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『上場ネット企業経営者が語る「変化し続ける経営」とは!?』6回シリーズ(その4)では、2006年マザーズ上場を果たしたドリコム代表取締役社長・内藤裕紀さんに、当時を振り返りつつこれまでの事業展開を解説いただきます。ゲーム事業で常に新手を打ち続ける同社の秘訣とは? ぜひご覧ください!
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ICCサミット KYOTO 2017のプラチナ・スポンサーとして、Motivation Cloud (Link and Motivation Inc.)様に本セッションをサポート頂きました。
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2019は2019年2月18-21日 福岡市での開催を予定しております。
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【登壇者情報】
2017年9月5〜7日開催
ICCサミット KYOTO 2017
Session 10B
変化し続ける経営
Supported by Motivation Cloud(Link and Motivation Inc.)
(スピーカー)
上原 仁
株式会社マイネット
代表取締役社長
宇佐美 進典
株式会社VOYAGE GROUP
代表取締役社長兼CEO
真田 哲弥
KLab株式会社
代表取締役社長 CEO(当時)
内藤 裕紀
株式会社ドリコム
代表取締役社長
(モデレーター)
佐藤 裕介
株式会社フリークアウト・ホールディングス
代表取締役社長(当時)
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最初の記事
1. 業界のギャップを見つけて“選択と集中”で変化を遂げる「マイネット」
1つ前の記事
3. KLab 真田氏が語る「パドリング競争には参加しない」新規事業のテーマ設定
本編
佐藤 それでは、次に内藤さんにいきたいと思います。
内藤さんは、上場企業経営者をもう10年以上続けていらっしゃいます。
ヤフーの株価情報では10年までしかチャートが切れなかったので、前半戦はカットした形で今スライドを映します。
「株式会社ドリコム」株価推移グラフ
出典:Yahoo!ファイナンス (最新の株価情報はこちらをご覧ください)
最初に当たった事業は何でしょうか?
内藤 裕紀氏(以下、内藤) そもそも設立の2003年というのは株式会社にした時で、有限会社として始まった2001年からが本当の始まりです。
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内藤 裕紀
株式会社ドリコム
代表取締役社長
1978年東京都生まれ。京都大学在学中の2001年にドリコムを設立。ブログサービス事業で業績を大きく伸ばし、2006年に東証マザーズ上場を果たす。現在は、主に国内外に向けたゲーム事業を主軸とし広告事業や教育事業を展開。「with entertainment=人々の期待を超えること」を会社の存在意義として掲げ、新規性の高いサービスを産み続けている。
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真田さんのところと同じくらいですね。
ちょうど今日、けんすうさん(nanapi創業者・古川健介氏)にFacebookで「昼から酒を飲んでいるから経営していないのではないか」と書かれていたのですが、16年くらい経営はしています(笑)。
上場1ヵ月前にライブドアショックに遭遇
佐藤 最初に収益化した事業は何でしたか?
内藤 2000年〜2001年の大学生の時は、真田さんと同様に受託事業を広告代理店さんと一緒にやっていて、いわゆる大手会社さんとモバイルのアプリを作るということをしていました。
そして2006年に、ブログの事業で初めて上場しました。
この上場のちょうど1ヵ月くらい前の、僕がロードショー(上場承認を受けた後、株式公開の前に機関投資家に向けて行う会社説明会のこと)をしているときにライブドアショックが起きました。
もう本当に、何が起こっているかさっぱり分かりませんでした。
そういった時期が2006年当時です。
佐藤 ブログ事業で大きく伸びて、その後、複数の事業ポートフォリオを持って収益が安定し、会社が持続的に発展しそうな雰囲気が出てきたのはどのくらいですか。
内藤 当時、ミクシィさんが自分たちのプラットフォームをオープンにする前にFacebookがオープン化をしていていました。
ゲームのような感じのものが出始めていたので、当初はそれが来ると思いそちらの研究開発を始めました。
まだ国内では誰もソーシャルゲームをやっていないような時期でした。
そうしたらミクシィさんがオープン化するということになったので、そこにいち早く乗り「こんなにトラフィックが集まるのか」と思いました。
そこで真田さんと一緒なのですが、ブログの事業を全部売却してゲームに集中していったのが2007年〜2010年くらいのところです。
ブログ事業を売却し、ゲーム事業に一本化
佐藤 基本的にゲームセグメントに一本化されたのですね。
内藤 はい。
佐藤 そういうときの振り切りやテーマの探し方、当時Facebookでゲームに目をつけるタイミングは「次どうしよう」という気持ちもあったと思います。
色々な候補がある中でどんな感じで絞りこんでいかれたのでしょうか。
内藤 当時はモバイルの公式サイトなどが収益を上げている中で、「今さらここに参入したり事業を形にしていってもしょうがない」と考えていました。
ソーシャルネットワークは出てきていてユーザーが増えているのですが、収益がまだ見えない状況でした。
収益化していくときにFacebookが凄かったのは、当時まだ3番手、4番手くらいのSNSだったのですが、オープン化が画期的なタイミングだったことです。
オープン化によって何が起こるかを想像して行ったときに、これはプラットフォームになって行くと思いました。
任天堂さんからファミコン(ファミリーコンピュータ)が出てそのゲームを作っていく会社が出て来るのと同じです。
「プラットフォームになったら、コンテンツを作って行く会社としての面白い形があるのではないか」という仮説を持ってやり始めました。
仮説を持って研究開発を始めることが弊社の場合は多いです。
社長直下の小チームで研究開発を推進
佐藤 リサーチやプロトタイピングをするチームはどのような形で組織に置くのでしょうか。
内藤 今年、バンダイナムコさんと一緒にHTML5のプラットフォームの開発について発表しました。
▶参照:ドリコムとバンダイナムコエンターテインメント共同出資による新会社「株式会社BXD」 HTML5を活用したスマートフォン対応ブラウザゲーム 2018年春 サービス開始(ドリコム社プレスリリース)
そうした時も同様に、僕の中である程度、2〜3年の仮説を立てます。
しかし、それを社内で話してもあまり理解されないので、自分のところで数人のチームを作って研究開発を始めます。
だいたい毎回このパターンです。
佐藤 内藤さんのところから小さいチームを作って落としていくという。
内藤 社内では「社長は何やっているかよく分からない」と言われる状態がしばらく続きます。
佐藤 その時は内藤さんがべったりと見ているですか。
内藤 べったりとまではいきませんが、ある程度見ていないといけません。
そうしないと、「社内でなにやっているか分からない」という理由で優先順位が下がって行ったり、いい人が足りないということが起き続けるので、直下でバッとやるということがほとんどです。
佐藤 勅命担当のような、いわゆる重要な人がいるのですか。
内藤 毎回技術的な背景も違うので、その時々にあった技術チームを作ってやっています。
今も世間に出していないもので、チームを組んで技術的な研究開発をしていますが、技術が合うかどうかを見て、また外部の会社も探してチームを作っています。
プロット期間はだいたい3ヵ月から半年間あり、半年から1年の中で事業化が見えるかどうかという感覚でやっています。
佐藤 このチャートで言うと、最初の10年くらいの波がオープン化のところの影響ですね。
そのあと、スマートフォンの事業に一気に投資したのはいつ頃ですか?
内藤 2014年の株価が上がって行くあたりですね。
この辺でスマホのゲームを色々出し始めました。
佐藤 スマホにぐっとシフトしようという時も、内藤さん直下でやり始めたのですか?
内藤 スマホの場合はブラウザーの延長だったので、研究開発という視点は少なかったです。
2016年辺りでまたばっと伸びたのは全部IP(知的財産を活用したゲーム開発)に振り切ろうとしたときで、その時は直下で自分で各版元さんに渉外に行って全部寄せて行くということをやりました。
大きな変換の時は自分でやっていることが多いです。
佐藤 やはりそうなりますよね。
組織としてフォーカスするところがぐっと変わると、これまで収益部門を担当して来て、上でこれまで成果を出してきた人たちがちょっと意気消沈すると思います。
「社長が見ているのは違う方向だな、しかし稼いでるのは自分たちだ」と。
「社長は自分たちの利益を使って、海のものとも山のものとも分からないものをやっている」と言われるようなことはありませんか。
内藤 言われます。
佐藤 それをどのように融和するのですか。
内藤 基本的に3ヵ月ごとの社員総会で、その時やっている研究の未来について、具体的な想像を伝えて行くということをやっていました。
今回のHTML5関連のことも、社内で1年くらい前から研究開発情報・プロトタイプをプレゼンしていきながらやっていきました。
佐藤 そこは割とシンプルに、きちんとした説明をするのですね。
内藤 作っているものを出して、この先に何が起きるのか説明します。
実際に予測したことが起こって行くと「言っていることはあっていたね」と答え合わせが進んで行くので腹落ちしていく、という流れです。
佐藤 その時に、既存のコア事業のエースはあまり拗ねずに移行できるものなのでしょうか?
内藤 それは結構難しいところです。
移行時期のマネージメントについてはこのあと色々お話が出て来ると思いますが、それは今後も色々な会社さんがぶつかって行くところなのかと思います。
先端技術の知識×マーケティング視点で仮説立てを行う
佐藤 内藤さんはガラケーのときのゲームの参入のタイミングも、スマホゲームが混んで来てIPの方にぐっと振るタイミングも、とても良い感じのときに移行されていると思います。
そのあたりのタイミングについては、論理などはあるのでしょうか?
真田さんの場合はなかなか真似しづらいタイプのスピリチュアルタイプですが、内藤さんはいかがですか。
内藤 年々そうですが、経営的な勉強より技術的な方の勉強が増えています。
例えば、先週横浜でCEDECというゲーム開発者向けの日本で一番大きなイベントがあったのですが、多分ある一定規模以上のゲーム会社の社長さんで普通に並んで参加したのは僕だけではないかと思います。
普通に参加をして気になるセッションは全部自分で見ました。
CEDECはここ(ICCサミット)と違って異様で、30分前に並んでも入れないセッションもあります。
何個かのセッションでは僕は立ち見していました。
このように技術的なところから入ることが多いです。HTML5のときもそうですが、最近は技術が何を変えるかというアプローチです。
「この技術が、どこまで何をどうするのだろう」など、探っています。
ちなみに参加したセッションは、チップの今後の変遷についてなどです。
このようなセッションに参加したり、色々な意味で技術アプローチが多いです。
佐藤 考え方としては、技術的にケイパビリティ(できること)が増えれば、こういうことができるようになるから、これこれがいつ頃にやってくる、というような逆算ですか?
内藤 そうした逆算をしつつ、こっちからマーケティング視点を組み合わせて行くということをやっています。
マーケティングと技術を組み合わせて仮説を立てることが多いです。
技術が分かっていないとマーケティング側も立てにくいので、技術アプローチから入ってマーケティングを見てという感じです。
佐藤 その目線で数年先を見たときに準備しておかなければいけないな、というテーマ設定はもうご自身の中であるのですか。
内藤 1年半前にHTML5を研究開発したレベルのチームで取り組んでいるのですが、詳細を抜きにすると、AR系とAI系はプロダクトプロットを作ってやったりしています。
最近はICOと仮想通貨などがごちゃごちゃとして、本質が見えないような状況になっていると思います。
その中で、エンターテイメントという領域において、どうやったら今のブロックチェーンのような技術を活用していけるかという点を、ある程度企画をしているようなレベルにあります。
▶参照:ドリコム、初のブロックチェーンサービスをリリース!2人だけの記録を永遠に残す「LoveChain(ラブチェーン)」(ドリコム社プレスリリース)
今3つくらいを自分の直下でやっています。
佐藤 結構並行してやられているのですね。
内藤 うまくいかないものは潰してしまうこともよくあるので並行します。
その意味でHTML5の研究をしたときにCtoCも研究していたのですが、そちらは減らしてしまいました。
そのようなこともあります。
佐藤 逆に発表済みのHTML5のプラットフォームは他のチームに渡していくのですね。
内藤 研究開発というよりは事業フェーズということで、必要な人数が変わってくるのでメンバーが変わっていきます。
佐藤 なるほど、皆さんありがとうございます。
では次は、少し目線を変えて話していきます。
テーマである「変化し続ける経営」という意味では、当然新しい事業を作るということになります。
どうやって持続的に上場企業として成長していくか、というところを見たときに、その事業を担う人材についてお伺いしたいです。
(続)
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編集チーム:小林 雅/本田 隼輝/尾形 佳靖/戸田 秀成
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