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『最近「面白い」と思っていることを雑談!』8回シリーズ(その4)は、サイボーグやVTuberの話題をきっかけに、サイバーワールドが人類にもたらした影響を雑談します。社会は女性化し、女神型リーダーシップが求められる時代に? YouTubeのアルゴリズムに見る、AIやコンテンツの未来とは? ぜひご覧ください!
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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うためのエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月2日〜5日 京都での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット KYOTO 2018 プレミアム・スポンサーのLexus International Co.様にサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2018年9月4〜6日開催
ICCサミット KYOTO 2018
Session 11A
Fireside Chat シリーズ
最近「面白い」と思っていることを雑談!
Supported by Lexus International Co.
(スピーカー)
尾原 和啓
千葉 功太郎
投資家 / Drone Fund General Partner
丸 幸弘
株式会社リバネス
代表取締役 グループCEO
村上 臣
リンクトイン・ジャパン株式会社
日本代表
吉藤 健太朗
株式会社オリィ研究所
代表取締役CEO
(モデレーター)
西脇 資哲
日本マイクロソフト株式会社
コーポレート戦略統括本部 業務執行役員 エバンジェリスト
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最初の記事
1.「ワンちゃんの感情が分かるIoT」「無殺菌牛乳」動物の“気持ち”にアプローチするビジネス最前線
1つ前の記事
3. いま“導波管”がアツい!「実は全然、光速じゃない」光ファイバーの真実
本編
村上 ちょうど昨日、稲見先生(東京大学先端科学技術研究センター 稲見昌彦教授)とサイボーグとかの話をしたのですが、そのとき出てきたのが「世界がどんどんレイヤー化している」と。
▶参照:東大先端研・稲見教授が語る「人機一体のロボットシステム」とは?(ICC KYOTO 2017)
VTuberのように、アバターという名の分身がサイバーワールドに存在しています。
本当はおじさんなのにアバターはすごい美少女とか、そういうのが既に一般的になりつつあります。
ユーザーは、それを見て中の人がどんな人間かは考えずに「わ~、かわいい」とか言ってバンバン課金したりするわけですよ。
こんなふうにサイバーワールドですでに経済が動いているわけじゃないですか?
この現象は一体何なんだと。
サイバーワールドは、人類に進化をもたらした?
吉藤 そうしたVTuberを見た後に、リアル世界に来て女性型の人間から女性の声がすると、逆に違和感を覚えますね。
村上 それってつまり、リアルにおける常識が分離し始めたわけですよ。
今まで一致しているのが当たり前だと思っていた前提が今や崩れ始めていて、その感覚に慣れてしまうとむしろ現実世界に違和感を覚えるという、これは人類にとってもはや「進化」ですよね。
尾原 最近では、3人ぐらいで1人の人格を作ってTwitterを運用する、みたいな実験が結構行われています。
そんな感じで人格の合体もできるし、あとは当然、1人が複数のアカウントを持って4つとか5つの人格を使い分けることもできます。
丸 でも人間は、何でそういうことをやり出したんだろう?
村上 だからそこが面白くて、僕がフリップに書いた「社会の女性化」なんです。
あえてステレオタイプ的に「男性」「女性」という言葉を使いますけど、要は産業革命以来の近代というのは、いわゆる男性社会でした。
それが今は、先ほどの事例のようにフワフワしてきたと。
サイバーワールドが一気に広がったことによって、個々人が人格をゼロから作り直すような時代になりました。
リアルな世界で物理的に男か女かは関係なく、リアルとサイバーのレイヤーが切り離されてしまったのです。
ICCサミットというのはね、割とマッチョなビジネス・カンファレンスだと思うのですが、その中でこうした「雑談」が求められると。
女性というのは、一般的に男性に比べておしゃべり好き、コミュニケーション量を重視すると言われますよね。
今まで経済というのは、大きなものを分解し、メトリクスに落として運用する「微分型」だったわけですが、今ではコミュニケーション量とか、人と人の繋がりがが重要視される「積分型」に変わっていったと考えています。
これを総じて「社会の女性化」というふうに表現しました。
「女神的」「共感型」へと変わるリーダーシップ像
尾原 本当にその通りで、一昨年ぐらいからマネジメントの分野でも「女神的リーダーシップ」という言い方がされるようになってきました。
村上 LinkedInもそうなんですよ。うちの社長は“思いやりの経営”を掲げて「コンパッション」とか「エンパシー(共感)」といったものを大事にしています。
▶参照:
・女神的リーダーシップ ~世界を変えるのは、女性と「女性のように考える」男性である(著/ジョン・ガーズマ、マイケル・ダントニオ)、プレジデント社、2013
・マインドフルネスだけで成果は出ない ——今リーダーに求められる「コンパッション」とは(BUSINESS INSIDER JAPAN)
尾原 なぜそれが必要かという話ですが、たぶんGoogleが分かりやすい例で、以前はアンディ・ルービンみたいなものすごい強烈なリーダーが「オラ、こっち行くぞ!」と言って引っ張っていましたよね。
村上 トップダウンな感じですよね。
尾原 そう。トップダウンでスマホという大地を作ったわけです。
それまでは土地を開拓するのが目的だったので、決まったことをやり切ることが大事でした。
しかし大地が出来上がった後に「何を耕すか」という話になってくると、「いかに多様なものを作るか」が求められます。
そしてその時のイノベーションとは何かと考えると、それは、遠いもの同士を掛け算することなんです。
村上 そういうことは、女性が得意なんですよね。
尾原 そう。共感して、違いを楽しんで、それを物語化して人に伝える。
Googleのトップがサンダー・ピチャイに変わりましたが、ピチャイはまさに共感型なんですよ。
村上 マイクロソフトもそうですよね。強烈なリーダーシップを持ったスティーブ・バルマーから、共感を大事にするサティア・ナデラになりました。
▶参照:殺伐とした企業カルチャーを変えるために、マイクロソフトCEOが幹部に勧めた1冊(BUSINESS INSIDER JAPAN)
これからのMBA的なものがあるとすると、いわゆるそうしたものをフレームワーク化することが多分必要になっていくだろうと。
最近「ヤバい」と思ってることを語る!
村上 だって丸さん、本当にすごいものを見た時に何て言いますか?
丸 ヤバい……
村上 でしょう? ヤバい。ヤバい。「それヤバくない?」って言いますよね。
だからこれ(社会の女性化)なんですよ。
若い女の子が言ってるじゃないですか。超ヤバい、ヤバいって。
丸 たしかに俺、「ヤバい」って言ってる!
村上 女性は、そのコミュニティの中で共通言語を作りますよね。
「エモい」だったり、「ヤバい」だったり、「パナい」だったり。
それにより、同じコミュニティにいるかどうかを瞬時に見極めつつ、感情の入り混じったコンテクストを瞬時に共有できるわけですよ。
これが男性的社会だと、すごいロジカルに「いや、これはね、ここの部分がこうヤバくて、ここがゆず味だからね」って……
西脇 説明したがるんだよね~。
尾原 時間がかかるんですよね。
村上 全然面白くないし、時間がかかる、非効率。
だって僕らもさ、お酒を飲めば10年間ずっと「ヤバい」しか言ってないじゃないですか。
でもそれで熱量が高まって、そこから何かが生まれるわけですよ。
吉藤 ICCには、女性だけのセッションはあるんですか? ない?
村上 作りましょう。その中で、「ヤバい」の出現率を男性だけのセッションと比べてみたい。
西脇 男性は色々なことを説明したがるからね。
丸 セッションタイトルは『最近「ヤバい」と思ってることを語る』だね。
AIやコンテンツは「解決」から「会話」にシフトする
村上 りんな(※)だってそうですけど、女性性を持ったキャラクターというのはやはりネットで求められていて、なぜか流行っているわけですよ。
▶編集注:りんなとは、日本マイクロソフトが開発し2015年にLINEのサービスとして誕生したチャットボット型の女子高生AI。2019年3月に“卒業”が発表され、同年4月にエイベックス・エンタテインメントより“歌手デビュー”を果たした。Twitterアカウント:@ms_rinna
尾原 そうそう。りんなは、実はものすごく戦略的なプロジェクトなんですよね。
AIというのは、今までは課題を解決することが大事でしたが、その存在が日常になってくると、今度は日常の中でいかに無目的に接点を取り続けるか、ということが大事になってきます。
村上 YouTubeもそうですよね。今までは閲覧数という「ビューの数」で広告費を支払っていたのが、エンゲージメントが重要とか言われ始めて、「滞在時間」が長いほど広告費が多く支払われるようになりました。
その結果YouTubeで何が起こったかというと、ひたすらダラダラしゃべったり、ゲーム実況を1時間したりするようなコンテンツが生まれてきました。YouTuberはそっちの方が儲かるからです。
尾原 さらにYouTubeの閲覧動画の90%が「2本目以降」なんですよね。
トップページに何を表示させるかではなく、2本目以降、いかにダラダラと閲覧し続けさせるか。
しかもその中で、時々ピョンっとインテンションが上がってくるものがあるので、それをどう拾うかという風にビジネスが変わってきたりしています。
そういう意味でもとの話に戻ると「世間話」というのはメッチャ大事なんですよね。
西脇 課題解決のための道具じゃないんですよね。
尾原 そうそう。
西脇 本当に、「AIが友達」という関係になってきています。
私たちも、何の課題解決もせずに今こうして集まっていますよね。それでも、コミュニティとしてはすごい深いし、楽しいし、色々な発想が出てきます。
村上 インスパイアリングですよね。
尾原 面白いのが、りんなは最初はアメリカのプロジェクトとして始まったんだけど、上手くいかないからと言って、次に中国でやったんですよね。
でも中国でも上手くいかなくて、それで日本で「女子高生」というアバターをつけてやった途端にうまくいったというのがあります。
村上 僕がなぜ「社会の女性化」ということを思い始めたかというと、まさに今話題にあがったAI、そしてディープラーニングの進化があるからです。
要はメトリクスによって課題解決をする、みたいな作業はディープラーニングをぶんぶん回すAIの方が得意なんですよね。
尾原 そうですよね。
村上 その部分は人が乗り出さなくても、半自動ぐらいで回るようになってきています。
でも、そうした作業をAIがいい感じにやってくれるようになると、我々はそこでバリューを出せないですよね。
だからこそ、会話などの重要性が増してくる。
昨日、知財のセッションで内田・鮫島法律事務所の鮫島さん(同代表パートナー弁護士・弁理士 鮫島正洋さん)がとても面白いこと言っていました。
やはり「どれだけ会話を生むか」っていう方向に、コンテンツの価値が変わっていると。
あれは、すごく本質を突いているなと思いました。
(続)
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続きは 5.「人間の身体は、テクノロジーによって拡張する」ロボット研究者・吉藤オリィさんの改造メガネの“笑撃”の機能 をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/戸田 秀成/鈴木ファストアーベント 理恵
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