ハードウェア・スタートアップが活かすべき日本人の強みとは?【F17-8D #9】 – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

ハードウェア・スタートアップが活かすべき日本人の強みとは?【F17-8D #9】

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「社会をより良くする革新的なハードウェア・スタートアップは日本から生まれるのか?」【F17-5B】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!10回シリーズ(その9)では、登壇各社の10年後の戦略や、日本及び日本人がハードウェア開発で生かせる強みについて議論しました。是非御覧ください。

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【登壇者情報】
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
2017年2月21日・22日・23日開催
Session 8D
社会をより良くする革新的なハードウェア・スタートアップは日本から生まれるのか?

(スピーカー)
岩佐 琢磨
株式会社Cerevo
代表取締役

町野 健
KAMARQ HOLDINGS PTE. LTD.
取締役CCO

吉藤 健太朗
株式会社オリィ研究所
代表取締役CEO

三宅 徹
株式会社未来機械
代表取締役社長

(モデレーター)
守屋 彰人
ダイソン株式会社
Head of Direct

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最初の記事
【新】革新的なハードウェア・スタートアップは日本から生まれるのか?【F17-8D #1】

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ハードウェア・スタートアップの差別化戦略とは?【F17-8D #8】

本編

守屋 ありがとうございます。

皆さん強みを持ったハードウェアベンチャーですが、各社のカルチャー、理念、出自といったものは、違うものなのだなと改めて勉強になります。

守屋 この辺りで、会場からも質問を受けたいと思います。どなたか質問はありませんか?

では、琴坂さんお願いします。指名してしまいました(笑)。

質問者1(琴坂) いきなり指名をされました(笑)。


琴坂将広(コトサカマサヒロ)
慶応義塾大学
准教授(SFC・総合政策)

慶応義塾大学准教授(SFC・総合政策)。数社の起業を経験の後、マッキンゼー・アンド・カンパニーの日本およびドイツを拠点に主に海外企業の経営支援に従事。その後、オックスフォード大学に移籍し、経営学の優等修士号と博士号を取得。立命館大学経営学部を経て、2016年より現職。フランス国立社会科学高等研究院アソシエイト・フェロー、(株)アピリッツ社外取締役、(株)ユーザベース社外監査役を兼務。専門は、国際経営における経営戦略、および、制度と組織の関係。著書に『領域を超える経営学-グローバル経営の本質を知の系譜で読み解く』(ダイヤモンド社)、共編著に『マッキンゼーITの本質 情報システムを活かした「業務改革」で利益を創出する』(ダイヤモンド社)、分担著に『East Asian Capitalism: Diversity, Continuity, and Change』(オックスフォード大学出版局)などがある。

ありがとうございます。

トピックの中に、「日本」というキーワードが入っていますが、登壇者の皆様は、売る先も恐らく作っている先もそこまで日本にこだわりはない状態かなと思います。

今どのようなものづくりをしているのかもう少しお聞きしたいのと、日本というものをどのように意識しながら事業をされているのか、お聞きできればと思いました。

日本には優秀かつ賃金の安いエンジニアがたくさんいる

岩佐 僕からでも宜しいでしょうか?

弊社は、設計は全て日本です。

日本は世界で最も家電製品、ロボットも含めてですが、電気回路設計、ソフトウェア設計、メカ設計込みで、この領域のエンジニアが一番安くて豊富な国だと思っています。インダストリアルデザイン(ID)は若干弱いですが。

これは日本でしかできないことです。

多分これがまともにできるのは、日本と韓国だけだと思うんです。

守屋 分かります。

岩佐 実際、SAMSUNGは色々問題が起きていますし。

東芝さんもSHARPさんも色々大変な状況ですので、皆さんJVC(JVCケンウッド)の株価を見ていただくと、すごいことになっていますよね?、今、時価総額400億円ですからね(2017年2月当時)。

このような状況下で、非常に優秀で良い経験を持った人たちが日本にいますから、そこを上手く使う。

僕たちは日本をR&Dの拠点、人材バンクという見方をしています。

実際、シリコンバレーの方々は苦労しています。

技術のある電気回路エンジニアを雇いたいと2,000万円払っても、腕のある人間は来ない状況だと聞いています。母数がいないので仕方がないですよね。

そんな中、日本はまだ魅力があるかなと思っています。

守屋 素晴らしい。オリィさんお願いします。

ALS患者が生き生きとできるモデルケースへ

吉藤 日本は先程の話のように、高齢の方々がとても増えています。

それともう一つ、「人口呼吸器をつけると」いう発想に関しても、実は日本が一番「つける」という選択をする方が多い。

他の国の方々は、体が動かなくなるのであれば「死んだ方がマシだ」といったことで「つけない」選択をする方が多い。

実際、ALSにかかり呼吸器をつけている方が日本では3割ほどいるのですが、世界では9割の方がつけない選択をしています。

死ぬ選択をするんです。

ALSという病気の方だけでも、世界でおそらく50万人程の方がいます。

この病気は、意識ははっきりしていて、今まで喋れたのに喋れなくなる。

呼吸、体が全く動かなくなり、色々な人に介護されながら生き続けますか?あるいはここで呼吸器をつけない選択をされますか?ということです。

一度つけてしまうと誰も外せませんので、自殺もできない。そのため、9割の人は生きない選択をするわけです。

私は、それは本当にあり得ないと思っています。

吉藤 そもそも生きる、生きないは、どのような要因で選択されうるのか?

多くの人に聞くと、家族に迷惑をかけたくない、自立できないからということが圧倒的に多い。

だからこそ呼吸器をつけるという選択をする人は本当に少ない。

少ないけれど、日本はそれでも世界で一番つける選択をする人がいる。

そして、呼吸器をつけ、在宅医療が受けられる国は、限られた地域の例外を除いて、いまのところ日本だけなんです。

だからこそ、世界に対するモデルケースに十分なり得るのではないかと私は考えています。

まずは日本を考えています。

今ノルウェーといった北欧でも取り組みをしているのですが、在宅が認められないので、ずっと病院にいることになりますし、サービスも不十分です。

福祉大国と言いながら、そこは本当に不十分なので、まずは成功事例を作る意味で、日本から社会を変える必要があると思っています。

守屋 ありがとうございます。

日本人の企画力やプロダクトを仕上げる能力は高い

町野 KAMARQは、経営チーム、ブレインワーク、企画チームは日本人にこだわっていくのですが、弊社はすでにインドネシアの売上の方が大きい状況です。

やはり話が一つ一つ桁が違うんですよね。

少し動くと、数十億単位の案件がゴロゴロ転がっている状況です。

日本は主従でいくと、従の従です。

日本人がいるのでやりやすいですし、外国人からすると日本での事業は難しいので、やらない理由はないのですが。

町野 日本で成功しなければ世界に行けないということではなく、それを待っていると負けてしまいますので、僕たちはアジアをベースにして大きくしていきたいなと思っています。

日本はチームだけで、その部分は少し日本にこだわっていますが、日本での事業はやらなくても良いという位で考えています。

琴坂 なぜ日本人にこだわっているのか教えていただけますか?

町野 ベースの経営陣が日本人ということもありますが、僕は持論として、世界的車のデザイナーは意外と日本人が多いように、日本人の企画力や、プロダクトを詰めていく・上げる能力は高いと思っています。

本社はシンガポールにあるのですが、日本で法人を持つこと自体にもこだわっていません。

日本人メインで取り組み、海外で成功する。

海外で成功する会社を作ったというベンチャーは少ないので、その事例になりたいという思いもあり、今お話したようなことにこだわっています。

メイドインジャパンという強み

三宅 弊社のロボットは今まだメイドインジャパンなんですね。

特に中東に持っていくと、メイドインジャパンは非常に受けが良いんですよ。

三宅 スタートアップの製品だとしても、メイドインジャパンの看板で売ることができ、非常に引き合いが来る。

メイドインチャイナではないから良いという評価をやはり受けます。

当面はメイドインジャパンでいくつもりですが、数が増えてきた場合は、一部組み立てだけ海外生産といったことも出てくるのかなと思っています。

守屋 私は、前職はオンライン、インターネットの会社で働いていました。

オンラインのコンテンツは実はローカル色が強いと思います。当時、日本で成功したものを海外に持って行っても難しいと痛感したのですが、ハードウェアは日本のお家芸ですし、価値が普遍的という印象があります。

4社様含め、日本にあるハードウェアベンチャーを見ると既に海外で成功されている会社様もいますが、日本での成功を、海外でも成功させ、5年後、10年後はどうなっていたいのか?

皆さんにうかがいたいと思います。

三宅さんからお願いできますか?

10年後にはどのような会社であってほしいか

三宅 ロボットが工場の外でも使われる世界観を実現したいと考えている会社なので、そのような世の中を作り、その何割かが弊社の製品という世界を目指しています。

守屋 なるほど、ありがとうございます。町野さんいかがでしょう?

町野 僕たちが例えるのであれば洋服業界です。

以前はDCブランド、安い服というカテゴリーでしたが、機能性洋服のような所でユニクロが出てきて、洋服業界では革命が起きてきました。

実は、家具業界にはベンチャーがほとんどありません。

洋服業界と同じように、家具業界もKAMARQという会社が出てきて、「あそこの家具、知ってる、知ってる」という状態にする。

ものづくりとしてはきちんと良いものを作っていくのですが、弊社はブランディングがとても重要だと思っています。

5年10年スパンの地道な取り組みをベースにしていきたいと思っています。

守屋 ありがとうございます。

吉藤 5、60年後は…

守屋 オリィさん、あの、5〜10年後です(笑)。

吉藤 5、60年後だと思っていました(笑)。

(会場笑)

かなり長くなっていましたね。

守屋 5、60年後でも大丈夫ですよ。

自分がいなくなっても孤独を解消する研究が続いてほしい

吉藤 いずれにせよ、私が会社を作った理由でもあるのですが。

私が、1人大学でロボットの研究をしたければそのようにしても良かったのですが、あえて会社にした理由は、私がいなくてもこの研究が続くようにしたかったんです。

「孤独を解消するぞ」ということは、私の経験からくるもので、ある意味私のパッション的部分ですが、一人では絶対に限界がありますし、いつか私はまた倒れる時がくる訳ですよね。

その時にも、孤独という問題が解消され続けるようなものを作っていくためには、社会をシステム化しなければならない訳です。

それが何かというと、要するにお金が回るということです。

市場があり、従事する人たちが沢山いるという状態です。

吉藤 今は誰も「人の孤独を解消しよう」ということをうたっていませんし、取り組んでいません。

しかし、私がいなくなった後、5、60年後ではまだ早いのかもしれませんが、先程お話したように市場ができ、今取り組まれている「男女差別についての当たり前」のようなレベルで、「寝たきりの人や、病気だからと学校に行けないのはあり得ない」という考えが当たり前になる。

このように孤独という状態を作り出さない方法、体が動かなくても、精神が健康であれば生き生きと死ぬ瞬間まで人生を楽しめ、それが当たり前の世界を作る必要があります。

5、60年でできるとは思えない部分もありますが、将来私がいなくなった後も、弊社ないし、他の会社さんにより、「人の孤独を解消しよう」が当たり前になっていく。

それが私のやりたいことです。

守屋 ありがとうございます。

岩佐さんはどうですか?

100ラインナップ × 100ヶ国 × 100台

岩佐 弊社は定量的な目標があります。

「100、100、100の法則」と呼んでいるのですが。

守屋 単位は何ですか?

岩佐 100種類の製品を5年後に出していたい。

今弊社の製品は、大体3年位のライフスパンがあり、1年当たり33製品出せる体制です。

今の倍ですと少しキツイのですが、2.5倍位の体制になればできると思います。

100ラインナップを持ち、それを100ヶ国で、100台ずつ売る。

守屋 100台ずつ。

あくまでニッチなんですね?

岩佐 はい、絶対にニッチです。

守屋 それだけの商品を出していると、1個がもし大当たりした場合そこに投資を集中しようという発想になるのでは?

岩佐 それは、サクッとパージする(切り離す)ので、誰か買って下さいとなりますね。

GoProが話題になったけれど落ちているように、そこに集中した結果苦しんでいる人たちが多いと思います。

僕たちの考え方はそこに合っていません。

守屋 でも、世界的なグローバル企業のコアテクノロジーは、結局1分野だったりしませんか?

主にGoogleさんであればサーチ、Amazonであればeコマースというように。

目標としている会社は旧松下電工

岩佐 それはそうだと思います。

一方で1分野だけれど、100どころか1万製品出している人たちもいます。

弊社が目標としている部分がある会社は、旧松下電工さんです。

松下電器、Panasonicではなく、電工ですね。

蛇口やコンセント、ケーブルを作っている電材屋さんです。

ドアを作っていたり、変なものを沢山作っているのですが、松下電工さんの全盛期のカタログを見ると、電話帳のように分厚かったんです。

紙のカタログでは大変なので、今はCD-ROMになっています。

あのような会社のイメージです。

一個一個の製品は非常にニッチで、「こんな変な形の蛇口どこに使うの?」という商品ですが、「この2つの水道配管をこの条件で繋ぐには、松下電工のこのアダプターがなければできない」ということを沢山作っている会社でした。

これを今の時代に焼き直し、インターネットを上手く使い製品を認知させて、世界100ヶ国の、先程の話でいう「配管問題」で苦しんでいる人たちに対してソリューションを提供するということはできるのではないかと思っています。

そうすると、極論ですが100、100、100で100万台売れるという話になるので、1個1万円の利益があるのであれば100億円の利益になるじゃないですか?

もちろん綺麗に100、100、100とはいかないと思いますが、そこまで途方も無い目標値ではないと思うので、今はそこを目指しています。

守屋 ありがとうございます。

他に質問のある方はいらっしゃいますか?

(続)

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続きは 【終】世界に展開するハードウェア・スタートアップの顧客サポート体制はどうあるべきか? をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/本田 隼輝/鎌田 さくら

【編集部コメント】

この記事を読んで、日本の将来に少し希望を持てました。(横井)

続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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