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「人間を理解するとは何か?(シーズン2)」全9回シリーズの(その6)は、楽天北川さんが“家計支出”と“世帯年収”のグラフを前にして憤りをあらわにします。どうやら北川さんは、「数字から物事を読み解く想像力の欠如」に憤っているようです。よかったら、皆さんも一緒にグラフを見ながら考えてみませんか? ぜひご覧ください!
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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2020は、2020年2月17日〜20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット KYOTO 2019 プラチナ・スポンサーのリンクトイン・ジャパンにサポートいただきました。
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【登壇者情報】
2019年9月3〜5日
ICCサミット KYOTO 2019
Session 2B
大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン2) (90分拡大版)
Supported by リンクトイン・ジャパン
(スピーカー)
石川 善樹
株式会社Campus for H
共同創業者
井上 浄
株式会社リバネス
代表取締役副社長 CTO
川上(全龍)隆史
春光院
副住職
北川 拓也
楽天株式会社
常務執行役員CDO(チーフデータオフィサー)グローバルデータ統括部 ディレクター
(モデレーター)
村上 臣
リンクトイン・ジャパン株式会社
日本代表
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最初の記事
1. 今回も学び炸裂!「大人の教養シリーズ」第2弾、まずは前回のおさらいから
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5. 自動車67兆円、医療47兆円…GDP550兆円の内訳を「産業の規模感」で語れますか?
本編
GDPの理解②:家計側からの視点〜住居費を例に
北川 次のグラフをご覧ください。
このグラフは消費者庁の家計調査からできています。
家計調査なので、僕らは日々お金を使う中で、簡単に言えばこれらの数字が全部頭に入っているはずですよね。
なのに、これを僕らがどれくらい理解しているかと言えばあやしいです。
まず第一に「住居」が、7.4%。皆さんの感覚と合っていますか? この数字。
石川 「家賃は収入の3割まで」って言いません?
北川 そうですよね!
村上 2〜3割ですよね。
北川 7.4%ですから1割以下です。一体どういうことだ!と思うじゃないですか?
僕はこれを最初に見たとき「俺ってちょっと家賃払い過ぎなのかな?」と思いました。
村上 思いますよね、これは。
北川 実は簡単な話で、要は世の中の3分の1しか賃貸物件に住んでいないんですよ。
残りの3分の1はローンを払い終わった家を持っている人、残りの3分の1がローンを払い終わっていない家に住んでいる人です。
ですから最後の3分の1の人たちの家計では、住居費は例えば金融ローンの支払いの項目に入っているのです。
その他の項目についても世帯によって全然違います。
当たり前ですよね。当たり前なのに、こういった理解しか今できていないのが現実なのです。
GDPを理解せずして、家計調査を考察するべからず
北川 他にも、例えば「通信」は消費支出の4.5%となっています。
弊社も通信業に参入していっていますけれども、この4.5%という数字を見たときに、皆さんに憤りを感じてほしいわけですよ!ここに!
井上 今日はなんか憤ってますね。
北川 今日は怒っていきたい!
アメリカに住んでいる人だったら分かりますが、アメリカのスマホの月額はだいたい70ドル、感覚的に僕らの8,000円ぐらいの支払いです。
でも気づいてほしいのが、アメリカの1人あたりのGDPは日本人の約1.5倍です。
なのに同じ金額を払っているのです。
ちなみに、アメリカの通信費は世界では滅茶滅茶高いと言われています。
ヨーロッパの2倍と言われていて、そのアメリカと比べても日本は高いんですよ。
この数字を見て月々の明細書を破り捨てたくならない人は、数字の意味を理解していないんじゃないかと思うわけです。
石川 確かに、確かに。
北川 総務省はこれを毎日見ているので、憤ったわけですね。
井上 もう平均値ってなんの意味もないですよね。
北川 そうです!
こういった数字を見ていて僕が思ったのは、やはり「世の中の数字の理解というのは、何てまだまだ浅いんだ」と。
逆にそこで僕はもう1回興奮したわけですね。
村上 憤りからの興奮(笑)。
北川 結論があるわけではないんですけれども、僕が提案したいのは「こういう数字の理解をもっとみんなでしていこう」ということです。
ビジネスチャンスが山のように見えるはずなんですよ。
つまりこういうことですね。
村上 結局これだ(笑)。
井上 すごいジャンプしたな(笑)。
北川 まさに平均は意味がないので、GDPを100インダストリー×100セグメント=10,000ぐらいのマトリクスで理解すれば、世の中のビジネスチャンスは全部見えてくるはずです。
50代〜60代男性、高所得者層の見えざる支出とは
(写真右)株式会社Campus for H 共同創業者 石川 善樹さん
石川 例えばこの縦軸にどんな人がいるのかということで、僕は人間を理解するために、あんまり仲良くない人と一緒に旅行に行くんですけど。
北川 それを言ったら、一緒に行った人が仲良くないみたいに聞こえますよ。
石川 まあ行って仲良くなるんですけれど(笑)、この間50~60代の方々と一緒に旅行に行ったんですね。
メジャーなセグメントじゃないですか。ちなみにお金もある人たちです。
僕はこの人たちを理解しようと思って、一緒に熊本県の天草に行きました。
熊本市に集合して車で天草に行って、ランチで馬刺しを食べたんですよ。
食べながら「最近どんなことにお金を使っているんですか?」と聞いたら、ある50代の男性が「石川さんね、脱毛来てるよ!」って言うんですよ。
村上 確かに今来てますよね。
石川 お!ご存知ですね(笑)どういうことか聞いたら、銀座の脱毛サロンの話なんです。
「介護脱毛」というらしいのですが、下の毛を脱毛しておいたほうが、将来介護されるときにご迷惑をおかけしない、かつ衛生的であるということなんです。
村上 下が全部ツルツルってことですね。
石川 そうそう。
ちなみに、人間の中心のラインというのがあって、そこの毛を抜くときは痛いらしいです。
ヒゲで言うと、鼻の下が痛くて、その周りは痛くない。下の毛も一緒だそうです。
村上 じゃあ、このセグメントのところに追加されるわけですね、脱毛をしているかしていないか。
石川 「世の中には2種類の人間しかいない」と。
「毛がある人間とない人間だ!」……まあ次、行きましょうか(笑)。
井上 散らかすよね。本当に(笑)。
石川 今日は皆さんに脱毛を覚えて帰っていただきたい!
「日本の世帯年収=550万円」をどう読み解くか?
北川 話を戻します(笑)。
脱毛の話プラスアルファでもう1つ、収入の分布についても、僕らは全然理解していません。
こちらのグラフをご覧ください。
石川 これはどういうグラフですか? 横軸が収入ですか?
北川 横軸が収入で分布になっております。
基本的に日本の世帯収入の平均値は550万円で、中央値(データを小さい順に並べたときに中央に位置する値)が450万円と言われています。
中央値と平均値にこれだけ解離があるということは、分布が滅茶苦茶偏っているということです。
井上 おっしゃる通りですね。
村上 実際の分布を見ると絶対数は200~300万円が多いという話ですね。
北川 そうなんです。3ピークが立っているのは、単純に集計の仕方が若干偏っているからで人工的なんですけれども、「こんなにも分布って広いんだ」という直感は間違いなく合っているんです。
さらにこの内訳を調べてみると、こうなっています。
先ほどのグラフは全世帯で日本の国民全員のグラフを出していますが、高齢者世帯、例えば児童のいる世帯、母子世帯で分けたら、こんなグラフになっているというのを厚生労働省が出しています。
オレンジ色が高齢者世帯、グレーが児童のいる世帯、黄色が母子世帯です。
実は児童のいる世帯の平均収入は700~750万円と言われています。
だから当然右に寄るわけですけれども、これを見ると収入300万円の層というのは、多くは高齢者世帯か年金で暮らしている方々か、保護を受けていらっしゃる母子世帯の方々です。
僕らはこういった数字を見て想像力を膨らませて、日本国はどうなっているのかをもっと考えるべきだと、これを見てまた憤りを感じるわけです。
なぜ僕はこれを知らなかったのかと!
村上 なるほど。それは憤りますね。
井上 荒ぶっていますねえ。
石川 中学の入試問題は、もうこれでいいよね。
北川 そう!そう!
石川 「問:この収入分布を見て思うところを述べよ」
北川 そう!これを見て将来何をするんだということです。
話が長くなったんですけれども、まず僕らはGDPを理解する必要がありますよと。
そして、それによって人間をもっと理解する必要があるというのが僕の主張です。
石川 なるほどね、素晴らしいですね。
井上 これはぐっときますね。
村上 いやあ、大興奮ですね。前回も青春で荒ぶっていましたけど、今回も北川さんは憤りがすごい。
石川 グラフはこれぐらい感情を持って見ないとだめですね(笑)
村上 そうですね。ここでの学びはやはり「グラフは興奮して見るもの」「興奮できないグラフはなんの意味もない」ってことですね。
という感じで、ちょうどセッション時間の半分が過ぎました(笑)。
(続)
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続きは 7. 自己と外界を隔てるバウンダリーの消失が「Well-being」をもたらす? をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/小林 弘美/戸田 秀成
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