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「人工知能によって人間の仕事は代替されてしまうのか?」や「ヒューマンオーグメンテーション(Human Augmentation=人間拡張)テクノロジーが人間の存在をどう変えうるのか?」といった、20〜30年後の人工知能時代を見据えた問いを第一線の研究者たちが真剣に議論。ICCカンファレンス TOKYO 2016の参加者から賞賛を集めた、最先端研究の動向に関する記事を是非ご覧ください。
(その3/最終)は会場参加者からの質問等を通じて、人工知能時代に求められるビジネスの戦い方や教育といった、議論を踏まえての具体的なアクションについて議論しました。
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【登壇者情報】
2016年3月24日開催
ICCカンファレンス TOKYO 2016
Session 3B
最先端研究の動向(人工知能 コグニティブ IoA)
(スピーカー)
武田 浩一 日本アイ・ビー・エム株式会社 技術理事
松尾 豊 東京大学大学院 特任准教授
暦本 純一 東京大学大学院情報学環 教授/ソニーコンピュータサイエンス研究所副所長
(モデレーター)
田川 欣哉 takram design engineering 代表
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▶「最先端研究の動向(人工知能 コグニティブ IoA)」の配信済み記事一覧
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最初の記事
「IoTからIoAへ」最先端の研究者が考える人工知能と人間の未来
1つ前の記事
「人間の仕事はAI(人工知能)に代替されてしまうのか?」最先端の研究者が描く知能と生命の境界
本編
田川 僕もちょっと聞きたいことが大分はっきりしてきました。AIは道具だろう、というときに、2つ質問しますね。どなたに答えて頂いてもいいんですけど。
聞いていくと、道具は道具なんだけど、先ほど暦本先生もおっしゃっていたように、道具側が人間を擬似進化させるようなシナリオもあるから、それは相互関係の話だよね、と。
主客がある訳ではないよねという相対観をお持ちなんだと思うんですけど。
とはいえ、AIが「One of 道具」だとしたら、何でみんなこんなに、議論が社会的に巻き起こっているのかという現象を、ちょっと引いて見る必要があると思います。
人工物と人間の関係を考えるときに、人間機械系みたいな話をしますけど、例えば機械人間系だったりとか、人間機械機械系だったりとか、人間人間機械機械系だったりとかっていうのが、今まではある程度、いち人工物と人間の紐付きというのはありましたが、ネットワーク化したりとか、チェーン化していくというのが、猛烈に進むんじゃないかと思っていています。
僕はどちらかというとデザインの仕事をしていますが、仕事の中でその気配を感じることもあるんですね。
そうしたときに、Human-centered design(ヒューマンセンタードデザイン:人間中心設計)とか色々ありますけど、Machine-centered design(マシンセンタードデザイン:機械中心設計)という言葉が、例えば台頭してくるであるとか、そういうこともあり得るなと思ったりしています。
そういう辺りの話で、思うところがあればというのが、1個目の質問です。
もう1つは、道具的な進化もしていくような話の中で、その技術をどうやって社会にきちんと実装していくのかっていうところについての、問題とか懸念とか色々あると思います。
多分皆さんそれぞれ実際にお仕事をされている中で、お一人おひとりなりの、自分はこういう風に実装しているっていう、テクニカルにこういう実装すれば、社会に根付くはずだという、フィロソフィーというか戦術を持っていらっしゃるような気がします。
それをちょっと教えて頂きたいです。
人間が世代を超えて継承される能力は変わる
武田 では最初に…後者の方の話で、道具だと思っていたものが、いつのまにか自分の能力を一部デグレードさせるような形になっているという指摘があります。
例えば、漢字が書けなくなってきたとか、本来子供の頃に持っていた能力が失われて、要するに人間が変わっていることを、意識しないですけれども、世代をこえて継承される能力が変わっていっているというのは結構真剣なことだと思います。
身近な例では、LとRの発音は、生後12ヶ月ぐらいまでにちゃんと聴かないとその感覚器官は成長しないと言われているので、その後はずっとLとRを聴き分けられないとか。人間はそれぐらいやっぱりデリケートなものですから、例えば医師が、本来は患者に対してすべき判断が、その一部を代替されることで、自分の本来の能力が変わっているかもしれないですよね。
そういう影響というのは長期的に観察しないといけないことですから、やはりその便利な部分と本来人を成長させるとか補う部分が、ちゃんとバランスしているということを、ある意味タスクを通して確認すべきだと思います。
そういう意味で、AIが人を置き換えるという議論以前に、人の能力をどれくらい膨らませるかということは真面目に考えた方がいいのかなと思いますね。
田川 有難うございます。どうですかお2人は?
暦本 最初の方の論点について、なぜ道具なのにAIだけすごいというのは、多分、最初に戻りますけど、職種とか社会の変わるスピードが速くなりそうだということが、目に見えてるからだと思うんですよね。
それはインターネットもそうだったんですけど、如実になくなってしまう、影響をうける職業がありそうだというのは、ちょっと考えたら想像できててしまう。しかもそれが広範囲で起きる。
そうすると、「じゃあどうするんだ」というところで、いいトンカチが出来ただけでは、大工さんは失業しないかもしれないけれども、いいトンカチでは済まないことが起きるなと皆気づいているということですね。それはAIだけでなく、インターネットも含めてあらゆるテクノロジーが持っている本質的な性質ではあるのですが。
でも、それはポジティブに考えると新しい職業を創ることかなと思っています。
どんな時代でも人間性が大事
松尾 職業がなくなるか?というのは、それほど心配ないんじゃないかなと思っていまして、そんなになくなると思いたいのかなと思っています。
なぜかというと、普通に考えるとまず、その国が儲けないと意味がないし、日本の産業競争力をどう上げるのかというのが最初に来て、そのあと所得をどう再分配するのかっていう話がある。
両方大事なんですけれども、全体で貧しくなっているのに、職業の話をしてもしょうがないんじゃないかと思うんですね。
職業がなくなるのか、なくならないのかで言うと、なくならないと思っています。なぜかというと、今でも例えば、アフリカ諸国ではGDPは非常に低いですけど、失業率が80%とかになっているかというと、別に普通に働いているわけじゃないですか。
そこはそういう経済が成立していて、それの根本要因は何かと言うと、僕は生産性とかそういうことではなくて、人間性だと思っています。
例えば、ある人が100のお金を持っていて、その友だちが1のお金しか持っていなくて死にそうですというときに、100の人は耐えられないんですよ。
だから、自分の友だちに仕事をあげて10になるからと言って、仕事をやらせるんですよ。
そうすると10もらった友だちは、そのまた友だちに3やるから仕事をしてと言うんですよね。
それは、自分の友だちは自分に近い存在であってほしいという人間性のところから来ているから、だから僕はいくら富が偏ったとしても、結局それは、そういう風にしてまた平準化されるし、それは別に産業革命のときに資本家と労働者とで起こったことと一緒なんで、そんな変わる話ではないと思います。
あと、デザインの仕事とかは、僕は結構代替されると思っています。
ディープラーニングの生成モデルというので、新しいデザインを創るとか、デザインの中間を創るとかというのがどんどん出来るようになっています。
この前デザイナーの人と話をしていて、すごく面白いなって思ったんですけれども、そのデザイナーの方も、仕事の大部分というのは、もうアシスタントにやらせているんだと言っていました。
僕はこれは別にそんなに悪いことだと思っていないんだけど、「アシスタントが持ってきたデザインをいいのかどうかというのを判断するのが、一番自分の仕事だと思っているんだけど、どうなんですかね?」と問われました。
僕もまさにそうだと思うんですね。
試行錯誤で色々創るところなんかは、別にコンピューターでやればいいと思うんですけど、これが本当にいいかどうかっていう判断、特に今まで一回もマーケットに出ていないものに対して、これは本当にいいか感じられるところが、多分デザインの能力の本質になっていく。
そういう変化は起こっていくと思います。
田川 なるほどね。たしかに、バリエーション・ジェネレーターみたいなたくさん選択肢を示してくれて、そこから選んで更に選択するというのはプロトタイピング的な話なので、デザインの作業でいうと、そういう仕事をしている人の仕事はなくなるかもしれないですね。
ただ、高次に意味を組み立てていくみたいなところになると、たしかに結構個性が出てくるので、その個性というのは、試行錯誤のいち選択の積み重ねで様子が変わってくるので、そこはたしかに人間の仕事として残るかもしれないですね。
松尾 多分それはお医者さんとか、コンサルタントとかも全部一緒だと思うんですね。
アシスタントが裏でやる診断の判断とかは、そういうのは別に自動化されると思うんですけど、それをどうやって相手に説明するのかとか、顧客が持っているニーズなり、その要望をどうやって汲み取るのかとか、そういった辺りは対面のコミュニケーションなので、そこが重要度や付加価値が上がってくる領域じゃないかなと思います。
田川 やばいですね。IT業界でやっている人たちとかEQが低い人いっぱいいるじゃないですか。だから、みんな心に手をあてて、人間性のない人は仕事が出来ないんじゃないかという(笑)。
松尾 厚労省で、AIと働き方の議論をしていたときに、ある人が言っていてすごく面白いなと思ったのが、結局色々話を聴いていると、AIの台頭っていうのは男の危機ですね、男性の危機ですねという話がありました。
だってコミュニケーション能力が高い方が有利なんだから、人としゃべるのが嫌いでコツコツ一定の仕事をする方が代替される訳なんで、基本的には男性が非常に不利な社会になると思います(笑)。
(会場笑)
田川 面白いですね(笑)。
暦本 職業予測の研究でも、保母さんのような職種が一番ずっと残ると言いますね。保母さんは多分絶対AIやロボットじゃ出来ないみたいな。人間を元気づけたり動機付けたりする行為は機械では代替しにくい。
あと、去年佐村河内さんというニセ作曲家が話題になりましたよね。バックエンドに(実際に作曲していた)新垣さんがいましたよね。しかしこの議論で言うとリプレースされちゃうのは実は新垣さんのほうなのですよ(笑)。
(会場笑)
暦本 こうやってあの(頭を抱えて)「この苦悩から曲が…」みたいな人間力で売るタレントはかえって機械では置き換えられない。
(会場笑)
田川 有難うございます。そしたら会場からも2、3質問を拾いたいと思います。
挙手で2つくらいとれると思いますが、どうでしょうか。
質問者1 立命館大学(現在 慶應義塾大学の准教授)の琴坂と申します。貴重なお話を有難うございました。
先ほど最初に隣同士で議論したことでもあるんですけれども、やはり多分経営者の方々も気になっているのは、この先FacebookとかGoogleとか、そういうところが寡占するようなテクノロジーベースの世界なのか、それとも小さい会社が生き残る世界なのかという点です。
前者であれば、そういった前者が支配する世界なので、小さなスタートアップはどうやって生き残っていけるのかということに関して、もしご意見やご見識があれば教えて頂きたいなと思います。
スタートアップが戦うべき領域は?
松尾 例えば、ディープラーニングについて言うと、ほとんどが論文で公開されていますし、それからオープンソースも商用利用可で出ているので、利用するのは全然問題ないと思います。
そこが競争力にはならないだろうと、皆もう思っていて、どこが競争力になるかというと、データとハードウェアだと思いますね。
個別の領域で、データを速くとった方が勝つに決まっていて、精度も上がります。
そのため個別の領域ごとに、いかにゲリラ戦でデータをたくさんとっていくかというのがスタートアップの勝ち方なんじゃないかな、と思いますね。
田川 武田さん、深く頷いていらっしゃいますけど、どうですか。
武田 そうですね。大学の方の就職なんかをみていても、最近の学生の方は大体インターネット系の企業のところに人気が集まっていて、おそらくIBMだけではなくて、富士通、日立、NECというこれまでのIT企業というところは、ほとんどスキップされているような印象ですね。それはおそらく、データを持たない企業だからということと、そのせいで面白いサービスが作り出せないという悪循環なのだと思います。
それでWatsonのデベロッパー向けクラウドサービスで世界中で400社、500社のパートナーの方からの独創的なアイデアを実現する、そういうところを通して新しい取り組みを始めています。IBMのグローバルの力と発想力を合わせてCogniToys(コグニトイズ)*というような教育のおもちゃだが出来たりしました。このような発想力のあるスタートアップの方との連携というのがポイントです。
*「Watson」を活用することで、あらゆる質問・疑問にユーモラスに答へ、子どもの心を掴む知育玩具「CogniToys」。動画も是非ご覧ください。
ほかにもスタートアップ企業の方とは、データを集めるような環境がないのであれば、そういうどこかのクラウド(例えばIBMであれば医療データを3億人分の2次利用可能なデータがあるとか)でデータとサービスの連携という形で大きくするといった手段もあると思います。
当初のデータの規模というのはまだ制限されているので、それを少しずつユーセージが上がるような形のサービスに成長させるといった発想力が重要になると思います。そういう形で、色々試して失敗しながら、最後に1つでも2つでも上手くいくようなものを見つけられるようなモデルがあればいいのかなと思います。
田川 そうすると身の回りを観察して、人が気づいていない、こんなデータの取り方があるんだとか、というところがひとつまずはミソになっていくということなんですかね。
武田 そうですね。特にエッジデバイスで、色んなユーザーの行動データとかをとれるようになってくると、かなり色んなことが分かると思います。
今のところ、まだそこまではデータが観測出来ていないから、分かっていないですけども。
田川 分かりました。有難うございます。では、他に質問をお持ちの方いらっしゃいますか。
質問者2 森・濱田松本法律事務所の堀と申します。
ビジネスカンファレンスなのに個人的な興味から聞いてしまいますが、幼少期の息子をもっております。
子どもの教育という意味で、AIが当たり前の世界で、何を子どもに備えさせたらいいだろうかというところを非常に興味深く思っていまして、ご意見を伺えたらと思います。
AI時代に子供は何を学ぶべきか?
田川 有難うございます。
暦本 そうですね、この前学生と話していて、今後は機械翻訳が進むのだから英語勉強しなくていいですかねと聞かれて、うーん、さすがにいいとは言いえないか、と思ったことがあるんですよね。
で多分、個人的には、今私がやっている研究は、ほとんど子どもの頃の漫画とかSFとかそういうののほぼ延長なので、そういった発想が出てくるプロセスや発想訓練はは守りたい感じですね。
ある種のトレーニングして出来る技能は機械学習でも出来ちゃうかもしれないんですけども、発想のところはやはり大事かなと思います。最近CSL(ソニーコンピュータサイエンス研究所)所長の北野が言っているのは、ノーベル賞をとるようなリサーチプロポーザルをその内AIが出すだろうと、そこも分かんないですけど、ただそういうところですかね。
そこは実は非常に難しい問題を抱えると思います。
松尾 英語とかプログラミングは、今の中学生とか小学生ぐらいまではやった方がいいんじゃないかなと思いますね。
その先は分からなくて、英語がいらないならやらなくていいんじゃないですかという気もしますし、いずれにしても、重要なのは時代が変わっても重要なのは、人間力なのですよ。
(会場笑)
田川 なんか禅の世界ですね。人間を磨く(笑)。
松尾 たくさんの友だちと遊びましょうとかね。
田川 今日すごく思うのは、お三方とお話してて、技術が進めば進むほど、人間を磨いていく必要がありますみたいなことですね。
松尾 僕は思うんですけど、最近ふと気づいたのが、僕が学生を見ると、最近の学生はやる気ないなと思うんですよね。
でも僕も学生だったときに、先生はそう言っていたなとか、先生の先生もそう言っていたらしいなとか聞くとですね。
やっぱりやる気はなくなっていくもんだ、と。で、これってどういうことかって考えるとですね。
経済が発展している訳ですよね、GDPが増えていると。で、GDPが増えるっていうのは一体どういうことかというと、AというサービスとBというサービスがあります、と。で、同じ効果をもたらしてくれるんだけれども、Aの方は楽ができて、Bの方は楽ができませんというときに、どっちにお金を払いますかっていうと、多分Aの方にお金を払うんですね。
ということは、価格が向上しているっていうことは、結局楽をさせて楽しませてくれるように社会がなっていっているということだから、人間としては多分堕落していく一方なんですよ(笑)。
(会場笑)
田川 堕落しても生きていけるということですね。
松尾 そう考えると、今度堕落させないサービスというのが出てきてもいいはずで…
(会場笑)
田川 例えば、どういうことですか(笑)。
松尾 生命性を上げるような危険な目に合わせるサービスとかですね。
(会場笑)
松尾 留学がいいと思うのは、留学とかすると海外に行くと、本当にみんな危険を感じたりするので、「あっ、やばいな」と思って、「頑張んなきゃ、ちゃんとしなきゃ」とか思ってですね、すごく活性化するという面があると思うんですよ。
戦うとか危険な目に合うとか多分すごく大事で、だけど、今の社会で本当に危険な目に合わせて、たまに死んじゃったりしたらダメなんで、死なないように、本当には危なくないんだけども、危ない感じがめちゃくちゃするような体験をさせるという、そういうことが重要なんじゃないかと思います。
(会場笑)
田川 有り難いお話を有難うございます。
武田 多分ですね、ロボット研究とか、脳の測定の技術が上がったことで、色んな意味で知見が増えていると思います。
特に幼児期の教育で言うと、まずは話し言葉ですね。音声情報処理を先にちゃんと育成したあとで、文字教育をした方が逆よりはずっといいと思います。
それは、人のいわゆる発展の過程が、そういう感覚器官のトレーニングに合わされているという生態的なものですね。
またその母国語を話すときに、無理して英語の教育教材を小さいときから教えると、母国語の能力が落ちるという報告もあります。
そういうあまりにも詰め込み過ぎるということは、注意をされた方がいいのかなと一般的には思います。
ただ、これは極めて実験的なので、極端にゲーム脳につくるとか、本当に極端な幼児教育をすることで、今まで全くなかったような人間が出来る可能性がありますので(笑)、それはちょっとオッズは低いですけど、チャレンジかもしれないですね(笑)。
(会場笑)
田川 毎日ね、危機に合わせ続けるとかね(笑)。
武田 ロボットの研究で、触覚と聴覚と同時にやる活性部位が、1+1が2以上になるというのは、大阪大学の石黒先生の研究であるので、複数のモダリティーで何か接せられるというのは意外といいのかもしれないですね。
田川 それはあれですか、叱りながら叩くみたいな、それはあるいは、良かったとかいうことですか(笑)。
(会場笑)
武田 そうかもしれないですね(笑)。
田川 分かりました。有難うございます。他にどうでしょうか。
質問者3 (弁護士の)水島と申します。本日は興味深いお話を有難うございました。
バイオの分野でですね、再生医療であるとか、細胞自体が細胞を選択して何かの化学反応を起こしてですね、物事を解決したり、あるいは治療をしたりですね、再生したりということが起こってきていています。
機械的なAI的な話でもどんどん出来ることが増えていって、そこはもっとつながっていくんじゃないかなと思っていいます。
さきほど身体をどんどん代替していくというのは、機械であってもいいし、バイオであってもいいと思うんですね。
出来ることの円が重なりつつあるんじゃないかなと思っていいます。そこのインターセクションというのは、これからどういうになっていくのかということを、お伺いしたいなと思いました。
松尾 バイオの研究とか製薬とかそういったプロセス自体が、すごく高度化していくというのは1つあると思います。
やっぱり(iPS細胞の)山中先生の研究とか、それも比較的近い時期に色々つくれるようになるんじゃないかなって気もします。
本当に複雑なものがどこまで出来るかっていうのは分からないですけれども、たしかにロボット化するんじゃなくて、新しい臓器で置き換えていくみたいなことが起こるのかもしれない。
そうすると、ちょっと話として面白いなと思うのは、マインドアップローディングとかですね。
ちょっと怪しいんですけれども、自分の意識をアップロードすることが出来るのかとかいう議論がありますが、自分の脳と全く同じハードウェアを持ったものが出来たときに、構造をコピーすることが出来たらそれってどうなるんだろうとか?
そういった辺りの話というのも、もしかしたら面白いというか、そんなに遠くない話なのかもしれないなという気はしますね。
田川 有難うございます。
時間が終わりに近づいてきたので、お三方からですね、締めのメッセージを、会場の皆さまに投げて頂ければと思います。
こんなことに取り組んでいきますとかでもいいですし、ビジネスをやっていらっしゃる方も多いので、こういうことを一緒にやりませんかということでも結構ですので、順に武田さんからよろしくお願いします。
武田 Watsonで日本語のAPIが2月にソフトバンクと恊働で6つ発表したんですけれども、まだまだですね。本当に50個もあるAPIが皆さんのアペタイト(Appetite)に合うようなものになるかは、まだかなり時間がかかるかなと思います。
そんな中でも特にやりたいのは対話ですね。膨大な知識がバックエンドにたまったときに、聞ける手段がSQLだと全然使えないです。
やっぱり何らかのコミュニケーションによって、効果的に引き出すということを対話を通して、人の尺度に合わせた情報インターフェースが必要だと思います。
個人的には特に対話を重視したいなと思っています。もしご興味があれば、色々とご一緒にやらさせて頂きたいなと思います。
田川 有難うございます。では松尾さんお願いします。
松尾 僕はやっぱりディープラーニングで、特に画像認識がすごいと思うので、人間が意識していないんだけども、すごい認識の仕事をしていることとかたくさんあって、そういうところがどんどん自動化されますという世界は、僕は非常に巨大だと思っています。
そこをどんどん狙っていくといいんじゃないかなと思っています。
田川 有難うございます。
暦本 ARにパーセプションみたいなのが入ると、人間の原始的な能力が拡張されるとか機械を意識しない一体感とか、今までのARの定義と全然違うような発展をすることも思っています。
HCIとかARとかVRとか、私の分野ではそういう用語で一応規定して20年ぐらいやっていたんですけど、その定義そのものが壊れるというか壊したいというのが一番やりたいことですね。
田川 有難うございます。それではこれでこのセッションは終わりにしたいと思います。
今日はお三方を囲んで、皆さんとディスカッション出来て、楽しく過ごせたと思います。お三方の皆さま、どうも有難うございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/藤田 温乃
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