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建設現場の3Dデータ解析をクラウドで容易に高速に実現する「ローカスブルー」(ICC KYOTO 2022)

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ICC KYOTO 2022 STARTUP CATAPULT スタートアップの登竜門に登壇いただき、5位に入賞した、ローカスブルー 宮谷 聡さんのプレゼンテーション動画【建設現場の3Dデータ解析をクラウドで容易に高速に実現する「ローカスブルー」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

本セッションのオフィシャルサポーターはノバセルです。

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【登壇者情報】
2022年9月5〜8日開催
ICC KYOTO 2022
Session 1A
STARTUP CATAPULT スタートアップの登竜門
Supported by ノバセル

宮谷 聡
ローカスブルー株式会社
代表取締役

宮崎県出身。東京大学総長賞受賞。東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻修了後、フランスISAE-SUPAEROへ進学。フランスのAIRBUS社にてエンジニアとして勤務後、シリコンバレーのAirware社、イスラエルのAirobotics社等の海外スタートアップで唯一の日本人として活躍。2019年10月に帰国後、スキャン・エックス株式会社を創業。3Dデータで世界中の仕事を楽にする、をモットーに技術力の高い海外エンジニアと共に3Dデータをオンラインで解析できるプラットホーム「ScanX」を提供。国内の建設業界に普及し、様々な分野へ展開している。2022年4月より、ローカスブルー株式会社に社名変更。2021年東洋経済すごいベンチャー100選出。i-Construction大賞「国土交通大臣賞」受賞。2022年Forbes Japan Rising Star Award受賞。


宮谷 聡さん こんにちは、本日最後の登壇者、ローカスブルー株式会社の宮谷です。

我々は、建設業界の3D化を加速するプラットフォーム、SCANX(スキャン・エックス)を提供しています。

3D化とその周辺技術は急速に進化

突然ですが、今日会場に来る際に、多くの方がGoogle マップを使ってたどり着いたと思います。

今や、我々にとって使うのが当たり前になっているGoogleマップですが、最近では3D化が進んでいます。

こちらは、Googleマップの3D表示機能を使って、この会場周辺を表示した様子です。

テレビなどではよく見る光景ですが、 我々が気づかないうちにデータは3Dになってきています。

そう、このように私たちの日常において、世の中の3D化とその周辺技術は急速に進化しています。

建設業界においても3D化は急速に進行

そして同様に、建設業界でも3D化が急速に進んでいます。

 

実際の例を見てみましょう。

例えばこちらのトンネルを計測する場合、従来は複数人で現場に行き、専用の機材を使って行う必要がありました。

それが今や、スマホ1台あれば、たった1人で正確な3Dデータを取得し、計測することが可能です。

こちら(上の動画0:10〜)は、SCANXがAPI連携しているスマホアプリを、実際にユーザーが使っている様子です。

これほど現場の3D化は進んでいます。

安い機材の登場が建築現場の3D化を加速

では、なぜ急速に3D技術が普及しているのでしょうか。

安い機材の登場が、1つの要因です。

現場ではスマホ以外にも、ドローンやレーザースキャナーといった様々なデバイスが活用されています。

ここ数年で10分の1の値段になっている機材もあり、安い機材の登場で、現場の3D化はさらに加速しています。

価格や操作性に課題のあった専用解析ソフト

しかし、問題は取得した3Dデータの解析にあります。

建設現場の専用ソフトはデスクトップ版しかなく、1ライセンス20万円もかかり、専用のワークステーションも高額です。

そして、せっかく数百万円を投資して購入しても、ボタンや機能があまりに多かったり、使い方が分からなかったりして、挫折してしまう。

こういった初心者の方も、多くいらっしゃいます。

3Dデータ化の波に乗らなければいけない事情

それでも、国は待ってはくれません。

国土交通省は4年前から準備を進めており、いよいよ2023年から、全ての公共工事の現場で3Dデータが適用されるようになります。

令和5年度のBIM/CIM原則適⽤に向けた進め⽅(国土交通省)

したがって、この3D化の波に乗らなければ、そもそも工事の受注ができなくなってしまう。

それほど現場では、変革の時を迎えています。

Webブラウザさえあれば3Dデータの解析・共有が簡単にできる

そこで弊社では、インターネットのブラウザさえあれば3Dデータの解析や共有ができる、クラウド型プラットフォーム「SCANX」を提供しています。

しかも、一番安いプランは、月額たったの3万円からです。

どのデバイスで取得した3Dデータでも、ユーザーがドラッグ&ドロップすれば、SCANXがクラウド上でデータを処理するので、関係者との共有や専門的な解析が、簡単に実行できるようになっています。

まず、実際のユーザーの声を聞いてみましょう。

このように、今まで3~4日かかっていた作業を、1日もかからずに終わらせることができています。

深層学習によって物体を高精度に自動分類

なぜこれほど劇的に作業時間を短縮できるのでしょうか。

1つ目の要因は、ディープラーニング(深層学習)などを使った3Dデータの自動分類です。

世の中では、画像や動画といった様々な領域にディープラーニングが適用されていますが、弊社はこういった技術を使って、3Dデータを建物、地面、植物といった物体を、高精度で分類する独自の技術を持っています。

大規模データの並列処理が可能なサーバー設計

2つ目は、大規模データの並列処理を可能にするサーバー設計です。

今では毎週100現場分、データ量にして1TB近いデータがアップロードされることもありますが、そういった状況でもユーザーを待機させないサーバー構築を行っています。

熱海市の土砂災害に技術提供

SCANXは既に様々な現場で使われており、自然災害後の現場でも活躍しています。

こちらは昨年(2021年)7月に発生した、熱海の土砂災害の実際の3Dデータです。

この際、弊社も静岡県庁に一部技術提供を行っており、例えば被害を受けた現場の3Dデータは、このようにリンクを発行するだけで、関係者とすぐに共有することが可能でした。

また、こちらは同じく熱海の土砂災害現場で、3Dデータの分類を活用した実例です。

灰色が災害前の3Dデータから家屋を自動で抽出したもの、オレンジが災害後の3Dデータから同じ家屋を自動で抽出したものです。

このように、災害前後のデータから必要な情報を抽出し、すぐに関係者と共有することで、迅速な被害状況の把握に貢献することができています。

約2,700億円の国内市場でシェア拡大に挑む

SCANXは2020年9月にリリースしてから約2年が経過しましたが、現在に至るまで、10,000現場を超えるデータを処理し、契約企業は、42都道府県にいらっしゃいます。

レーザーやLiDARで取得した3D点群データを簡単に自動で解析可能オンライン点群処理ソフト「スキャン・エックスクラウド」9月17日(木) リリース開始 2020年9月16日(PR TIMES) 

もうすぐ全国制覇です。

ほとんどのユーザーが中小企業であることから、国内における市場規模は少なくとも2,700億円ですが、我々はまだせいぜい1億円程度しか獲得しておらず、まだまだ伸ばせる余地があると信じています。

多様性豊かなチームでグローバルにも展開

さらに、我々は日本だけにとどまりません。

私は起業する前は、航空宇宙エンジニアとして、アメリカやイスラエルのスタートアップで働いていました。

イベントレポート/ScanX宮谷氏が語る、海外・国内スタートアップでのキャリア形成【すごいベンチャー100選出】(Liiga)

その関係で、弊社には国内外から優秀なメンバーが集まっており、社内の公用語は英語と日本語です。

プロダクトも既に、英語と日本語の多言語仕様となっており、海外のユーザーも使用してくれています。

日本の市場規模は数千億円ですが、世界を見れば、約20兆円のポテンシャルがある市場なのです。

日本から世界を変える

最後に。

幸運にも、私はこれまで世界中のスタートアップで、成功した起業家と実際に働いてきました。

その中で、「彼らにできるなら自分にもできる」、本気でそう感じました。

3Dデータはまだ新しい技術で、全世界が同じスタートラインに立っています。

この領域でトップに立ち、日本から世界を変えていく。

我々にはそれができると信じています。

審査員の皆様、どうか応援よろしくお願いいたします。

ありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/星野 由香里/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸/中村 瑠李子

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