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ICC KYOTO 2022 CRAFTED CATAPULT 豊かなライフスタイルの実現に向けてに登壇いただいた、阿部酒造 阿部 裕太さんのプレゼンテーション動画【担い手創造とノンアル飲料への挑戦で、酒蔵からの地域活性を目指す「阿部酒造」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回300名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2022は、2022年9月5日〜9月8日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターはMakuakeです。
▶【速報】うにの再生養殖で水産資源の未来を創る「北三陸ファクトリー」がクラフテッド・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2022)
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【登壇者情報】
2022年9月5〜8日開催
ICC KYOTO 2022
Session 8A
CRAFTED CATAPULT 豊かなライフスタイルの実現に向けて
Supported by Makuake
阿部 裕太
阿部酒造株式会社
6代目兼製造責任者
2010年(株)ぐるなびへ入社。法人営業部新潟県担当として第四北越銀行(当時:北越銀行)とのビジネスマッチングサービス基本契約書の締結を行い、「新潟の生産者や自治体」と「飲食店」をつなぐプロモーション営業に従事。2016年阿部酒造株式会社へ入社し、2017年より現職。2021年より酒蔵の伝統的な米麹造りを生かし、米麹由来の甘酒を使った「ノンアルコールドリンク製造販売」を開始し、第一弾として「クラフトコーラシロップ」製造販売を開始。2022年よりクラフトコーラ製造所を立ち上げ、ノンアルコールドリンクの量産に着手。2017年より業界の活性には新たな造り手の登場が必須と考え、若手蔵人の育成にも力を入れ始め、主な卒業生に「wakaze」 杜氏 今井 翔也、「 LIBROM」 製造責任者 穴見 峻平や「 haccoba」 CEO 佐藤 太亮がいる。2022年現在、2名が醸造所立ち上げの準備を行い、1名の研修生が当社で研修を行っている。
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阿部 裕太さん 新潟県で酒造りをさせていただいている、阿部酒造の6代目、阿部 裕太と申します。
本日は、よろしくお願いいたします。
酒造りプレイヤーは圧倒的に少ない
早速ですが、皆さん、日本酒に対して、どのようなイメージをお持ちでしょうか。
まだまだ、非常にハードルが高かったり、言葉が専門的だったりと、とても遠い存在だと思われている方も多いかもしれません。
その理由について、僕は、このように考えています。
酒造りをするプレイヤーの数が圧倒的に少ないこと、です。
当然、教師の子どもが教師を目指しやすいように、酒造りをするプレイヤーが増えれば増えるほど、日本酒に触れてくれる人がより一層増えると、僕は信じています。
つまり、酒蔵がもっと身近になれば、日本酒を身近に感じられるはずです。
では、これから阿部酒造の簡単なご紹介をしながら、阿部酒造が酒蔵を身近に感じてもらう、ひいては、日本酒を身近に感じてもらうために行っている3つのお話をしたいと思います。
「常に発酵を楽しむ(Enjoy!!)」を方針に掲げる創業218年の酒蔵
まずは、創業です。創業が1804年、今年で218年の会社になります。
僕は、6代目の製造責任者です。
造りでは、4つの方針を持って、酒造りをしています。
非常に、あえてシンプルにしてありますが、特に、こちらの2番目「常に発酵を楽しむ(Enjoy!!)」ということを覚えておいていただきたいです。
こちらは、主なブランドです。
平仮名で「あべ」と書いているブランド「あべシリーズ」を含めて、3種類(のシリーズを)ご用意させていただいています。
▶あべシリーズ (阿部酒造)
では、そのような阿部酒造が酒蔵や日本酒を身近に感じてもらうために行っていることを、3つお話しします。
酒蔵がノンアルコール領域に挑戦する
「酒蔵を身近に感じてもらうために行っていること」の1つ目です。ノンアルコールの領域へ挑戦をしています。
日本酒を造ると、様々な副産物ができたり、僕らはこちらの日本酒のエンジンとなる麹造りを使った甘酒を造りました。さらに、その甘酒を活かしたクラフトコーラ「kuracola」を製造し、2022年より、「Makuake(マクアケ)」を活用して販売し始めました。
▶【甘酒クラフトコーラ】麹のコクある甘みとスパイスの刺激が融合「kuracola」 (Makuake)
クラフトコーラで20歳未満の人たちとも接点をつくる
では、なぜ酒蔵がクラフトコーラをつくるのかと言いますと、理由は3つあります。
1つ目は、言葉自体がとにかくキャッチーで、日本酒とは逆だからです。
冒頭にお話しさせていただいたとおり、日本酒に対して、その言葉からネガティブなイメージを持っている方が、まだまだ多いと思います。
しかし、考えてみてください。
コーラは、マクドナルドでも買えます。
大変キャッチーです。
そのようなものづくりを酒蔵として行うのは、非常に楽しいと思っています。
2つ目は、酒蔵との親和性の高さです。
クラフトコーラにおいて、大事なのは、甘さと酸味です。
この甘さと酸味を、僕らの米麹造りで再現することができます。
再現性と親和性が非常に高いのが、クラフトコーラだと思っています。
3つ目は、法律の壁です。
僕らは、どれほど美味しいもの作ったとしても、酒であるかぎり20歳以上の人たちにしか伝えることができないのです。
しかしながら、クラフトコーラをつくることで、20歳未満の人たちにも、僕らは酒蔵としての接点を持つことができるわけです。
2022年8月6日に、ノンアルコール飲料の製造棟がオープンしました。
そうすると、中学生の女の子が500円玉を握りしめて、「kuracola」を1杯くださいと、酒蔵に買いに来てくれるわけです。
100円引きの合言葉のようなことも言って(※)、買いに来てくれるのです。
▶編集注:オープン記念として、2022年8月30日まで「安田ありがとう」の合言葉を言えば料金100円引きのサービスを実施した。
そのようなことは、今まで20歳以上向けの商品しか作っていなかった酒蔵にはない景色でした。
▶僕がノンアル領域に挑戦する理由(note)
異業種や新規参入者とコラボした日本酒を製造
「酒蔵を身近に感じてもらうために行う3つのこと」の2つ目です。異業種や新規参入者とのコラボレーションを、よく行っています。
例えば、アパレルメーカーのユナイテッドアローズと一緒に、日本酒「FOMALHAUT The Hazy」の展開もしています。
▶<阿部酒造 × UNITED ARROWS>の日本酒を発売(UNITED ARROWS LTD.)
酒造りの担い手創造のため、独立したい人を支援
「酒蔵を身近に感じてもらうために行う3つのこと」の3つ目です。担い手創造を行っています。
実は、日本酒造りというのは免許制のため、担い手を新規で作りたくても、免許がなければ参入ができないのです。
しかしながら、日本酒のお隣というような、日本酒の製造技術を使った「その他醸造酒」というジャンルは、新規免許を交付しています。
そのため、僕は「その他醸造酒」というジャンルで独立したい人をサポートするような事業を行っています。
実際、過去にICCで登壇した、 WAKAZEの若手の製造責任者である今井、そして、本日もしくは明日に登壇するhaccobaの佐藤を含めた、3人が独立をしています。
▶日本酒を世界酒に! フランスの自社醸造所で日本酒の概念を覆す“SAKE”造りに挑む「WAKAZE(ワカゼ)」(ICC KYOTO 2021)【文字起こし版】
▶自由な酒造りで多様性を取り戻す! 福島県南相馬市から日本酒の持続可能な文化をつくる「haccoba」(ICC FUKUOKA 2022)
現在も、2名が研修をしており、ほか2名がそれぞれNYとアムステルダムで酒蔵をつくる準備をしています。
しかしながら、現状、担い手創造というのは、まだまだ課題が多くあります。
理由は2つです。
1つは、学ぶ場所が全然ないことです。
日本酒を造ろうと思うと、醸造学科など専門の学校に通う、もしくは、酒蔵に入るしかありません。
しかし、こちらの2番目の理由と関連しますが、「3年後に独立をしたいので、学ばせてほしい」と酒蔵に希望しても、人が少ないため、そもそも受け入れてくれる余裕のある酒蔵がありません。
でも、僕らは次々と受け入れています。
なぜならば、誰も受け入れていないからです。
実際、この行いが正しいかどうかは、わかりません。
でも、僕自身は、酒屋さんのサポートを受けて、ここまで来られたのだと思っています。
だからこそ、僕は、「独立したい」「酒造りをしたい」という想いがある人は、徹底的にサポートしたいと思い、受け入れを行っています。
そうした中で、実際に彼らとお話ししていて感じることは、僕らは当たり前に酒蔵として日本酒を造っていますが、それは非常に尊いことだということです。
今こそ、地域を活性させる酒蔵が輝く時
だからこそ、冒頭に造りの方針でお話しした、「常に発酵を楽しむ(Enjoy!!)」、このことを徹底的にやり抜いています。
しかも、原材料としてお米を使うことで、今、担い手不足と言われている米農家さんを救うことができます。
大量のお米を使うことができます。
さらに、米作りや日本酒造りをすることで、これほど多くの副産物を生むこともでき、これほど多くの関係各所のプレイヤーを生み出すことができます。
今こそ、酒蔵が輝く時で、酒蔵をつくることによって、地域が活性化され、ますます地方活性の種になるのではないかと、僕は本気で思っています。
だからこそ、非常に大変です。
大変ですけれども、日本各地そして全世界に、酒蔵や日本酒を造るプレイヤーを次々と排出していくことで、皆様と日本酒の距離がもっともっと近くなって、ひいては、日本酒を楽しんでもらえる、そのような環境を作っていけたらと思っております。
(終)
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編集チーム:小林 雅/原口 史帆/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸/中村 瑠李子