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「人生は旅である。旅についてアツく語ろう」全5回シリーズの(最終回)は、旅から自分が学んだことを発表。遊びの旅、息抜き旅、ビジネスの旅、人生という旅。モデレーターの宮宗さんも交えて、それをがいかに自分の人生や仕事を豊かにしているかを語ります。最後までぜひご覧ください!
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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。
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【登壇者情報】
2019年9月3〜5日
ICCサミット KYOTO 2019
Session 10D
大人の教養シリーズ
人生は旅である。旅についてアツく語ろう(90分拡大版)
(スピーカー)
大前 創希
DRONE FUND
共同代表パートナー
小田 健児
株式会社 電通
クリエーティブプランナー
西井 敏恭
株式会社シンクロ 代表取締役 /
オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員CMT
宝槻 泰伸
探究学舎
代表
山下 貴嗣
Minimal -Bean to Bar Chocolate- 代表
(株式会社Bace 代表取締役)
(モデレーター)
宮宗 孝光
株式会社ドリームインキュベータ
執行役員
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「大人の教養シリーズ 人生は旅である。旅についてアツく語ろう」の配信済み記事一覧
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最初の記事
1. 旅を愛する5人が語る、思い出の旅、笑撃の旅(写真付き)
1つ前の記事
4.不確実な時代を生き抜く力は、学校ではなく「旅」で学ぼう!
本編
旅は一人派? それとも誰かと一緒?
写真左から、電通 小田さん、シンクロ西井さん、探究学舎 宝槻さん
西井 僕も、男友達と行くことがほとんどですね。一人で旅行に行くと新しい人に出会えると思っています。逆に、複数人で行くとその人たちと仲良くなります。
だから使い分けですね、一人で行くのも良いと思っています。昔はいろんな人に出会えるので、一人で行くのが好きでした。
僕はシンクロという会社を経営しているのですが、そのウェブサイトを見てもらうと、僕が常に旅行に出ていて滅多に会社にいないという悪口が書いてあります(笑)。
ただ、うちの社員のほとんどは、旅先で出会って仲良くなった人たちです。
だから本当にドラクエみたいに、どんどん仲間にしてきた感じですね(笑)。
宮宗 全員が日本人ですか?
西井 僕の隣にいる人は、イースター島で出会って、その隣の人はビジネスで会っているけど、もともと旅行仲間で、よく離島に一緒に行くです。
その他、チベットやブラジルで出会った社員もいます。
旅に行った先で仲間を増やしているので、採用コストはゼロです。
僕が行った国の数が139、隣の人は100、そして39、27、14、42と続きます。
39ヵ国しか行ってないなんて、僕たちからしたら雑魚なので(笑)、39ヵ国に行っている社員は、社内では旅好きキャラではありません。
山下 39って、世間一般から見るとかなり行っている方ですよね(笑)。
西井 14ヵ国しか行っていない彼は、引きこもりだと言われています。
(会場笑)
旅を通じて、不便も楽しめる仲間だと再確認
西井 面白いことに、行ったことのある国の数 ✕1万円が大体、それぞれの社員の月給です。
勿論、例外はありますが、行った国が多いほど仕事ができるのではないかという仮説を持っています。
3年後には、行ったことのある国の数 ✕1万円を月給という制度にしたいと思っています。
宝槻 そしたら月給14万円の人もいますね。
西井 うん、それでいいかなと思います(笑)。そうすると、優秀な人材を安く採用できます。
宝槻さん、何ヵ国行ったことあります?
宝槻 10ヵ国……10万円くらいですね。
西井 ほら、こういう優秀な人材を10万円で採用できるわけですよ。
(一同笑)
宮宗 旅から帰ってきてから盛り上がるのですか?
西井 現地で一緒に旅行して行動していることが多いですね。イースター島で出会って1週間ぐらい一緒にいて、そのあとブラジルのワールドカップで合流してまた1週間とか。チベットの山越えをして、ネパールまで行ったとか。一緒に苦労を経験することが多いですね。
宮宗 日本人でなくても問題ないのですよね?
西井 日本人でなくてもOKです。社内には、常駐しているモンゴル人のエンジニアもいて、彼と一緒にモンゴルに行きました。
旅行で色々な人に出会えるので、やっぱり旅行は良いと思います。
宮宗 一緒に行動すると、内面が見えるのですか?
西井 先日、1週間モンゴルに行っていたのですが、電気も電波もなくて、馬でしか行けないところに6日間いたのですが、1日馬に6時間乗って、湖を目指すというようなルートでした。
そのモンゴル人エンジニアが毎年行っているので、今年は一緒に行こうと思ったのです。そしたら、社員の5人が一緒についてきました。
社員の5人と、スマホをいじることなくキャンプファイヤーを囲んでいると、その人の知らない一面を見られて、そういう環境を楽しめる人だったということも見えましたね。全員そうでした。
自分の会社には良い人が多かったんだな、と改めて感じることができました。
「旅採用」の利点とは
宮宗 では最後の質問です。
「『旅』の何が良いのか?」
これ以外にも、是非これは言っておきたいということがあれば、併せてお願いします。
山下 皆さんが回答を考えている間に、一つお話しします。ちなみに僕も結構、現地でリクルートをしています。
私が現地にいない間にカカオを買う段取りなどをつけてくれるのは、現地で最初に出会ったドライバーとか農家の次男とかですね。
例えば、ニカラグアではメモさんというあだ名のギジェルモさんにお願いしています。ベリーズ、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグアとずっとドライバーをしてくれた人です。
ドライバーは、ギャングに襲われないようにとか、悪路でも行けるとか適切に引き返すという判断ができることや、きちんと知識を持っていなければ務まりません。
仕事をきっちり計画通りするとか、失敗した時にきちんと謝れるとかいうことも、ドライバーの仕事からよく見えるのです。さきほど言っていた、意思決定もそういうことだと思っています。
彼はニカラグア出身なので、僕が年に数回行く際、専属で手伝ってくれています。彼が各農家からカカオを手配してくれて集めているので、行った後もスムーズに動けます。
各国現地に、そういう人が徐々に増えてきて、ビジネスも楽になります。
宮宗 それは強みになりますね。
西井 そうですね、だからベンチャーも旅採用は良いと思います。
旅は気づきの嵐、出会いの嵐
宮宗 ではこの最後の質問、小田さんから回答をお願いします。
小田 気づきの嵐、出会いの嵐ですね。僕の仕事はクリエイティブ関連なので、アウトプットのためにはインプットが必要です。先日の旅でも100個ぐらい気づきがありました。
宮宗 山下さんも、違う角度で物事が見られると言っていましたね。
小田 逆に行かないとあまりアウトプットが出ないかもしれいないです。デスクでずっと仕事をするよりは、近くでもいいから散歩に出る方がいいですね。
今日も何もしなかったなと同じ天井を眺めてうたた寝するのなら、心地のいい別の場所がいい。移動した分だけ、インプットが得られるのだと思います。
宮宗 クリエイターには、旅好きが多いのですか?
小田 多いですね。なるべく人と重複しないところに行きますね(笑)。西井さんがおっしゃていた、ハワイに行かない理由に近いです。
自分が行かなくても、人が行ったところの情報もインプットになるという感じです。
旅と仕事は別物ではなくなっていく
西井 趣味を持つべきだとよく言われますが、趣味ではなくても、熱中できるものを持つのは、すごく良いことだと思います。
それを持てるだけで、人生がとても楽しくなりますよね。
僕にとっての旅はとても楽しいもので、休暇だからというよりもむしろ、息を吸うように旅をしています。だから移動も苦ではありません。変わったところに行くのもストレスではありません。
宮宗 もともとそうではなかったのですよね?
西井 はい、違いました。でもやっていくうちに好きになって、旅によって色々変わりました。
もう一つ、旅が少し変わってきていると思います。
昔の旅行、例えばパックツアーが1.0だとすると、自分で決める旅行は2.0です。
人類の歴史上、移動はどんどん進化してきて、移動距離も増えています。
日本人にとって旅は休暇、仕事の反対の位置にあることが多いと思います。
しかしインターネットの発達で、移動空間と仕事の垣根がなくなっていくのではないかと思っています。
ですから旅と仕事が別物だったのが、掛け算で混ざっていくと思います。
最近ファッションでも、仕事にも旅にも使える服が売れていて、スーツケースも、出張と旅行どちらも使えるものが売れています。
僕はもっと旅行が進化すると考えています。
僕の会社の目標としては、2022年のW杯に向けて僕がカタールに家を借りて、社員全員がカタールで仕事をし、そのまま夜はW杯に行くぞと言っていて、そういう働き方をしたいし、そうやってビジネスも変わっていくのではないでしょうか。(編集注:このセッションは2019年9月に行われています)
人生は師匠に出会う旅である
宝槻 僕がこのセッションに呼ばれた時、人生は旅だとあったので、まず思い浮かんだのが「人生は師匠に出会う旅である」という言葉でした。
これは、僕が20歳ぐらいのときに禅寺の和尚さんから教えてもらった言葉です。曹洞宗の開祖である道元が言ったことらしいです。
▶編集注:鎌倉時代初期の禅僧 道元は『学道用心集』で「正師を得ざれば学ばざるにしかず」「参禅学道は正師を求むべき事」と、仏道を学ぶ際に正しい師匠を得ることの重要さ、難しさを説いている。自身も正師を求めて、中国へ渡っている。
この「師匠」は、文字通りの意味ではなく、仲間や、自分の持つ価値の相対化が起こる出来事、好きなものややりたいことなどが含まれているのです。
そのとき和尚さんは、野に咲く花や石ころを人生の師匠にできる瞬間があって、そういう場面に出会っていくことが重要で、それを重ねていくのが人生だと言いました。それが、非常に当時の自分に刺さったのです。
21世紀の人類が、自分の人生を資本主義の仕組みの歯車としてではなく、自身の人生を主人公として生きていくときに、心の中で見るべき美しさや価値観を見つけたいと思っていて、そういう意味でこの文脈で言う師匠に出会えるために、旅が必要だと言っている。
偶発性や人との出会いが大事だということも今日、話題に上がりましたよね。
今日のセッションは、この言葉を改めて噛み締められた時間でした。
自分にとって必要なことが見えるようになる
Minimal -Bean to Bar Chocolate- 代表 山下 貴嗣さん
山下 僕は20代の頃、六本木の夜、あのキラキラした世界に憧れていました。ああいうところに行ってみたいと思っていました。
岐阜の大学を出てきて、そういうキラキラした世界に憧れ、実際行きました。普通に飲んで、今でも行きますが、東京で仕事を15〜6年ほどして、ずっとその世界にいるので好きとか嫌いとかあまり考えなくなっていたのです。それが当たり前になって、思考停止になっていました。
でも気がついたんですよ。朝、日が昇って農家の人とかカカオの畑に行って、昼はしんどくなるから彼らは仕事を止める。そして昼寝してお酒を飲むのです。夜のギラギラした社会より、こういうゆったりした生活の方が、自分は好きかもしれないと気づいたのです。
クーラーは快適ですよね。でも、クーラーのない国に行って、暑い日にめちゃくちゃ汗をかきながら仕事をして、ちょっとだけ日陰に入って、日陰の涼しさに気づく。その方が好きかもしれないとも思いました。
小さいことでいうと、毎朝、大体同じ質素な朝食が出るのですが、美食家ぶっていたけど、毎朝同じものでいけるな、とか。僕は途上国に行くから余計にそう思うのかもしれませんが、自分の人生にとって豊かなことは何で、あったら嫌ではないけれど、必要ではないことがはっきりしました。
旅によって、自分の人生にとって大事なことや、必要なことがはっきり見えるようになったのです。
より広く相対化できるようになったので、客観的に外から自分を見て、これは必要、不要ということがすごくよくわかるようになりました。
こういうことがわかる旅は、自分の人生を豊かにするきっかけだと思いますね。
宝槻 僕と山下さんの言っていることは、ちょっと似ていると思いませんか?
山下さんの会社のビジョンをお聞かせ願えませんか? ギラギラした六本木の夜の街では出会えなかったものだと思います。
山下 Minimalが2100年のときに、チョコレートを新しくします。
今は、お菓子と高級ショコラしかないのですが、将来はワインのように、カカオ農家がスター農家、スターチョコレートメーカーになり、例えば「ホンジュラスのこの農家の西側一角のカカオが今年は美味しい、100枚しか生産できないから1枚10万円」というような、チョコレートを選ぶ新しい選択肢が生まれてきて、新しい文化として根付いていくという世界を目指しています。
そうすれば今は遠い生産地と消費地がもっと近づいて、皆さんの人生を1つだけでも、豊かになるかもしれない選択肢を提示できる、そんな未来が来たらいいなと思っています。
(会場拍手)
宝槻 旅で出会った人からきたものですね。
山下 農家はアーティストだと思って、リスペクトしているので、そこからですね。
五感、全神経が刺激される
宮宗 では最後、大前さん、お願いします。
大前 ハワイが嫌いな方もいるかもしれませんが(笑)、これはハワイのラナイで撮った、100年前ぐらいに座礁した沈船の写真です。
僕は写真を撮るのが好きで、瞬間を切り取るのが好きです。
皆さんは今、これらの写真を見ているだけですが、旅に行くと5つ味わえます。
つまり、見る、聞く、触る、食べる、嗅ぐです。僕はこの写真を見ると、それら全てを思い出せます。
僕は皆さんの5倍、この写真を楽しんでいるわけで、それが旅ではないかと思います。
西井 めっちゃ良いこと言いますね、その通りだと思います。
大前 旅では、五感全てで楽しむことができます。
僕は写真を見せてすごいだろと言いたいわけではなく、写真を見て、行きたいなと思ってほしいのです。
写真を見て視覚だけ、1つだけでも良いなと思ったとしたら、その5倍は楽しめる可能性があるということです。というくらい、旅というのは全神経が研ぎ澄まされて楽しめるということです。
宮宗 五感が刺激されるということですね。
大前 まさにそのとおりです。行かないと、空気の匂いがどうだったのかとかわからないし、現地の食べ物が意外においしくないというのがわかったりとか。そういうのも旅の要素なのかなと思います。僕は写真や動画を撮るのが好きなので、最高の画が撮れたらそれだけで幸せです。
宮宗 ありがとうございます。皆さん、それぞれの方法で楽しんでいるのがよく分かりました。
やはり、楽しむことにつながるのが旅なのでしょうね。
新しい価値観が生まれる旅に出よう!
宝槻 最後にモデレーターの宮宗さんからも、「私と旅」について一言をお願いします!
(会場拍手)
宮宗 ちょっと真面目な話をしていいですか? 私は結構仕事に追われている人間なので、2011年まで全く旅をしませんでした。
でも東日本大震災のあった2011年、12月30日に1年を振り返ってみて、何をしたか全く思い出せなかったのです。まさに仕事がルーティンになっていたということで、自分はそんな生き方をしたいと思っていないのではないかと感じました。
それで、土日だけの短い旅も含めて、2012年から友達や家族と一緒に10ヵ国ぐらい訪れました。
それが、違う刺激があって楽しかったのです。師匠みたいな人や出会いもあって、どんどん楽しくなってきて、仕事もしながら休みも取って、今も旅をしています。気づきもありました。今日は話の中で、私も感じた同じキーワードがたくさん出てきて嬉しかったです。
旅は、まさに五感が刺激されるものだなと思いますね。
西井 ちょっとだけでも踏み出せば、変わりますよね。
宮宗 何か良さげだなと思ったり、写真を見ていいなと思ったら、1日2日休んでもいいから行ってみるべきではないかと思います。ベンチャーの経営にもそういうことがよくあると思うのですが、思い切ってやってみることが必要だと思いますね。
パプアニューギニアは……ちょっと嫌だなと思いましたが(笑)。
西井 とりあえず、飛行機を買ってしまえば行かざるを得なくなるし、行けば何とかなりますよ(笑)!
山下 カカオ農家、行きますか? 命の保証はできませんが(笑)。
宮宗 南米は行ったことがないので、では思い切って次は……。
西井 そういうトライをするのって、素敵ですよね。ちなみに僕は、オイシックス・ラ・大地の役員をしていて、自分の会社もやっているので、めちゃくちゃハードワーカーです。
朝から晩までずっと働いていても苦にならなくて、旅先で働いていても平気なのですが、旅行が好きだから時間を作って、無理やり行っています。旅行と仕事、ミックスした感じになるといいなと思っています。
日本の制度だと旅行に頻繁に行くのが難しいので、それを壊したいという思いもあります。
それで違う生き方や違う価値観が生まれればいいし、日本にそういうバリューが出てくるのではと思って、まずはうちの会社はその方向で行こうと、実践しています。
宮宗 それを具現化しているのが、素晴らしいですよね。ずっとうかがっていたいですが、そろそろ時間になりました。
最後に、素敵な写真とエピソードを披露してくれた皆さんに大きな拍手をお願いします。
ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/大塚 幸/戸田 秀成
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