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5.「人間の身体は、テクノロジーによって拡張する」ロボット研究者・吉藤オリィさんの改造メガネの“笑撃”の機能

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『最近「面白い」と思っていることを雑談!』8回シリーズ(その5)の主役は、分身ロボット「OriHime」の開発者、黒マント姿でお馴染みの吉藤オリィさん。片目がふさがった不思議な黒メガネに、壇上の皆さんは興味津々です。オリィさんの改造メガネが実現する、驚きの“身体拡張”とは? ぜひご覧ください!

▶ICCパートナーズではコンテンツ編集チームメンバー(インターン)の募集をすることになりました。もし興味がございましたら採用ページをご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うためのエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月2日〜5日 京都での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2018 プレミアム・スポンサーのLexus International Co.様にサポート頂きました。


【登壇者情報】
2018年9月4〜6日開催
ICCサミット KYOTO 2018
Session 11A
Fireside Chat シリーズ
最近「面白い」と思っていることを雑談!
Supported by Lexus International Co.

(スピーカー)

尾原 和啓

千葉 功太郎
投資家 / Drone Fund General Partner

丸 幸弘
株式会社リバネス
代表取締役 グループCEO

村上 臣
リンクトイン・ジャパン株式会社
日本代表

吉藤 健太朗
株式会社オリィ研究所
代表取締役CEO

(モデレーター)

西脇 資哲
日本マイクロソフト株式会社
コーポレート戦略統括本部 業務執行役員 エバンジェリスト

『最近「面白い」と思っていることを雑談!』の配信済み記事一覧


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最初の記事
1.「ワンちゃんの感情が分かるIoT」「無殺菌牛乳」動物の“気持ち”にアプローチするビジネス最前線

1つ前の記事
4. AIやコンテンツは「解決型」から「会話型」へとシフトする

本編

吉藤 AIや会話というものについて、最近思うことが1つあります。

スマートスピーカーを家に置いているのですが、スマートスピーカー側に指示を出さないと回答してくれないですよね。

天気を尋ねて、ようやく答えを返してくれるというのは、さっきの話だと結構男性的なんですよね。

そういう意味では、私は地下に住んでいるんですけど、朝起きて階段をタンタンタンタン上がっていくと……。

村上 地下に住んでそうだよね(笑)。

(会場笑)

尾原 ところで、オリィさんのそのメガネがずっと気になっているんだけど。

吉藤 そうなんですよ、最近ICLしたんです。この話したことありましたっけ?

株式会社オリィ研究所 代表取締役CEO 吉藤 健太朗(オリィ)さん

皆さん、ICLって分かります? いわゆる眼内コンタクトレンズです。

▶編集注:ICL(implantable contact lens)とは、眼球の虹彩と水晶体の間に微小なコンタクトレンズ移植することによる視力矯正手術。

千葉 レンズを埋め込んだんだ、ついに。

西脇 両方?

吉藤 両方です。

 サイボーグだね、サイボーグ。

千葉 その左目が、今埋め込まれた状態ということね。

吉藤 いいえ、両方入っています。

西脇 (メガネを指して) これは関係ないの?

吉藤 これは関係ありません。

(写真左) リンクトイン・ジャパン株式会社 日本代表 村上 臣さん

村上 関係ないんだ(笑)。

西脇 みんなこのメガネのことを知りたいと思っているから(笑)。

(会場笑)

オリィさんの怪しげな「黒メガネ」の正体は……

吉藤 これはですね、実はある実験をしているんですよ。

歩くじゃないですか。ちょっと歩くと、スマホをいじりたくなりますよね。歩きスマホ。

でも昨今、怒られますよね。歩きスマホはよくないよと。

尾原 危ないからね、前を見てないと。

吉藤 ですよね。じゃあ、下を向いてスマホをいじるから危ないのであれば、スマホを目の前に持っきて歩けばよいじゃないかと。

そうすると、結構ぶつからなかったんですよ。

村上 結構……でもちょっとぶつかった?

吉藤 ちょっとはぶつかった(笑)。

で、これいいな、と思って。でもスマホが目の前だと今度は操作がしにくいんですよね。

ならばどうすればいいかなと思って、歩きスマホ支援ツールを作ろうと思って考えたのが、このメガネです。

村上 なるほど。支援すべきものが間違っている気がするけど(笑)。

尾原 その左目で、前を向いたまま下にあるスマホを見られるということ?

吉藤 そうです。さっき皆さんの話を聞きながらいろいろ調べていたんですけど、その時も私は尾原さんや丸さんの顔から視線をそらさずに、実は手元でスマホを操作していました。

一同 ほぉ~。

西脇 どのくらいのものが見えているんですか?

吉藤 ちょっと見てみます? (メガネを渡して) どうぞどうぞ。

西脇 すごいこれ!これすごい!ちょっと皆さんもかけてみたください。

吉藤 これでスマホを操作してみてください。

村上 ……あ。ヤバいわ。これヤバい!

 うっそだ〜。

西脇 これヤバいです、丸さん、これ掛けてみてください。

 俺、IT系じゃないから……。

株式会社リバネス 代表取締役 グループCEO 丸 幸弘さん

おぉぉ~!!お、俺今超操作してる。

西脇 丸さん、そこは「ヤバい」って言わないとだめなんじゃ(笑)。

 (千葉さんにメガネを渡して) ヤバい、ヤバい。

吉藤 今度は千葉さん。

投資家 / Drone Fund General Partner 千葉 功太郎さん

千葉 ……すげえ、何これ!うそ、これ、余裕で内職できるじゃん。

 登壇中に内職できるよ。

西脇 では尾原さんに。

尾原 残念ながら、僕ね、右目が見えないんですよ。

 そうなの?

尾原 そうなんです。だからね、下しか見えなくなっちゃうの。前が見えないの (笑)。

(メガネをかけながら)……これ、下はホント見えるね。

写真左から、尾原さん、千葉さん

吉藤 そうなんですよ、これHoloLens(※)とかよりもよっぽど見えるのです。

▶編集注:HoloLens(ホロレンズ)とは、マイクロソフト社が開発するヘッドマウントディスプレイ(HMD)方式のARデバイス。〔参照:実機解説:新型ARグラス「HoloLens 2」に見るマイクロソフトの野望(BUSINESS INSIDER JAPAN)

村上 一応説明すると、ここ(顔の前に)スマホの画面が浮いているように見えて、AR感があるんですよ。

片目のアナログ合成によって浮いて見える感じですね。ちょっと……西脇さん、HoloLens大丈夫ですかこれ。

西脇 いやこれ(笑)……これ売るんですか?

吉藤 実はこれはもともとは両目ともレンズがついていて、寝っころがりながらテレビが見られるという商品です。秋葉原を歩いていたらそれをたまたま見つけました。

尾原 外したのね、こっちのレンズをね。

村上 だからなんかバリバリしているんだ(笑)。

吉藤 ガムテープ貼っているんですけど、穴開けるのに失敗しました。

でもこれがあれば、手元にカンニングペーパーを置くこともできます。

講演者は、下を向いたらだめでしょう? だからプレゼンテーションのときなど……

西脇 でも講演者の見た目がこれだよ(笑)。

吉藤 いや、もうキャラ化しちゃえばいいんですよ。

尾原 人間って慣れたら本当にこういう偏在ができて、例えば2画面テレビってありますよね。

僕はずっと昔から2画面テレビで、右と左別のものを見ているんです。

つまり、それがテレビだけでなくて、実際にできるようになるということですよね。

吉藤 それをいえば、最近ICLという目の手術をして、目がすごくよく見えるようになって、0.01だった視力が2.0になったんですよ。

手術後に、目から入ってくる情報量が驚くほど増えるという感動をした後に、何で私は両目で同じものを見ているんだろうと。

村上 なるほど。もったいないなと。

西脇 当然の疑問ですね。

吉藤 それまでは0.01という限りなく弱い視力を思いっきり集めてようやく見えるという状態で現像していたものが、片目でも十分見えるんですよ。

何てもったいないことをしているんだ我々は、と思って……

 我々はって、自分だけだよ!(笑)

千葉 主語は「我々」なんだね(笑)。

人間の身体は、テクノロジーによって拡張する

写真左から、千葉さん、丸さん

吉藤 だってこの現代において、獲物を捕まえたいとかいう状況はそうそうないじゃないですか。

前から来るものをキャッチするとかは両目が必要ですが、普段キャッチボールをしているかというと滅多にしないですよね。

VRゴーグルをつけて「うわっ、立体に見える!」とか言って感動してますけど、普段我々は2次元を見ているんですよ。

2次元であれば片目でも十分ですよね。

村上 うん。

 なるほど。

吉藤 という話です。だとすれば、今まではリアル空間とバーチャル空間、Twitterというデジタル空間を行き来するためには常に……

尾原 いちいち顔を上下しないといけなかった。

吉藤 そう、(下を向いたり前を向いたりしながら)こういう動きが必要だったんですね。

 いいじゃん。

吉藤 いやいやいやいや。

でもこれを掛けるとですね、もう完全に、右と左、どっちに注意を向けるかによって、私は今デジタルの世界に40%いて、リアルに60%いる、ということができるんですよ。

分かります?

村上 お、おう……

(会場笑)

 でもすごいね、やっぱり。これはやっぱり人類が進化し始めているんだろうね。

普通はテクノロジーが進化して、人間がそれについていくんだけど、テクノロジーが進化することによって、人間も進化しているんだよ。

両目を別々に動かすなんて、昭和世代には無理ですからね。

吉藤 でもこれね、慣れたらたぶん普通にできるようになりますよ。

千葉 思った、思った。慣れると全然違う。

 だから人間の身体がテクノロジーによって拡張していくんだよな。

西脇 それは、「人とは何か」という話ですよね。

 そう、まさにそう。

(続)

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続きは 6. リバネス丸さん、ICCサミット会場の中心で「100年企業」を叫ぶ をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/戸田 秀成/鈴木ファストアーベント 理恵

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