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「最近『面白い』と思っていることを雑談!」10回シリーズ(その6)では、テーマを“最近何に一番時間を使っているか”に変えて再スタート。インターネットの黎明期からウェブの変遷で見続けてきたリンクトインの村上臣さんは、ソーシャルメディアの台頭に「インターネットの思わぬ変化」を感じるといいます。ぜひご覧ください!
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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2020は、2020年2月17日〜20日 福岡市での開催を予定しております。
本ッションは、ICCサミット FUKUOKA 2019 ゴールド・スポンサーのリンクトイン・ジャパン様にサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2019年2月19〜21日開催
ICCサミット FUKUOKA 2019
Session 11A
最近「面白い」と思っていることを雑談!(シーズン2)
Supported by リンクトイン・ジャパン
(スピーカー)
井上 浄
株式会社リバネス
代表取締役副社長 CTO
千葉 功太郎
Drone Fund
創業者/代表パートナー
丸 幸弘
株式会社リバネス
代表取締役 グループCEO
村上 臣
リンクトイン・ジャパン株式会社
日本代表
(モデレーター)
西脇 資哲
日本マイクロソフト株式会社
コーポレート戦略統括本部 業務執行役員 エバンジェリスト
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▶「最近「面白い」と思っていることを雑談!(シーズン2)」の配信済み記事一覧
連載を最初から読みたい方はこちら
最初の記事
1.「LinkedIn」の正しい読み方とは? リンクト? リンクド? リンクトゥ?
1つ前の記事
5.「インフルエンザ予防にお茶うがいが効く」は嘘? 医療の“ファクトフルネス”を考える
本編
西脇 それでは、そろそろ次の話題にいきましょう(笑)。
ここまでは、スピーカーの皆さんが「新しく始めたこと」でした。
ここからは、「実際は何に一番時間を使っているのか?」を伺いたいと思います。
これが、来場者の方々にとっての一番のヒントになるかもしれません。
例えば、
「こんな時間の使い方をしている」
「こんなお金の使い方をしている」
「こんな人と会っている」
ということが分かってくるかもしれません。
はい、スピーカーの皆さんはそれぞれフリップボードに書いてください。
大好きなネコ動画を観ながら「TikTok」を研究
西脇 モデレーターの私から発表させていただくと、私は「ネコと接すること」に一番時間を使っています。
日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 エバンジェリスト 西脇 資哲さん
シーズン1でも話したのですが、今や子どもの数よりペットの数が増えてきています。
▶1.「ワンちゃんの感情が分かるIoT」「無殺菌牛乳」動物の“気持ち”にアプローチするビジネス最前線(ICC KYOTO 2018)
しかもペット1匹にかけるお金が増えてきていて、飼い主の人たちの傾向としては「ソーシャルでのコミュニケーションをしたがる」、「自慢をしたがる」、「ペットを連れて集まりたがる」というようなものがあります。
さらに「比較的富裕層が高価なペットを飼う」という傾向も強くあります。
ですから、そこに色々なビジネスが生まれます。
私はネコを飼ったりペットショップに行ったり、ネコカフェに行くということもしていますが、TikTokにも時間を使っています。
皆さんもアプリを入れていると思いますが、TikTokを絶対におすすめしたい技術的な理由があります。
TikTokでは、ユーザーにあわせて動画がレコメンドされます。
私はネコ好きなので、ネコの動画を視聴しているとレコメンドされる動画はネコの動画になります。
これだけだと「そりゃそうだよね」という話ですがが、「なんで?」という話が面白いです。
というのも、TikTokの動画には「タグ」がついていないのです。
つまり「ネコ」というタグはついていません。
タグがついているのなら納得しますが、タグがないのにネコの動画をレコメンドしてくるというのは、TikTokは私が観ている動画の「中身」を分析しているということです。
しかも面白いのは、スマホを4つぐらい並べて実験したみたのですが、私はキジトラが好きなのでキジトラのネコをずっと観ていると、次のレコメンド動画はキジトラのネコになるのです。
たくさんのネコ動画がある中から、キジトラがピンポイントでピックアップされてきます。
タグがついていないのに、それが本当に不思議なんです。
(写真右)リンクトイン・ジャパン株式会社 日本代表 村上 臣さん
村上 TikTokは、すべての動画を1万人位の人員で監視しているんですよね。
西脇 そう、すごくチェックが厳しいんですよ。
千葉 人力ということですか?
村上 人力です、中国ですから。
だって金盾ってあるじゃないですか。いわゆるグレート・ファイアウォール(中国の大規模情報検閲システム)ですが、あれも“中の人”がフィルター設定を人力でやっているんですよ。
だからTikTokでも、多分誰かが「キジトラだよね」というのを裏で動画を観ながらタグづけしている、ということでしょうね。
西脇 スマホ1台でやっている分には「楽しい、格好いい、面白い、きれい、かわいい」で済む話ですが、スマホを何台か並べて観察していると、Bytedance(TikTokの運営会社)がやっていることの巧妙さに気が付きます。
というのは、“視聴している尺”によってレコメンドされる動画が変わってくるのです。
TikTokは動画は15秒ですが、その中で一番観ているシーンに関連した動画を次にレコメンドしてくるようになっていて、ものすごくよくできているなと感心しています。
井上 それも人力ですか?
西脇 人も介在しているとは思いますが、多分色々なITが動いているのでしょう。
ですからTikTokがすごいのは、ファンを作るとかソーシャルがすごいということだけではなく、技術的に非常に洗練されているということなんです。
例えばTikTokの動画では「メガネをかける」というエフェクトがあります。
そうしたエフェクトはSNOW(スノー)など他のアプリでもありますが、TikTokのメガネは正確さがずば抜けています。
LINEやSNOWのエフェクトとはレベルが違い、顔の向きでメガネの角度が変わったり光の当たり具合が変わったりと、とても正確です。
画像認識と動画内での物体認識がとんでもないレベルになっているのではないかという気がします。
今はソーシャルから購買行動を促す時代なので、そのうちTikTokの中に「買う」というボタンが付くようになると思います。
そうしたらもっとすごい流れが訪れるのではという気がして、AmazonやFacebookは最近あまり気にならなくなってきてしまいました。
はい、それでは私の話はそれぐらいにして、「一番時間を使っていること」を村上さんからお願いします。
インターネットは“イントラネットの塊”に?
村上 西脇さんに似ていますが、僕はインターネットが大好きなので、一番時間を使っていることと言ったらインターネットを満喫しています。
その中でも最近何に凝っているかというと「アルゴ(アルゴリズム)研究」です。
リンクトインはビジネスSNSですので、やはりフィードが大事です。
Facebookもアルゴが頻繁に変わっていて「どういう人のコメントが、俺のフィードの一番上に来るのか」というのを毎日観察しています。
ずっと放置していたTwitterも最近ちゃんと見るようにしていますが、昔に比べるとだいぶ変わってきていて、ポストする人も内容も変わっています。
インスタ(Instagram)のアカウントも持っているので、ソーシャルメディアをひたすら眺めながらアルゴ研究をしているのがマイブームです。
西脇 どのソーシャルメディアが、一番研究しがいがありますか?
村上 Facebookとインスタですね。
やはりこの2つは日本でボリュームが多いですし、色々なポストやコメントを観察するのに十分な量があります。
例えば昔は「最新順」に投稿が並んでいたのが、多くのソーシャルメディアで「おすすめ順」になって久しいですよね。
それも、友達とその友達など、つながりの近い人の投稿がすごく重みづけされていて、同じような投稿を1日に何度も目にしませんか?
千葉 僕のフィードにはICCがたくさん出てきます。
村上 それは千葉さんにとっての「親しい友達」というのが日々のやり取りからFacebookによって認定されていて、その人のポストが優先的に上がっているんです。
その中でも最近アップデートがあったとか、久しぶりにポストした人がいきなりフィードの上位に出てきます。
これは、密なコミュニケーションをさらに密にしようというFacebookの意図の表れだと思います。
西脇 ちょっと意見を聞きたいのですが、Facebookをずっとソーシャルの中心に据えていると、結局親しい人や周りにいる人としかコミュニケーションがなくなるし、情報もそこからしか入ってこないので、どんどんサイロになってきます。
コミュニケーションが逆に広がらない気がするのですが、いかがでしょうか?
村上 そうですね。
その辺もすごく面白いと思っていて、『ファクトフルネス』を読んだということもありますが、“フィルターバブル”や“エコーチェンバー”と呼ばれているような「自分の身の回りで話題になっているものしか摂取しない状況」が、人にどういう行動をもたらすかにすごく興味があります。
▶エコーチェンバー現象の意味と問題点とは(All About)
僕はもともと多趣味なので、昔から色々なジャンルのものを摂取しようという意思をもって、興味のない情報もあえて取りに行っている節があるのですが、大多数の人はそうではないですよね。
そうするとそれこそ「分断」が起きているわけですし、インターネットは国境がなくてオープンで良かったのに、ある種のナショナリズムでインターネットに国境を設けようとする動きすら出てきていたりします。
ロシアは昔から、中国の“金盾”のようにフィルタリングをしているし、インドも今、金盾のようなものを作ろうとしています。
我々の知っていたインターネットは、“イントラネット”の塊になっていて、データポータビリティの話とか色々なものを含めると「何か違う未来が待っているな」とひしひしと感じています。
西脇 コミュニティでも同様のことを思います。
ソーシャルをやればやるほど、仲の良い人だけが集まって「あれ? これ元々インターネットに求めていたものと違うな」という気がしますよね。
村上 我々は90年代から「インターネットすごい!」と思ってここ20年くらいやって来ましたが、何となく実現したかに見えて、ここからの20年先が、僕がワクワクしていたインターネットの世界と違う予感がしています。
それが怖くて、今改めて、特にソーシャルメディアの研究をしているという感じです。
千葉さんが情報収集にTwitterを使う理由とは?
(写真右)Drone Fund 創業者/代表パートナー 千葉 功太郎さん
西脇 千葉さんはインスタもTwitterもFacebookもやっていますよね。
どうやって使い分けて、コミュニティをどのような視点で見ていますか?
千葉 Facebookは完全に仕事ですね。
村上 来年にはリンクトインに変わりますけれどね(笑)。
千葉 ごめんなさい。当然リンクトインです。ビジネスはリンクトインかFacebookです(笑)。
インスタはものすごく使っているし見ていますが、ビジネスの関係者は絶対に入れないようにしています。
Facebookは友だちの連絡用、Facebookメッセンジャーは業務メール、Twitterは情報収集に使っています。
僕は、Facebookで情報収集はできない。本当のことはTwitterに書いてあると思っているので、Twitterで情報収集しています。
村上 なぜ本当のことはTwitterに書いてあると思うのですか?
千葉 なんででしょう? やはりFacebookはフィルタリングが強すぎるから……
西脇 「フィルタリングが強すぎる」というのはどういうことでしょうか?
千葉 Facebookはタイムラインに流れてくる情報が全部強烈にフィルタリングされているので、要は同じような考え方を持った人、近い人の話しか出てこないですよね。
1つの大きなビッグニュースがあった時に、わあっと、皆が「No」「No」「No」と言っていると、タイムラインが「No」となります。
でもTwitterで実際見ると「Yes」がたくさんあります。僕はそちらを見たいんですね。
我々は変態というか、すごく偏っているじゃないですか。
そうした人だらけのタイムラインを見ていても、あまり意味がないのかなと思います。
もっと相対的に、あるいは遠いところから見るにはTwitterが便利だなと思います。
西脇 井上さんはどう思いますか?
井上 僕はどちらかというと論文のほうに傾いていくので、あまりソーシャルメディアに興味はないですね。
(写真中央)株式会社リバネス代表取締役副社長 CTO 井上 浄さん
もちろん色々な仲間たちのやっていることは刺激になりますが、僕は基本的に内側に入っていくので、論文を読んで「次に何をやろうとしているか」を直接聞いたりします。
世界の端っこにしか興味がないのです。
村上 研究者のSNSはないですか?
丸 ないんですよ。暗いんですよね。
井上 暗いですよね。もう1つ言うと、面白くないんですよね。一つひとつが重い!長い!
西脇 研究者がFacebookに書いてあることが重い?
井上 研究者が書いていると、分かりやすく伝えようと思うあまりに長くなってしまいます。
でも普通の人が見ると「長すぎて分からない」ということになってしまうんですよね。
村上さん直伝!リンクトインのプロフィール登録
丸 リンクトインにはあまり研究者はいないでしょう?
村上 海外はいますよ。日本は、登録だけしている人が多いですね。
学会に行った時に聞かれるからアカウントをつくっておこう、という人が散見される感じです。
西脇 コミュニケーションラインとしては、どういう使い分けをしたらいいのですか?
私はリンクトインがあってFacebookがあってTwitterがあってインスタがあってメールがあって、もういっぱい通知が来るんですよ。
千葉さんとは結局、TwitterやらLINEやら3つくらいのラインで会話をしていますよね。
だから自分で使い分けてコミュニケーションしなくてはいけません。
丸 僕は、リンクトインは海外の人と英語でコミュニケーションするために使っています。
千葉 リンクトインは完全に海外のイメージですね。
だから、まさか日本語が通じると思わなかったし、日本語で入力したらだめなのかなと思っていました。
村上 プロフィールも日本語でちゃんと書けますよ。
言語設定によって自動的に「日本語」と「英語」のどちらを見せるか表示分けができます。
僕のプロフィールも日英入力してあります。
千葉 両方登録できるんですか?
村上 もちろんできます。
日本語の設定をしている人が僕のプロフィールを見ると、日本語のプロフィールが表示されます。
英語に設定している人が見ると、僕の英語のプロフィールが表示されます。
千葉 それは知らなかったです。絶対早く言ったほうがいいですよ。
村上 今言っていますよ(笑)。
(続)
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/尾形 佳靖/戸田 秀成
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