぜ今度はチャレンジャーとしてカタパルトの舞台に立つのか? 

セッションをスポンサーするだけでなく、ブースでサービスの紹介をするだけでなく、今の産業の担い手である彼らも、優れたB2Bソリューションをもっと能動的に伝えるべきではないか。そこでこのカタパルトではICCサミットらしからぬオーダーがプレゼンターには伝えられていた。

「カタパルトの方式を応用したセールス提案のバトル。審査員による投票は『導入したい』『提案してほしい』という観点のみで順位を決定」

これでスポンサー企業とはいえ、7分間前のめりでプレゼンする事態となった。普段はむしろ審査員席にいるような方々が、カタパルトの登壇を経験する。日頃自社サービスを語ることに慣れている方々とはいえ、会場の両端に用意された登壇者席で待機している姿は新鮮だ。

8社のプレゼン

「プレゼン練習に来たのは8社中3社、僕も何をプレゼンするのか知りません!」と、ナビゲーターのICC小林 雅は面白がりながら紹介をしたが、他のカタパルトと同様に、チャレンジャーとして舞台に立つ8人には登壇前に会場から拍手が送られた。

会場両脇で準備している登壇者たちや、1番目の登壇者としてすでに舞台に上がっているプレゼンターから緊張は見えず、余裕綽々に見える(見えるだけかもしれないが……)。

審査員は、各社のサービスの導入検討をしそうな企業の方々19名が選ばれている。意思決定者ばかりなので、ここでプレゼンが刺されば、導入へのスピードは早いだろう。経営者による、経営者への事業プレゼン。あまり類をみないセールスバトルが幕を開けた。

ロイヤル顧客をリアルタイムで分析し、LTVを最大化する「コーラム」

Asobica遠藤 卓さんは、収益に貢献するロイヤル顧客の視点からカスタマーサクセスを行うプラットフォーム、コーラムをプレゼン。ICCサミットでも鉄板人気のLTVの最大化に絞ったサービスは、多くの顧客を抱え、耳の肥えた審査員にも魅力的に響いたようだ。

売りたい・買いたい企業をマッチングする「M&Aクラウド」

M&Aにあたっていい売り手とたくさん会えないことが課題だというM&Aクラウドの及川 厚博さん。買い手のミスマッチを防ぎながら直接取引できるプラットフォームを、成約するまで完全無料で提供する。事業成長の選択肢としてM&Aがある今、食指が動いた企業も多いのではないか。

GAFA外でも費用対効果の高いデジタル広告で、事業の成長に貢献する「Moloco」

デジタル広告の広告効果を上げたい企業が聞き耳を立てた、シリコンバレー発企業「Moloco」のサービス。日本代表の坂本 達夫さんは、ビッグテック企業に依存しなくても最適な媒体に広告を配信し、優良顧客のポテンシャルを持つユーザーにリーチできる機械学習エンジンをPRした。

指名検索・高速マーケ調査・他社CMの効果を可視化…マーケサービス包囲網を築く「ノバセル」

スタートアップ・カタパルトのプレゼンでもおなじみの田部 正樹さんは、広告代理店をアップデートした「ノバセル」のサービス、マーケ調査の「ノビシロ」、他社CMの効果を可視化する「ノバセルトレンド」を、マシンガントークでPR。マーケティングのかゆいところに手が届くサービスを続々とプレゼンし、好調ぶりを見せつけた。

”マーケターを雇う”から、”全社員がマーケ感覚を備える”を可能にする「グロース X」

トレンドや市場の変化が早いマーケティング業界。一度学ぶだけではなく、実践しながらアップデートが求められるスキルに、ゲーム感覚で続けられる学び合いのサービスをプレゼンした「グロースX」の津下本 耕太郎さん。会場でプレゼンを聞いていた人たちに「ICC割」のサービスも。

大量・高速制作のバナーやLPで仮説検証! 顧客理解を深めて売上を伸ばす「AIR Design」

過去3回のカタパルト登壇歴があるガラパゴス中平 健太さんは、この日も準備万端で舞台の中央でプレゼン。高品質のLPやバナーを大量に生産できる仕組みや、仮説に基づきデザインのPDCAを高速で回すことへのメリットを語った。デジタルのモノづくりにおける産業革命を目指しているという。

サブスクや継続課金ビジネスを一元管理できるプラットフォーム「Scalebase」

アルプ毛利 悠記さんは、昨今ますます増えているサブスク・継続課金モデルのビジネスにおいて、顧客ごとに異なる契約期間、課金モデル、請求や売上などを一元管理できるプラットフォーム「Scalebase」をプレゼン。オペレーションが効率化することで、成長戦略を考えるゆとりが生まれると語った。

顧客の疑問を自己解決へ導き、CSコストを削減して顧客満足度を上げる「Helpfeel」

Helpfeelの洛西 一周さんはカタパルト優勝経験者。To Cであればどの企業のウェブページにもある「よくある質問」サービスの質を上げることで問い合わせの数を減らすという、もはや導入しない理由がないようなサービスをプレゼン。2021年はMRRが1年間で3.1倍に成長したという。(2022年10月1日よりNotaからHelpfeelに社名変更)

「以前から知っていたが、新しい発見があった」

ほかのカタパルトと異なったのは、審査表が集計される間の審査員コメントも同様で、登壇者と知り合いも多く、普通に導入していたり、仕事の話をしていることも多い。そんなことはお構いなしにICC小林はマイクを審査員席にガンガン向ける。

combo /PARTY中村 洋基さん「私が審査するなんて恐れ多いのですが……プレゼンのテクニックをたくさんメモしましたし、新たな視点がありました。ほとんどの方のプレゼンを聞いたことがあったのですが、新しい視野や、グロースなどがあり、今までのプレゼント違うと二度びっくりさせてもらいました」

Gunosy / ゲームエイト西尾 健太郎さん「今回初参加です。皆さんのサービスやお名前をずっと前から知っていたのですが、今回の機会で、こういう事業をしているのかと改めて知ったり、実際手触り感のある理解を得ることができました。

(どの企業に票を入れたか聞かれ)!? 言っていいのですか? 僕はAIR Design(ガラパゴス)さんに入れました。

理由としては、ずっとウェブ上のものづくりやインターネットの事業をしてきましたが、どうしても労働集約的な作業が発生してしまう。そのせいで本来もっと成長できる人に対して、機会を適切に提供できていないような業務が発生する。正にそういうところに取り組まれていて、その視座に共感しました」

ネオキャリア西澤 亮一さん「すでに導入、協業していたり、検討中のところもあって、話を聞くのは2回め以上のところもあるのですが、進化してデータがたまっていて、進捗聞けるのは参考になります。表面的に知っている会社は、こういう機会で聞くと理解が深まる。どこに入れたのかは、ノーコメントで!(笑)」

サツドラ富山 浩樹さん「他のカタパルトと違って成熟していて、自社に入れていないと損しているんじゃないかなと思うところばかりでした。1番はコーラムさんに入れました。同業のカインズさんが入れていて、実はサイトをずっと注目して見ていたんです。あれはコーラムさんを入れていたんだ!と思いました」

ソフトバンク井上 大輔さん「私もガラパゴスさんに入れました。新しいサービスが多いなかで、バナー作成とLP作成というシンプルなサービス。高品質・高スピード・低価格、吉野屋さんのように安い早いうまいという提案に、逆に新しさを感じました。

デジタルの業務をしているチームを見ると、数字を見るのは得意なのですが、その裏にあるお客様の顔を見ないで仕事をしてしまいがちで、その重要性を伝えてもなかなか定着しないのです。それをベースにサービスを設計しているのが素晴らしいと思いました」

中平さんは審査員コメントに感謝のジェスチャー

日本アイ・ビー・エム伊藤 昇さん「何回か話をうかがっている会社もいて、本当に成長しているのを見て感銘を受けました。私は大手企業さん、ビッグエンタープライズ向けの営業をしていますが、協業という観点でいいなと思ったのはガラパゴス。3年ぐらい前から見ています。

いろいろな企業さんがDXに取り組むなかで、お客様内や、発注しているベンダーさんの協業会社の裏には膨大な作業がある。そこが変わらないと、日本の生産性が上がらないと痛感しています。そのほかマーケティングやM&Aなどの切り口も非常に参考になるなと思いました」

日本マイクロソフト三上 智子さん「皆さん素晴らしく、熟練の、投票するのがおこがましいような、使わせていただいているサービスもありました。弊社は外資系なのでグローバルのツールを使っていますが、日本の市場に合った形で、マーケティングもインパクトを出せそうなところが多くて非常に使いたいなと思いながら聞いていました。

投票したのは会社を持っているわけでもないのですが、M&Aクラウドです。目の付け所が面白いのと、これから人口が減っていくなかで、潰れそうなビジネスの種が生まれ変わるプラットフォームになったらいいなと思いました」

カタパルトに登壇するという経験

結果発表は粛々と進み、既報の通り3位ノバセル田部さん、2位Helpfeel洛西さん、1位ガラパゴス中平さんに決まった。発表された瞬間小さくガッツポーズをした中平さんは感無量で、優勝コメントを求められ、声が詰まる瞬間もあった。そして高々と優勝記念の皿を掲げ、誇らしげに記念撮影に応じた。

【速報】ビッグデータ × AIで”勝てる”広告クリエイティブを生み出す「AIR Design」(ガラパゴス)がカタパルト Xの初代王者に輝く!(ICC KYOTO 2022)

蓋を開けてみるまではどうなるかわからなかったこの新しいカタパルト、あとで話を聞いてみると優勝した中平さんも「今日は優勝できると思っていなかった」と、驚きの声をもらしていた。優劣というよりも、結果的には審査員たちが今、課題と捉えていることを解決するB2Bサービスが明らかになった印象だ。

審査員のコメントは「改めて聞くとそういうことだったのか」「今はこういうことになっていたのか」という声が多く、ICCサミットに参加いただく方々の間で一定の認知度があるからこそ、今更聞けないサービスの基本的な成り立ちを知り、最新の状況にキャッチアップできる場になっていたようである。

◆   ◆   ◆

登壇者にとっても、カタパルト登壇という体験は新鮮だったようで、このカタパルトの前に開催されていた「スタートアップ・カタパルト」で、登壇者たちをサポートする役割で登壇し、プレゼンしていたノバセル田部さんでさえ、緊張していたことをツイートしていた。

登壇準備をしているM&Aクラウド及川さん、ノバセル田部さん

Molocoの坂本 達夫さんは、古くからICC運営スタッフチームのメンバーであり、セッションのモデレーターも数多く務めている。この日の夜、Node HotelでのCo-Creation Nightの運営をしていた坂本さんに登壇の感想を聞いた。

「見ているだけだと、入賞した人としなかった人というふうに優劣で見ていたけれど、あそこに立ってがっちりプレゼンをして時間通り終わらせるだけでも、みんなすごいことをやっているんだなと思いました。

Co-Creation Night会場での坂本さんとHelpfeel洛西さん

登壇を待っている間、他の登壇者と話すのも楽しくて『順位よりも、このピッチの後の受注額が一番大きい人が優勝ですよね』とか、会場運営のSlackに入って『達夫さん先に結果を見ちゃだめですよ』と言われたりして(笑)。いろんな景色が見れて面白かったですね」

そして悲願の優勝を果たした中平さん。初登壇は3年前の京都で、スタートアップ・カタパルトに登壇して準優勝だった。

ICCスタートアップカタパルトで準優勝するためにやったこと(note)

常にプレゼンは全部暗記、ステージの中央で語りかけるスタイルは変わらず、注意を向けざるを得ない張りのある声で7分間を使い切るプレゼンをする。毎回優勝を本気で狙っていることが伝わるプレゼンターだ。登壇を終えた今、仲間に祝福されている。

「圧で勝負するのが私のやり方なので(笑)。それが4回目の挑戦にしてやっと優勝できて感無量です。まさかここで勝てるとは思っていなかったので、まだどきどきしています」

「サービスを伝えることができたので、使っていただければ」と中平さん

他のカタパルトとは違う意味で、ベテランの経営者にも審査員にも新しい体験となった「カタパルトX」。今回の登壇者たちが審査員の立場になったとき、プレゼンを見る目も変わってくるに違いない。毎回プログラムの新陳代謝は行われているものの、「カタパルトX」は次回ICC FUKUOKA 2023でも開催予定である。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

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