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4. コンゴ政府とのパイプはこうして生まれた

ICC FUKUOKA 2024のセッション「AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン6)」、全13回の④は、リングサイドのAWL土田 安紘さんが、この質問をしないと寝れなくなってしまうからと、Solafune 上地 練さんにコンゴ政府とのつながりをどう作ったか質問します。会場を笑いに包んだ上地さんの答えとは? ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2024は、2024年9月2日〜 9月5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは Notion です。


【登壇者情報】
2024年2月19〜22日開催
ICC FUKUOKA 2024
Session 11C 
AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン6)
Supported by Notion

(スピーカー) 
砂金 信一郎
LINEヤフー       
生成AI統括本部 新規事業準備室 室長(登壇時)
現職:Gen-AX株式会社
代表取締役社長 CEO

上地 練
Solafune
代表取締役CEO

西脇 資哲
日本マイクロソフト
コーポレート戦略統括本部 業務執行役員 エバンジェリスト

武藤 悠輔
ALGO ARTIS
取締役 VPoE

(リングサイド) 
柴戸 純也
株式会社リンクアンドモチベーション
執行役員

土田 安紘
AWL
取締役CTO

都筑 友昭
DROBE
執行役員VP of Advanced Tech Delivery

山崎 はずむ
株式会社Poetics
代表取締役

(モデレーター) 
尾原 和啓
IT批評家

「AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン6)」の配信済み記事一覧


コンゴ政府とのパイプはこうして生まれた

土田 絶対質問しておかないと、寝れなくなってしまうので、すみません。

尾原 質問しましょう!

土田 僕らはベンチャーじゃないですか。

尾原 はい(笑)。

土田 オープンデータが取れて、衛星データが取れるというお話でしたが、なぜコンゴの絶対秘密みたいなデータを取れるところにまで持ち込めたのでしょうか?

これは技術ではない何かなのかもしれないし、もしかするとストレートに技術なのかもしれないですが、その辺りはどういう形ですか?

上地 そうですね(笑)。僕らは3人目のフルタイムに、コンゴ人を採用していたのですよ。

尾原 (大笑)上手い!!

(会場笑)

上地 彼はアメリカ国籍とコンゴ国籍を持っていて、USのAmazon Roboticsでマネージャーを務めていたようなメンバーです。

日本人女性と結婚するから日本で働きたいと言って、それで僕らにお声がけいただいて。

尾原 それは本当に宝なんですよ。

上地 最初はコンゴの政府渉外としてではなく、全然違うポジションに良さそうだと思って採用したのですよ。

彼はキリスト教徒で、土日は牧師として教会にいるのですが、そこに在日コンゴ大使が通っていて、国の課題を毎週話していたのです。

それで、鉱石が盗まれているという話をして。

(会場笑)

尾原 ちょっと、ちょっと(笑)。

1つだけ確認したいのは、衛星事業をやろうと思って、コンゴが地政学的にもともと課題を持っている国なのでコンゴ人を採用しようというところからスタートして芋づる式になったのか、それとも優秀だった人がたまたま入ってきたら当たったみたいな話なのか、どちらなんですか?

上地 後者です。

尾原 わぉ!(笑)

(会場笑)

西脇 逆にこれを聞いて、土田さんがどう思ったのか聞きたい(笑)。

土田 いや、運は大事だなって、すごく思いました。

(一同笑)

西脇 真似できないですよね(笑)。

尾原 でも逆に言えば、オープンに広がっていけば、色々なところにエマージェント(創発性)な、あと「エフェクチュエーション」 と言ったりするのですが、むしろデータはどこで宝になるか本当に分からないから、広く広く持っていくと、縁を集めやすいみたいなところもありますからね。

エフェクチュエーション(グロービス経営大学院 MBA用語集)

西脇 これで、他のアフリカの国々の人の採用は?

上地 進めています。

西脇 やっぱり。

上地 コンゴでこういう課題がある、では、そういう重要な鉱石を持っていたり、GDPの大半を鉱業に依存していたりする、同じ特徴の国を抽出したら結構あります。

東南アジアもあるということは、こういう入り方で政府の信頼を得て、そのまま別の領域に展開していく拡張性はありそうだなと、そこで一気に切り換えた感じですね。

尾原 すごいのは、学生時代からやられていて、数名で世界規模のデータを扱って、出会いの中で広がっていって、今やグローバルサウスの希望の星みたいな。

上地 ……まぁ。 

尾原 言い過ぎですか?

(一同笑)

上地 あんまり自分でそうですとは(笑)。

尾原 誰もがどんどんデータやAIを扱える時代で、かつ良い問題があれば、エンジニアやAIデータサイエンティストは、自分の力と問題解決をセットでやりたがる、そういったすごく良い事例だと思いますよね。

楽しすぎていくらでも喋りたくなるのですが、最後に30秒で、何かお伝えしたいことはありますか?

ミッションは「Hack The Planet. 」

上地 そうですね。

Solafuneのミッションは「Hack The Planet. 」です。

尾原 いい言葉ですね。

上地 地球上で起こっている、あらゆる事象を全部解析できるようにすることに取り組んでいって、結果的に色々な地球規模の大きな課題を解決できたらなと思っています。

もう少し技術的な話が聞きたい方は、ぜひ我々のサイトを見にいっていただければと思います。

尾原 サイトでは、課題一覧や、今、何のコンペをやっていて、どのくらい提案があってみたいなものが全部見られますよね。

上地 はい。今ちょうど鉱山を見つけるアルゴリズムをアップデートするためのコンペがあります。

今、これぐらい世界中から参加されています(※登壇時点)。

引用:Solafuneサイトより

ディスカッション」という機能に飛ぶと、どういう技術がどれぐらいエフェクティブだったかが見られます。

引用:Solafuneサイトより

ユーザーに、一部ベースラインコードを公開してよいというふうにしています。

これはGitHubに載っていたりですとか、このようにKaggleにも鉱山のデータクレンジングをどうしたか知見が載っていますので、ぜひ興味あればご覧ください。

引用:Kaggleより

尾原 真面目な話、世界中の商社やバイオ系企業の方々は、自分がプロジェクトをやるときにずっとKaggleとかを見て、今このプロジェクトが動いているのだったら乗っかろうみたいな話もあるわけですよね。

だからある種、AIは課題を解決するフェーズから、ビジネスに直結するフェーズになってきているので、このままどんどんいっていただきたいですね。

学習データ作成にご協力を!

上地 少しだけ、生成AIの話をしていいですか?

僕らも例にもれず、衛星データや航空写真を、Stable Diffusionをファインチューンして生成してみたのです。

尾原 トレーニング用に生成したりとかして。

上地 衛星データの課題の一つに、お題として頂くテーマのデータが全然そろわないということがあります。

尾原 少ないですものね。

上地 例えば違法漁船を見つけたいとなったときに、違法漁船のデータってどこにあるの?という話ですよね。

そうすると、違法漁船の画像を3〜4枚もらって、それをいかに増やすかみたいなことに取り組むのですが、それにStable Diffusionを使って似たようなデータを集めて、モデルが上がるかどうか試したりしました。

ただ、計算リソースが全然足りなくて無理ゲーみたいになって、今ほったらかしている状況なので、興味がある方がいらっしゃれば、ぜひお声がけいただければと思います。

尾原 確かにそうですよね。掛け算になりますよね。

上地 ありがとうございました。

Googleが定義する良いエンジニアとは

尾原 ありがとうございます。

この「Hack The Planet. 」という考えは本当に大事です。

Hackと言えば、昔、良いエンジニアとは何かというGoogleの課題定義がありました。

日本人に問うと、良いエンジニアとは人から与えられたプロジェクトを時間内にきっちり作るエンジニアのように思ってしまいます。

Googleのエンジニアの定義は、自分が解決可能な最大の問題を自分で設定し、周りを巻き込みながらやり切ることです。

砂金さん、やはりHackという言葉は、自分で問題を刈り取りに行くみたいなところがありますよね。

砂金 ええ。Solafuneのミッションがすごく響きました。シンプルですしね。

Kagglerという言い方がいいかどうか分かりませんが、ターゲットが明確ですよね。

その人たちが共感しやすいワーディングを、すごく上手く作られているなと思いました。

上地 ありがとうございます。

尾原 というわけで、今は空からの観点で大きな最適化をしているわけですけれど、もっと大きな最適化も頑張っているぞというところで、ALGO ARTISの武藤さん、お願いします。

尺の関係でちょっと短めにお願いします(笑)。

武藤 分かりました(笑)。

(続)

編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美

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