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「制度はネーミングとパッケージングが重要」愛される社内制度を生み出す秘訣【SP-OD1 #2】

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これまでに配信した、組織づくりに関する議論を総特集いたします。今回は、ICCカンファレンス TOKYO 2016から、「強い組織/企業文化の作り方」の記事を再編集して10回シリーズでお届けします。組織づくり特集(その2)は、サイバーエージェント曽山さんやメルカリ小泉さんに、社員に浸透する社内制度を開発する秘訣についてお話しいただきました。ぜひご覧ください。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。

登壇者情報
ICCカンファレンス TOKYO 2016
Session 2B
「強い組織/企業文化の作り方」

(スピーカー)
宇佐美 進典
株式会社VOYAGE GROUP
代表取締役社長兼CEO

小泉 文明
株式会社メルカリ
取締役

曽山 哲人
株式会社サイバーエージェント
執行役員人事統括本部長(当時)

(モデレーター)
五十嵐 洋介
KLab株式会社
取締役副社長 COO

「強い組織/企業文化の作り方」配信済み記事一覧

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【本編】

五十嵐 続けて、小泉さん いかがでしょうか?

小泉文明氏(以下、小泉) はい。メルカリも採用の観点から説明したいと思います。



小泉 文明
株式会社メルカリ 取締役

早稲田大学商学部卒業後、大和証券SMBCにてミクシィやDeNAなどのネット企業のIPOを担当。2007年よりミクシィにジョインし、取締役執行役員CFOとしてコーポレート部門全体を統轄する。2012年に退任後はいくつかのスタートアップを支援し、2013年12月株式会社メルカリに参画。2014年3月取締役就任。

僕らの会社の採用活動の特徴はエージェントからの採用の比率が10%以下ですね。大体8%ぐらいでして。

曽山 凄い….

小泉 50%ちかくがリファラル(社員の紹介)ですね。

社員の前職であるとか。もしくは前職のカウンターパートにいた方だとか、友達の友達みたいなところですね。

40%ちょっとぐらいが自社のホームページであるとか、ウォンテッドリーのようなインバウンドの紹介メディアから来ています。

残りがエージェントという感じなんです。

僕らが人事でやってるのは、いわゆるエージェントコミュニケーションほとんどやってなくて、半分広報に近いです。

社員の人をどこまで外に出すということをKPIに持っていて、メルカリのメンバーは講演などで話せるメンバーも多いので、どんどん外に出していって、露出回数であるとか、その質を重要視しています。

あと、コンテンツも自分たちで書いていまして、それがどれぐらい(ソーシャルメディアで)シェアされているのか?ということもしております。

実は、つい最近も「CAREER HACK(キャリアハック)」という、ある採用系の媒体があるのですが、その編集長がメルカリに転職してきました。

彼は、人事の経験ないんですけどキャリアに関するコンテンツの編集したことある、もしくはライティングしたことある。

彼はメルカリの採用におけるブランディングをするために採用しました。メルカリではコンテンツ作りも力をいれて行っていますね。

人生のダウンサイドを会社で負担する

五十嵐 なるほど。メルカリさんが新しく発表された制度についてもお話を聞かせてください。先般、「merci box(メルシーボックス)」という素晴らしい制度を発表されたと思いますが、どんな制度か説明いただけないでしょうか?

小泉 そうですね。簡単に言うと、特に産休制度が特徴的なんですけど、産前の10週間と、産後の6カ月の給料を100%保障する、というルールを作りました。

あとは、社員の長期の入院に対する給料の保証も100%やっていたり、全社員に保険を会社で掛けています。

(1名あたりの保険の金額は会場では公開されておりましたが「オフレコ」のため記事ではカットしております)

考え方としては、アップサイドは給料もしくはストックオプションで返します。ダウンサイドの「働けない」という場合は、会社が基本的には全部負担しますという考え方です。

家賃補助とかランチのような制度はやってないんですね。

それらは給料など「アップサイド」の部分で「個人に判断に任せる」という考え方です。

ダウンサイドは「全部会社で負担してあげる」という考え方で設計してますね。

曽山 (一般的に福利厚生の制度として導入されているような)家賃補助とかランチはむしろ、この中では今、外してるんですね。

小泉 全くもって。最初からそこはあんまりやる気がないですね。

曽山 それは新しいですね。

小泉 なので、そっち(家賃やランチ)は「各自でやって」みたいな感じですかね。

五十嵐 普通だと、ランチとかそういうところは会社のほうで負担するけど、死亡保障とかそういうところは、個人のライフプランみたいなところに合わせて、個人任せにするみたいなケースが割と多かったと思うんですけど。そこを、考え方を変えようと思った背景はどういうことがあったのでしょうか?

働いた成果は給料やストックオプションで報いる

小泉 そうですね。基本的には(メルカリには)優秀なメンバーがいる前提で、僕らの会社のバリューは「Go Bold」という大胆にやっていこうということを一番大事にしていています。

資料:メルカリ社のバリュー(出所:メルカリ社 Webサイト

「どんどん働こう」というのをすごい大事にしてるので、思いっきり働くために不安になってる部分は会社で取り除いてあげようという考え方ですね。

思い切り働いた成果は、どちらかと言うと、給料であるとか、ストックオプションで報いるという考え方で設計していますね。

僕らの会社はストックオプション、全社員に配布しています。カスタマーサポートのメンバーもストックオプション持ってるんです。

五十嵐 サイバーエージェントさんで言う「挑戦と安心」とかに通じる考え方ですね。

曽山 そうですね。ちゃんと明確に分けられてますよね。

五十嵐 すごいですね。保険まで掛けるというのは、ちょっと驚きました。

宇佐美 質問いいですか。保険は掛けられてると社員の皆さんは認識しているのですか?

小泉 してます!

宇佐美 ちゃんと認識してるんですね。それに対して「ありがとう」という気持ちになってるんですか。

小泉 なってますね。

宇佐美 「俺が死んだら、会社がお金儲けるの?」みたいなそういうものではないのですよね?

小泉 保険金は親族に支払がされる前提の設計にしてます。

「これで個人で入らなくてよくなったんですかね、僕」みたいなこと聞いてくる社員もいます。

「いや、それはお前の人生だから。(会社で掛けている)金額で足りるんだったらそれでいいけど、足りない部分は自分で保険に入ってね」という設計にはしてますけどね。

五十嵐 会社が基本的なパッケージとしてのダウンサイドのリスクをヘッジするようなものを用意して、あとは個人でやってくれという部分をちゃんと残してるんですね。

曽山 産休、育休に関する休暇の制度があるじゃないですか。実際に利用するケースがもう増えてるですか。

小泉 実はまだ一人しかいないんですけど。

曽山 でも、それで手を打とうと。

小泉 そうですね。結構女性社員が多いので。

曽山 男女比はどれぐらいですか。

小泉 男女比、大体半々ぐらいですかね。カスタマーサポートが多いので。

曽山 なるほど。女性が多いんだ。

小泉 あれ、実は結構ですね。これ本当オフレコなんですけど ◯◯◯なんですよ。

(制度の運用に関する詳細の説明がありましたらが「オフレコ」のためカットしております)

曽山 それは、運用の妙ですね。

制度はパッケージでパブリシティを意識する

宇佐美 すいません、もう少し突っ込んで聞いていいですか。「merci box」と同様に、以前サイバーエージェントが「macalon(マカロン)」というパッケージで女性向けの人事制度をリリースしていましたが、このように人事制度を単体で出すんじゃなくて、パッケージで出すことの妙と言うか。メリット、デメリットみたいなところって、ぜひお聞きしたいなと思ってたんですけど。

小泉 もう、macalonはネーミングが良いですよね。

僕らも、「merci」と言葉を選ぶのに2週間考えましたからね。

結局、僕らとしては、制度を1個単体で出すと、やっぱりなかなかバリューが出ないので、ネーミング(パッケージ)で出したいよねと考えています。

実はBOXとつけたのも、このあとに実はいくつかまだ追加で考えています。

今回は第1弾としていて、パブリシティを意識したネーミングで制度を作ってますね。

曽山 僕らも、(サイバーエージェント代表の)藤田からは「1個とかじゃなくて、パッケージにしたほうがいいよ」という、一言だけもらったんですよ。

何でかって言うと、話題性やパブリシティのインパクトを考えてと言うのが藤田の意図でした。

あと、人事側でやっぱり気にしたのは、例えばママ向けの休暇制度とか1個だけリリースすると社内で白ける人が出てくるんです。ママじゃない社員が、自分には関係ない制度なんだな、ママだけに手厚くするのね、と。こうなると、事後の対話はとても大変なんですよね。。僕らがmacalonを作ったときには、例えば、産んでない女性のための制度と、あとはパパ向けの制度とかをいろいろセットにしたんです。

なので、1個すごい妙案だと思って発表すると意外なところで社内が炎上するっていう。

これは結構気を付けたほうがいいですよ。

小泉 人事制度、結構難しいですよね。

曽山 難しいです。

五十嵐 ある特定の人たちに対しての優遇策みたいになってしまうということがよくありますよね。例えば、タバコ吸う人だけ恵まれていて、休憩がたくさん取れる、部屋が用意されてるというのも同じような議論ですよね。

曽山 そうそう。根強いですよね、そういうのも。なんで彼らには部屋があるんだっていう。

かといって、部屋を作ってもあなたは使わないでしょう、という。そういう悩みがあります。

五十嵐 パッケージでそういうのをちゃんとバランスを担保して、ダイバーシティにも配慮をちゃんとしていくってのは、人事的にはかなり大事なところですよね。

小泉 曽山さんはよく「社内が白ける」と言うじゃないですか。

僕らがすごい必死に考えるんですけど、意外と社員に届いてないんですよね。

やっぱり「白け」が発生するので、結構役員陣の中で競い合ってましたね。

だから、それをどれだけ馴染ませるか、例えば役員発でTシャツ作ったりとか、そういうことをどんどんやってましたね。

曽山 責任を渡すと何か考えますからね。

制度の「ネーミング」が重要

宇佐美 僕は、サイバーエージェントの役員をやってるときに「なるほど、すごいな」と思ったことの1つが、役員会で「白け」という言葉よく出て来たんですよね。

「いかに白けない制度を作るか?」であったり、「白けないように伝えるか?」ということにかなり議論していました。

例えば、「2駅ルール」という制度を作ったときに、ネーミングに結構議論していましたよね。役員会で制度のネーミングの議論を真剣にするというのは凄いなと思いました。

小泉 いやー。ネーミングは重要ですよね!

宇佐美 結構、僕は衝撃だったんですね。

小泉 ネーミングが一番だと思いますよ。制度の中身よりネーミングのほうが、10倍以上時間使ってますね。

曽山 ネーミングも企業文化にはすごい重要なんですね。

いいネーミングつけると社員にまず浸透すると。そして社員がほかの人に自慢するとパブリシティ効果非常に上がるんですよね。

「家賃補助制度」と言っちゃうとだめなんですよね。これを。

だから、「2駅ルール」とか何でもいいんですけど何か言いたくなっちゃうようなネーミングを付けるというのも企業文化の一つだと思うんですね。

五十嵐 ありがとうございます。

(続)

続きは Chief Culture Officerとは?「社内文化の責任者」がVOYAGE GROUPで果たした役割 をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/根岸 教子

【編集部コメント】

続編(その3)では、主にVOYAGE GROUP宇佐美さんに、ユニークなCxOである、Chief Culture Officerを置く理由とその役割などについてについてお話しいただきました。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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