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ICC FUKUOKA 2023のセッション「伝統工芸・1次産業の今後求められるプロダクト開発とマーケティング戦略とは?」、全6回の最終回は、引き続き、これからのマーケティングのポイントが語られます。「マーケティング=おもてなし」と考える平田 はる香さん、ユーザーと深い関係性を築ける仕組みづくりを模索するマクアケの坊垣 佳奈さんが語ります。最後までぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターは ノバセル です。
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【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 2G
伝統工芸・1次産業の今後求められるプロダクト開発とマーケティング戦略とは?
Supported by ノバセル
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▶「伝統工芸・1次産業の今後求められるプロダクト開発とマーケティング戦略とは?」の配信済み記事一覧
各務 平田さんも、「これからのマーケティングのポイントは?」についてシェアしてくださっています。
マーケティングはおもてなし
平田 私もマーケティングを考えたことがあまり無いタイプなので、すごく難しかったのですが、新規の顧客に対しては食べチョクさんやMakuakeさんはもちろん、テレビや雑誌のインタビューなどにどんどん応えて、認知を広めていくことをやるしかないですよね。
わざわざですごく考えているのは、もちろん新規も取っていきたいのですが、既存の顧客の方々に対してどういうふうにアプローチをするのかです。
今からどんどん、人や企業、ものを選ぶ時代になって、今までは本当に欲しいものが無かったので、足りない分を足すように購入していたものを、選んでいくようになりますよね。
そのときにどういう価値観でものを選ぶんだろうと考えると、企業側がどうしたら選ばれるかということに対応しないといけなくなってしまいます。
実店舗とECの両輪を回して運営してきてすごく感じていることですが、実店舗はおもてなしをすごくするのです。
顔を見て「いらっしゃいませ」と言って、2~3回来店していたら、「あっ、鈴木さんですね」と覚えて、鈴木さんはこの間ジーンズを買ってくれて、しかもカフェでお茶をしてくれたとか、来店するごとに人物がどんどん見えてくるんですよ。
それはアルバイトさんや店舗にいるスタッフが勝手にどんどん覚えていって、サービスをもっと高めていくことをしてくれるんですよね。
常連のお客様に対するアプローチと、初めて来た方に対して、どんどん個別の接客をしています。
初めて来た方には「初めてですか?」と聞いていろいろな説明をしたり、常連の方にはゆっくり過ごしてしてもらったりと、オーダーメードのおもてなしになっていきます。
でも、ECは一方的で、それが全く無いなとずっと考えています。
メールやLINEをひたすら送りつけたり、どこの誰か、女性なのか男性なのか、何も分からない状況でSNSで呼びかけたりとか。
一応コミュニケーションがあるなというのは、問い合わせに答えたり、SNSのコメント内でのやりとりですが、でも、あまり人物は見えてこないというのがすごくあります。
実店舗でやっているおもてなしをECに転化していく形がこれからはすごく求められていて、ECのお客様に対しても個別対応が主流になっていって、サービスの向上が求められるのかなというふうに考えています。
それに対して、今後どういうことをやるかというと、坊垣さんもおっしゃっていたように、個別の方を認識して、ちゃんとその人宛ての情報を渡したり、ECの顧客分析をして、もっと誰がどんな気持ちで買っているのか、ファンミーティングをして聞いたりなどです。
あとはアンケート調査を実施して、どんなところを気に入ってくれているのか、ちゃんと客観的にお客様は自分たちの何を好きでいてくれているのかを知って、それに対してちゃんと応えていかないといけないと思っています。
CRMのサービスなどになると思いますが、シナリオメールでちゃんとカスタムしたものを送ったり、本当に一人一人のお客様に対して違うアプローチをしないと、もう生きていけないんだろうなというのは、感じてやっているような状況です。
▶シナリオメールとは~設計時の3つのポイントまでご紹介~(SFA JOURNAL)
「マーケティング=おもてなし」だと私は思っているので、来てくださったお客様にどうやって楽しんでいただくかを構築していくことがすごく大切かなと思っています。
岩田 いいですね、名言です。「マーケティングはおもてなし」。
ユーザーとより深い関係性を築ける仕組み作りを模索
坊垣 まさにそうで、ある意味EC的ですよね。
Makuake上で個別対応も含めて、先ほど「ファン」という言葉を出しましたが、より深い関係性をユーザーさんと築いていけるような仕組み、場づくりを、当然事業者さん側の努力や想いが前提ですが、それがやりやすくなる仕組み作りみたいなことは、実は今すごく考えています。
そういう発展を遂げていきたいです。
岩田 それは、オンラインでそういう感じにするんですか?
坊垣 そうです。
店舗の状況みたいなものを当然感じていて、じゃあ店舗で出来ていて、ECで出来ていないことを出来るだけ店舗に近づけるべく、出来ないことは絶対出来ないと思いますが、近づける努力は出来る気がしています。
そこは出来るだけやりたいなと思っています。
各務 そういう良い事例、クラウドファンディングでMakuakeを使うと購入した方のデータがほぼ把握出来ていて、そこにコミュニティが出来るのはすごく大きな資産だと思います。
それを使って、二の手、三の手、もちろん次の商品を紹介することはあると思いますが、それ以外にもリアルでやるといった事例はあるんですか?
坊垣 ちょこちょこ個別にその事業者さんの工夫でやっていらっしゃるという感じで、機能化、仕組み化はされていません。
当然皆さんが同じことをやればいいというわけではない中で、ある程度個別対応にはなると思いますが、こちらでできること、それに合わせてこちらで仕組み化できることは考えていきたいなとすごく思っています。
普通のECよりは、少しインタラクティブで、例えば応援コメントが書けるとか、作っている工程をアップできるとか、そういうところはすでに工夫しています。
そもそも応援購入というコンセプトで、背景を知って買っていくという入口から始まっているところもあって、そういう方向性のECには育てやすいなと思っているので、そこは実は鋭意検討中です。
各務 素晴らしいですね。
工芸・1次産業からの発信を上手く軌道に乗せるには?
各務 1つトピックが残っていますが、残り時間もわずかとなりました。
最後に、会場からご質問をお受けしてセッションを締めたいと思います。
では、挙手されている小林 正忠さん、どうぞ。
小林 正忠さん ありがとうございました。
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小林 正忠
楽天グループ株式会社
チーフウェルビーイングオフィサー
株式会社LIFULL 社外取締役
1994年慶應義塾大学卒業(SFC1期生)。1997年の楽天創業から参画し、ショッピングモール事業責任者として営業本部、大阪支社、マーケティング部門、国際事業等の立ち上げを行う。6人の日本人組織が、100カ国・地域を超える多国籍の人材を有する30,000人以上の組織に変化し、世界 30カ国・地域へと拠点を拡大して事業展開する中で、組織規模や国内外のマネジメントの手法の違いを体験。2014年米国へ赴任し米州本社社長、2014年シンガポールを拠点とするアジア本社の社長を歴任。グローバルマネジメントを体験した後、2017年末にアジア代表を離れ、現在は人々を幸せにする役割を担うCWO:チーフウェルビーイングオフィサーとしてコーポレートカルチャー部門を立ち上げDEIやサステナビリティ領域をリード。2001年慶應義塾大学に「正忠奨学金」を創設するなど若者の育成に力を入れている。2011年世界経済フォーラムYoung Global Leadersにも選出。5児(娘3人息子2人)の父。
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非常に成功した事例も、上手くいかなかったケースも存在していると思います。
我々も地域の事業者さんたちとともに作ってきて、上手くいかないケースはありました。
上手くいかないケースでは、どういうパターンが上手くいかなくて、それはどう乗り越えることができるのか、ないしは乗り越えられないのかを、シンプルに教えていただければと思います。
各務 秋元さん、いかがでしょうか?
秋元 それはわりと「継続」かなと思っています。
既存顧客の話もありましたが、数が出なくてもリピートしてくれる人がたくさんいれば、じわじわ何年かかけてすごく伸びていくと思います。
諦めないことがすごく大事ですが、最初に何回かやってだめだとそれで諦めてやめてしまう方がいます。
継続的にお客様の愛着を生み出すようなコミュニケーションをやり続けている方は、何かのタイミングでしっかり、ちゃんとお客さんに届くなり継続率が上がって、長期的に見たらすごく積み上がっているようなことがあるかなと思います。
各務 中川さん、どうですか?
中川 ブランドの中心に立つ人の覚悟がグラグラしているときは、だいたい上手くいかない感じです。
それはもうどうしようもない、立て直しが難しいです。
各務 ぶれるとどういうことが起こってしまうんですか?
中川 どれだけ小さなブランドであっても、誰か1人が100%そこにすべてを懸けてやらずに、まだ売上も小さいから、あなたは半分のリソースをそこにツッコんでくださいねというやり方はだいたい上手くいかないなと思うので、その状況をちゃんと作らなきゃなと思いますね。
各務 平田さんは、いかがですか?
平田 わざわざの例になってしまいますが、先ほど中川さんが言ったように、うちで商品を作るときは、最初に企画書をきっちり書きます。
誰あてで、何のためにどうして欲しいのか、PRの方法まで全部書いて、その企画が通らないと作れないのですが、そこに非常に時間をかけるんですね。
だからそこはきっちり核として作れれば、秋元さんの言うように諦めないで何回も、何回も同じように繰り返して露出したり、やり続けたりすれば、絶対いけると思います。
ブランドチェンジや軌道修正は熱量しだい
岩田 今の3人のご意見に対する組み合わせの質問かもしれませんが、一方で1回目で外したなと思ったら、適切な修正は必要ですよね?
それは、ぶれになってしまいますか? どれくらいまで修正していいのでしょうか?
「継続」の意味合いを、お伺いしたほうがいいのかなと思いましたが。
中川 程度問題は具体が無いとなかなか言いにくいですが、最近よく言っているのは、ブランドを作るまでと、作って出してお客さんの反応が出てくるときとでは、思考回路が全然違うということです。
作るまでは本当に何も無い中で作っていく、どちらかというとクリエィティブ寄りの思考回路でひたすら作っていくのですが、出した後はお客さんの反応が得られるので、思ったように見られていないという現状が出てきます。
そのギャップを解消するのは非常にロジカルな思考回路になるので、そこのモードチェンジみたいなことが結構大切な気がします。
岩田 それは同じブランドマネージャーがやることですか?
中川 そうなんですけれど、1人で両方上手にやれるかというとだいたい難しいので、2人セットにしてずっと走らせることをやらないといけないかなという気もします。
坊垣 私も中川さんとほぼ同じ回答で、うちの場合は事業者さんの熱量だなと思うことが多いです。
ブランドチェンジや軌道修正は、その上に乗ってくるものなので。
岩田 では正忠さんがおっしゃった失敗事例は、その方の熱量が無かったからだと?
坊垣 その可能性…、まあ絶対とは言わないですが、それこそ継続の話と多分掛け合わせで、継続してもという場合は、やはりそこがちょっと足りていないかなと。
中川 テクニカルなミスはいっぱいありますよ。でもそれはちょっと、ここで説明できない話です。
坊垣 そうですね。
岩田 テクニカルなミスは修正できることであるということですよね。
(壇上一同頷く)
各務 お時間が来てしまいました。トピックの3番目にいけずにすみませんが、またぜひここに集まっていらっしゃる皆さんも含めて、1次産業と工芸とが交わって共創、Co-Creationしていければなと思います。
本日は皆様、お話を聞かせてていただき、ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成