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「モバイル・プロダクトサービスは今後どう進化するのか?」8回シリーズ(最終回)は、テーマでもある進化の方向性を討論します。スタートアップは何を目指すべきか、キーワードとなるもの、今後出てきそうなサービスを議論するなかで、モバイル=テクノロジーという結論が導き出されます。是非御覧ください。
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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2018は2018年9月3日〜6日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
ICCカンファレンス KYOTO 2017のプラチナ・スポンサーとして、ジョブカン(株式会社Donuts)様に本セッションをサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2017年9月5-7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017
Session 4D
モバイル・プロダクト/サービスは今後どう進化するのか?
Supported by ジョブカン
(スピーカー)
岩田 和宏
JapanTaxi株式会社
取締役CTO
菊池 新
株式会社ナビタイムジャパン
取締役副社長 兼 最高技術責任者
松本 龍祐
株式会社ソウゾウ (登壇当時)
代表取締役社長
※現在は、メルペイ取締役CPO 兼 メルカリ執行役員
村上 臣
ヤフー株式会社 (登壇当時)
執行役員CMO
※現在は、リンクトイン・ジャパン株式会社 日本代表
(モデレーター)
須藤 憲司
株式会社Kaizen Platform
代表取締役
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最初の記事
1.モバイルビジネス、プロダクトサービス創りに携わる登壇者が徹底議論!
1つ前の記事
7.法規制と共存しながら新たなモビリティサービスを創るには?
本編
須藤 最後に、「モバイル・プロダクトの進化」というテーマなので、進化の方向性を皆さんに聞きたいです。
どのように進化していっているのでしょうか。
村上 その意味ですと、スマートフォンが出てガラケーの時から一番変わったのは、ソフトウェア、つまりアプリが自由にダウンロードできるようになったことです。
マーケットプレイスから音楽も含めて色々なものが手に入るようになりました。
それが世界に繋がったことだと思います。バリエーションが非常に増えました。
そこから進化してきて、大体日々使うものがある程度固定化してきて、市場で言うとよく使うアプリは誰に聞いても5個以内に収まっているそうです。
持っているのは10個くらいで、あまり量を使っていません。
ですから大きいところがひたすら大きくなっていくという構図になっていて、今市場が走り始めています。
ではこの後 何が起きるかというと、強いところがより強くなるというところもありつつ、やはりカバーできない領域、ニッチとか、カテゴリーごと、いわゆるバーティカルキラーのような形の特化型がもう一度盛り上がる時期に来ているかと思います。
ですからスタートアップの方達はある程度のボリュームが見込める、例えば100万人とかのバーティカルの領域というのは価値として存在しうるので、その市場のシェアを取りきれば多分大きなところが良い値段で買ってくれると思います。
リアルタイム性が今後のモバイルサービスの鍵
須藤 具体的ですね!
村上 具体的なアドバイスでいうとこのような感じです。
このようなスコープやこれまでの進化の歴史を踏まえて、岩田さん。
今後の進化の方向性に対するキーワードなどはありますか。
岩田 リアルタイム性かと思います。
IoTにしても色々なセンサーが出てきて、リアルタイムに情報を吸い上げて、それがビッグデータになり、それを解析してリアルタイムにユーザーまで反映できるという仕組みができてきました。
またICOではないですが、IoV(Internet of Values=価値のインターネット)のところもリアルタイムに送金しあったりという世界になります。
ソーシャルレンディングのようなものもリアルタイム性により、より中間にかかっていたコストがいかにシームレスになくなってくるのか、どう発展していくのかで大きく変わっていくと思います。
須藤 リアルタイムってとても面白いですね。
リアルタイムもそうですが、先を予測するとか時間のずらしが価値になっている気がしています。
そもそも金融は先にお金を払うとか後に払うとか、この間のスプレッドを取るものです。
村上 基本的にそうですね。それで利益を作っていますね。
須藤 だからCASHが出てきたのはその時間の間をずらしているその価値ですよね。
リアルタイムとかこれから先の予測とか、後払いなどは価値として面白いと思います。時間をずらすということです。
より可視化される与信
村上 その意味でも、クレジットカードの支払いが1か月後でもいいというのは、その人の与信です。
与信の価値としてそれを提供されているわけです。だから与信についてはまだまだできると思います。
中国であれば「ゴマ信用」という人の与信を管理するシステムがあります。それにより実生活に差が出ています。
信用が700以上であれば何かを借りる時にデポジットを取られないとか。
実際にリアルの世界にも波及していて、皆それをあげるために一生懸命いろいろなサービスを使っています。
このようなサービスが出ており、人の与信というのは一つ大きなプラットフォームとして日本にはこれから出てくるのだろうなというところです。
またそれを使ったいろいろなサービスは金融以外にも出てくると思います。
須藤 そのようなことをやっているメルカリの松本さんに注目しているキーワードをお聞きしたいと思います。
松本 与信についてですが、メルカリの評価はファミリーアプリで共通に見られるようになっています。
まだ具体的に進められていませんが、これは今後他社さんにもこの評価の仕組みを出すことをやっていきたいと思いっています。
キーワードとして、モバイルによってリアルタイムは大きいです。
そしてもう1つは常時端末を見られることによって情報の非対称性が減ってきているところはまだ見えていないところで、もっともっと世の中を変えていくと思います。
その中の本当に1つがCtoCだったり。
須藤 非対称性がまだたくさん残っている。
松本 そうですね。情報はだいぶん減りました。
しかし、今度は規模の経済が生きるところでの資本を持っている・持っていないというところで非対称性があるけれども、テクノロジーで自動運転などによりリアルなところの非対称性が減ってくるともっと変化が起きるという大きな流れのところにあると思います。
モバイルサービスの進化が物流を変える
須藤 それは具体的にこういうこととか、これに注目しているとかありますか。
松本 やはり物流は非常に大きなインパクトですよね。
また先ほどのICOなどもそうですが、会社というものがあり、お金を集めているから個人より強いよねという時代も終わりつつあると思います。
ここが大きなポイントです。
須藤 ICOが好きすぎて、このあともう1時間くらい話してしまいそうです。
村上 物流でいうと、「空車」で走っているタクシーに荷物を載せて走るのは法律的にダメですか?
岩田 都内はダメですが、地方ではやり始めました。
多分その流れになると思います。
松本 バス会社のヤマトさんとかもありますよね。
岩田 そうですね。
村上 空車で、いわば空気を積んで走っているのはもったいないですしね。
須藤 あれが取引できるようになると良いですよね。
村上 タクシーを呼んだ時に取っておいてもらえると良いですけどね。
岩田 そこでアマゾンで頼んだ商品がもらえるような。
村上 そうです。
岩田 最高ですね。
村上 もしくは駅でタクシーを予約しているときに、荷物がきているのでシステム連携をしてヤマトと話しておいてもらって、名前を入れた瞬間に荷物の有無が判明して営業所に行ってトランクに積んで駅に来て荷物と一緒に運んでくれるような。
重い荷物があるときなど便利ですよね。そのようなことをやったら良いのにと思います。
その分、ヤマトはお金が浮くので100円くらいキャッシュバックするとか。
ユーザー還元もできそうですし。そこには結構可能性を感じます。
須藤 必ず動いていますしね。
村上 動いているしもうあるし、少しつなげれば大きなインパクトになりそうだと悶々と思っています。
Web is dead. からもう1度ウェブ時代が来る?
須藤 そのようなビジネスをされている菊池さんは何に注目されていますか。
菊池 先ほど村上さんから1人がダウンロードするアプリは5〜10個とおっしゃられていましたが、これからまたウェブの時代が来るのではないかと考えています。
株式会社ナビタイムジャパン 取締役副社長 兼 最高技術責任者 菊池 新氏
というのは、この議論は昔からありますが、端末のCPUがとても速くなってきて5Gで高速になるとサーバーでできることが非常に多くなっています。
またウェブの方がアクセスログが確実に取れるのでユーザーの状況が把握しやすいということで、ウェブの時代がまた戻って来るかという気もしています。
皆さんのご意見もお聞きしたいです。
松本 1つ、アプリがダウンロードされなくなってきたことに対して、スタートアップの「出口としてのウェブ」というのはSEOドリブンだったりとか、一定数ずっとあり続けると思います。
もう1つはAndroidではインスタントアップだったりとか、ウェブを使うということとアプリを使うということの概念自体が曖昧になるのではないかと思っています。
村上 アプリだと思って使っているものが、実はHTML5で動くものだったり、ローカルキャッシュだけだったりするので、そこの業界は本当に曖昧になっています。
ここは検索の寿命があとどのくらい続くかということが、ウェブの世界で言うとあるのではないかと思います。
検索というテクノロジーが出て結構時間が経つので、そろそろ検索のサービスは賞味期限を迎えるのではないかと思っています。
検索技術の賞味期限切れによる「がらがらぽん」が起きそう
須藤 音声が出てきたらどうするのですか。
村上 音声もなんだかんだ検索エンジンが動くのですが、ディープラーニングやAIの進化によって割とこの周辺で解決したりとかグーグル型、つまりロボットがクロールする型の検索エンジンはもうワークしなくなってきているかもしれません。
ただ検索ということはするのでしょうが、テクノロジーが賞味期限を迎えて、この5〜10年で「がらがらぽん」が起きそうな気がします。
そのときにあったクライアントのアプリやお客さんが接するものとして何が最適化かを結構考えます。
須藤 岩田さんはどう思われますか。
岩田 皆さんがおっしゃる通り垣根はなくなってきていると思います。
しかし、まだどの入り口から入るかというのは分かりません。
アプリだとストアがあってという流れがあるので、一般ユーザーがどこまでこの入り口を、入り口が1つになるかどうかは分かりません。
ただディープリンク(アプリからアプリへ移動していくこと)などが既にありますし、検索してもアプリへの直リンクとかを貼ったりするようになってくるので、そこは混ざって来るのかなと思います。
村上 選択肢が多すぎるし、ニュースも多すぎるし、情報過多です。
このソーシャル時代において、キャラクターみたいなものもありますが、既に「誰に言われたから信じる」という時代に入っています。
同じニュースでも松本さんから聞いたのと須藤さんから聞いたので受け取り方が違って来ると思います。
そう考えるとあまり情報の正確さは関係ないのかと思います。
お金のことに関してもCASHの話が出ましたが、実際はメルカリに出したらもっと高く売れたりヤフオクに出せば高く売れるけれどもよく分からないから「500円でいいか」と言って送ってしまう人が多いわけです。
これは経済としては正しくない動きをしているけれども何らかのロジックによってユーザーは動いています。
つまり意思決定のロジックが変わってきているのだと思います。
須藤 最後はぜひ松本さんにまとめて頂いて、このセッションを終わりにしたいと思います。
(登壇者 笑)
モバイル前提のビジネス・UXの議論が必要
松本 今回分かったことは、モバイルプロダクトの進化ということでしたが、モバイル単体にはあまり興味がないということです。
あくまでモバイルは当たり前になったのでテクノロジーやサービスの進化とニアリーイコールになってきているということが明確になったかと思いました。
須藤 最後に村上さんお願いします。
(登壇者 笑)
村上 (笑)。
まさにその通りで、「モバイル」と頭に付くこと自体がほぼダサくなっている状況です。
チーフモバイルオフィサー(CMO)と言っているのが恥ずかしくなってきたので、僕もヤフーをやめることにしました。
(会場 笑)
さらにスマホは全員持っているという前提にようやく立てます。
今までであればガラケーを持っている人がいるかもしれませんでしたが、もう前提として全員モバイルスマートフォンを使っているので何をしましょう、という話になります。
よりこのビジネスの話やどのようにお客さんと接するかという話やユーザーエクペリエンスをどうするかという話になってきます。
今日の登壇者に共通している興味として、エンドユーザーの体験についての話をしていました。
人間は選択肢が増えれば増えるほど面倒だと思うものです。
面倒なことはしないので、シンプルにきれいにすぐ使える、そしてリアルタイム性がさらに増しています。
だから少しも待ってくれません。ちょっとでも引っかかりがあると使ってもくれません。
そういったところを捉えていくというのがこの1年くらいの進化の正しい方向だと思います。
須藤 きれいにまとまりました。
スピーカーの皆様に盛大な拍手をお願いします。
(終)
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/浅郷 浩子/本田 隼輝
【編集部コメント】
与信で社会での階級が決まるという海外ドラマを見たところだったので、ドラマの中だけの話ではないのだと驚きました。物流サービスのイノベーションのくだりは、読んでいてワクワクします。考えさせられる問いかけも多く、学びの多い討論をどうもありがとうございました!(浅郷)
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