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6.Well-beingなコミュニティを作るための4つの要素

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シーズン7を迎えた「人間を理解するとは何か」、全7回の⑥は、スピーカーの面々が所属しているコミュニティを発表。北川 拓也さんがICCサミットを例に、Well-beingなコミュニティを作る要素を考察します。FacebookやInstagramなどのSNSが1:Nの情報発信、LINEやViberが、1:1の関係深化を促進したならば、次にN:Nのコミュニティを作るテクノロジーとは? ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2022は、2022年9月5日〜9月8日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2022 プレミアム・スポンサーのリブ・コンサルティングにサポート頂きました。


【登壇者情報】
2022年2月14〜17日開催
ICCサミット FUKUOKA 2022
Session 8C
大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン7)
Supported by リブ・コンサルティング

(スピーカー)

石川 善樹
公益財団法人Well-being for Planet Earth
代表理事

井上 浄
株式会社リバネス
代表取締役副社長 CTO

北川 拓也
楽天グループ株式会社
常務執行役員 CDO(チーフデータオフィサー) グローバルデータ統括部 ディレクター
(登壇当時)

(モデレーター)

村上 臣
リンクトイン・ジャパン株式会社
日本代表
(登壇当時)

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5.多様なアイデンティティを持ち、複数のコミュニティに所属しているほうがWell-beingである

本編

北川 ここで、せっかくなので、皆さんが所属しているコミュニティについて教えてください。

村上さんは茶道のコミュニティに所属

村上 僕は最近、新しいコミュニティに入りました。

茶道(ちゃどう)を始めまして。

北川 さどう? ちゃどう?

村上 裏千家だと、「ちゃどう」と呼ぶのです。

北川 そうなんですね!

井上 村上さんは、本当に色々広げていきますよねえ。

村上 僕は日本文化が好きで、特に器が好きなので、昔からずっとやりたかったのです。

器の世界では、横にお茶がチラチラ見えるので、いつか茶道を始めないといけないという圧力を器から受けていたのです(笑)。

コロナ禍で時間の自由度が増したので、1年半くらい前に先生について、ようやく始めることができました。

北川 どうですか?

村上 ダイバーシティを感じられない環境ですね。まず男性が圧倒的に少ない。

ほとんどが女性で、平均年齢は60代以上ですね。

北川 高めなのですね。

村上 うちの社中はお姉様方が多いのですが、そこにポンと放り込まれました。

北川 そのコミュニティは、まだDoingコミュニティですか?

村上 まだDoingコミュニティですね。

ただ、先日ぐっと距離が縮まった瞬間がありました。

正月には、稽古初めとして、初釜という一年で一番大きいイベントがあります。

その際、裏方の仕事として、ベテランのお姉様方と狭い水屋で作業をしていたのですが、そこでコネクションが生まれました。

北川 面白いですね。

村上 面白いです。これが最近のコミュニティ状況ですね。

北川 めちゃくちゃ良いですね。

井上さんのコミュニティはベンチャー企業やラボ

井上 僕の場合は、サポートしているベンチャー企業それぞれが、コミュニティですね。

それから、増えたり減ったりはありますが、ラボですね。

でも、どれもDoingですね。

北川 どれが一番好きなコミュニティですか?

井上 ラボです。

北川 ラボが好きなのですね。

村上 研究大好きですからね(笑)。

井上 学生が常に入れ替わる中で、新しいものが生まれたり、新しい個性が生まれたり、どのやり方が一番いいかと考えたり、みんなで励まし合ったり怒ったり…、そういうことができるのが、すごく良いですね。

北川 良いコミュニティを作るヒントみたいなものはありますか?

井上 いや、それが良いコミュニティかどうかがまず分からないですね(笑)。

研究は、世の中にはなかった事実を掘り下げ、圧倒的な新規のものを生み出す、つまりDoingが目的ですから、そのために必要なのは、どちらかと言えば人間関係だと思います。

学生や研究員たちとどういう関係性を築くかについて、人が替わるたびに毎回考えられるのは面白いですね。

僕の研究では、夜にオンラインでミーティングをしていますが、研究ミーティングだけを一緒にやると殺伐とするので、「今週あった、一番面白いことを話してください」から始めます。

最近は、それがむしろ結構辛いというメッセージをもらうようになりました(笑)。

石川 パワハラになりつつある(笑)。

井上 「面白い話なんてないので、やめてください」って(笑)。

村上 善樹さんはいかがですか?

石川さんは高野山コミュニティに参加

石川 最近入ったのは、高野山コミュニティですね。

きっかけはちょっと変だったのですが、1000年以上続く高野山、そして天才空海の秘密を探りたいなと思って、冬の高野山に行ったのです。

宿坊に泊まって、辛い修行についてお坊さんに話を聞いて…。

そして、修行のための質素な精進料理を運んできてくれました。

しかし、運んできてくれたお坊さんが、普段精進料理を食べているとは思えないほど、太っていたのです(笑)。

(一同笑)

北川 それは、(精進料理を)食べていないですね(笑)。

石川 あれだけ「辛い修行をしている」って言っていたのに!と思って、さすがにツッコみました(笑)。

村上 その体は何でできているのか、と(笑)。

石川 「絶対食べてないでしょ!」と言うと、ようやく向こうも鎧を脱いで、「実はそうなんですよ」って(笑)。

(一同笑)

「さっきは酒禁止と言っていたけど、飲んでいるでしょ?」と聞くと、「はい、飲んでいます」と言っていました(笑)。「どういうことですか!?」と聞いたら…。

井上 何しに行ったの(笑)?

石川 もともと、お酒や塩は禁止なのです。

村上 そうですね。

石川 でも、寒い時や病気の時は、百薬の長という理由で、お酒はOKになったらしいのです。

村上 なるほど(笑)。

石川 となると問題は、「病気とは何か」ということなのです。

何の病気かは分かりませんが、毎晩、病気になるらしいのです(笑)。

井上 今日はちょっと調子が悪いから、百薬の長に…。

石川 頼らざるを得ないということです。

村上 大学の頃、同じクラスに、実家が高野山のふもとにあるという子がいました。

子どもの頃、朝夕は道路に出るなと教育をされていたらしく、なぜかと言うと、お坊さんがベンツのSクラスで、袈裟を着て猛スピードで走っていて、轢かれると危ないからだったようです(笑)。

石川 轢かれる(笑)。

村上 轢かれても、お坊さんだからすぐ供養されるし、なんなら持っていかれるのではないかと心配していた、という冗談みたいな話がありました。

そういうこと、よくありますよね。

石川 そうですね。

村上 以前、日本に来た敬虔なヒンズー教徒が「吉野家に行きたい」と言ったので、「牛は食べられないでしょ?」と言うと、「いや、日本の牛は神じゃない」と真顔で言ったのです(笑)。

(会場笑)

インドから日本は遠いし、日本の牛が自分たちの神である牛と同じかどうかは分からないし、インドにいる神様から日本は見えないと言い張って、「ココイチと吉野家に行きたい」と言うわけです。

「日本には、ココイチという素晴らしいカレーがあるのは知っているか?」と聞かれたので、勿論知っていると答え、連れて行きました。

店で、肉は抜いたほうがいいかと聞いても大丈夫だと言うし、カツが何でできているか聞いても「大丈夫、これは違う食べ物だ」と言い、「めちゃくちゃ美味い」と食べていました。

その後も日本に来る度に、食べていましたね。

石川 そうやって、仲良くなるのですよね。

井上 鎧を脱いでね。

コミュニティへの理解が進んでいない

村上 コミュニティの話に戻ると(笑)、拓也さんが言いたかったのは、「Doing」と「Being」の違いですよね。

北川 そうですね。コミュニティの話はこんなにも大事なのに、我々は理解していないのです。

村上 全く理解できていないですね(笑)。

北川 今も、とっ散らかったじゃないですか(笑)。

村上 どうしようもない話になって、フレームワークもゼロだった(笑)。

井上 太ったお坊さんがいる話しか覚えてない(笑)。

村上 太ったお坊さんとインド人の話しかしてないですからね。

北川 でも、話していると楽しい。

なぜなら、コミュニティは僕たちにとってめちゃくちゃ大事だからです。

でも、どういうコミュニティをどうやって作るべきか、どういう構造だと良いコミュニティになるか、さらに何が良いコミュニティなのかすら、分かっていないのです。

僕はそこに強い課題意識を持っているのですが、テクノロジーによってそれが分かるような方向性に、向かっていっているのではないかという話を少ししますね。

ICCに見るWell-beingなコミュニティの作り方

北川 Well-beingなコミュニティを作る秘訣ということで、僕なりにリストアップしたのがこのスライドの内容です。

ICCの場合、良いコミュニティを作るための要素がすごくたくさん詰まっていると僕は思います。

(ICCサミットを主宰する小林)雅さんから、コミュニティの作り方を学んでいきましょう。

まず、安心感や心理的安全性があるか。

つまり、自己開示ができるコミュニティがめちゃくちゃ大事です。

僕たちは、ICCサミットのこういう場で無理にでも話すので、自分をさらけ出す力が出ます。

そして、時間の共有です。

定期的に同じ時間を過ごすことはすごく大事です。

僕たちは雅さんに、半年に1回、京都や福岡に連れてきてもらっていますね。

価値が創造されて流通する、つまりペイフォワード(pay it forward)ができないとコミュニティは盛り下がっていくので、価値が生み出されることも大事です。

他人思いやる「ペイフォワード」 無償奉仕で好循環生む(日経新聞)

ICCサミットでは毎回、僕たちが死ぬほど準備をしてセッションに臨み、みんなで共有しています。

共創が大事ですね。

それから、新しい刺激として、人が入れ替わらないといけないです。

雅さんはICCサミットという場を手作りで取り組んでくれていますが、これをスケーラブルに、みんなができるようにするためにはどうすればいいか。

Web3がコミュニティの世界観を変える

北川 Facebook、Instagram、LINE、Viberなど、Web2と呼ばれるこれまでのテクノロジーが、コミュニティ作りを促進したという側面があります。

FacebookやInstagramは1:Nの情報発信、つまり1人が発信したものを色々な人が受け取るスタイルが得意です。

一方、LINEやViberは、すでに信頼のある1:1の関係性を作るのが得意でした。

しかしコロナ時代になり、離れている人と、信頼関係を感じられない場所で、N:Nのコミュニティを作ることは、まだできていません。

インターネットで世界の人たちとつながれるとは言っても、例えば信頼感を持って、遠いアフリカの人たちとつながるというのはそれほど簡単ではないので、そういうことができないかなと思っています。

そこでWeb3というテクノロジーが、今の世界観を変えていくのではないかとかなり期待され、盛り上がっています。

「Web3」とは何か?–漠然とした「次世代インターネット」の概念を読み解く(cnet Japan)

村上 なるほど。

北川 ブロックチェーンのおかげで、スライドにある4つのことが可能になりました。

コミュニティを盛り上げるには、最初のメンバーがすごく頑張らなくてはいけません。

しかし、これまではそれに対するインセンティブが弱かったので、新しいコミュニティを立ち上げるということが起こりづらかったのです。

Web3では、「トークン」という仮想通貨を発行することで、初期にコミュニティに関わった人に対し、レピュテーション(評価)の意味でも、金銭的にも報いる構造が作れるようになりました。

また、コミュニティを自分ごと化できます。

というのも、トークンはある意味、株のようなものですから、トークンを持つことで、コミュニティが盛り上がれば自分にも良いことがあるとみんなが思えるからです。

これは、フランス革命による国民国家化と似たようなケースだと、臣さんとも話していました。

3. 第一次世界大戦で、国民意識が芽生えた「国民国家モデル」の帝国が勝った理由

そして、知らない人同士でも、ブロックチェーンを通じたスマートコントラクト(※ブロックチェーン上で契約を自動的に実行する仕組み)を使うことで、価値の交換、つまり仮想通貨の交換が可能になったのも、大きな変化です。

先ほど触れたペイフォワードを行おうとする際、価値の交換がなければコミュニティが盛り上がりません。

最後に、お金以外の信用や価値の見える化ができるようになりました。

つまり、デジタル上で、評判が流通する世の中になるのです。

これらが可能になったことで、今後、インターネットにおけるコミュニティの作り方が劇的に変わっていくというのが、面白い流れですね。

Web3による社会実験で人間の理解が進む?

北川 Web3の説明など、少し早口だったかもしれませんが(笑)、覚えて帰って頂きたいのは、Web3が面白いのは、コミュニティの作り方、構造についての実験が繰り返されているということです。
人間を理解する 2022 15

報酬設計、例えば、何が良くて何を悪いとするか、どういう人が入れるか、どんな貢献をすれば何がもらえるかなどの構造を、スマートコントラクト上でデザインできるのです。

今まで経済の社会実験はできませんでしたが、色々な実験が可能になったことで、さらに進化が進むのではないかと、僕は興奮しています。

村上 なるほど。

誰もが見られる状態でログが残るというのは初めてですから、面白いですね。

ありがとうございました。

(続)

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸

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