「単月黒字化までバディが伴走、余剰利益はグループ内で100%共有」ボーダレス・ジャパンの社会起業家支援の仕組みとは? | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

11.「単月黒字化までバディが伴走、余剰利益はグループ内で100%共有」ボーダレス・ジャパンの社会起業家支援の仕組みとは?

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「ソーシャルビジネスが世界を変える!」全14回シリーズの(その11)は、ボーダレス・ジャパンが取り組むユニークな社会起業家支援の仕組みについて。各社が独立経営しつつも利益やノウハウを共有・活用する、ボーダレスグループの「恩送り相互扶助システム」を詳しく解説いただきました。ぜひご覧ください!

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2019年9月3〜5日
ICCサミット KYOTO 2019
Session 12F
ソーシャルビジネスが世界を変える!(レクチャー編)

(スピーカー)

今井 紀明
認定NPO法人D×P
理事長

高田 修太
一般社団法人HLAB / 株式会社エイチラボ 共同創設者・理事
プロマジシャン

田口 一成
株式会社ボーダレス・ジャパン
代表取締役社長

村田 早耶香
特定非営利活動法人かものはしプロジェクト
共同創業者

(スピーカー&モデレーター)

三輪 開人
特例認定NPO法人 e-Education
代表理事

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最初の記事
1. 孤立する10代の若者にセーフティーネットを(認定NPO法人D×P 今井 紀明さん)

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10. ボーダレス・ジャパンは、“ソーシャルビジネスしかやらない”社会起業家のプラットフォーム(代表取締役社長・田口 一成さん)

本編

ボーダレス・ジャパンの社会起業家支援の仕組みとは

田口 今お話しした社会ソリューション、ビジネスモデル、成功事例をたくさんつくるために、3つの仕組みがあります。

1つめは「起業家採用」の仕組みです。

「社会問題を解決したいという思いはあるけれども、実際事業をやるノウハウや自信がない」という人に対して、まずは我々ボーダレスグループに来てもらい、最長2年間修業した上で起業を許可する、という形をとっています。

2つめは「起業資金」の仕組みです。

起業するときにお金がないと困ります。創業資金や成長するための投資など、お金に心配することなく事業に、社会問題の解決に集中できるようにしています。

3つめは「バディ制度」の仕組みです。

修行があってお金があれば事業を成功させられるかというと、そうではありません。

難しいのは、マーケティングには非常に経験値が必要であるということです。

そこは経験のある専門家がついたほうがいいので、黒字化するまではマーケティングの専門家がバディとして伴走します。

事業プランニングからマーケティング・経営まで

田口 入社後は、このようになっています。

入社してから最長2年間ぐらい修業できて、では事業をつくろうという話になったときに、事業プランニングに入ります。

事業プランニングは、僕が担当します。

30社ありますが、すべて僕が伴走してやっています。

グループ社長会の承認を受けて新しく会社を設立した後は、単月黒字化するまで、バディがマーケティングを支援し、デザイン、システム開発にかかる費用をすべて無料で請け負ってやっていきます。

その後、経営支援、総務、経理、法務、いわゆる事業開発に関わらない経営ごとはたくさんあるので、そこをすべて請け負う形で、起業家が事業づくりに集中できる環境をつくります。

この戦略づくりや、マーケティングの支援をするバディは、毎月1~2社立ち上がって、それを全部伴走していくので、すごい経験値になっていきます。

シリアルアントレプレナー(連続起業家)は2~3社やったら経験豊富と言われますが、バディたちは1人で3~4社の面倒をずっと見ています。

毎月新しく出てくる会社の成功請負人としてやっているので、面白いし、やりがいがあるし、なかなか他にそういう仕事がないので、当然辞める人は出てきません。

僕も当然辞めません。

(会場笑)

ですから、今年よりも来年、伴走力が上がります。

3年後はもっと上がっているという形で、起業家をどう成功させるかを色々実験しながらやっています。

身銭を切って育てた事業を、他者と分かち合えるか?

田口 そうやってアイデアを事業にするのも大切ですが、僕は「どうやったら世の中に広げられるか」のほうがもっと大切だと思っています。

例えば、先ほどの中米グアテマラの話を、皆さんが自分でやったと仮定して聞いてください。

そのモデルができるまで、実際3年かかりました。

その間にお金はどんどんなくなります。

1社立ち上がるまでに、僕たちはだいたい5,000万円ぐらいのコストをかけています。

もしそれを自分でやるとしたら、3年間給料なしで貯金を切り崩しながらやることになります。

そうしてようやくできたグアテマラの女性たちのための養鶏事業です。

世界中に広げたいと思いますか? もちろん「イエス!」ですよね。

「そのために、自分の身銭を切ってやってきたのですから」と言いますね。

さらに、あなたが「世界を変えたい」と語るインタビューが有名雑誌に掲載され、それを僕が読みました。

僕はあなたを訪ねていきます。

「◯◯誌で読みました。“世界を変えたい”とおっしゃって、素晴らしい事業だと思います。僕はパラグアイに行って、この事業をやりたいと思います。ノウハウを教えてください」

さあ、どうでしょうか? 「どうぞ」と言いますか?

悩ましいですね。気持ちとしてはありますが、まず「あんた誰?」となりますよね。

ましてあなたは3年間貯金を削りながらやってきたのですがから、それを“ただで教えてください”とは……と当然なります。

「あなたは、本当にいい人なんですか?」

「儲けようとしていませんか?」

実際にそう思っても仕方がないようなことが、世界では本当に色々なところで起こっています。

事業の世界だけではなく、もしかしたらNPOの世界でも起こっているかもしれません。

いい寄付者がいたら、みんなシェアし合っているでしょうか?

自分が一生懸命やってきて得たものは、そう簡単にシェアできないものです。

でも僕は、それはもったいないと思っています。

家族経営ではない「身内化」の仕組みで助け合う

田口 では、どうやったら広がっていくでしょうか?

口では「世界のために広げたい」と言いながら、実際広げたいという人が現れても、断っているわけです。

それでは広がるものも広がりません。

ではどうしたらいいかと僕が考えたのは、もし僕が皆さんの弟だったら、どうなのかということです。

弟であれば、「いいよ。お前、やってみろよ」とどんどん教えるし、むしろお金もサポートし、「スタッフも5人ぐらい送るから、頑張ってパラグアイに一緒に行ってこい」と言うのではないかと思いました。

これはなぜかというと、身内だからです。

身内は回りまわって自分のものというか、1つのチームという感じです。

これを本当の身内だけでないといけないとすると、家族経営しか成り立ちません。

ですがビジネスの世界でどうできるかと考えたときに、もしかすると財布を同じにしたら、赤の他人同士の会社も身内のような関係にできるのではないかと思いました。

身内というのは、何かあったときにお互い助け合えるというベースメントがあります。

そういうベースメントをつくれたらと思っています。

余剰利益は100%グループ内で共有、共通ポケットへ

田口 具体的には、グループ内で毎月1社以上が新しく立ち上がっていますが、その利益を100%共有しようという形で集まっています。

正確に言うと、余剰利益です。

利益はウンチみたいなもので、健康であればウンチが出まるように、健全な経営をやっていれば利益は出ます。

ですが、ウンチを出すために生きているわけではないのと同じで、利益を出すために事業をやっているわけではありません。

余剰利益は、なかなか悩ましい世界です。

そこで、「余剰利益をみんなの共有ポケットに入れるということも、可能なんじゃない?」という発想に辿り着きました。

それが、スライドでで示した「仕組みその1」です。

グループの全社長による合議制と、独立経営の採用

田口 そうして集めたお金を、共同体としてグループ全体で運営していこうというのが「仕組みその2」です。

共有ポケットの余剰利益をどう使うのか、グループ制度をどうするかは、全社長での合議制で運営されています。

新しく事業を創るときに、グループの全社長の承認を受けるステップがあります。

毎月1~2社立ち上がると言いましたが、全社長がZOOMで集まって、満場一致でないと承認されません。

1人でも「ノー」と言ったら却下です。最終承認者は僕ではありません。

すべてがグループ内の全社長の合議制で行われています。

その上で独立経営をしており、採用や投資、報酬、社長たちの報酬を僕は知りません。

図のようなイメージでやっています。

余剰利益が出たら共通のポケットに入れます。

そのお金を使って、先ほどお話しした、新しい社会起業家をサポートします。

バディによる支援やデザイン、システム開発がすべて無料と言っていたのは、この共通のポケットからすべて負担されているからです。

恩を送り合い、相互扶助する「恩送り」システム

田口 そうした支援を受けながら頑張って何とか黒字化できれば、今後は「恩返しをしたい」と思うようになります。

自分が成功したのは先輩たちが出してくれた利益を使わせてもらったからであり、今度は自分がお金を出す側に回りたいと、いわゆる「恩送り」の形です。

この余剰利益はみんなのものなので、自分が直接ノウハウの関係があるパラグアイとグアテマラの話だけでなく、グループ内にいる人はみんな助け合う関係ができています。

恩を送り合う、お互いに支え合う、相互扶助のシステムをつくっています。

各社が独立経営しつつも、利益は共有・活用するとなると話は変わってきて、「仲間が増えることはいいことだ」に変わってきます。

先ほどは「あんた、誰?」と言いましたが、「この仕組みの中でやるのだったら、仲間がどんどん増えていったほうがいい」となります。

そうすれば、アイデアやノウハウがグループ内の他社に共有されて、結果世界に広がっていくというようにしています。

僕たちはこうやって「いい会社をたくさん増やして、いい社会をつくりましょう」という1つの合言葉で集っています。

(続)

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続きは 12. ヒントは吉本興業のお笑い養成所? 社会起業家を育てる「ボーダレスアカデミー」 をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/小林 弘美/戸田 秀成

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