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3. 生活やビジネスは県を越えてつながるから、地元で閉じない街づくりをする

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ICC KYOTO 2023のセッション「北海道ボールパークFビレッジから学ぶ これからの街づくり(90分拡大版)」、全5回の③は、Fビレッジを作ったコンセプト「共同創造空間」について。道外、海外にもパートナーを広げた場作りで、あえてこだわらなかったこととは? 札幌ではなく、そのベッドタウン北広島市だったからこそ実現できたこととは? ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2024は、2024年2月19日〜 2月22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターはノバセルです。


【登壇者情報】
2023年9月4〜7日開催
ICC KYOTO 2023
Session 7G
北海道ボールパークFビレッジから学ぶ これからの街づくり(90分拡大版)
Supported by ノバセル

(メイン・スピーカー)

小林 兼
ファイターズ スポーツ&エンターテイメント
事業統轄本部 企画統括部長

(スピーカー)

井手 直行
ヤッホーブルーイング
代表取締役社長

岩佐 大輝
GRA
代表取締役CEO

川名 正憲
ファナティクス
東アジアマネジングディレクター(代表)

富山 浩樹
サツドラホールディングス
代表取締役社長 兼 CEO

(モデレーター)

岩田 真吾
三星グループ
代表取締役社長

各務 亮
電通
Creative Director

「北海道ボールパークFビレッジから学ぶ これからの街づくり(90分拡大版) 」の配信済み記事一覧


小林 ここまではビジュアルに頼ってご説明してきましたが、このプロジェクトの狙い、コンセプトについてご説明します。

道外、海外のパートナーや自治体と価値ある空間を創造

小林 我々が一番最初から大事にしているのは、「共同創造空間」という言葉です。

野球の会社だけではできないことを、異業種のパートナー、自治体と組みながら価値ある空間にしていこうと考えています。

やりたいことを4つ記載しています。

まず、スポーツと北海道を融合した新しい街づくり。

野球と非野球事業のMIXは、先ほどご説明した、色々な事業とのミックス事業です。

そして、パートナーと一緒に価値を生むエリアを作るという、パートナーシップ。

一番大事なのは4番目で、球場を核にプラットフォーム事業を行っていきたいと考えています。

単純にファイターズの野球の試合を観てくださいというよりは、我々のFビレッジという32ヘクタールある場所を使って、サービスを提供するパートナーと享受するお客様を結びつけるプラットフォームを作って、そこで色々なことが生まれていくということを意識して事業を行っています。

結局、何が言いたいかというと、北海道の自然をテコにしながら価値のある空間を作り、内に閉じたやり方ではなく、80億人のグローバルマーケットに通用する北海道のブランドを活かし、街づくりを行っていきたいと思っているということです。

岩田 僕が実際に行った時は、ビールは長野県のヤッホーブルーイングで、ICHIBIKOは宮城県の会社であり、飲食店も含め、必ずしも北海道の店ではない印象を受けた気がします。

ですので、Fビレッジは、僕たちのような北海道の外からの観光客よりも、地元の人向けに珍しいものを紹介する感じなのかなと感じました。

MDの方針は、「北海道を融合した」ものなのでしょうか?

小林 飲食店に関しては、いくら丼やラーメンなど北海道の銘店も当然入っています。

それはそれとして、ソフト面では、例えばアウトドアのワークショップや親子キャンプという打ち出し方をしており、ハードソフト両方に、北海道という要素を散りばめています。

北海道ゴリ押しではなく、道内の方が来た時にも楽しんでいただけるようなナショナルブランドも入っていれば、大阪のたこ焼き屋も入っています。

それらはずっとそこにあるというよりも、必要に応じて入れ替わりながら、新しい要素が生まれていくというイメージです。

岩田 なるほど。

こういう時、地方のレストランやオーベルジュなどでは、「地域のものにすごくこだわりました」「地域産の原料しか使っていません」という切り口の訴求をします。

ただ、Fビレッジの場合、そこはバランスを取っているということですね。

小林 少し突っ込んで話すと、実は、地方でこういうプロジェクトをやろうとすると、地域の経済界や政治界の方々は、なるべく内輪でやろうとなります。

どの地域でも、大きなプロジェクトをやろうとすると、その地域の会社が関わらなければいけないとか、自分たちだけでタッグを組んで取り組もうぜとかなるのですが、我々は北海道のみならず北海道以外の会社に関わってもらわないと、価値が高まらないのでは?という考え方で、道外、それから海外の会社にも携わってもらい、外部とも一緒に行うという方針で進めてきました。

岩田 なるほど、では僕が現地でふと感じたことは、一番大事にしている部分の一つでもあったということですね。

北海道の要素だけにしないというのが、プロジェクトの根幹にあったわけですね。

小林 ありますね。

富山 それ、先ほどから話そうと思っていました。

岩田 すみません(笑)。

富山 そこがポイントだと思っています。

内に閉じず、最高に良いものを創るのが大事

井手 直行さん(以下、井手) 僕もその点、突っ込んでいいですか?


井手 直行
株式会社ヤッホーブルーイング
代表取締役社長

ニックネームは『てんちょ』。国立久留米高専を卒業後、電気機器メーカー、広告代理店などを経て、1997年ヤッホーブルーイング創業時に営業担当として入社。地ビールブーム終焉の後、再起をかけ2004年楽天市場店の店長としてネット通販事業を軸にV字回復を実現。2008年より現職。フラッグシップ製品『よなよなエール』を筆頭に、個性的なブランディング、ファンとの交流にも力を入れ、クラフトビール国内約700社の中でシェアトップ。『ビールに味を!人生に幸せを!』をミッションに、新たなビール文化の創出を目指している。

僕たちヤッホーブルーイングは長野の会社ですが、縁があってご一緒しています。

小林さんのボスの前沢さんと話していたら、「井手さん、聞いてよ。井手さんと取り組むと言ったらやっぱり、たくさんある北海道のクラフトビールメーカーをなぜ呼ばないんだと……」

岩田 むしろナショナルブランドの大きな……。

井手 そう、そこもいるし、サッポロビールもいるしね!

岩田 そうそう(笑)。

井手 「長野のヤッホーブルーイングは、北海道の素材を使うんですよね?」と言われたらしく、それに前沢さんが「そんなんじゃダメなんだよ!」と言ったらしいです。

今、小林さんが言っていたように、内にこもっていたらダメなんだと。

「もっと門戸を開いて、最高に良いものを作るのが大事で…北海道はそれじゃいかんのだ!」みたいな話を、熱く僕に語ってくれて、僕は、「ありがとうございます」と(笑)。

そんな経緯がありました。

岩田 なるほど、なるほど。

小林 ありがとうございます。

岩田 でも、何か言いたいことがありそうな顔をしていますが…?

富山 いや、これは結構大きなテーマなので。

やはり北海道財界は…。

岩田 まず、あなたは誰なんですか(笑)?

富山 ああ、すみません(笑)。

岩田 はい、今回は自己紹介を省いてしまったので(笑)。

富山 僕は、ドラッグストアを経営しています。


富山 浩樹
サツドラホールディングス株式会社
代表取締役CEO

2007年株式会社サッポロドラッグストアーに入社。2013年に株式会社リージョナルマーケティングを設立し、北海道共通ポイントカード「EZOCA」の事業をスタート。2015年5月に代表取締役社長に就任。2016年8月にサツドラホールディングス株式会社を設立し代表取締役社長に就任。2022年11月にCVC「株式会社S Ventures」設立。 その他  AWL株式会社、 株式会社コンサドーレ、バリュエンスホールディングス株式会社、株式会社出前館にて社外取締役/ QUALITY HOKKAIDO一般社団法人代表理事 /EO HOKKAIDO会長 また、2020年6月より北海道経済コミニティ「えぞ財団」を立ち上げて活動中。

岩田 サツドラね。

富山 ボールパークに、直接は、一切関わっていないのです(笑)。

そういう立場なのですが、北海道コンサドーレ札幌という北海道のJリーグチームの役員を務めていたり、EZOCAという北海道の共通ポイントカードを運営していたりするので、北海道代表という感じで今回参加させていただいています。

岩田 そうですよね。

富山 北海道財界では、そういう声は本当に大きくて。

球場の出入口のネーミングライツの件も、北海道の企業名はほとんど入っていません。

岩田 確かに。

富山 北海道内では北海道資本で固めるべきだという声が多かったのですが、外の資本が非常に多く、僕も逆に小林さんたちの取っている方法が良いと思っています。

そうしないと、求心力が生まれないです。

今のように閉じた状態だと、こんな大きなプロジェクトには絶対なりませんし、魅力が出ないです。

ですので、この点はキーポイントだと思っていて、今日話したいと思っていました。

各務 逆に言うと、閉じた状態だとどういう現象が起こりがちなのでしょうか?

それがあるからこそ、開かなければいけないとなるのだと思いますが。

小林 選択肢と多様性の問題だと思います。

地域内だけでやろうとすると、企業の選択肢が減り、妥協が生まれてしまうのではないかということです。

グローバルもしくは日本全体で見ると、各業界のトップ企業は、北海道にはないことが多いですよね。

本気でやるなら、トップ企業と組んだ方が良いものができるかもしれないので、そういう意味で選択肢が減ってしまうのがデメリットだと思います。

あと、想いを持ってくれている会社が、北海道の会社とは限らないということもありますね。

岩田 面白い。

札幌のベッドタウンが「野球場もある施設」で目指すもの

小林 街づくりのテーマとして考えていることについて、お話しします。

もともと、野球場を核とした施設だという先入観がありましたが、我々が今やろうとしているのは、「野球場もある施設」にしていこうということです。

そこに北海道の自然の価値を加え、真新しさ、つまり四季折々のイベントを実施して行楽地としても楽しめる場所にしようとしています。

後ほどデータで紹介しますが、実は、これは思った以上に早く達成できそうだと思っています。

行楽地化、観光地化が達成できた後にどうやって街化をしていくかについては、まだ我々は答えを出せていない部分なのです。

考えているのは、観光として楽しむ色々なアクティビティがあり、かつ、住むという要素も備わっていること。

つまり、レジデンスがあったり、医療機関があったり、大学があったり、オフィスビルがあったりです。

観光地として魅力的なものと、住むための機能が、両輪として開発が進んでいく新しい街づくり、モデルを作っていこうと思って取り組んでいます。

ただ、これが本当に新しいモデルとして正しいかどうかは走ってみないと分からないと思っているので、開業して半年でここまで語ってしまうのは少し恥ずかしいと思っています。

やろうとしているのは、「人が住むための機能が備わっている観光地が、住みたい場所になる」ということです。

岩田 京都でもよくオーバーツーリズムが言われますが、観光地として盛り上がれば盛り上がるほど、住んでいる人が息苦しくなることがあり、バランスが難しいです。

札幌もそうかもしれません。

まだ取り組みの途中だとは思いますが、これについてはどう考えていらっしゃいますか?

仮説はありますか?

小林 富山さん、どうでしょう?

富山 びっくりした(笑)。

岩田 逆に言えば、札幌ではできなかった理由があるのでしょうか?

小林 それはもちろんあると思います。

何かをやろうとした時、規制があるなど、政令指定都市であるがゆえの難しさはあると思います。

北広島の広大で、かつ周辺にもまだ開発の余地がある土地であることは、我々にとっては非常にやりやすいですし、パートナーにとっても魅力的なのではないでしょうか。

北広島は札幌の経済圏ではありますが、札幌とは違う場所ですので、そこが大きいのではないかと思います。

岩田 自治体を超えるという考え方がすごく重要ですよね。

富山 そうですね。

後で語りたかったのですが、北海道の人にとっては北広島という場所は絶妙なのです。

札幌のベッドタウンでありながら、こういう取り組みがしきれていなかったので、余白が結構あるのです。

立地と都市の規模が絶妙ですよね。

札幌から北広島への移転は絶妙だった

岩田 変な質問になりますが、札幌ドームにいたファイターズが北広島に行ってしまったというのは、札幌市民からするとイラッとするものなのか、「いや、仲間だよね」という感情なのか、どちらなのでしょう?

富山 それ、話します(笑)?

少し長くなってしまうかもしれませんが…。

ストーリーとしては、北広島市に行ったということは絶妙だったと思っています。

経緯としては、札幌ドームには、コンサドーレと日本ハムファイターズというメインコンテンツが2つ入っていたので、札幌ドームは、世界初の野球とサッカーが両立できる場所であり、札幌市も運営に入っていたので、3セクターが入っていました。

しかし、ファイターズが札幌に残るか出て行くかという話になり、結果的に出て行ったので、最初、札幌市民は「札幌市は何をしているんだ」となったわけです。

市政としては、マイナスに見られています。

岩田 「何でファイターズが出て行ってしまったの」よりは、「何で札幌市がちゃんとファイターズを…」と。

富山 そうです。

でも、札幌市に対しては、コンサドーレとファイターズの両チームとも札幌ドームで、やりたいことがなかなかできないなど、長年の不満もあったわけです。

また、お客様を呼んでいるのに、逆に払ったり、稼ぐことができなかったりという、球場の使用料の問題もありました。

スポーツビジネスにおいては、日本全体、そして世界を見ても、球場一体経営というのが良いとされます。

ファイターズが札幌ドームから出て行くことになった時、それまで札幌市は積極的にファイターズと取り組めていなかったので、札幌ではない別の場所にということで、北広島市に行くことになったのです。

岩田 野球に限らず、地方の人が議論すべきことは、地方自治体だけで行う必要があるのかどうかという点です。

例えば、愛知県が170億円かけて、「STATION F」というパリのインキュベーション施設を参考にした「STATION Ai」というものを作ろうとしています。

それで1,000社のベンチャー企業を集めると言っていますが、愛知県だけだと多分無理で、本当は岐阜や三重も仲間にしないといけないというのがあるべき方向です。

その一方、県議会では「何で県のお金を使って、他の県のサポートをしないといけないのか」という意見があるらしいです。

そう考えた時、行政というのはあくまで誰かが引いた線でしかなくて、生活やビジネスは県を越えてつながっているので、広域で連携ができた方がいいと、日々僕のいる地域でさえ思っています。

市という軸で言えば、札幌からは出て行きましたが、北広島も札幌の経済圏内であれば「仲間だよね」と捉え、外にジワジワ波及する経済効果があるのであれば、結果的には良かったとなるような…。

富山 僕は広域で連携できて、すごく良かったと思っています。

少し語弊があるかもしれませんが…やはり札幌市が”偉い”のです(笑)。

(一同笑)

北海道の中では一強になっているので。

北広島市は5万人強の街ですが、札幌市には190万人いますので、全然規模が違うのです。

ファイターズは、札幌市とは、本当の意味でのパートナーシップを組めなかっただろうと思うのです。

これが今日のポイントだと僕は思いますが、街づくりをしようとした時に、北広島市長をはじめ、「来てもらえるなら、一緒にやりましょう」と、同じ目線でタッグを組める自治体だったというのが、大きいと思います。

また、北海道の4割の経済圏が札幌に集中している中、他の都市は潤っているといっても、札幌市のベッドタウンとしてでした。

でもファイターズが北広島市と取り組むことで、北広島市が観光などの目的地になりましたし、ただのベッドタウンではなくなったのです。

岩田 めちゃくちゃ面白いですね。

富山 ですから、ただ札幌市に吸い上げられるのではなく、札幌圏内で遠心力が生まれたというのは、北広島市だけではなく、北海道および札幌圏にとって大きな効果だったと思います。

街づくりには適正なサイズがある

小林 加えて、運が良いなと思うのが、札幌にはもう家を建てる場所がないので、その不動産需要は周辺の、江別市や恵庭市、北広島市に流れている状況であり、北広島市の立ち位置が相対的に強くなっていることです。

さらに千歳市には、ラピダスという半導体の会社が5兆円を投資して工場ができるので、国内外からエンジニアが集まってきて、住む場所を探しているというタイミングです。

先端半導体「Rapidus(ラピダス)」北海道千歳に工場建設へ | NHK | 北海道

ですから、北広島市という絶妙な場所でそういった需要を取り込めるのではないかという点も追い風となり、運が良いと思っています。

富山 地価公示の上昇率が発表されますよね。

最近、全国のベスト100が全て札幌圏でした。

岩田 すごい!

富山 日本全国のうち、ベスト100が全て札幌圏で、加えて、ベスト10が全て北広島市でした。

北海道の土地は買いですよ、皆さん(笑)。

(一同笑)

小林 まだ間に合う(笑)。

富山 ラピダスが来るので千歳の地価も上がるだろうと。

そういう遠心力が、数字で出ているのです。

岩田 今の話で、すごく勇気づけられたことがあります。

最近は福岡や名古屋、大阪も注目はされていますが、東京が1番という価値観は、やはりスタートアップだとまだまだあります。

その中で、街づくりという点では、大きすぎるとステークホルダーも増えてしまうので、今の話は、街づくりには適正なサイズがあるという示唆ですよね?

その示唆に勇気づけられた人も多いのではないかという気がしました。

小林 宮城県の話もぜひ、後で岩佐さんから…。

岩佐さんがずっとやってこられたことは、めちゃくちゃ面白いです。

僕はいつも、なぜいちごでビジネスを始めたかというところから聞くのですが、ずっと話を聞いていられます。

(続)

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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/戸田 秀成

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