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2. ボーダレス・ジャパンとLivEQuality大家さん、ソーシャルビジネスへの新たな挑戦

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ICC FUKUOKA 2025のセッション「インパクト・スタートアップ(社会課題の解決と経済的な成長を両立するビジネス)のビジネスプランニングとは?」、全6回の②は、13カ国で50事業を展開するソーシャルビジネスの群カンパニー、ボーダレス・ジャパン 田口 一成さん、アフォーダブルハウジングで母子家庭の暮らしを支えるLivEQuality大家さんの岡本 拓也さんが登場します。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2025は、2025年9月1日〜9月4日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは リブ・コンサルティングスマートニュース です。


【登壇者情報】
2025年2月17〜20日開催
ICC FUKUOKA 2025
Session 10B
インパクト・スタートアップ(社会課題の解決と経済的な成長を両立するビジネス)のビジネスプランニングとは?
Supported by リブ・コンサルティング
Co-Supported by スマートニュース

スピーカー・質問者・モデレーター

(スピーカー)

岡本 拓也
LivEQuality大家さん
代表取締役社長

田口 一成
ボーダレス・ジャパン代表取締役CEO

松田 文登
ヘラルボニー
代表取締役Co-CEO

(質問者=リングサイド席)

白井 智子
CHEERS
代表取締役

園田 正樹
グッドバトン
代表取締役

冨田 啓輔
HelloWorld
代表取締役Co-CEO

福寿 満希
ローランズ
代表取締役

(モデレーター)

江口 耕三
鎌倉投信
創発の莟ファンド運用責任者

山崎 大祐
マザーハウス
代表取締役副社長

「インパクト・スタートアップ(社会課題の解決と経済的な成長を両立するビジネス)のビジネスプランニングとは?」の配信済み記事一覧


山崎 どんどんいきましょうか。

田口さん、お願いします。

13カ国でソーシャルビジネスを展開するボーダレス・ジャパン 田口 一成さん

田口 ボーダレス・ジャパン代表の田口といいます。


田口 一成
ボーダレス・ジャパン代表取締役社長

1980年生まれ、福岡県出身。早稲田大学在学中に米国ワシントン大学へビジネス留学。卒業後、㈱ミスミ(現 ミスミグループ本社)を経て、25歳でボーダレス・ジャパンを創業。 社会課題を解決するソーシャルビジネスのパイオニアとして、日経ビジネス「世界を動かす日本人50」、Forbes JAPAN「日本のインパクト・アントレプレナー35」、EY「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー・ジャパン」に選出。2020年、カンブリア宮殿に出演。 TEDx『人生の価値は何を得るかではなく、何を残すかにある』の再生回数は110万回を超える。2021年『9割の社会問題はビジネスで解決できる』(PHP出版)を出版しベストセラーとなる。

僕らは、今世界13カ国で50のソーシャルビジネスをしています。

色々な分野でグローバルに展開しているのが特徴です。

製造小売業は、マザーハウスと同じくバングラデシュに牛革製品の工場があります。

あとは流通、農業・畜産、エネルギー、教育、不動産、リユースのほか、アノテーションなども含むITやAI、メディアといった様々な分野のビジネスをしています。

▶︎「心優しい愚直な人」を社会の力に! ボーダレス・ジャパンが年間100社を作ろうとする理由

今期(2024年度)の売上は、102億円ほどと予想しています。

今まで起業家支援がボーダレスの特徴でしたが、まさにこれから、グループ経営という形で、かなりグリップしながらやっていく体制に変えていきます。

ボーダレスがグループ経営に変化していく理由

田口 「※時代の変化と共に(ボーダレスの役割も変化)」とスライドにありますが、昔は、社会に対して何かチャレンジしたいけれども、初めての起業でお金もないしノウハウもない人に対して、ペーパー1枚のタイミングで支援する人たちはいませんでした。

そこに資金を出すし、マーケティングや色々なことをサポートしていく存在は稀有だったので、僕らはそれを始めましたが、ここ、特に2、3年で、社会起業家を応援する環境は非常に整ってきました。

僕らも一つ重要な選択肢かもしれないですが、今、全体で必要なのは、大きいロールモデルが出てくることではないか、この業界が本当に発展していく上では、そちらのほうが必要なのではないかと思うようになりました。

そういう意味においては、ボーダレス・ジャパンが起業家支援という後ろに隠れた存在から、ソーシャルビジネスの群カンパニーとして、グループ全体としてダイナミックにやっていくことのほうが、業界全体に対して良い影響を及ぼすのではないかと考え、グループ経営へという話になっています。

色々な事業カンパニーがあって、その各社から営業利益の10%を集めて共通でプールして、基本的にこの資金を使って新しい事業を立ち上げています。

今、グループの営業利益は5億円ぐらいあり、それ(共通でプールした資金)を使いながら、毎年資金をどんどん増やしていき、事業を立ち上げ、足りないところは借り入れたりしています。

「イントレ」といって、基本的にボーダレス・ジャパンの中で立ち上げるのですが、大きくしていく上で戦略的に外部パートナーと資本提携して、一部の株の売却益をまた事業資金に出していきます。

今まで起業家支援をしていく上では、基本的に起業家に好きにどうぞというスタンスでしたが、これからはバックアップ機能やブースト機能を置きます。

特に重要なのは、Salesforceかなと思います。

販売をグループの共通インフラとして、色々なセールスチームがいるということをもって、事業の立ち上がりを強力にバックアップしていくようなグループ設計に、これから変えていこうという話になっています。

来週月曜日(2025年2月登壇当時)に、グループ経営について社内で説明するので、ちょうどこれからスタートする感じですね。

右下に書いてありますが、グループ経営によって事業スケール、事業の立ち上げスピードを1社ではできないレベルでどう引き上げられるかがすごく重要だと思うし、群戦略をとってダイナミックな形でやっていけたらいいなと思っています。

今日はよろしくお願いします。

山崎 ありがとうございます。面白いですね。

(売上予想が約)100億円というのは、すごいですね。

5億円の営業利益、100億円の売上と聞くと、強烈ですね。

では、岡本さん、よろしくお願いします。

アフォーダブルハウジングで母子家庭の暮らしを支えるLivEQuality大家さんの岡本 拓也さん

岡本 よろしくお願いいたします。

LivEQuality大家さんの岡本と申します。


岡本 拓也
LivEQuality大家さん
代表取締役社長

公認会計士として大手コンサルティング会社で企業再生等に携わった後、中間支援団体の代表理事、教育系NPOの常務理事を歴任。2018年、父の急逝に伴い建設会社を承継。2021年、コロナ禍を機に、シングルマザーの課題を「住まい」から解決するLivEQuality(リブクオリティー)事業をローンチ、後に法人化。母子家庭の相対的貧困率48%の起点には、DVや離婚による住まいの喪失がある。弊社の「ソーシャル大家業」では、まずテナントや一般入居者が求める「都市部の好立地のビル」を購入。メンテナンスで物件の質を高め、ビル全体の収益性を担保しつつ、一部を相場以下で貸し出す。清潔な個室を得て、2022年に立ち上げたNPO法人による支援を受けたシングルマザーの家賃滞納はゼロ、入居半年後就労率83%。インパクト投資家への私募社債発行等で累計5億円調達した資金を基に、名古屋市で構築した経済性・社会性の両立モデルを全国展開する。

「大家×NPO×ファイナンス」で、シングルマザーの課題を住まいから解決する「LivEQuality大家さん」(ICC KYOTO 2024)

我々は、「住まいから母子の尊厳を取り戻す」というミッションに向かって、今取り組んでいます。

もともとあった会社からスピンアウトして、2012年の11月にできた会社です。

事業自体は、コロナ禍の2021年6月からスタートしていますので、4年弱経ちました。

今回のテーマは、インパクト・スタートアップのビジネスプランニングということで、簡単で恐縮ですが、スライドでご説明しようと思っています。

ビジネスモデルを一言で言いますと、「ハード」と「ソフト」と「ファイナンス」を組み合わせています。

ソフトについては、自立の伴走支援をするNPOを立ち上げました。

NPOとして、完全に寄付金、助成金を原資にしながら、どこまでも寄り添うことに取り組んでいます。

ハードについては、株式会社のLivEQuality大家さんが、バランスシートで15億円程度の投資を実行し、名古屋の都心に120部屋を保有しながら、住まいを提供しています。

NPOによる寄り添いがあるということもあるのですが、家賃の滞納は0件で、回収率100%です。

入居後の就業率が80%に上っていて、お母さんが元気になると子どもたちも元気になるので、本当に未来を照らす事業でもあるのかなと思っています。

利回り0.1%、返済期間20年のインパクトボンドを発行

岡本 ファイナンスについては、少し変わった、新しいファイナンス手法を開発しました。利回り0.1%、返済期間20年、1口1,000万円の社債を発行し、「インパクトボンド」と名付けています。

この条件で誰が資金を出す人がいるの?と思われるかもしれませんが、借入金と合わせて累計5.9億円を調達しています(2025年2月時点)。

ビジネスとして成り立っているのは、稼働率が上がるからです。

保有物件全体の30%の部屋の家賃を30%下げるので、10%ぐらい利回りが下がるものの、他の大家さんが相手にしない方々に住まいを届けるので稼働率が20%上がるため、事業性と社会性が両立するビジネスモデルが出来ました。

今後全国のNPOと連携したり、ファイナンススキームを新たに組み直したり、政策提言もしながら、5年で100億円規模にもっていきたいなと思っています。

少しだけご紹介ですが、壇上の皆さんも、会場にいらっしゃる皆さんもおそらく載っていらっしゃったのではないかと思いますが、『Forbes JAPAN』2025年3月号の「インパクト100」という特集記事に掲載されました。

日本初のアフォーダブルハウジング・ファンドをりそな銀行とLivEQualityグループで立ち上げる新しい取り組みにチャレンジしています。

既に基本合意書を締結しまして、メディアにもう出てしまったので、今急ピッチで立ち上げているところです(笑)。

ファンドができると、自分たちのバランスシートではないところで、いわゆるソーシャル大家さんを増やしていくような事業があらたに立ち上がります。これは、我々のビジネスモデルの次の展開にも繋がり、かつ更なるインパクト拡大に繋がる事業なので、全力で取り組んでいます。

まだ設立から3年半のスタートアップですが、りそなホールディングスさんとの連携など、インパクトファイナンスの分野でも大きな流れが創れそうですので、次のフェイズに向けて益々頑張って参ります。

以上です。

山崎 ありがとうございます。

インパクト・スタートアップという共通点はあっても三者三様

山崎 江口さんにもお伺いしながら進めたいと思いますが、三者三様ですよね。

インパクト・スタートアップの大きな特徴となるのは、そもそも何の社会課題にフォーカスするかと、会社の体制、それから、資金調達手段ですが、それぞれ全然違いますよね。

ヘラルボニーは課題が明確で、かなり解像度高く、集中して事業を行っています。

一見市場規模が小さそうに見えますが、グローバルに展開していて、世界的な広がりにまでもっていって、その裏側にファンドの資金も入っています。

田口さんのボーダレス・ジャパンでは、色々な事業をたくさん作って、外からリスクマネーを入れずに自前でやってきていますよね。

田口 そうですね。

調達ゼロ円で、自己資金だけですね。

山崎 マザーハウスも自己資金だけですが、僕たちとは違ってボーダレス・ジャパンは、どちらかと言うと、色々な社会課題のプラットフォームとして存在している会社です。

岡本さんの会社は、これまた面白くて、最初から5.9億円をボンドで調達しているのですね?

岡本 そうですね。

いわゆるデッドファイナンスですが、ボンドは2.1億円で、そこにレバレッジをかけて、合計5.9億円です。

山崎 では、借り入れと掛け算してということですね。

岡本 そうです。

しかし、利回りが低く償還までの期間が長い社債をインパクト投資家が引き受けてくれたことで、いわゆる資本性の資金として調達しています。

山崎 ああ、資本性ローンなのですね。

岡本 はい。

劣後している(返済の優先順位が低い)ので、銀行は純資産扱いしてくれます。

山崎 これはインパクトを出していくというのもそうだし、一方で、現場で、地場で、地道にやってくれているNPOと組みながら、裏側では資金をたくさん調達して、仕組み作りにはたくさんお金をかけるということですね?

岡本 そうですね、現場も含めたスキーム・エコシステム全体に投資していますね。

山崎 リスクを取っているのは、自分たちという形ですね。

岡本 そうです。

山崎 三者三様で色々な形があるのが、まずすごく面白いですね。

多分、今日この後の質問の答えも色々ありそうですが、江口さんはファイナンス側の立場からいかがですか?

この3社は面白いなと思うのですけれども。

江口 3社とも課題を明確に設定した後に、次のタイミングでファイナンスから入っているのです。

普通は課題を設定して、ビジネスをどうしようかとヒアリングしてモデルを作って、最後に資金調達ですが、これではちょっと遅いのです。

自分たちの解決したいものに対して、どのぐらいの資金が必要で、どうやったら資金が集まるかというところが入っているのが、すごく上手いなと思っています。

どういう思考で、どういうモデルでこうしたのか、私も聞いてみたいなと思いますね。

山崎 ありがとうございます。

(続)

カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式Xをぜひご覧ください!
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成

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