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4. 「作り手の想いを伝えること」を“応援購入”の仕組みで叶えるMakuake

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ICC FUKUOKA 2023のセッション「伝統工芸・1次産業の今後求められるプロダクト開発とマーケティング戦略とは?」、全6回の④は、ファンづくりにつながる応援購入サイト「Makuake」を運営するマクアケの坊垣 佳奈さんが、Makuakeに出品された魅力あふれる商品の一部を紹介します。中川 政七さん解説の「とりあえずMakuakeで」に陥らない上手な利用の仕方とは?ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください

本セッションのオフィシャルサポーターは ノバセル です。


【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 2G
伝統工芸・1次産業の今後求められるプロダクト開発とマーケティング戦略とは?
Supported by ノバセル

「伝統工芸・1次産業の今後求められるプロダクト開発とマーケティング戦略とは?」の配信済み記事一覧


各務 では、坊垣さんからも、Makuakeでお付き合いのある1次産業の方、工芸の方の事例をご紹介ください。

ものづくりの背景・情報を伝えて「応援購入」

坊垣 Makuake自体は、この会場の皆さんはご存知の方が多いと思います。

先ほど中川さんから「寄付」という言葉がありましたが(前Part参照)、クラウドファンディングサイトというと寄付サイトっぽいイメージを持っている方が、日本人には多いように思います。

東日本大震災があって、クラウドファンディングの仕組みが使われ始めたからではありますが、私たちは、今日のテーマの1次産業も伝統工芸もそうですが、「アタラシイものや体験の応援購入サービス」と銘打っています。

そういった商品がデビューするには、すごくいろいろなハードルがあります。

本当に想いを持って、いいものづくりをしているけれど、背景が伝わりづらかったりもする中で、価格競争だったり、私は「行き過ぎた資本主義」と言いますが、いわゆる資本主義の世界の中で埋もれがちなところをなんとかしていきたいなというのが私たちの持つ想いで、このビジョンを掲げてやっています。

全国の本当にいろいろな伝統工芸、1次産業を含む、いろいろな生産者さんとご一緒させていただいています。

私たちは「応援購入」という言葉を使っています。

中川さんのお話(前Part参照)にすごく共感しながら聞かせていただいていたのですが、時代の変化とともに、よりこの感覚は進むんだろうなとは思います。

実はコロナの前くらいから応援購入という言葉を、私たちは使い始めています。

寄付もいいと思うのですが、寄付でできることはどうしても一時的になってしまったり、特に日本人の場合、お財布の中身を割り当てていったときに、寄付に使えている金額はすごく少ないです。

やっぱり消費がとても多くの割合を占めていると思います。

そこにもうちょっと想いを加えていくことが、消費全体を変えて、それが作り手側も変えていくことができるんじゃないかなと、そのサイクルがぐるぐる回っていくのをイメージしています。

サイトを見ていただいている方は分かると思いますが、Makuakeでは商品を作っている作り手さんの顔が見えて、どういう想い、どういうこだわりを持って作られているかがしっかり説明できるようになっています。

それを見ていただいた上で買っていただきます。

仕組み上は非常にECに近いのですが、今のECは基本的にはいかに速く買わせるかを考えていて、機能性、便利性を追求したものになっています。

消費財などは、それでいいと思います。

ミネラルウォーターは重いからいつも同じものをAmazonで頼みますというのは全然いいと思いますが、ある程度嗜好品だったり、ちゃんと知った上で買いたいなと皆さんが思うものも当然たくさんある中で、そこに情報が今は足りていないんじゃないかなと思っています。

私たちは情報をしっかり提供した上で買っていただくことをテーマとしています。

商品を広め、ファンづくりにつながるプラットフォーム

坊垣 事業者さん側にも、いろいろなメリットがあります。

伝統工芸を手がけている皆さんや1次産業の皆さんもそうだと思いますが、広く届けていく手法が難しかったり、それに時間がかかったり、そもそも新しい商品を作ろうと思ったときに、実績が無いため銀行からお金が借りられない。

いろいろな課題がある中で、そういった多面的な課題をMakuakeで出来るだけ解決できるようにと思って仕組みを整えてきました。

最近では、いわゆるファンづくりのようなところにもつながってきているかなと思います。

マスで商品を届けることが難しくなってきていると思っていまして、しっかりとターゲットを絞って、その方たちに愛してもらえる商品を作っていくことがすごく重要視される時代になってきていると思います。

そんな中で、Makuakeでは先ほど言ったように背景を伝えていくことができますし、ユーザーはまだ世の中に無い商品を買っていただいている方たちでもあるので、すごくコアなファンになる方たちが顧客になってくれることも、喜んでいただいているポイントです。

あとはMakuake自体が、もともとクラウドファンディングの仕組みを使っていて、金額と応援購入してくれた人数がバンと出るので、この商品にこんなに反響があるんだと流通販路側から見えたり、金融機関から見えたりします。

融資が下りなかった会社に銀行から営業の声がかかったり、コラボ先が決まったりと、Makuake出品後にこういう反響があったと最近言っていただくことが多くて、そんなふうにもお役に立てているんだなと感じています。

学校づくり、伝統工芸など応援先は多種多様

坊垣 事例はいろいろなジャンルであります。

大手ともご一緒していますし、事例は有形無形問わずです。

最近話題になった徳島県の山奥に学校をつくる、神山まるごと高専のプロジェクトにもご一緒しています。

あなたも「学校作り」しませんか? 神山まるごと高専(仮称)設立プロジェクト(Makuake)

伝統工芸の領域でも、かなりいろいろな商品をご一緒しています。

見たことのない商品、例えば、有田焼で直近の大ヒットの「おまぐはん」は、3,000人以上に買っていただいて、5,000万円以上集まりました。

【有田焼】毎日簡単土鍋ごはん!火加減要らずほったらかしで「料亭の炊き立てごはん」(Makuake)

1人用の小さい土鍋のプロジェクトですが、しっかりターゲットを定めて、そこに向けて訴求していくことで、ちゃんと売れるんだなと私も実感しました。

また、もともと熊野化粧筆を作っている会社が、それを違う用途に展開して、その良さを活かした商品開発をして大ヒットしました。

0.1mmが15万本!極細毛の「熊野筆ボディブラシ」で加齢臭ケア(Makuake)

今までとちょっと違う商品設計と言いますか、工夫をされていて、その魅力をMakuakeと一緒に伝えていくプロジェクトが非常に多いです。

有田焼でこんな商品があるんだ、熊野筆でこんな商品が作れるんだみたいな画期的な商品が多いです。

良さが伝わるし、技術が伝わるから買っていただきやすい、買っていただきやすいから、こういうことにチャレンジしやすいのがMakuakeの特徴かなと思います。

Makuakeならではの商品の作り方

岩田 Makuakeのキュレーターと一緒に作っていくのですか?

坊垣 一部そういうものもあります。

次はこういうボディブラシを作れませんか?とか、今2〜3人用が欲しいという声が寄せられていますなどとお伝えして、大きいものを作っていただくことは実際にあります。

岩田 なかなか全部を作り手だけでやるのは、ハードルが高い気がしましたね。

坊垣 そうですよね。もちろんある程度完成されてお持ち込みいただけるケースも多いですが、別にMakuakeを使っていただくのは1回だけでなくてもいいのです。

何回も何回も新商品を出すたびに使っていただいて、まさにファンゾーンがMakuake上で膨らんでいく感じを実現できている会社さんもあります。

一方で、実際1回応援購入いただいたユーザーさんに、アンケート機能を使って、次こういうものを作ろうと思っているけれどどれがいいですか?と質問した回答をもとに、人気のあったものを作っていく企業もありますね。

各務 新商品アイデアとして、有田焼に1人用の土鍋の用途を発見し、実際に5,000万円も集めたのはすごい事例ですよね。

僕も、職人さんと新商品のアイデアブレストはよくするのですが、どのアイデアが効くのか、つまり売れるのか?を見極めるために、開発段階でファンの方へアンケートをとるのは有効な手段ですね。

坊垣さんは、今までいろいろな例を伴走して見ていらっしゃるので、その他にも手段があれば教えてください。

坊垣 なかなか難しくて、これどうかな…と思ったものがうまくいったり、例えば、よくお話しするのが、「unda EVA」という雪駄です。ご存知ですか?

【雪駄×スニーカー】日本の伝統と現代技術が融合。全く新しい履物|unda EVA(Makuake)

岩田 エアが入っている?

坊垣 そうです! 見た目は雪駄ですが、ソールの部分に最新のスニーカーの技術が入っているので、すごく歩きやすくて、すごく履きやすい雪駄です。

意外と若い方がファッション性も含めて買ってくださって、すごくびっくりしました。

だから、私は出してみることのハードルを下げたいなとすごく思っています。

Makuakeを、それがまさにできる場所にもしていきたいと思っています。

在庫を抱えないで先に反応が見られて、反応があった分だけを作れる仕組みだからこそ、そういう場所を少し提供できているのかなと思っています。

「とりあえずMakuakeで」はよくない

岩田 裏トークもしてほしいと言われたので、登壇前に中川さんとその話をしていました。

Makuakeがあまりに知名度が高くなり身近になったがゆえに、あまり深く考えずに、「とりあえずMakuakeっていうのをやればいいらしい」となってしまうと、実は適切なタイミングではなかったということもあるのでは?という話をしました。

中川さん、もう少しその辺りをお願いします。

中川 まさに坊垣さんともその話をしていて、坊垣さんもMakuakeだけが儲かればいいというわけではなくて、Makuakeを使ってくれているメーカーさんが本当に良くなることを目指しています。

中川政七商店もアプローチは違うけれども、そういうことをやっています。

今もずっと話を聞きながら、メーカー側からすると使いどころだと思うんですよね。

自分の会社のフェーズに合わせてMakuakeをちゃんと適切に使わないと何かだめな気がするという話をしていました。

岩田 もう少しツッコむと、どういうフェーズが使いどきですか?

中川 その講演を今度やるために、今考えていて(笑)。

岩田 (笑)

中川 坊垣さんの話を聴きながら、今めちゃめちゃメモを取っていて、すごくラフでまだまとまっていませんが、要は、まだ自分で商品を売ったことが無い、完成品を作ったことが無いようなところはとりあえずMakuakeでやってみる。

だから、商品を作るというときには、Makuakeは一つの道だなと思うんです。

ただ商品からちゃんと自社ブランドになっていくというときには、ちょっと考え方というか、使い方をよほど注意しないと、Makuakeさんのことを悪く言うわけではなくて、そこに関してMakuakeを使うことには割と難しさがあるなと思います。

一方で非常に大きいメーカー、かつ非常に大きくてみんなが知っているけれど、直のルートを持っていない、例えば明治のチョコレートのプロジェクトをやっていらっしゃいますが、ああいうのはこれがいいわけですよね。

「チョコレートは明治」の本気の挑戦!カカオというフルーツの新しい愉しみ方(Makuake)

岩田 さっきのような、toCを直接やっていなかったから、試してみる意味ではいいと?

中川 そうです。

次のトピックの「これからのマーケティングのポイントは?」にもつながると思いますが、経営者側のリテラシーがちゃんとないと、Makuakeを正しく使えていないんじゃないかなと思うのも、あります。

坊垣 まさにで、ページ上の表現1つをとってもそうなんですよね。

自社でブランディングしていきたい方向性ももちろん整理されていて、その中で、Makuake上でどう表現していくかという話もあるわけで、そもそもリテラシーがそんなに高くない方も多くて、やってみたらなんとなく上手くいくだろうみたいな感じで、ご相談に来られる方も多いです。

私たちも当然間口は広げておきたいし、ご相談の中でそれを整理しながらやっていますが、そのご相談の精度を上げて、タイミング、使い方のレベルをもっと高くしていきたいです。

皆様により還元していけるようにしていきたいと思っていて、中川さんにご相談しています。

岩田 なるほど。すごい。

ブランドを構成する情報は3種類ある

中川 ブランドに関する情報は、プロダクトそのものとブランドと、ライフスタンスみたいな思想的なことが3レイヤーで、お客さんの頭の中に勝手に整理されていると僕は思っています。

その昔、プロダクト、ライフスタイル、ライフスタンスは、10:0:0だったわけです。

プロダクトがすべてだった時代があって、それがAppleの登場により、ここ最近4:6:0になりました。

それはライフスタイルがプロダクトを上回ってしまったからで、相当なインパクトでした。Appleが勝ったのはまさにそういうことだと思います。

プロダクト、ライフスタイル、ライフスタンスが4:3:3というところが、何十年後かに来るか来ないか分からないけれども、行き着く未来だと思っています。

4:3:3という数字を割と気に入っていて、なんだかんだ言っても結局商品が大切なんだと思います。

そこが無いとやはりブランドは作りにくいんじゃないかなと僕は思います。

岩田 「おまぐはん」を事例として使わせてもらうと、まずプロダクトとしてはすごく良かったから、3,000人以上に売れましたよね。

今はただプロダクトの良さ、10だけを感じて、おそらく買っている。

あるいは1人用だから、ライフスタイルにもちょっとかかっているんでしょうか?

中川 その文脈だと、「おまぐはん」がブランドになりにくい理由を説明するのはちょっと難しいです。

多分、皆さんが「おまぐはん」と聞いて感じるように、ちょっと面白いじゃないですか。

面白商品であることは、たくさん商品がある中で目立つには大切な要素ですが、ブランドにはなかなかなりにくいんです。

岩田 なるほど。

中川 面白ブランドとして成立しているので、お菓子とかだったらあるかもしれませんが、こういった商品ではあまり無いのですよね。

坊垣 それでいうと、ステップがあると思っています。

Makuake自体はデビューの場だと思っています。

その後どうしていくかというところは、Makuake社の中でもいろいろな議論をしながら。

岩田 Makuake STOREもやってみたり。

坊垣 そうです、いろいろやったりもしていますが、まさに私たち自身も考えながら進化中みたいなところがあります。

初期フェーズでは、まずはデビューできていない人たちや、いいものを作っているけれど顧客をちゃんと獲得できていない人たちに、ちゃんとアプローチする方法みたいなところを、まず拡充してきました。

各務 そこがボリュームゾーンというか、圧倒的に業界の課題ではある。

坊垣 まさにおっしゃる通りで、次のステップをどうしていくのかというところで、結構立ち止まってしまうケースがあります。

その辺りも含めて、私たちがどうサポートしていけるのかをすごく考えたいなと思っています。

まさにそれで中川さんとも話をしているんですよね。

各務 素晴らしい。そのブランディングのシナリオを作ったら本当に有用で、多くの方の役に立つと思いますね。

(続)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成

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