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ICC KYOTO 2023のセッション「北海道ボールパークFビレッジから学ぶ これからの街づくり(90分拡大版)」、全5回の②は、既成概念を破るボールパーク、Fビレッジをさらに深掘り。バックスクリーンの内部に醸造所、球場の一等地に子どもの遊び場、一角にはなんとマンションやシニアレジデンスもあるといいます。その意図とは?ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2024は、2024年2月19日〜 2月22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターはノバセルです。
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【登壇者情報】
2023年9月4〜7日開催
ICC KYOTO 2023
Session 7G
北海道ボールパークFビレッジから学ぶ これからの街づくり(90分拡大版)
Supported by ノバセル
(メイン・スピーカー)
小林 兼
ファイターズ スポーツ&エンターテイメント
事業統轄本部 企画統括部長
(スピーカー)
井手 直行
ヤッホーブルーイング
代表取締役社長
岩佐 大輝
GRA
代表取締役CEO
川名 正憲
ファナティクス
東アジアマネジングディレクター(代表)
富山 浩樹
サツドラホールディングス
代表取締役社長 兼 CEO
(モデレーター)
岩田 真吾
三星グループ
代表取締役社長
各務 亮
電通
Creative Director
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ブリュワリーと日本一大きなボーネルンドの遊び場
小林 次は、お待たせしました、ブリュワリーです。
こちらでクラフトビールを作っております。
球場のセンター後方は通常、バックスクリーンで何もないことが多いと思いますが、ビールの醸造場を作りました。
パートナーであるヤッホーブルーイングと一緒に、「そらとしば」という超美味しいビールを作っています。
本当に美味しいです。
▶そらとしば by よなよなエール(F VILLAGE)
岩田 飲みました、美味しかったです。
小林 多分、後から井手さんに熱い想いを語っていただけると思います。
岩田 そうですね。
小林 こちらは、遊び場でございます。
スタジアムアリーナだと、収益性があまりないという理由からか、子どもの遊び場は端に作ってしまうことが多いのですが、我々は一等地に作ろうということで、ボーネルンドの遊び場を球場の一等地に作りました。
▶リポビタンキッズ PLAYLOT by BørneLund(F VILLAGE)
2,000平米くらいで、室内外にまたがっています。
富山 これは日本で一番大きいボーネルンドの遊び場なのですよね?
小林 はい、ちなみに売上高もトップレベルと聞いて、ほっとしているところです。
富山 そうなんですね。
岩田 すごい。
2,000平米って、これだけで客を呼べますよね。
小林 そうですね。
野球のない日の客入りはどうだろうと思っていましたが、平日にもすごくお客様がいらっしゃっていて、その結果、日本国内でトップレベルとなっています。
飲食エリアやショップも売上好調
小林 こちらは、「七つ星横丁」という飲食街というか横丁エリアです。
小さい店舗がぎゅっと10店入っていて、立ち飲み屋や焼肉屋もあります。
通常の球場では、試合の7回が終わると飲食店は閉まってしまいます。
しかしここは、試合終了後も1、2時間開いており、その間ずっと、試合談義に花を咲かせるファンの方々がいます。
また、土日も営業しているので、観光でいらっしゃったお客様がお食事を楽しまれているのも、よく見る光景です。
非常に賑わっております。
ショップです。
まさにファナティクスに担当いただいている領域ですが、色々なコンセプトの店が球場内に5店あります。
スライドの左の写真は、メインのフラッグシップストアです。
売上も非常に好調とのことです。
ここまで球場の中をご紹介させていただきましたが、詰め込みきれなかったので、いらっしゃった際にはぜひ、色々な施設を見ていただければと思います。
乗馬のシミュレーション施設もあります。
そして、球場の外のエリアがボールパークの真骨頂だと思うのですが、多様な事業者にご参画いただいて、「野球 x 何か」もしくは野球以外でも「何か x 何か」という掛け算をしていただいています。
マンションや医療施設のほかシニアレジデンスも開業予定
小林 変わったところで言えば、マンションやシニアレジデンスがあります。
シニアレジデンスは来年開業です。
先ほど子供の話をしましたが、シニアにもたくさん来ていただくこともビジネス上大事だと思いますし、もともと球団ファンの中にシニアも多かったので、シニアレジデンスを作ることにしたのです。
球場の中で、お孫さんや家族と会ってくださいというコンセプトです。
ですので、シニアレジデンスの中で会っていただく必要はなく、球場の中でご飯を食べながら、野球を観ながら会っていただければ、新しい形になるのではないかと考えています。
岩田 メディカルモールと書いていますが、病院もあるということですか?
小林 そうです、6つの医療施設が併設しています。
医療施設が近くにあって安心して住める、さらにエンターテインメントも近くにあるというシニアレジデンスです。
岩田 マンションには、もともと北広島に住んでいなかった人が住んでいるのでしょうか?
小林 そういう人が多いイメージです。
シニアレジデンスは、域内の一軒家に住んでいた方が移ってくることも想定しています。
これからそういうケースが増えていくのではないかと思っています。
マンションは、既に完売しています。
岩田 すごいですね。
小林 あと、認定こども園もあります。
要するに、単なる観光施設ではなく、「暮らす」という要素が散りばめられているのが大きなポイントです。
先ほど申し上げた大学誘致やオフィスビルについても、街づくりにおいて、ただの観光ではなく「住む」という要素を増やしたいゆえの案です。
また、このように焚き火やグランピング、バーベキューができる施設や、SPECIALIZEDという自転車ブランドが、買ってもらうのではなく、自転車レンタルとガイドツアーの店を展開しています。
▶Specialized Hokkaido Ballpark F Village Experience Center(F VILLAGE)
また、「ICHIBIKO(いちびこ)」のイチゴスイーツショップも入っています。
▶ICHIBIKO 北海道ボールパークFビレッジ(F VILLAGE)
GRAの岩佐さんと話し、ぜひ取り組もうということで実現したものです。
ただ、ショップを出すだけではなく他の取り組みも行っているので、後ほどご紹介いただければと思います。
農業用トラクターで有名なクボタには、未来の農業に触れていただくミュージアムみたいなものを作っていただいています。
▶KUBOTA AGRI FRONT(F VILLAGE)
空中アスレチックは、北海道らしいアウトドアアクティビティを楽しんでいただける施設です。
▶F VILLAGE ADVENTURE PARK(F VILLAGE)
四季折々のイベントなど野球以外の仕掛けも充実
小林 よく、野球がない日はどうするのですかという質問を頂くのですが、ソフト面を充実させて、イベントを行っています。
例えば、朝ヨガやランニングのイベントを実施したり、球場の大型ビジョンで映画を放映して無料で観ていただいたり。
また、スライドの左の写真にあるように、花火大会や盆踊りなどの地域のコミュニティイベントも行っています。
年間を通して四季折々の色々なイベントを行うことで、お客様が来るような仕掛け作りをしていますが、思った以上に早く、野球の試合がなくてもイベントを目指して平日休日にかかわらず、お客様が来るようになっています。
岩田 こういう細かいイベントも、その真面目な顔をして、小林さんが考えているのでしょうか(笑)?
小林 はい、全く笑顔がない状態ですが。
私のチームには、私と一緒に中途採用で入ってきたイベント担当がいます。
その担当は東京ミッドタウンで、イベント企画を行っていたので、来てもらって一緒に働いています。
岩田 東京ミッドタウンを辞めて、こっちの方がいいと(笑)。
小林 彼も北海道出身なのです。
岩田 北海道愛がベースにあるのですね。
小林 北海道を出ていますし、北海道には仕事がないと思っていましたが、こんな夢のある仕事ができて、優秀な人材が戻ってきているのは良い傾向ではないかと思いますね。
地域にとっては大きいことだと思います。
地域への経済効果が波及する取り組み
各務 そもそもですが、基本的なことを聞かせてください。
この街づくりや運営をファイターズが行っていることがユニークだと感じるのですが、球場を超えた街づくりには、どういうKPIや期待が設定されていて、運営主体はどう取り組んでいらっしゃるのでしょうか?
岩田 北広島市の職員の仕事じゃないのかな?、という話ですよね(笑)。
各務 ですよね。
球場の集客ということであれば分かりやすいのですが、どう街づくりまで責任範囲を広げられるのか、その時、運営母体にはどういうミッションが課されているのかが、ちょっと気になります。
小林 我々ファイターズだけで街づくりをやろうとは当然思っておらず、どちらかと言うと、「街づくりに貢献していきます」というスタンスです。
それに加わっていただくのは地域の自治体の職員、あとは、札幌市も含めた北広島市周辺の色々な自治体による連携協議会を設け、分科会で色々なプロジェクトを走らせているという方法をとっています。
また、我々ファイターズ自身もFビレッジだけに特化して何かをすると、地域から「あそこだけ潤っている」という見られ方をしてしまうので、やるからには地域への経済効果が波及し、社会的価値が高まる形をしっかり作っています。
そのためには、KPIとして、関係人口がどのくらい増えたか、地域の方々が参加するワークショップなど学びのイベントはどのくらい増えたか、子どもたちがどう変化したかなど、アンケートも取りながら、レポートでまとめています。
岩田 街づくりという意味では、それらはまさに大事な指標ですが、日本ハムは上場企業で株主への責任があります。
経済的な利益を追求しろというプレッシャーもあると思うのですが、そことのバランスについてはどう考えていらっしゃいますか?
小林 我々のボスの前沢(賢)がコミットしているのは、予算内に収めつつも営業利益をしっかり出すということですね。
基本的には任せて欲しいというスタンスです(笑)。
岩田 なるほど。
フィールドでキャンプファイヤーも
小林 親子キャンプみたいなイベントを、フィールドを使って行っています。
スライドの一番右はキャンプファイヤーです。
キャンプファイヤーは最近、危ないからと嫌がられるのですが、子どもの思い出になるのに、危ないからという理由でやらないという選択肢はないのではないか、ということで、実現に突き進みました。
最近はキャンプファイヤーのノウハウは失われつつあり、できる人を見つけて実施しましたが、櫓(やぐら)を組むのも大変でした(笑)。
岩田 この櫓、かなり大きいですよね?
小林 大きいです、ちょっと燃やしすぎたかもしれないです(笑)。
岩田 (笑)。
でも基本的に日本には木造文化があるので、野火はどの自治体でも絶対に禁止なのですよね。
自治体ともかなり交渉されたのですよね?
小林 そうです。
自治体や関係団体から出向者を受け入れ、うまく情報連携できるようにしました。
岩田 なるほど。
(続)
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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/戸田 秀成