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5. GPT-4が(今のところ)一番苦手なコトとは?

ICC FUKUOKA 2024のセッション「AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン6)」、全13回の⑤は、シーズン4に登壇したALGO ARTIS 武藤 悠輔さんが再登場。「GPT-4が一番苦手なコトは何でしょうか?」という質問から、ALGO ARTISがサプライチェーンに提供する「計画最適化AI」へと話を進めます。2024年リリースのSaaSも紹介します。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2024は、2024年9月2日〜 9月5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは Notion です。


【登壇者情報】
2024年2月19〜22日開催
ICC FUKUOKA 2024
Session 11C 
AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン6)
Supported by Notion

(スピーカー) 
砂金 信一郎
LINEヤフー       
生成AI統括本部 新規事業準備室 室長(登壇時)
現職:Gen-AX株式会社
代表取締役社長 CEO

上地 練
Solafune
代表取締役CEO

西脇 資哲
日本マイクロソフト
コーポレート戦略統括本部 業務執行役員 エバンジェリスト

武藤 悠輔
ALGO ARTIS
取締役 VPoE

(リングサイド) 
柴戸 純也
株式会社リンクアンドモチベーション
執行役員

土田 安紘
AWL
取締役CTO

都筑 友昭
DROBE
執行役員VP of Advanced Tech Delivery

山崎 はずむ
株式会社Poetics
代表取締役

(モデレーター) 
尾原 和啓
IT批評家

「AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説(シーズン6)」の配信済み記事一覧


武藤 ALGO ARTISの武藤です。よろしくお願いいたします。

イントロを用意してきたのですけれど。

尾原 いいですよ、だって分かりやすいですからね。

GPT-4が(今のところ)一番苦手なコトは?

武藤 GPT-4が(今のところ)一番苦手なコトは何でしょうか?

尾原 おっ、面白い!

武藤 一番というのは、ちょっと大げさに言っているのですが、具体的には何を根拠に言っているかというと、OpenAIの「GPT-4 Technical Report」です。

[翻訳] GPT-4 Technical Report(Qiita)

レポートで公開しているスコアの中で一番低いものを「一番苦手」と、今あえて強調して言いましたが、何だと思いますか?

実はこれが、ALGO ARTISが得意としている技術領域です。

全然アンチでも何でもないので、今後伸びてくることを期待した上で「今のところ」と書きました。

尾原 これは良いプレゼンじゃないですか。

武藤 ありがとうございます(笑)。

ちなみに見方を全く説明していませんでしたが、青がGPT-3.5のデータで、緑がGPT-4で伸びたものです。

例えば、左から6つ目は司法試験の結果で、GPT-4ですごく伸びました。

左から3つ目の、小さく赤枠で囲ったところは全然伸びていません。

これは何かと言うと、実は競技プログラミングのスコアです。

尾原 へえ!

武藤 Codeforcesという競技プログラミングサイトの課題を、実際GPT-4に解かせてみて、特定の条件下でスコアを測りました。

グラフの上に行けば行くほど、人間と比較して強く、下のほうだと人間と比較してまだまだ弱いみたいな状態ですけれど、赤枠で囲った競技プログラミングは、まだ人間と比べてGPT-4は全然弱い状態で、GPT-3.5からGPT-4でも全然改善されていません。

ALGO ARTISは、競技プログラミングに強いメンバーを集めてインフラを最適化しているので、この問いを導入として用意させていただきました。

Startup CTO of the year 2023を受賞した武藤さん

尾原 なるほどねえ、さすがStartup CTO of the yearですね、武藤さん。

“知と熱”を解き放つ「Startup CTO of the year 2023 powered by Amazon Web Services」開催報告(AWS)

武藤 ありがとうございます。

実はちょっとその話も一瞬だけ触れたいなと思って……、簡単な自己紹介ですが、今、私はALGO ARTISで取締役VPoEとしてプロダクト開発のリードを主に行っています。

もともとALGO ARTISはDeNAからスピンオフしてできた会社で、DeNAから出てくるタイミングでDeNAを辞めて、ALGO ARTISに来た形です。

今、言及いただいたStartup CTO of the yearに2023年末に出場して、優勝させていただきました。

自分で言うことではないのですけれど、Startup CTO of the yearです(笑)。

尾原 いよっ!

(会場拍手) 

武藤 ありがとうございます(笑)。すみません。

尾原 ごめんね、先に言っちゃって。

武藤 いえいえ、大変恐縮です。

サプライチェーンの計画をAIで最適化するALGO ARTIS

武藤 事業の中身に移らせていただきます。

我々がやっているものを一言でいうと、計画最適化AIです。

なるべく簡潔にお話ししたいと思いますが、我々が主にターゲットにしている計画は、サプライチェーンの計画です。

具体的には資源輸入の配船計画や化学品の生産計画、あとは陸運の配送計画など、サプライチェーンを構成するさまざまな計画が、我々の事業のターゲットとなっています。

実は、この計画業務が属人化してしまって後継者不足になっていたり、属人化している結果、改善しようとしても全く改善できない状態になってしまっていたりすることが課題になっています。

ここに対して我々は、属人化をまずAIに置き換えAI化することで、属人化解消を行います。

さらにサプライチェーンでは、日々数万トンの量を扱っているので、年間コストが1社につき数百億円かかったりしています。

我々のAIを入れると、ここには1%と書いてあるのですが、1%以上コスト削減ができるので、1社につき年間数億円のコスト削減が計画ベースで実現できます。

これが我々の価値提案です。

尾原 すごいですよねえ。

武藤 実は市場規模でいうと、国内の製造業だけで年間210兆円のコストがあるので、1%でも広く最適化することができれば、2兆円規模になります。

国内の製造業だけで2兆円規模なので、サプライチェーンを持っているすべての領域や、海外に展開すると、インパクトがもっと大きくなると考えています。

我々はミッションに、「社会基盤の最適化」を掲げ、それを実現していきたいと思っています。

ユーザーインターフェースにこだわり

武藤 こちらのように、最適化AIのプロダクトは、ユーザーインターフェースにもこだわって作っています。

AIを活用するために、最近はAI/UXという話がメジャーになってきていると思いますが、最適化アルゴリズムを使って業務を回せるようにするところにもこだわって、我々はものづくりをしています。

すでに導入いただいている代表的な企業がこちらです。

関西電力、東北電力、日本触媒、日本製紙のような、生活を支える企業に導入いただいています。

尾原 まさにライフライン、インフラを担う企業ですよね。

武藤 はい。今は電気なしの生活は考えられないですし、日本触媒はおむつやペットシートに使われる樹脂を作っています。日本製紙は紙ですね。

ですから、皆さんの生活で使われているものの中に、すでにALGO ARTISの計画で作られたものがあるのではないかと思います。

尾原 インテル入ってるみたいに。

化学の生産計画SaaS「Planium」をリリース

武藤 最適化事業を行っているのですが、事業のアップデートについてお話しします。

尾原 ぜひ。

武藤 簡単な紹介ですが、ようやく我々はSaaSプロダクトとして「Planium」をリリースしました。

業界特化、スピーディーかつ低コストな生産計画を実現するPlanium(プラニウム)をリリース(PR TIMES) 

我々は、まず最適化アルゴリズムを業界のトップティアというか、大きい会社に導入していただき、複数社導入した後に、SaaSプロダクトとして展開する事業を行っています。

これを色々な領域で繰り返していくことで、社会基盤全体を最適化したいと思っています。

化学の生産計画は実はデファクトスタンダード(事実上の標準)になるようなツールがまだ存在しなかったため、第1弾という形で、我々はSaaSを提供し始めて、事業拡大を一気にしようと思っています。

砂金 これはすごいことです。

西脇さんと私は昔オラクルにいたことがあるのですが、25年前、私はERP(統合基幹業務システム)の導入コンサルティングをしていて、その手前の大学の時には、オペレーションリサーチや生産計画最適化をしていました。

商用の生産最適化でERPは、当時オラクルもSAP社も非常に高額だったので、どんなアルゴリズムで動いているのかなと思ったら、期待したほどのものではありませんでした。

今はさすがに各大手ERPベンダーも色々な工夫はされていると思いますが、意外とここを作り切れていないですよね。

武藤 そうですね。現場の方が満足するレベルで作れている会社は、他にないのではないかと思っています。

砂金 こういうものは、大手のERPベンダーが作っているよねという認識は大きな誤解です。

人によってはニッチに見えるかもしれないですが、ここを作り切って汎用化しているのは本当にすごいなと思います。

尾原 すごいですよね。

武藤 ありがとうございます。

(続)

編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美

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