「IoTやAIによって人間社会はどう変わるのか?」【K16-1A】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その3)は、フォトシンス河瀬さんが開発するスマートロックロボット”Akerun”を活用したビジネス現場における事例と今後の世界観についてお話頂きました。是非御覧ください。
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【登壇者情報】
2016年9月7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016
Session 1A
「IoTやAIによって人間社会はどう変わるのか?」
(スピーカー)
落合 陽一
筑波大学助教 ・ メディアアーティスト
河瀬 航大
株式会社フォトシンス
代表取締役社長
矢野 和男
株式会社 日立製作所
理事 研究開発グループ技師長 兼 人工知能ラボラトリ長
(モデレーター & スピーカー)
中村 洋基
PARTY
Creative Director / Founder
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最初の記事
【新】IoTとビックデータの活用で3分間の歯磨きが劇的に変わる(PARTY中村)【K16-1A #1】
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スマートロックロボット『Akerun』が人間の生活や行動を変える(フォトシンス河瀬)【K16-1A #2】
本編
“鍵”に関するIoTプロダクト
河瀬 弊社内でものづくりを全部行っているので、かなりのスピードで開発を進めています。
例えば、Akerunというプロダクトから、Akerun Remoteというブラウザで鍵を開けることが可能になるプロダクトです。
Akerun Touchというスマホをかざすだけで鍵が開くプロダクトもあります。
Akerun Entranceは、マンションの自動ドアのドアホンや自動ドアのコントローラーの部分に設置することで、スマートフォンで自動ドアが開くものです。
Akerunは実際の使われ方
実際の事例ですが、NTTドコモさんと一緒にホテルの予約システムと連携して、ホテルのフロントでの鍵の受け渡しや宿泊客が名前を書くやりとりをしなくて済むように、スキームを作りました。
ホテルのフロントで名前を書いてカードキーを受け取るようなやりとりは、宿泊前にインターネットでホテルを予約する際に名前を入力しているので、面倒ですよね。
なので、スマートフォンがあることによって、自分の名前を認識して、ホテルの部屋まで顔パスで行けてしまうような仕組みを作りたいと思っています。
また、HOME’S(ホームズ)さんと一緒に、不動産の内覧システムを作りました。
仲介会社さんと管理会社さんが、いつ内覧に行くのかというコミュニケーションをスマートフォン上で行うことで、内覧の日時が決まったタイミングで、仲介会社さんがわざわざ鍵を受け取ることなく、部屋の鍵の開閉が可能になるようなシステムです。
三井不動産と一緒に行っているのは、どこでもオフィス化プロジェクトというもので、三井不動産さんの空いているテナントで机と椅子がある物件に、Akerunを設置して、企業にお使い頂きます。
社員はそういったスペースに出勤することで、本社に行かなくても働くことが出来ます。新しい働き方を提唱するプロジェクトです。
僕らが狙っている市場ですが、まずは電気錠の市場が大きいです。
例えば、大企業のオフィスでは、一般的に指紋認証やカードリーダーを使用されているのですが、1つ当たり70万円ほどのコストがかかります。
どうしてかと言いますと、電気錠自体は15万円程度しかしなくても、LANケーブルや電源のケーブルを壁の中に設置したり、認証リーダーや制御盤を設置したりすることで、コストが高くつくためです。
なので、まずはこの市場を徹底的に狙っていきたいと思っています。
更に、高齢者や子どもの見守りサービスの市場です。例えば、私は鹿児島出身なのですが、鹿児島にいる両親が歳を重ねたときに、遠隔地にいると今どこにいるのか、徘徊していないだろうかなどが心配になって来ます。
Akerunによって、両親の入退室の履歴が確認出来れば、見守りサービスとして活用出来るのではないかと思っています。
先ほど申し上げたホテルのフロント業務の代替や、店舗のアルバイトの勤怠管理、不動産の内覧業務に加えて、更に魅力的に感じているのは、貸宿やデッドスペースなどの鍵の受け渡しの場面で、Akerunを有効にお使い頂けると思っています。
「Akerun Pro」は本来人間がするべきではない煩わしい仕事を代替する
実は、先々月の7月にAkerun Proというプロダクトを発売しました。法人向けに、よりロボット要素を加えたプロダクトです。
こちらの動画をご覧下さい。
これがAkerun Proです。鍵がネットに繋がることは非常に面白いと感じております。
入退室データは、誰がどこにいるのかというデータがとれますし、出退勤管理も出来す。それらのデータを使うことで、これまで人間が労力を割いていた通常のオペレーションをAkerunが少しでも代替出来ればと思っています。
例えば、高層階のオフィスから1階に降りてから雨が降っていることに気が付いて、上の階まで戻って傘を取りに行くことがあると思うのですが、そういう場合には、Akerunが出かけ際に「傘を持って行って下さい」と声を掛けてくれます。
また、Akerunはインターネットにつながっているので、地震の際には「地震です、安全を確保して下さい」と声を掛けてくれ、自動でドアを開けて避難経路を教えてくれます。入退室データを元に、最初に出社した人に合わせて電気を自動で付けてくれます。
更に、誰がいつどのタイミングで出社しているデータがとれますので、ノー残業デーの達成率や、喫煙室に付ければ誰がタバコを1番吸っているかも分かります。
全部インターネットにつながっていますので、土日に多く出社している人が分かれば、その人に声掛けを多くするなど、コミュニケーションを促す目的にも活用が出来ます。
Akerun Proは、働く人のクリエイティビティを加速するということを提唱しているのですが、ただの鍵の権限発行だけではなく、インターネットに繋げてデータ収集やそのデータを活用することで、本来人間がするべきではない煩わしい仕事を代替出来ればと思っております。
中村 有難うございます。
(続)
編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/Froese 祥子
続きは 15歳の子供が5年前の修士論文レベルのことを3日間で実現できる(落合陽一) をご覧ください。
【編集部コメント】
続編(その4)では、「現代の魔法使い」を呼ばれる筑波大学 落合陽一さんに、自己紹介とデジタルネイチャー研究の概要についてお話し頂きました。是非ご期待ください。感想はぜひNewsPicksでコメントを頂けると大変うれしいです。
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