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「新シリーズ 世界の偉人伝 (シーズン1) 」全9回シリーズの(その5)は、COTEN深井さんが、一般的には天才軍師というイメージのある諸葛孔明の仕事面を、ビジネスパーソンとして客観的に分析。「完全アウェー環境に入る」「スキルは低いが人のよい社長の下で働く」「営業以外全部やる」そんな孔明を評して登壇者が言うことには……? ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2021は、2021年9月6日〜9月9日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2021 プレミアム・スポンサーのリブ・コンサルティング様にサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2021年2月15〜18日開催
ICC FUKUOKA 2021
Session 12E
Nizi Projectから学ぶ採用と人材育成の仕組みとは?
Supported by リブ・コンサルティング
(スピーカー)
石川 善樹
公益財団法人Well-being for Planet Earth
代表理事
小林 正忠
楽天株式会社
Co-Founder and Chief Well-being Officer
深井 龍之介
株式会社COTEN
代表取締役
丸 幸弘
株式会社リバネス
代表取締役 グループCEO
(モデレーター)
井上 真吾
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン
パートナー
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最初の記事
1. 新シリーズ誕生! 登壇者が選んだ「イチオシ偉人」を語る
1つ前の記事
4. COTEN深井さんが選ぶ偉人は、『三国志』に登場する「諸葛孔明」
本編
諸葛孔明のすごさ①腕っぷしの強い集団を頭脳で統率
深井 まず劉備の集団というのは、諸葛亮が入るまでは基本全員腕っぷしの強い、ケンカが強い、誰が強いかという尺度だけで生きてきたような集団でした。
張飛(170年代後半~221)、関羽(?~220)、趙雲(?~229)は全員強くて、しかも戦略的に強いのではなくて、自分が強いのです(笑)。
石川 1対1が超強いのですね。
深井 1対1も強いし、本人が強いから兵士も結構頑張って戦うので戦争もそこそこ強いのですが、例えば曹操軍の軍師が出てきて戦略的に戦ってくると負けるぐらいの、絶妙な弱さを発揮している集団です。
その集団の中に、諸葛亮は1人だけ賢いキャラとして突入していく。そこで妬みそねみを買いながら、頭脳で集団を統率して戦略的に動かしていきました。
それまでそういう発想はなかったので、それこそ張飛と関羽に嫌われたのです。
張飛と関羽は、劉備と同じベッドで寝るぐらい仲が良かったのですが(笑)、劉備は諸葛亮が入ったらやたらと重用して、諸葛亮の話ばかり聞くのです。
仲の良かった3人のところに、急に新しい、キャラが全然違う、別に強くもない諸葛亮が現れて、なんでこんなに威張っているんだと嫌われたのですが、その中で少しずつ信頼関係を築いていきます。
14年間くらいかけて、辛酸をなめながら進めていきました。
諸葛孔明のすごさ②劉備玄徳に仕えた選択眼
深井 もう1つ僕がすごいなと思っているのは、当時諸葛亮は27歳ぐらいで劉備の部下になりますが、その時点で何の実績も持っていなかったとはいえ、彼は「伏龍」と呼ばれて、地元では非常に有名でした。
彼が当時いた荊州(今の湖北省)では有名で、「伏せている龍だ」と、どこかに登用されればすごい活躍をするだろう、それぐらい聡明だと言われていました。
けれども、彼は曹操や孫権に仕える道は選びませんでした。
一方、彼の親戚も活躍していて、「諸葛」は亮以外にもいます。
彼らは魏や呉に仕えて実際に活躍しています。
石川 現代でいうと、大企業に行ったわけですね。
深井 そうです。その中で諸葛亮が選んだのは、非常にスキルの低い社長の下に就くことでした。
しかも当時は国にもなっていない。AmazonとGoogleがあって、その一方で3つ目の……。
石川 Amazonと楽天があるんですよ(笑)。
深井 ああ、そうですね(笑)。Amazonと楽天があって、3つ目の企業を今から創業しようとしている、そんなにスキルフルではない、でもすごく人のよい社長を見つけて、その人の下に就くことを選択したわけです。
この選択が、僕はすごく面白いなと思っています。
正忠 普通はそうしないですよね。
深井 やらないですよね。勝ち馬に乗らないんです。
石川 親戚が大企業に行っているのに。
丸 めちゃくちゃ悪いヤツですね。盾を作って脳みそだけ注入して、昆虫のように動かすわけでしょう? 天才的ですね。
(一同笑)
諸葛孔明のすごさ③頑張り続ける誠実さ
深井 でも彼は最後に過労死しますから、自分も頑張っていますね(笑)。
彼は蜀になる前の、劉備というグループに入り、そこから14年間ぐらいかけて、蜀という国を作る仕事をまずやります。
蜀を約14年かけて作っていきますが、なにせ“脳筋集団”なので、戦争以外のことをできる人がいませんでした。
だから会社で例えるならば、営業以外誰もいないのです。
諸葛亮は、人事もバックオフィスも経営も全部1人でやらなければいけない状態になって、本当に全部1人でやるのです。
もちろん部下も作っていきますが、基本的には彼より優秀な人間を作ることに失敗してしまうので、ずっと1人で頑張ります。
全部署を自分1人で頑張ってやって、自分の苦手な戦争も自分が軍師として出陣して、それで負けて、ということを繰り返します。
ナンバー2であり続けた諸葛孔明
深井 そういうことをやり続け蜀をつくることに成功して、三国時代をつくるところまでは成功しているので、少しずつ自分の地位が上がっていきます。
すごい人物だ、劉備のグループを押し上げてくれている人だということで、名実ともにナンバー2になっていきます。
そうすると普通の人間は、自分が国を乗っ取ってやろうと思います。
これは自然に発生することで、曹操の魏の国では実際にそれが起こっています。
司馬懿(しば い、179~251)という天才軍師が非常に活躍をして、彼の世代では乗っ取れませんでしたが、彼の孫世代の司馬炎(236~290)が、王様より自分たちのほうが優秀だと魏の国を乗っ取ります。
蜀では、諸葛亮の存命中に劉備が亡くなり、関羽も張飛も亡くなります。
創業者である3名が全員亡くなって、諸葛亮が継ぐという状態になります。
その時点で乗っ取るという選択が普通に出てくるのですが、彼をすごいなと思うのは、劉備の息子の劉禅(223~263)はすごく無能なのですが、劉禅を奉戴してあくまでナンバー2を守りながら、最後は過労によって死ぬのです。
今の時代の美学としてどうか、僕がそれをやるかといったらやりませんが、何て言うんでしょう……
石川 部下にしたい男のナンバー1じゃないですか。
深井 そうなんですよ(笑)。部下にしたいなと思って、今日紹介しました。
(一同笑)
石川 面白い!(笑)
深井 一般的に持たれているイメージとはちょっと違うので、そういうところを紹介したいなと思いました。以上です。
「一番動かしやすい国」を選んだ?
井上 めちゃくちゃ面白かったです。
「偉人とは」というところと、あとは「諸葛孔明の人生は幸せだったのか?」という話がありますよね。
深井 謎ですよね。
丸 これはたぶん「性癖」みたいなものですよ。
この人は感覚的に「歩を持ってあたる」というところに対して、すごく興奮していたと思います。
だから自分が動くのではなくて、動かしやすいものをとらえて、歩をもって金にして、世の中を動かすということに興奮していた人のような気がします。
深井 それ、すごく分かります。
正忠 面白い例えだなあ。
丸 次の歩がいて働き過ぎてしまったということは、興奮し過ぎてしまったことによる安楽死みたいなものですよね。
すごく感想は真逆ですが、ビリビリきましたね! この話は今日初めて聞いたので。
僕もどちらかと言うとそちらに近くて、あまり表に出ないじゃないですか。レアキャラとして。
諸葛孔明はいいですね! 研究者ぽくていいですね。
深井 たぶん一番動かしやすい国を彼は選んでいたんだと思います。
丸 そう! 分かるなあ。
深井 曹操のところに行っても、頭の良い人がたくさんいるのです。
石川 もしかしたら、本当に中国の平和を考えたのは諸葛孔明かもしれませんね。
国の王になりたいわけではなくて、本当に中国を平和にしたくて、そのために均衡を保つという。
丸 今日は勉強になりました。
サイエンスではなくても、面白いサイエンティストがいるものですね。
(一同笑)
深井 響いてよかったです(笑)。
丸 響いたなあ。
井上 信念を通し続ける美しさはやはり人を惹きつけます。偉人だなということですね。
石川 このセッション、いいですね(笑)。面白くて、めちゃめちゃ勉強になります。
井上 では、丸さんお待たせしました。
(続)
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続きは 6. リバネス丸さんが選ぶ偉人は、PCR法の生みの親「キャリー・マリス」 をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/尾形 佳靖/戸田 秀成/小林弘美
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