電通から農家に転身!起業家が食・農業の新ビジネスに飛び込むキッカケとは?【F17-4E #2】 – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

電通から農家に転身!起業家が食・農業の新ビジネスに飛び込むキッカケとは?【F17-4E #2】

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「今、食・農業のビジネスが熱い」【F17-4E】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その2)は、若手の経営者らが食・農業ビジネスを始めた理由についてお話しいただきました。是非御覧ください。

ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 4E
「今、食・農業のビジネスが熱い」

(スピーカー)
栗田 紘
seak株式会社
代表取締役社長

田尾 秀一
株式会社ブレンド
代表取締役

安田 瑞希
株式会社ファームシップ
代表取締役

(ナビゲーター)
井上 真吾
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン
プリンシパル

「今、食・農業のビジネスが熱い」の配信済み記事一覧

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最初の記事
【新】今、食・農業の新ビジネスが熱い!【F17-4E #1】

本編

井上 ところで、皆さん80年代生まれということで比較的若い経営者だと思います。

そういった年代の方が一次産業や食のビジネスをやるというのは、日本にとっても明るい話だと思いますが、皆さんはどうして農業や食のビジネスをしようと思ったのか?ということを教えてください。

なぜ農業・食のビジネスを始めたのか?

栗田 僕は今33才で、父親が身体的に衰えていく年齢で身体を壊して病気になったり、友達の子どもに障がいや病気がある状態で生まれてきたりと、ここ2、3年で命や健康に対して「自分事」となるような問題がありました。

それらは免疫に関わる病気だったりするので、それを解決するには特に健康の中でも食がすごく大事です。

食はまさに命を作っていくものなので、それを「どう良くしていけるか」ということと、先程言った「ブルーオーシャンで、取り組まれていない課題もいっぱいある」という2つが結びついていきました。

年齢とか今までのバックグラウンドを抜きにしてやっていきたい、やっていくべきことだ、というのが今僕がやっていることの根幹に思いとしてあります。

井上 栗田さんは元々農業をやっていたり、農家だったというわけではないんですよね。

栗田 そういうわけではなく、外野でしたね。

ですが、そこにあまり躊躇もなかったですし、外野だから見えることが沢山あるという感覚はあったので、そこはむしろプラスに捉えています。

井上 安田さんは福岡が地元ですよね。

安田 はい、そして私は農家の長男です。

ここ(福岡)が地元で、今日も明日も実家に泊まるのですが、実は父も今まだ現役で農業をやっています。

これは余談ですが、私は農家の長男だったので、結局、物心ついた時から家を継ぐ・継がないということを言われて育ちました。その問題は、弟が継いでくれたので解決しましたが。

父親は直接的に言わなかったのですが、周りの親族や地域の人が(実家を継ぐ・継がないということを)言うので、農業とは10才の時からずっと向き合ってきていて、日本の農業の良いところ・悪いところ、農村文化等、いやがおうでも向き合い続けているわけです。

その中で何を思っていたかというと、今この場にいると農業が熱くなっているような感じがしますが、20年前に時を戻して考えると、農業は産業の中でも一番進んでいないし、高度経済成長時は「高度経済成長のお荷物」といわれていたような産業で、全然発展がないということでした。

中にいるとそのように言われるのは悔しかったのですが、理解できる部分もありまして。みんなあまり努力していないように感じていたからです。

農業の規模は大きくできなくても、人は変えられる

安田 この業界をどうにかしたいと思う反面、出てしまいたいとも思っていたのが22歳までで、日本の農業だけ見ていても自分の中で結論が出ないなと思い、20代前半にアメリカに行って農業に携わりました。

アメリカに行ってまず思ったのは、農業従事者の多様性です。

先程 栗田さんはご自身を外野とおっしゃっていましたが、内も外もなく、農業という産業に、多様な人間が自由に入ってくるし、自由に出ていくというのがアメリカの農業にはありました。

もちろん父親がやっているから自分もというパターンは多いですが、会社として経営しているのであまり関係ありません。

このような状況を見た時に、日本もそうやって人が変わればなんとかなる、規模を大きくするという点はアメリカには勝てないけど人を変えることはできるのではないかという思いで、きちんと農業に腰を据えて農業をやろうと決めました。それが23才の時です。

そこからはずっとその思いを「どうやるか」という感じでした。

井上 どうやるかというアプローチの部分についてお伺いしたいです。

栗田さんはど真ん中系で「ちゃんと就農者を増やそう」というところ、農家出身の安田さんは植物工場というすごく先端のところをやられていますが、それぞれどのような経緯でそのアプローチに至ったのかお聞かせください。

安田 すごく悩みましたね。

安田 20代前半で気付いたのは、農業に人を集めないとだめだということでした。

ですからどうやって農業に人を集めるかを考えました。

当時「こせがれネットワーク」というのが流行っていましたが、「こせがれ」という言葉は最初から中に絞ってるわけです。個人的には、もっと違う形ががあるのではないかと。

▶編集注:NPO法人農家のこせがれネットワークは、農家に生まれた“こせがれ達”が、将来の農業経営に対するビジョンを持って実家に戻ることを推進、就農後は、仲間づくりと経営者として成長できる場を用意し、人生を謳歌できるよう支援する団体です。(農家のこせがれネットワークHPより)

コンセプトとして、もっと外部から集めないとダメだと思っていましたが、どうするか、なかなか答えが見つからない中で、切り口を変えて、「人は何に惹かれるか」ということをを考えました。

人は「最先端」や「グローバル」に惹かれるなと思い、そういったより広い視点から入った時に植物工場は可能性はあるのではないかと思いました。

6、7年前の当時はまだまだ技術的に確立されていないタイミングでしたが、、その部分を掘ってみようと考えたのです。

このように、「人をどう集めるか」を考えた時、最先端&グローバルというスケールしやすいビジネスを選択すると良いのではないかと思ったのがきっかけでした。

井上 なるほど、一方の栗田さんは、「命」ということで絞ると様々なアプローチあると思いますが。

非農家が農業を始めるときのあらゆる困難に直面した

栗田 先ほどお話した「想い」があったので、自分で農業をやってみたいと思い、実際に個人で農業を始めました。

僕は個人で認定を取った農家ですが、すごく大変だったんです。

個人で、そして非農家で農業を始めるのが何でこんなに大変なのかということをまず痛感しました。

この大変さを全国津々浦々新しく農業を始める人はみんな体験しているわけです。

この機会損失・エネルギーロスは絶対日本の為にならないし、意欲があって農業を始めたのにドロップアウトしていく人ももったいないので、僕等が試行錯誤して苦労して積み上げてきたものを仕組みとして再構築し、新しく農業を始める人に提供してあげればいいのではないかと自然に思うようになりました。

安田 外から農業に入っていく時に、何が一番大変でしたか。

栗田 全部大変なんです。

まず農地を見つけるところですね。

安定的に生産するにはハウスが必要で、僕等は自分たちでハウスを建てましたが、建てるのも大変。

育てるのもうまくいかない。売る先が無い。

このように全部にバツがつけられるといった状況でしたので、それを1つ1つ、2年半かけて積み上げていったのですが、全部大変でした。

安田 農地の獲得以外、誰かしら教えてくれる人はいなかったのですか。

農地を買う、買わないというのは構造上の問題があるので解決策は思いつきませんが、他のノウハウ移転の部分は何かしら方法があるのではないかと思うのですが。

栗田 それぞれのポイントで師匠さんがいますね。

幸い今もパートナーさんになってもらっているベテラン農家さんがいますが、施設に関しても全国の職人さんを訪ね、良いと思った方からやり方を教わりました。

そういったことの積み上げでした。

井上 課題の1つに販路ということがあると思いますが、田尾さんは、最終的に消費する消費者に対して販路をどのように作るかということに関して、まだまだやれる余地があると思い、今のビジネスを思いつかれたのでしょうか。

「食」の「体験性」に魅力を感じてITを掛け合わせた

田尾 そうですね、私自身は「食」に入るというのを決める前から、ITやテクノロジーに可能性を感じていました。

そこに掛け合わせられない産業はこの世の中に存在しないと思っていたので、ファーストキャリアはIT系にし、自分自身のバックグラウンドとして持っておきたいと思いました。

ITをツールとして考えた時に何がいいかというと、レバレッジが効くというところが1つポイントです。

通常の店舗でやると(お客さんとの)接触面積は限度がありますが、それをインターネットを使うことによって日本全国、場合によってはグローバルに同じスキームで提供できたり、情報に関しては同じコストで運ぶことができるということを考え、そこにはまだ開拓余地があると思いました。

田尾 なぜ「食」という領域にいったかというと、半分くらいは自分自身の興味です。

実体験ベースになりますが、自分が料理を作ることが好きだったことがあり、「体験性」というところに魅力を感じました。

簡単に作れたら自分も楽しいし、食べていただいたら相手も喜ぶし、食事を囲むことによってカップルやご家族が幸せになる1つのきっかけになります。

しかし実際は、主婦の方が料理を作るのが苦痛というか義務になっているような感覚があり、それは機会損失でもったいないと思ったのです。

我々が『食材と調味料とレシピ(作り方)』をパッケージング化して提供することでそこの(苦痛と幸せの)ギャップを埋めてあげることができるのではないかと。

かつ、そこでITやテクノロジーを駆使することによって、これまでなかった提供方法ができ、価値の最大化を図れるのではないかという考えが自分の中にあったので、ここにチャレンジしてみたいと思いました。

そしてバリューチェーンという点に関しては、我々はユーザーを囲っているので、既に存在している良いものを適切な形で届ける間のハブになることにもすごく価値があるのではないかと今は思っています。

井上 ある種、栗田さん、安田さんとは逆のアプローチで、消費者側から進めていかれているということですね。

(続)

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続きは 食・農業ビジネスに必要な「消費者視点」とは? をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/城山 ゆかり

【編集部コメント】

かつて一次産業は「高度経済成長のお荷物」と呼ばれたそうですが、食・農ビジネスはこれからの日本経済を逆に牽引する存在になるかもしれません。(横井)

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